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嫌な事は向こうからやってくる
#79 特別出張!フィーアなのデス!
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SIDEボラーン王国:王城の訓練場
ひゅぉぉぉぅっと風が吹き、訓練場にて対峙する者たちがいた。
片や、難しい事は部下に任せた方が良いと言うような脳筋ながらも、その剣の腕や忠誠心は本物である騎士団長。
そしてもう片方は、都市アルバスを攻めてきたヌルダニアン王国軍を撃退したという、ミニワゼシスターズという者たちの中の1体、緑髪の小さなメイド人形フィーア。
都市アルバスでの戦闘報告を、ミスティア王女は謁見室にて詳細に説明したのだが、ミニワゼ本人を連れて来ても、疑わしげな眼を向ける者たちが多い。
そんな中で、国王エドワードはきちんと話を受け止め、その実力が嘘ではないという証明をさせるために、訓練場へ出向き、騎士団長に命じた。
模擬戦を行い、その騎士団長に勝利、もしくは拮抗できればまぎれもない真実である、と。
一応、普段の騎士団長は魔導士長と阿呆な言い争いなどを目撃されているが、それでもその地位にふさわしいだけの実力を持っているのである。
そして今、二人は対峙し、それぞれ武器を構える。
騎士団長としては、小さなメイドと戦うようで少々絵面が悪そうな気がしたが、それでもこうやって向かい合って見れば、油断できない相手だと感じ取り、真剣に相手をすることに決める。
観戦しているのは、この報告がなされた時に疑わしそうな目を向けていた重鎮たちや、騎士団長が無残な敗北を決するかもしれないと楽しみにしている魔導士長。
そして報告してきた第2王女ミスティアと、この国の国王陛下である。
「それでは、両者とも合図と同時に開始してください」
騎士団長の部下の一人が審判を務まえ、合図を出す。
「それでは‥‥‥‥模擬戦はじめぇ!!」
「ぜやぁぁぁぁぁ!!」
「フーーーーーーーーーーーーー!!」
ガギィン!っと金属がぶつかり合い、騎士団長が構える長剣と、フィーアの双剣から火花が散り合い、力が拮抗する。
「フー!!」
「ぐっ!」
だが、その拮抗はすぐに崩れ、フィーアの方が強く、騎士団長は素早く剣を構え直し、後方へ一気に身体を戻し、距離をとる。
「なるほど…‥‥単純な馬力では少々分が悪いか」
「フ、フ」
「ふ、そちらこそってか。そりゃどうも」
短く言葉を交わし合い、次の一撃へ向けて両者は動く。
「フフ!」
ぶぉんっとハンマーを振り下ろし、地面にたたきつけるフィーア。
すると、其の衝撃波によって地面がひび割れ、騎士団長の元へ迫る。
「なるほど、足元から狙うか!」
だが、これでも一応国を守る騎士団長という立場にふさわしい実力ゆえに、その目論見を見ぬき、ひびの延長線上から横にずれ、再び距離を詰めようと動く。
「フー!」
今度はフィーアの足元に大きなタイヤが出現し、向かってくる騎士団長に、向かい返す。
がっぎぃぃぃん!!っと再び互いの武器がぶつかり合い、再び大きな火花を散らす。
「フーーーーーーー!」
すると、先ほどのように逃げられるのを防ぐためか、フィーアがハンマーを素早く動かし、剣の刃の根元へ向けて一撃を叩きつけた。
がっ!っと音が鳴り、剣全体が震え、騎士団長の手から剣が上へ弾き飛ばされた。
「ぬぅ!!」
「フ!」
剣を弾き飛ばされたが、騎士団長はそのまま徒手空拳で挑もうとする。
騎士たるもの、剣技も必要ではあるが、戦場で剣を失う事もあるので、素手での体術もある程度たしなんでいるのだ。
その徒手空拳に対し、フィーアは軽く身をかがめ、足を狙ってスライディング。
騎士団長は足を取られ、前のめりに倒れ込む。
潰されないように身をひるがえし、素早く後ろへフィーアは回り込み、騎士団長の腰をつかみ、フライフォルムを発動させ一気に空中へ飛び上がる。
「フーーーーーーーーーーーーー!!」
「のわぁぁあああああああ!?」
そのまま落下し、フィーアが空中で離れる。
このまま激突するかと思われたが、騎士団長は機転を利かせ、空中で体勢を立て直し無事に着地する。
しかし、着地の衝撃で全身が痺れ、動けなくなったところで‥‥‥
「フ!」
「‥‥‥っ、チェックメイトか」
首筋にフィーアが剣を突きつけ、余ったハンマーは急所に狙いを定める。
「わかった、降参だ‥‥‥しかも、この感じ、まだ3分の1すらも力使ってないな」
「フフ?」
これ以上の反撃は不可能と騎士団長は判断し、降参する。
よってこの模擬戦はフィーアの勝利となり、第2王女ミスティアを除く、観戦して居た全員を驚愕させるのであった。
‥‥‥いや、魔導士長も驚愕しておらず、むしろざまぁな敗北になるかと思っていたが、中々の接戦にむしろ感心していたのであった。
普段対立する分、相手の実力を認めているからこそであろうか…‥‥
何にしても、これでフィーアの実力は騎士団長に勝利できるほどであるという事は、良く分かったはずである。
しかも、今回はあくまでも「模擬戦」という形式であり、実際に本当の命のやり取りをする戦場であれば、もっと上の実力を発揮していたに違いない。
さらに、フィーアだけではなく、その他にも同様の機体があるという話でもあるので、相当な面倒事というか、戦闘力を持った者たちがいる事を国王とその場に居た者たちは理解させられた。
「ふむ……我が娘、ミスティアよ。そなたの報告に偽りがない事が証明された。…‥‥が、同時にかなり厄介な問題事でもある」
あっけに取られていた観戦した居た者たちの中で、国王はすぐに口を開き、そう語る。
「我が国の騎士団長の実力は、嘘偽りでもなくその腕前は本物である」
「だが、そのミニワゼシスターズとやらの1機、フィーア嬢・・・・・で良いのかどうかは置いておくとしてだ、彼女がさらに騎士団長を上回るとなると、その他の機体も同様だとうかがえる」
「つまり、報告にあったように、一国の軍勢とも対等に戦えることを示し‥‥‥‥それだけの戦力が、その主の元へ集っているのだろう」
「その通りでございますわ」
「フー」
国王の問いかけに対し、ミスティアとフィーアが肯定の返答を行う。
ただ「フ」と言っているだけのはずなのに、説得力ある力があるように、その場に居た全員が感じ取る。
いや、どうやってその短い文字で多くの意味が込められているのか、この部分がかなりの謎でもあったが、今はその事よりも、そのミニワゼたちの主の方が問題になるであろう。
…‥‥報告によれば、その主の名前はシアン。
都市アルバスに現れた魔法屋にして、アラクネの亜種と思われる絶世の美女と、そのミニワゼのオリジナルであるメイドを連れた人物だ。
ただ、ミスティアの報告だけではまだまだ謎がある人物でもあり、この戦闘の最中で、こっそり城の諜報が集めて見た情報でも、この首都内の冒険者ギルドでの模擬戦全勝、都市アルバスの化け物騒動での功労者など程度しか分からない。
時間をかければより分かるのだろうが…‥‥なんにしても、現状放置を決め込むことができないであろう。
とは言え、無理やり拉致監禁とか、言いなりになるようにやるとかそういう手立てが物凄い悪手であるのも、このミニワゼを見れば否応なく理解できてしまう。
ならば、どうするべきか?
その場で国王含む重鎮や騎士団長、魔導士長も交えて議論した結果、一つの事だけが決定した。
「とりあえず、どれだけの実力、戦力、危険度などがあるのか、良く分かった。だがしかし、まだ良く分からないことも多い。話を聞く限り、国に仇成すような、いや、世界に仇成すような者とも思えぬが‥‥‥この件は秘匿できぬだろうし、狙う者たちが出るであろう」
「ということは?」
「うむ。我が娘ミスティアよ、そのミニワゼとやらの主であるシアンと名乗る魔法屋とこれからも接触し、情報を得て、ついでに悪用しようとする輩などがいないか、確認するようにしてくれ。国に仇成すような事が無いような」
「‥‥‥わかりましたわ」
国王の言葉に、深々と了承するミスティア。
「フー?フフフ」
「ぬ?…‥‥監視みたいなことになるのは、不味いと?」
そこでふと、フィーアの発言を聞いて、国王は腕を組み考える。
確かに、下手をすると不敬を買い、国から離れられる危険性もある。
かと言って、そう都合よく良い案も出ない。
「‥‥‥いや、待てよ?」
だが、この国王はこれでもそれなりに有能でもある。
そのため、対応策として、ある事を考え付いたのであった…‥‥‥
ひゅぉぉぉぅっと風が吹き、訓練場にて対峙する者たちがいた。
片や、難しい事は部下に任せた方が良いと言うような脳筋ながらも、その剣の腕や忠誠心は本物である騎士団長。
そしてもう片方は、都市アルバスを攻めてきたヌルダニアン王国軍を撃退したという、ミニワゼシスターズという者たちの中の1体、緑髪の小さなメイド人形フィーア。
都市アルバスでの戦闘報告を、ミスティア王女は謁見室にて詳細に説明したのだが、ミニワゼ本人を連れて来ても、疑わしげな眼を向ける者たちが多い。
そんな中で、国王エドワードはきちんと話を受け止め、その実力が嘘ではないという証明をさせるために、訓練場へ出向き、騎士団長に命じた。
模擬戦を行い、その騎士団長に勝利、もしくは拮抗できればまぎれもない真実である、と。
一応、普段の騎士団長は魔導士長と阿呆な言い争いなどを目撃されているが、それでもその地位にふさわしいだけの実力を持っているのである。
そして今、二人は対峙し、それぞれ武器を構える。
騎士団長としては、小さなメイドと戦うようで少々絵面が悪そうな気がしたが、それでもこうやって向かい合って見れば、油断できない相手だと感じ取り、真剣に相手をすることに決める。
観戦しているのは、この報告がなされた時に疑わしそうな目を向けていた重鎮たちや、騎士団長が無残な敗北を決するかもしれないと楽しみにしている魔導士長。
そして報告してきた第2王女ミスティアと、この国の国王陛下である。
「それでは、両者とも合図と同時に開始してください」
騎士団長の部下の一人が審判を務まえ、合図を出す。
「それでは‥‥‥‥模擬戦はじめぇ!!」
「ぜやぁぁぁぁぁ!!」
「フーーーーーーーーーーーーー!!」
ガギィン!っと金属がぶつかり合い、騎士団長が構える長剣と、フィーアの双剣から火花が散り合い、力が拮抗する。
「フー!!」
「ぐっ!」
だが、その拮抗はすぐに崩れ、フィーアの方が強く、騎士団長は素早く剣を構え直し、後方へ一気に身体を戻し、距離をとる。
「なるほど…‥‥単純な馬力では少々分が悪いか」
「フ、フ」
「ふ、そちらこそってか。そりゃどうも」
短く言葉を交わし合い、次の一撃へ向けて両者は動く。
「フフ!」
ぶぉんっとハンマーを振り下ろし、地面にたたきつけるフィーア。
すると、其の衝撃波によって地面がひび割れ、騎士団長の元へ迫る。
「なるほど、足元から狙うか!」
だが、これでも一応国を守る騎士団長という立場にふさわしい実力ゆえに、その目論見を見ぬき、ひびの延長線上から横にずれ、再び距離を詰めようと動く。
「フー!」
今度はフィーアの足元に大きなタイヤが出現し、向かってくる騎士団長に、向かい返す。
がっぎぃぃぃん!!っと再び互いの武器がぶつかり合い、再び大きな火花を散らす。
「フーーーーーーー!」
すると、先ほどのように逃げられるのを防ぐためか、フィーアがハンマーを素早く動かし、剣の刃の根元へ向けて一撃を叩きつけた。
がっ!っと音が鳴り、剣全体が震え、騎士団長の手から剣が上へ弾き飛ばされた。
「ぬぅ!!」
「フ!」
剣を弾き飛ばされたが、騎士団長はそのまま徒手空拳で挑もうとする。
騎士たるもの、剣技も必要ではあるが、戦場で剣を失う事もあるので、素手での体術もある程度たしなんでいるのだ。
その徒手空拳に対し、フィーアは軽く身をかがめ、足を狙ってスライディング。
騎士団長は足を取られ、前のめりに倒れ込む。
潰されないように身をひるがえし、素早く後ろへフィーアは回り込み、騎士団長の腰をつかみ、フライフォルムを発動させ一気に空中へ飛び上がる。
「フーーーーーーーーーーーーー!!」
「のわぁぁあああああああ!?」
そのまま落下し、フィーアが空中で離れる。
このまま激突するかと思われたが、騎士団長は機転を利かせ、空中で体勢を立て直し無事に着地する。
しかし、着地の衝撃で全身が痺れ、動けなくなったところで‥‥‥
「フ!」
「‥‥‥っ、チェックメイトか」
首筋にフィーアが剣を突きつけ、余ったハンマーは急所に狙いを定める。
「わかった、降参だ‥‥‥しかも、この感じ、まだ3分の1すらも力使ってないな」
「フフ?」
これ以上の反撃は不可能と騎士団長は判断し、降参する。
よってこの模擬戦はフィーアの勝利となり、第2王女ミスティアを除く、観戦して居た全員を驚愕させるのであった。
‥‥‥いや、魔導士長も驚愕しておらず、むしろざまぁな敗北になるかと思っていたが、中々の接戦にむしろ感心していたのであった。
普段対立する分、相手の実力を認めているからこそであろうか…‥‥
何にしても、これでフィーアの実力は騎士団長に勝利できるほどであるという事は、良く分かったはずである。
しかも、今回はあくまでも「模擬戦」という形式であり、実際に本当の命のやり取りをする戦場であれば、もっと上の実力を発揮していたに違いない。
さらに、フィーアだけではなく、その他にも同様の機体があるという話でもあるので、相当な面倒事というか、戦闘力を持った者たちがいる事を国王とその場に居た者たちは理解させられた。
「ふむ……我が娘、ミスティアよ。そなたの報告に偽りがない事が証明された。…‥‥が、同時にかなり厄介な問題事でもある」
あっけに取られていた観戦した居た者たちの中で、国王はすぐに口を開き、そう語る。
「我が国の騎士団長の実力は、嘘偽りでもなくその腕前は本物である」
「だが、そのミニワゼシスターズとやらの1機、フィーア嬢・・・・・で良いのかどうかは置いておくとしてだ、彼女がさらに騎士団長を上回るとなると、その他の機体も同様だとうかがえる」
「つまり、報告にあったように、一国の軍勢とも対等に戦えることを示し‥‥‥‥それだけの戦力が、その主の元へ集っているのだろう」
「その通りでございますわ」
「フー」
国王の問いかけに対し、ミスティアとフィーアが肯定の返答を行う。
ただ「フ」と言っているだけのはずなのに、説得力ある力があるように、その場に居た全員が感じ取る。
いや、どうやってその短い文字で多くの意味が込められているのか、この部分がかなりの謎でもあったが、今はその事よりも、そのミニワゼたちの主の方が問題になるであろう。
…‥‥報告によれば、その主の名前はシアン。
都市アルバスに現れた魔法屋にして、アラクネの亜種と思われる絶世の美女と、そのミニワゼのオリジナルであるメイドを連れた人物だ。
ただ、ミスティアの報告だけではまだまだ謎がある人物でもあり、この戦闘の最中で、こっそり城の諜報が集めて見た情報でも、この首都内の冒険者ギルドでの模擬戦全勝、都市アルバスの化け物騒動での功労者など程度しか分からない。
時間をかければより分かるのだろうが…‥‥なんにしても、現状放置を決め込むことができないであろう。
とは言え、無理やり拉致監禁とか、言いなりになるようにやるとかそういう手立てが物凄い悪手であるのも、このミニワゼを見れば否応なく理解できてしまう。
ならば、どうするべきか?
その場で国王含む重鎮や騎士団長、魔導士長も交えて議論した結果、一つの事だけが決定した。
「とりあえず、どれだけの実力、戦力、危険度などがあるのか、良く分かった。だがしかし、まだ良く分からないことも多い。話を聞く限り、国に仇成すような、いや、世界に仇成すような者とも思えぬが‥‥‥この件は秘匿できぬだろうし、狙う者たちが出るであろう」
「ということは?」
「うむ。我が娘ミスティアよ、そのミニワゼとやらの主であるシアンと名乗る魔法屋とこれからも接触し、情報を得て、ついでに悪用しようとする輩などがいないか、確認するようにしてくれ。国に仇成すような事が無いような」
「‥‥‥わかりましたわ」
国王の言葉に、深々と了承するミスティア。
「フー?フフフ」
「ぬ?…‥‥監視みたいなことになるのは、不味いと?」
そこでふと、フィーアの発言を聞いて、国王は腕を組み考える。
確かに、下手をすると不敬を買い、国から離れられる危険性もある。
かと言って、そう都合よく良い案も出ない。
「‥‥‥いや、待てよ?」
だが、この国王はこれでもそれなりに有能でもある。
そのため、対応策として、ある事を考え付いたのであった…‥‥‥
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