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力の差
#59 裏側ではこうなっていたのデス
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‥‥‥シアンたちが観光を楽しんでいたその裏で、動いている勢力があった。
主のシアンを亡き者にしてしまえば、どうにかこうにかしてハクロを得られると考えている、愚か者。
ワゼからの依頼で、その愚か者の策を潰す命令を受けた裏ギルドの者たち。
首都内でも案の定出来上がってしまったハクロファンクラブであり、素早い情報伝達によって水面下で都市アルバスのHWGと連携協定を取り、合併を検討中の者達。
それら3つの勢力が、密かに水面下で動いていたのであった‥‥‥
―――――――――――――――――――――――
SIDE愚か者
‥‥‥首都内にて、あのアラクネ…‥‥情報によれば、ハクロと言う者と、その主及びメイドの外出を彼は確認した。
今まで落ちぶれてきたその愚者は、その主を亡き者にすればいいと、身勝手な考えを抱き、動いていたのである。
「用意できたのは、毒薬ぐらいか‥‥‥だが、それでも強力なものだからいいか」
残りの財産を裏ルートにつぎ込み、彼は毒薬を一瓶手に入れていた。
その毒は人間用のもので、モンスターには効果がないという暗殺用のものであり、できればもっと別のものが欲しかったのだが、いかんせん財源不足。
借金しようにもこれ以上できるはずもなく、現状これでどうにかするしかないのだ。
とは言え、その毒薬は気化性はなく、直接飲ませるかもしくは塗ったモノで刺すなどをしなければ意味がない。
「‥‥‥とりあえず、まずはこれでやってみるか」
そう言って、その愚者が取り出したのは、昨夜大量に刺されながらもなんとか集めた蚊、いや、蚊のような見た目の虫型モンスター「モスキリー」である。
その数、およそ1000匹で、元気に活動していた。
一匹一匹は小さくとも、全てに毒が仕込んである。
それらが人を刺せば毒を注入し、亡き者に出来るのだが‥‥‥下手をすると無差別殺人になるだろう。
だが、誰がモスキリーを使ってやったのかと考えるのはできないだろうし、そう不自然ではないはず。
自分はモスキリーよけの薬を塗りつつ、彼は自然にできるだけ近い距離まで接近し……モスキリーを解き放った。
あとは、このまま自然とまぎれ、シアンを狙っていくはずであった‥‥‥‥。
―――――――――――――――――――
SIDE裏ギルドからの派遣社員たち
‥‥‥その様子を、裏ギルドから呼びだされ、シアンたちの身の回りを監視していた者たちは見ていた。
裏ギルドのギルド長からの命令で、まずは今日一日監視し、彼等の身の周辺の安全を確保するようにという護衛依頼のような物が出たのに首を傾げつつも、警戒していたのだが‥‥‥
「まさか、モスキリーを使って毒をしこもうとは‥‥‥」
「あれ、刺さると結構痒くて辛いんだよな。なんて恐ろしい作戦を‥‥‥」
「物凄い微妙な気もするが…‥‥まぁ、本日の我々の任務は、対象に害がなされないようにすること。一匹ずつ、丁寧に、気が付かれないように狙撃するぞ」
「「あらほらさっさー」」
モスキリーの集団で毒をまかれるのを防ぐために、彼らはそれぞれの技術でモスキリーを狙撃していく。
一匹、また一匹と爆発四散させていき、途中で何故か加勢が入り、より短時間で駆除することができたのであった。
「‥‥‥あの加勢はなんだ?」
「どうやら、あのアラクネの方についたファンクラブのようだな」
「一人一人が、こちらより狙撃がうまかったのだが…‥‥裏ギルドの名が廃る。対抗して、より一層励まねばな」
そう言いつつ、監視を続行するのであった。
――――――――――――――――――――
SIDE「HWG」と連携・合併協定検討中のファンクラブ
「ミッションコンプリート」
「ふぅ、危くあの方々にモスキリーの魔の手が成される所であったな」
路地裏にて、密かに集まっているのは、この首都内で発生したハクロファンクラブ。
今日は何やら観光らしいので、その安全を守るためにやって来たのだが、どうも何やら物騒な事が起きているらしい。
人為的なモスキリーの大群を確認し、誰かの手がある事を彼らは確認した。
そしてそれらに、毒が仕込まれているようだという情報を手に入れ、慌てて殲滅し始めたのである。
「とは言え、どうも裏ギルドが関与したな。ああ、守る方で、攻めてくる方ではなさそうだ」
「ああ、あの方の美貌は裏ギルドでさえも味方につけたのか……」
「なんにしても、誰かがやらかしまくっている可能性がある。気を引き締め、敵を探りださねばいけない!!」
総指揮を執るリーダー格の人物は、素早く裏ギルドの方にも手をまわしてみるのであった。
―――――――――――――――――――
SIDE愚か者
「‥‥‥はぁ?」
目の前の光景に、思わず愚か者はマヌケな声を漏らした。
それもそうだろう。必死になって集め、毒も購入して、モスキリーたちに含ませ、解き放ったというのに、ものの数分もかからずに、全滅したのだ。
それも、正体不明の遠距離攻撃ですべてである。
「ぐぅっ、ならば次の手だ!!」
何者かが妨害しているようだが、それでもあきらめる様な愚か者ではない。
モスキリーという間接的な、それこそ対象をあやふやに狙うようなモノを頼ったこと自体がそもそもの間違いである。
ならば、別の点から‥‥‥毒矢、いや、目立たないように小さな針で狙い撃ちすればいいのではないだろうか?
幸いにして、今目の前には人形屋に入り込むシアンたちの姿が見えた。
店内であれば、影から狙う事もしやすいだろうし、限られた空間内ゆえに妨害もないはずである。
そう考え、にやりと口をゆがめ、愚か者はシアンたちに続けてこっそりと店内に紛れ込むのであった。
―――――――――――――――
SIDE裏ギルドからの派遣社員たち
‥‥‥しかしながら、その愚か者の行動は筒抜けであった。
妨害する人がいない、限られた密室に近い店内?いや、それはもはや過去の話。
既にしっかりと裏ギルドの者たちは店内に入り込んでおり、その愚か者を見つけていたのだ。
(…‥気が付かれないように無力化するぞ)
(((ラジャー)))
気配を消し、こっそりと背後から近寄り…‥‥次の瞬間、素早い動きで愚か者の身体を押さえつけ、眠り薬をかかせる。
この場で消しても良いのだが、あっけなさすぎるだろうし、この愚か者だけの犯行とは限らないと考え、拷問で仲間がいないかなどを吐かせるために、寝かせたのだ。
そして、裏口からこっそりと、彼らは愚か者を運び出していくのであった‥‥‥
――――――――――――――――――――
SIDE「HWG」と連携・合併協定検討中のファンクラブ
‥‥‥愚か者が運び出されたのを見て、ファンクラブの者たちはほっと息を吐いた。
確認してはいたが、どのようにして始末してやろうかと検討中だったのだ。
だが、ようやく退場を願えたのであれば、もはや考えなくても良い。
「よし、とりあえずこれで脅威は失せたな」
「ああ、後はゆっくりと楽しんでもらえれば、再び訪れてくれるに違いない」
「その時まで、しっかりとおもてなしをしなければいけない!!」
「「「そうだそうだ!!」」」
力を入れ、観光をしているシアンたち…‥‥特にハクロのために、彼らは改めて動き出すのであった。
主のシアンを亡き者にしてしまえば、どうにかこうにかしてハクロを得られると考えている、愚か者。
ワゼからの依頼で、その愚か者の策を潰す命令を受けた裏ギルドの者たち。
首都内でも案の定出来上がってしまったハクロファンクラブであり、素早い情報伝達によって水面下で都市アルバスのHWGと連携協定を取り、合併を検討中の者達。
それら3つの勢力が、密かに水面下で動いていたのであった‥‥‥
―――――――――――――――――――――――
SIDE愚か者
‥‥‥首都内にて、あのアラクネ…‥‥情報によれば、ハクロと言う者と、その主及びメイドの外出を彼は確認した。
今まで落ちぶれてきたその愚者は、その主を亡き者にすればいいと、身勝手な考えを抱き、動いていたのである。
「用意できたのは、毒薬ぐらいか‥‥‥だが、それでも強力なものだからいいか」
残りの財産を裏ルートにつぎ込み、彼は毒薬を一瓶手に入れていた。
その毒は人間用のもので、モンスターには効果がないという暗殺用のものであり、できればもっと別のものが欲しかったのだが、いかんせん財源不足。
借金しようにもこれ以上できるはずもなく、現状これでどうにかするしかないのだ。
とは言え、その毒薬は気化性はなく、直接飲ませるかもしくは塗ったモノで刺すなどをしなければ意味がない。
「‥‥‥とりあえず、まずはこれでやってみるか」
そう言って、その愚者が取り出したのは、昨夜大量に刺されながらもなんとか集めた蚊、いや、蚊のような見た目の虫型モンスター「モスキリー」である。
その数、およそ1000匹で、元気に活動していた。
一匹一匹は小さくとも、全てに毒が仕込んである。
それらが人を刺せば毒を注入し、亡き者に出来るのだが‥‥‥下手をすると無差別殺人になるだろう。
だが、誰がモスキリーを使ってやったのかと考えるのはできないだろうし、そう不自然ではないはず。
自分はモスキリーよけの薬を塗りつつ、彼は自然にできるだけ近い距離まで接近し……モスキリーを解き放った。
あとは、このまま自然とまぎれ、シアンを狙っていくはずであった‥‥‥‥。
―――――――――――――――――――
SIDE裏ギルドからの派遣社員たち
‥‥‥その様子を、裏ギルドから呼びだされ、シアンたちの身の回りを監視していた者たちは見ていた。
裏ギルドのギルド長からの命令で、まずは今日一日監視し、彼等の身の周辺の安全を確保するようにという護衛依頼のような物が出たのに首を傾げつつも、警戒していたのだが‥‥‥
「まさか、モスキリーを使って毒をしこもうとは‥‥‥」
「あれ、刺さると結構痒くて辛いんだよな。なんて恐ろしい作戦を‥‥‥」
「物凄い微妙な気もするが…‥‥まぁ、本日の我々の任務は、対象に害がなされないようにすること。一匹ずつ、丁寧に、気が付かれないように狙撃するぞ」
「「あらほらさっさー」」
モスキリーの集団で毒をまかれるのを防ぐために、彼らはそれぞれの技術でモスキリーを狙撃していく。
一匹、また一匹と爆発四散させていき、途中で何故か加勢が入り、より短時間で駆除することができたのであった。
「‥‥‥あの加勢はなんだ?」
「どうやら、あのアラクネの方についたファンクラブのようだな」
「一人一人が、こちらより狙撃がうまかったのだが…‥‥裏ギルドの名が廃る。対抗して、より一層励まねばな」
そう言いつつ、監視を続行するのであった。
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SIDE「HWG」と連携・合併協定検討中のファンクラブ
「ミッションコンプリート」
「ふぅ、危くあの方々にモスキリーの魔の手が成される所であったな」
路地裏にて、密かに集まっているのは、この首都内で発生したハクロファンクラブ。
今日は何やら観光らしいので、その安全を守るためにやって来たのだが、どうも何やら物騒な事が起きているらしい。
人為的なモスキリーの大群を確認し、誰かの手がある事を彼らは確認した。
そしてそれらに、毒が仕込まれているようだという情報を手に入れ、慌てて殲滅し始めたのである。
「とは言え、どうも裏ギルドが関与したな。ああ、守る方で、攻めてくる方ではなさそうだ」
「ああ、あの方の美貌は裏ギルドでさえも味方につけたのか……」
「なんにしても、誰かがやらかしまくっている可能性がある。気を引き締め、敵を探りださねばいけない!!」
総指揮を執るリーダー格の人物は、素早く裏ギルドの方にも手をまわしてみるのであった。
―――――――――――――――――――
SIDE愚か者
「‥‥‥はぁ?」
目の前の光景に、思わず愚か者はマヌケな声を漏らした。
それもそうだろう。必死になって集め、毒も購入して、モスキリーたちに含ませ、解き放ったというのに、ものの数分もかからずに、全滅したのだ。
それも、正体不明の遠距離攻撃ですべてである。
「ぐぅっ、ならば次の手だ!!」
何者かが妨害しているようだが、それでもあきらめる様な愚か者ではない。
モスキリーという間接的な、それこそ対象をあやふやに狙うようなモノを頼ったこと自体がそもそもの間違いである。
ならば、別の点から‥‥‥毒矢、いや、目立たないように小さな針で狙い撃ちすればいいのではないだろうか?
幸いにして、今目の前には人形屋に入り込むシアンたちの姿が見えた。
店内であれば、影から狙う事もしやすいだろうし、限られた空間内ゆえに妨害もないはずである。
そう考え、にやりと口をゆがめ、愚か者はシアンたちに続けてこっそりと店内に紛れ込むのであった。
―――――――――――――――
SIDE裏ギルドからの派遣社員たち
‥‥‥しかしながら、その愚か者の行動は筒抜けであった。
妨害する人がいない、限られた密室に近い店内?いや、それはもはや過去の話。
既にしっかりと裏ギルドの者たちは店内に入り込んでおり、その愚か者を見つけていたのだ。
(…‥気が付かれないように無力化するぞ)
(((ラジャー)))
気配を消し、こっそりと背後から近寄り…‥‥次の瞬間、素早い動きで愚か者の身体を押さえつけ、眠り薬をかかせる。
この場で消しても良いのだが、あっけなさすぎるだろうし、この愚か者だけの犯行とは限らないと考え、拷問で仲間がいないかなどを吐かせるために、寝かせたのだ。
そして、裏口からこっそりと、彼らは愚か者を運び出していくのであった‥‥‥
――――――――――――――――――――
SIDE「HWG」と連携・合併協定検討中のファンクラブ
‥‥‥愚か者が運び出されたのを見て、ファンクラブの者たちはほっと息を吐いた。
確認してはいたが、どのようにして始末してやろうかと検討中だったのだ。
だが、ようやく退場を願えたのであれば、もはや考えなくても良い。
「よし、とりあえずこれで脅威は失せたな」
「ああ、後はゆっくりと楽しんでもらえれば、再び訪れてくれるに違いない」
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