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嫌な事は向こうからやってくる
#76 さぁ、やーってしまいなさいなのデス
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SIDEヌルダニアン王国軍
…‥‥ついに本日、ヌルダニアン王国の軍勢は都市アルバスが見える距離まで近づいてきた。
聖女の手によって彼らの士気は通常以上に向上しており、どのような戦であろうとも勝利をつかめそうな勢いであった。
「いくぞ!!我々には聖女様がいるから死を恐れるなぁぁぁぁあ!!」
「「「「うほおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
司令官による号令で兵士たちは叫び、怒涛の勢いで都市に迫る。
この勢いで攻め入れば、もはや逃れるすべはない。
このまま都市内を蹂躙し、何もかも破壊しつくし、享楽にふけれると、誰もが思っていたのだが…‥‥その考えは、無残にも崩されることになる。
都市へ迫り、今まさに中へ入ろうと思ったその時、都市の入り口に何者かが数人ほどたっているのを彼らは目撃した。
だが、勢いを殺さずに、強行突破しようと企んだその瞬間、一筋の閃光が彼らの中を通り抜け‥‥‥
チュドォォォォォォン!!
「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」
突如として、その閃光が通った個所が爆発し、兵士たちが宙を舞う。
「な、何事だ!?」
「ひるむな!!怪我人は聖女様の下へ運び、恐れずに迎えぇぇぇ!!」
混乱しそうにする中、司令官は慌てず騒がず、冷静にそう指示を飛ばす。
何事があろうとも、聖女の下へもっていけばどうにかなると考え、飛ばした彼の判断は兵士たちに伝わり、すぐに冷静さが戻りかけて‥‥‥
バッシィィィィィィィン!!
「ぎえっふぅぅぅん!?」
「「「「し、司令官――――――!?」」」」
突然、司令官が何者かによってはじかれ、宙を舞ったのを見て兵士たちは思わずそう叫んだ。
見れば、何やら鋭い鞭が軌跡を残しており、その先にいたのは一体の小さなメイド服を着た少女のような人形であった。
黄色の髪色をしているが、どことなく恐怖を感じさせる。
その両手にはそれぞれ鞭を持っており、肩の方にはとげがぎっしりと詰められたモーニングスターが構えられた手があった。
「‥‥‥ファ、ファファファファ!!」
鞭を数回ほど振り直し、恍惚した笑みを浮かべながら笑う人形。
その姿に兵士たちはぞくりと悪寒を震わせ、数人ほどは違う扉を開きかける。
「ひ、ひるむな!!あの敵をやってしまえ!!」
司令官に手を出され、敵だと判断した兵士の一人が切りかかろうとする。
だが、彼の前を先ほどの爆発の時と同じような閃光がはしった。
ドッゴォォォォン!!
「ぐわはぁぁぁあぁ!?」
「な、なんだよこの爆発は!!」
「これはたぶん、爆発する魔法のようなものだぞ!!」
「おい見ろ!!そこにあの人形とは髪色が違うやつが!!」
混乱する最中、その爆発を起こした者を見つけた兵士がそう叫び、指をさした。
そこには、先ほど鞭を振るった人形とは異なる紫色の髪形をしたものがおり、その右手には杖を、左手にはボウガンが構えられ、頭上にいくつもの炎や水、光の球体が漂っていた。
「シシシシ……シー!!」
なにやら訳の分からない言葉を口にしたかと思うと、適当な兵士の前にその杖の先を向ける。
その途端、閃光がほとばしり、再び大爆発を引き起こした。
「ぎっはあはぁぁぁ!?」
「ば、爆裂系の魔法だぁぁぁぁ!!」
「馬鹿な!!あんな人形のような少女がいや、少女のような人形が行っていたのかよ!?」
「セー!」
爆発で混乱する最中、何処からか聞こえる、あの悪魔のような人形たちと同じような声。
びくりと体を固め、周囲を見渡せばいつの間にか、何やらぶくぶくと泡に覆われていた。
パチン!パチン!!パッチィィン!!
「目がぁぁぁぁ!!とんでもなくしみるぅぅぅぅ!?」
「ごえっふばぁ!?や、焼けつくような痛みがぁぁあ!?」
泡が割れるたびに、何かしらの効果が起こり、兵士たちは苦しむ。
その発生源を見れば、何やらホースを構えたオレンジ髪の人形が満面の笑みで泡を兵士たちに向けて放出していた。
バッシィィィ!!
「あひぃぃぃん!!」
「しまった、こっちの鞭の方も忘れていたぁぁ!!」
「おいい!!既に数人犠牲になっているじゃねぇぇぇかぁぁぁ!!」
突如として姿を現した、メイド服を着た小さな少女のような人形たちに戦々恐々する兵士たち。
だが、こちらは大勢おり、たかが2体ならばまだ何とかなるだろうと思っていたが‥‥‥その想いすら、次の瞬間に砕かれた。
「フー!!」
ドッシィィィン!!バッゴォォォン!!
「ぐべっはぁぁあ!?」
「今度は緑髪の奴が、ハンマーで殴って来たぁぁぁぁ!?」
「スー!」
ずばぶしゅうぅぅ!!
「いだぁぁぁぁ!!手がぁぁぁ、目がぁぁぁぁ!!」
「鎖鎌を持った青髪が、思いっきり斬りつけてきやがったぁ!!」
「ツー!」
ダラララララララララララ!!
「うぉぉぉぉ!!相棒が一瞬でハチの巣になりやがったぁぁぁ!!」
「今度は赤髪で先ほどよりもエグイ事に!?」
戦場に突如として、新たに3体の少女のような人形たちが現れ、次々に軍勢を薙ぎ払っていく。
聖女の下へ運び、治療してもらおうとしたのだが、運ぶものすら狙われ、そもそも近づくことすらもできない。
何とか倒そうと剣や魔法などで彼らは攻撃を試みるが、それぞれの動きが素早く、また小さいために当てにくく、かわされ、手痛い反撃を喰らう。
しかも、なんとかしようにも数の暴力でもかなわず、ならば個別撃破を狙おうにも、その気配を察知されているのか、ここにばらけずに2~3体ずつにローテーションで組み合わさって攻撃される。
もはや戦場はメイド服を着た人形たちに蹂躙され、数の優位に立っていたはずのヌルダニアン王国軍はあっという間にその数を減らしていく。
「ひぎゃぁぁぁ!!」
「かなうわけがねぇぇ!!無理過ぎるぅぅぅ!!」
「ああ、穴だらけにされた上にサイコロ上にカットされたぁぁぁ!」
「うぉぉぉ!!もっと、もっと叩いてくれぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃ!!一瞬で爆発して、髪がすべてなくなったぁぁぁ!!」
たかが6体ほどの人形かと思いきや、一体ずつの力は百にも千にも等しく、誰もがかなわない。
逃げまどい、戦おうと勇気を振り絞るも無残な姿となり、聖女の治療を待とうにも運ぶ前にやられてうまいこと行かない。
「だめだぁ!!逃げろぉ!!」
「この地獄から抜けさせろぉぉぉ!!」
もはや兵士としての職務も放棄し、この戦場から逃げ出そうとする者たちもいたが、そうは問屋が卸さなかった。
「ツー!」
「スー!」
「フー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
「「「「「「合体!!」」」」」」
「「「「なにぃぃぃぃ!?」」」」」
突然、そう叫んだ人形たちに兵士たちは何が起こるのか恐怖で身がすくみ、その場から動けなくなる。
そしてその掛け声が聞こえると同時に、散らばっていた人形たちが一か所に集まり、光に包まれたかと思いきや、次の瞬間、一人の人物として立っていた。
‥‥‥風に揺れる銀の長髪、豊かな双丘。手に持つのは人形たちが使っていた武器とは異なり、一本の箒。
それを天高く掲げ、次の瞬間にその銀の瞳を開く。
『【合体フォルム「ワゼMK=2」】起動!!合体必殺わじゃ!「大掃除の舞」!!』
舌を噛んだのかおかしな発言が含まれていたような気がしたが、兵士たちに考える隙は無かった。
その銀のメイドは目にもとまらぬ速度で動き、まるで実態がそこにあるかのような残像が幾重にも増え、百、千、万の軍勢よりも多い人数に見え始める。
そして、一糸乱れぬ動きで箒が振るわれ始めた途端に、兵士たちは宙を舞い、一斉に薙ぎ払われ始めるのであった…‥‥
―――――――――――――――
SIDEヌルダニアン王国軍:テント前
「な、何よあれは!?」
いよいよ都市へ攻め入り始め、簡単に落城させることが得できるだろうと思っていた聖女は、戦場の壮絶な地獄絵図に目を剥き、顎が外れそうなほど口を開け、驚愕する。
たった数体の何者かが動いているだけのようであったが、軍勢がその者たちの手だけによって蹂躙され、崩壊していく様子が信じられなかったのだ。
悪夢だと信じたかったのだが、残念ながら現実のようだ。
負傷者が出た時に、すぐさま治療して戦線に出てもらおうとも思っていたが、運ばれる前に皆撃沈され、しかも士気が駄々下がりどころか崩壊しまくり、司令官が先にやられているので指示も十分に伝わらない。
そのうえ、何やらその数体の者たちが合体したかと思うと銀髪のメイドとなり、すぐにその数が増えて軍をどんどん薙ぎ払っていく。
「ま、まずいわ、このままでは…‥‥総員、直ちに撤退よおぉぉぉ!!」
巻き込まれ、あの地獄絵図の場に引きずり込まれるのは嫌であった聖女はそう言葉を発し、我先にと逃げ出す。
もはや戦争どころではなく、敗走をするヌルダニアン王国軍。
そして数分後、逃げ足だけは早かったようで、戦場に残っていたのは絶命したか、もしくは重傷で動けなくなった兵士たちと、その銀に輝くメイドが分裂し、元のメイド人形に分かれた者たちだけであった…‥‥
――――――――――――――
SIDE第2王女ミスティア
…‥‥その光景を目の当たりにし、ミスティアは驚きを隠せなかった。
あれだけいたはずのヌルダニアン王国の軍勢が、本当にたった数体のミニワゼシスターズとやらの手で崩壊し、敗走していったのだ。
「‥‥‥す、すごすぎるわ」
少々えげつない絵面ではあったが、あの時路上で聞いてしまったメイドの言葉通り、戦場をミニワゼシスターズとやらによって蹂躙されたその様に、そのような感想しか彼女の口からは出なかった。
ふと見れば、彼女達の主であるはずのシアンという魔法屋も、引きつった笑みをワゼというメイドの方に見せていた。
「えっと‥‥‥ワゼ、明かに皆おかしいレベルの戦闘能力なんだけど」
「ええ、新たな万能家事戦闘人型ゴーレム『05:フンフ(黄髪)』『06:ゼクス(紫髪)』『07:ズィーベン(オレンジ髪)』の作成ついでに、既存のツヴァイ、ドライ、フィーアの改良を施し、初期のころの3倍以上の出力を出すようにしていたはずなのですガ‥‥‥」
「ですが?」
「‥‥‥その、言いにくいのですが、少々間違えてしまったようデス。3倍以上どころか、どうも材料自体の質の良さや、エネルギー回路の効率性を改善しすぎたせいで、想定以上の状態になってしまいましタ」
「想定以上であの地獄絵図になったの!?」
【色々とやり過ぎているんですけれども!?】
話が聞こえてくるが、どうもあのミニワゼたちを作ったワゼによれば、どうも彼女自身計算を間違えてしまったようで、ここまでやり過ぎる予定はなかったらしい。
「あと、ご主人様に少々謝らなければいけないことがありマス」
「というと?」
「‥‥‥その事実に気が付かずに、念のために出力制御用に、遠距離から魔力を充填して動けるようにしており、想定以上にご主人様から魔力が流れてました」
「え?そんな感覚は特になかったような‥‥‥」
「ご主人様自身の魔力が膨大なようで、感覚はなかったのかもしれまセン。ですが、そのせいで余計に彼女達の出力が向上してしまい、ここまでの絵面にしてしまったことを、お詫び申し上げマス」
「‥‥‥僕自身のせいでもあるの?」
ワゼの言葉に、シアンはあっけに取られているようだ。
だがしかし、その言葉にミスティアも驚愕した。
どうやらあのミニワゼたちのエネルギーは、あのシアンという人物の魔力も吸い取って動いていたらしい。
あそこまでの蹂躙劇を引き起こすのであれば、相当な魔力も消費したはずなのだが…‥‥当のシアン本人は魔力が抜かれていたことに気が付かないほど、魔力が膨大なのであろうか?
色々な問題事になりそうな事実に、ミスティアはこの都市へ来たことを少々後悔しつつ、頭を痛める。
「ああ、これもう、わたくしの想像以上過ぎるわ…‥‥」
当初はあの軍勢をどうにかできれば良いという想いだけであったが、どう考えてもヌルダニアン以上の脅威がここにあったとは彼女は想定していなかった。
いや、ミニワゼシスターズとやらがかなりの力があるだけかもしれないと、まだ小さく思って居たかったが、どうやらその希望は見事に破壊されたらしい。
一国の軍勢相手に、圧倒的な蹂躙劇を引き起こせるだけのミニワゼというゴーレムたち。
それを製作できるミニワゼのオリジナルらしいメイドゴーレムのワゼ。
そして、その主であり、どうやら膨大過ぎる魔力を持っているらしい魔法屋シアン。
ついでに、彼に従う亜種らしいようで同性でも嫉妬するようなアラクネのハクロ。
この都市アルバスに抱えられた大きな爆弾すぎる者たちに、ミスティアはしばし現実逃避を求める。
だが、王族として、この国を持つ者としては放置できない問題でもある。
今回の件は色々と彼らと協議しつつ、国王の方にも報告し、どうすべきか対応を検討するための会議を開く必要性がありそうだと思いつつ、胃薬を買おうとも検討し始めるのであった。
――――――――――――――――――――
【設定の一部、今回はここに表示】
名前:フンフ
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム05
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、黄髪
一人称など:「ファー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(両手に電気鞭といばらの鞭、肩から凶悪なモーニングスター)』
名前:ゼクス
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム06
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、紫髪
一人称など:「シー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(片手ずつ杖とボウガン、頭上に次弾装填用魔法弾)』
名前:ズィーベン
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム07
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、オレンジ髪
一人称など:「セー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(シンプルにホースを装備し、バブル発射(ただし効果は割れた泡によって異なり、例としては劇薬などが仕込まれている)』
『合体フォルム「ワゼMK=2」』
・ツヴァイからズィーベンまでの6体のミニワゼたちが合体した姿の一つ。
・ワゼ自身の姿に酷似しており、少々ハクロを参考にしているのか髪色は金髪ではなく白色に近い銀髪かつオリジナルよりもスタイル(主に胸)を改善している。
・超高速移動を可能にしており、これでまだ安全装置がかかっている状態でもある。
・欠点として、あまりにも無茶苦茶な合体のために、現時点では稼働可能時間が3分と短く、次の再合体までに30分の休憩が必要となるため、改良が要求される。
・その他にも合体フィルムはあり、3体合体、5体合体、半分合体など様々あるが、詳しい説明はまたの機会に‥‥‥
…‥‥ついに本日、ヌルダニアン王国の軍勢は都市アルバスが見える距離まで近づいてきた。
聖女の手によって彼らの士気は通常以上に向上しており、どのような戦であろうとも勝利をつかめそうな勢いであった。
「いくぞ!!我々には聖女様がいるから死を恐れるなぁぁぁぁあ!!」
「「「「うほおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
司令官による号令で兵士たちは叫び、怒涛の勢いで都市に迫る。
この勢いで攻め入れば、もはや逃れるすべはない。
このまま都市内を蹂躙し、何もかも破壊しつくし、享楽にふけれると、誰もが思っていたのだが…‥‥その考えは、無残にも崩されることになる。
都市へ迫り、今まさに中へ入ろうと思ったその時、都市の入り口に何者かが数人ほどたっているのを彼らは目撃した。
だが、勢いを殺さずに、強行突破しようと企んだその瞬間、一筋の閃光が彼らの中を通り抜け‥‥‥
チュドォォォォォォン!!
「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」
突如として、その閃光が通った個所が爆発し、兵士たちが宙を舞う。
「な、何事だ!?」
「ひるむな!!怪我人は聖女様の下へ運び、恐れずに迎えぇぇぇ!!」
混乱しそうにする中、司令官は慌てず騒がず、冷静にそう指示を飛ばす。
何事があろうとも、聖女の下へもっていけばどうにかなると考え、飛ばした彼の判断は兵士たちに伝わり、すぐに冷静さが戻りかけて‥‥‥
バッシィィィィィィィン!!
「ぎえっふぅぅぅん!?」
「「「「し、司令官――――――!?」」」」
突然、司令官が何者かによってはじかれ、宙を舞ったのを見て兵士たちは思わずそう叫んだ。
見れば、何やら鋭い鞭が軌跡を残しており、その先にいたのは一体の小さなメイド服を着た少女のような人形であった。
黄色の髪色をしているが、どことなく恐怖を感じさせる。
その両手にはそれぞれ鞭を持っており、肩の方にはとげがぎっしりと詰められたモーニングスターが構えられた手があった。
「‥‥‥ファ、ファファファファ!!」
鞭を数回ほど振り直し、恍惚した笑みを浮かべながら笑う人形。
その姿に兵士たちはぞくりと悪寒を震わせ、数人ほどは違う扉を開きかける。
「ひ、ひるむな!!あの敵をやってしまえ!!」
司令官に手を出され、敵だと判断した兵士の一人が切りかかろうとする。
だが、彼の前を先ほどの爆発の時と同じような閃光がはしった。
ドッゴォォォォン!!
「ぐわはぁぁぁあぁ!?」
「な、なんだよこの爆発は!!」
「これはたぶん、爆発する魔法のようなものだぞ!!」
「おい見ろ!!そこにあの人形とは髪色が違うやつが!!」
混乱する最中、その爆発を起こした者を見つけた兵士がそう叫び、指をさした。
そこには、先ほど鞭を振るった人形とは異なる紫色の髪形をしたものがおり、その右手には杖を、左手にはボウガンが構えられ、頭上にいくつもの炎や水、光の球体が漂っていた。
「シシシシ……シー!!」
なにやら訳の分からない言葉を口にしたかと思うと、適当な兵士の前にその杖の先を向ける。
その途端、閃光がほとばしり、再び大爆発を引き起こした。
「ぎっはあはぁぁぁ!?」
「ば、爆裂系の魔法だぁぁぁぁ!!」
「馬鹿な!!あんな人形のような少女がいや、少女のような人形が行っていたのかよ!?」
「セー!」
爆発で混乱する最中、何処からか聞こえる、あの悪魔のような人形たちと同じような声。
びくりと体を固め、周囲を見渡せばいつの間にか、何やらぶくぶくと泡に覆われていた。
パチン!パチン!!パッチィィン!!
「目がぁぁぁぁ!!とんでもなくしみるぅぅぅぅ!?」
「ごえっふばぁ!?や、焼けつくような痛みがぁぁあ!?」
泡が割れるたびに、何かしらの効果が起こり、兵士たちは苦しむ。
その発生源を見れば、何やらホースを構えたオレンジ髪の人形が満面の笑みで泡を兵士たちに向けて放出していた。
バッシィィィ!!
「あひぃぃぃん!!」
「しまった、こっちの鞭の方も忘れていたぁぁ!!」
「おいい!!既に数人犠牲になっているじゃねぇぇぇかぁぁぁ!!」
突如として姿を現した、メイド服を着た小さな少女のような人形たちに戦々恐々する兵士たち。
だが、こちらは大勢おり、たかが2体ならばまだ何とかなるだろうと思っていたが‥‥‥その想いすら、次の瞬間に砕かれた。
「フー!!」
ドッシィィィン!!バッゴォォォン!!
「ぐべっはぁぁあ!?」
「今度は緑髪の奴が、ハンマーで殴って来たぁぁぁぁ!?」
「スー!」
ずばぶしゅうぅぅ!!
「いだぁぁぁぁ!!手がぁぁぁ、目がぁぁぁぁ!!」
「鎖鎌を持った青髪が、思いっきり斬りつけてきやがったぁ!!」
「ツー!」
ダラララララララララララ!!
「うぉぉぉぉ!!相棒が一瞬でハチの巣になりやがったぁぁぁ!!」
「今度は赤髪で先ほどよりもエグイ事に!?」
戦場に突如として、新たに3体の少女のような人形たちが現れ、次々に軍勢を薙ぎ払っていく。
聖女の下へ運び、治療してもらおうとしたのだが、運ぶものすら狙われ、そもそも近づくことすらもできない。
何とか倒そうと剣や魔法などで彼らは攻撃を試みるが、それぞれの動きが素早く、また小さいために当てにくく、かわされ、手痛い反撃を喰らう。
しかも、なんとかしようにも数の暴力でもかなわず、ならば個別撃破を狙おうにも、その気配を察知されているのか、ここにばらけずに2~3体ずつにローテーションで組み合わさって攻撃される。
もはや戦場はメイド服を着た人形たちに蹂躙され、数の優位に立っていたはずのヌルダニアン王国軍はあっという間にその数を減らしていく。
「ひぎゃぁぁぁ!!」
「かなうわけがねぇぇ!!無理過ぎるぅぅぅ!!」
「ああ、穴だらけにされた上にサイコロ上にカットされたぁぁぁ!」
「うぉぉぉ!!もっと、もっと叩いてくれぇぇぇ!!」
「ひぃぃぃぃ!!一瞬で爆発して、髪がすべてなくなったぁぁぁ!!」
たかが6体ほどの人形かと思いきや、一体ずつの力は百にも千にも等しく、誰もがかなわない。
逃げまどい、戦おうと勇気を振り絞るも無残な姿となり、聖女の治療を待とうにも運ぶ前にやられてうまいこと行かない。
「だめだぁ!!逃げろぉ!!」
「この地獄から抜けさせろぉぉぉ!!」
もはや兵士としての職務も放棄し、この戦場から逃げ出そうとする者たちもいたが、そうは問屋が卸さなかった。
「ツー!」
「スー!」
「フー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
「「「「「「合体!!」」」」」」
「「「「なにぃぃぃぃ!?」」」」」
突然、そう叫んだ人形たちに兵士たちは何が起こるのか恐怖で身がすくみ、その場から動けなくなる。
そしてその掛け声が聞こえると同時に、散らばっていた人形たちが一か所に集まり、光に包まれたかと思いきや、次の瞬間、一人の人物として立っていた。
‥‥‥風に揺れる銀の長髪、豊かな双丘。手に持つのは人形たちが使っていた武器とは異なり、一本の箒。
それを天高く掲げ、次の瞬間にその銀の瞳を開く。
『【合体フォルム「ワゼMK=2」】起動!!合体必殺わじゃ!「大掃除の舞」!!』
舌を噛んだのかおかしな発言が含まれていたような気がしたが、兵士たちに考える隙は無かった。
その銀のメイドは目にもとまらぬ速度で動き、まるで実態がそこにあるかのような残像が幾重にも増え、百、千、万の軍勢よりも多い人数に見え始める。
そして、一糸乱れぬ動きで箒が振るわれ始めた途端に、兵士たちは宙を舞い、一斉に薙ぎ払われ始めるのであった…‥‥
―――――――――――――――
SIDEヌルダニアン王国軍:テント前
「な、何よあれは!?」
いよいよ都市へ攻め入り始め、簡単に落城させることが得できるだろうと思っていた聖女は、戦場の壮絶な地獄絵図に目を剥き、顎が外れそうなほど口を開け、驚愕する。
たった数体の何者かが動いているだけのようであったが、軍勢がその者たちの手だけによって蹂躙され、崩壊していく様子が信じられなかったのだ。
悪夢だと信じたかったのだが、残念ながら現実のようだ。
負傷者が出た時に、すぐさま治療して戦線に出てもらおうとも思っていたが、運ばれる前に皆撃沈され、しかも士気が駄々下がりどころか崩壊しまくり、司令官が先にやられているので指示も十分に伝わらない。
そのうえ、何やらその数体の者たちが合体したかと思うと銀髪のメイドとなり、すぐにその数が増えて軍をどんどん薙ぎ払っていく。
「ま、まずいわ、このままでは…‥‥総員、直ちに撤退よおぉぉぉ!!」
巻き込まれ、あの地獄絵図の場に引きずり込まれるのは嫌であった聖女はそう言葉を発し、我先にと逃げ出す。
もはや戦争どころではなく、敗走をするヌルダニアン王国軍。
そして数分後、逃げ足だけは早かったようで、戦場に残っていたのは絶命したか、もしくは重傷で動けなくなった兵士たちと、その銀に輝くメイドが分裂し、元のメイド人形に分かれた者たちだけであった…‥‥
――――――――――――――
SIDE第2王女ミスティア
…‥‥その光景を目の当たりにし、ミスティアは驚きを隠せなかった。
あれだけいたはずのヌルダニアン王国の軍勢が、本当にたった数体のミニワゼシスターズとやらの手で崩壊し、敗走していったのだ。
「‥‥‥す、すごすぎるわ」
少々えげつない絵面ではあったが、あの時路上で聞いてしまったメイドの言葉通り、戦場をミニワゼシスターズとやらによって蹂躙されたその様に、そのような感想しか彼女の口からは出なかった。
ふと見れば、彼女達の主であるはずのシアンという魔法屋も、引きつった笑みをワゼというメイドの方に見せていた。
「えっと‥‥‥ワゼ、明かに皆おかしいレベルの戦闘能力なんだけど」
「ええ、新たな万能家事戦闘人型ゴーレム『05:フンフ(黄髪)』『06:ゼクス(紫髪)』『07:ズィーベン(オレンジ髪)』の作成ついでに、既存のツヴァイ、ドライ、フィーアの改良を施し、初期のころの3倍以上の出力を出すようにしていたはずなのですガ‥‥‥」
「ですが?」
「‥‥‥その、言いにくいのですが、少々間違えてしまったようデス。3倍以上どころか、どうも材料自体の質の良さや、エネルギー回路の効率性を改善しすぎたせいで、想定以上の状態になってしまいましタ」
「想定以上であの地獄絵図になったの!?」
【色々とやり過ぎているんですけれども!?】
話が聞こえてくるが、どうもあのミニワゼたちを作ったワゼによれば、どうも彼女自身計算を間違えてしまったようで、ここまでやり過ぎる予定はなかったらしい。
「あと、ご主人様に少々謝らなければいけないことがありマス」
「というと?」
「‥‥‥その事実に気が付かずに、念のために出力制御用に、遠距離から魔力を充填して動けるようにしており、想定以上にご主人様から魔力が流れてました」
「え?そんな感覚は特になかったような‥‥‥」
「ご主人様自身の魔力が膨大なようで、感覚はなかったのかもしれまセン。ですが、そのせいで余計に彼女達の出力が向上してしまい、ここまでの絵面にしてしまったことを、お詫び申し上げマス」
「‥‥‥僕自身のせいでもあるの?」
ワゼの言葉に、シアンはあっけに取られているようだ。
だがしかし、その言葉にミスティアも驚愕した。
どうやらあのミニワゼたちのエネルギーは、あのシアンという人物の魔力も吸い取って動いていたらしい。
あそこまでの蹂躙劇を引き起こすのであれば、相当な魔力も消費したはずなのだが…‥‥当のシアン本人は魔力が抜かれていたことに気が付かないほど、魔力が膨大なのであろうか?
色々な問題事になりそうな事実に、ミスティアはこの都市へ来たことを少々後悔しつつ、頭を痛める。
「ああ、これもう、わたくしの想像以上過ぎるわ…‥‥」
当初はあの軍勢をどうにかできれば良いという想いだけであったが、どう考えてもヌルダニアン以上の脅威がここにあったとは彼女は想定していなかった。
いや、ミニワゼシスターズとやらがかなりの力があるだけかもしれないと、まだ小さく思って居たかったが、どうやらその希望は見事に破壊されたらしい。
一国の軍勢相手に、圧倒的な蹂躙劇を引き起こせるだけのミニワゼというゴーレムたち。
それを製作できるミニワゼのオリジナルらしいメイドゴーレムのワゼ。
そして、その主であり、どうやら膨大過ぎる魔力を持っているらしい魔法屋シアン。
ついでに、彼に従う亜種らしいようで同性でも嫉妬するようなアラクネのハクロ。
この都市アルバスに抱えられた大きな爆弾すぎる者たちに、ミスティアはしばし現実逃避を求める。
だが、王族として、この国を持つ者としては放置できない問題でもある。
今回の件は色々と彼らと協議しつつ、国王の方にも報告し、どうすべきか対応を検討するための会議を開く必要性がありそうだと思いつつ、胃薬を買おうとも検討し始めるのであった。
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【設定の一部、今回はここに表示】
名前:フンフ
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム05
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、黄髪
一人称など:「ファー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(両手に電気鞭といばらの鞭、肩から凶悪なモーニングスター)』
名前:ゼクス
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム06
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、紫髪
一人称など:「シー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(片手ずつ杖とボウガン、頭上に次弾装填用魔法弾)』
名前:ズィーベン
種族:万能家事戦闘人型ゴーレム07
容姿:ワゼを小さくデフォルメして省略した姿で、オレンジ髪
一人称など:「セー!」と鳴くのが基本
保持フォルム:『フライフォルム』『ブーストダッシュフォルム』『ウェポンフォルム(シンプルにホースを装備し、バブル発射(ただし効果は割れた泡によって異なり、例としては劇薬などが仕込まれている)』
『合体フォルム「ワゼMK=2」』
・ツヴァイからズィーベンまでの6体のミニワゼたちが合体した姿の一つ。
・ワゼ自身の姿に酷似しており、少々ハクロを参考にしているのか髪色は金髪ではなく白色に近い銀髪かつオリジナルよりもスタイル(主に胸)を改善している。
・超高速移動を可能にしており、これでまだ安全装置がかかっている状態でもある。
・欠点として、あまりにも無茶苦茶な合体のために、現時点では稼働可能時間が3分と短く、次の再合体までに30分の休憩が必要となるため、改良が要求される。
・その他にも合体フィルムはあり、3体合体、5体合体、半分合体など様々あるが、詳しい説明はまたの機会に‥‥‥
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高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
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なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
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最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
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私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
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突然ですが質問です。
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異世界転生~チート魔法でスローライフ
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