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森での生活
#8 そのころのハルディアの森内デス
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SIDEフェンリル(妻)
……昨日、森に住み始めた二人……シアンとワゼと名乗る者たちに謝罪をした後、あたしは夫を祖父の元へすぐさま送り届けた。
理由としては、ちょっと阿呆な夫をまず精神的な面から鍛え直すためである。後先考えずに攻撃し、つるつるにされるなんて馬鹿の極みとしか思えなかったからね。
朝になった頃、夫はそのまま置いていき、森の中の可愛くてまだ幼い我が子たちがいる巣に戻ったのだが、どうもなにやら騒がしい。
【どうしたんだ?この騒がしさは?】
あの二人が何かしたのか?…‥‥いや、片方は人ではなく、あの馬鹿夫よりもはるかに強い何かであったが…‥関係ないだろう。というか、何かあったらまず間違いなくこちらの首が物理的に飛ぶ可能性がある。
この森は、神獣であるあたしたちフェンリルの縄張りであり、自分達よりも弱い者が簡単に入って争いごとにならないように結界をはっているのだが…‥‥どうやら力ずくで突破した馬鹿がでたようだ。
待てよ?そう考えると、結界を完全に無視しているあの二人はあたしたちよりも確実に強いってことなのでは‥‥‥いや、それは考えないでおこう。
とにもかくにも、巣の中にいる我が子たちはまだ幼いので離れるわけにもいかないのだが‥‥‥少しだけなら大丈夫かもしれない。
我が子たちに念を押して巣に居残らせた後、あたしはその騒がしい現場に向かってみた、
木陰から姿をひっそり隠して見てみれば…‥‥あれは人間たちか?
「先日、我がボラーン王国の山の一つが消し飛んだ事件があった。あれがどこの誰の仕業なのかははっきりとわかっていないが、我が国のひねくれくそったれ金食い虫共によって、ごほん、自称優秀だとぬかすごほん、とりあずアレな魔導士長が魔法による仕業といって、この森から放たれたと言いやがった!!国王陛下の命令で調べに来たが、あの屑研究馬鹿な奴の化けの皮を剥がすためにも全力で調査し、何もなかったと報告するのだぁ!!あ、この森には神獣という神聖なる存在が住まわれているので、そのものにあったら何もしないように注意しておけ!!」
「団長!!本音が滅茶苦茶漏れています!!」
「真実だから仕方があるまい!!」
「それもそうですね!団長が馬鹿(過ぎて同類の)正直なのも分かってますから、仕方がないですよね!」
…‥‥なんだろう、あの立派な鎧とか言う物をつけた騎士の中でも偉そうなやつが哀れに見えるのだが。
人間って、色々と面倒なつながりがあるらしいが、あの人物は特に面倒なつながりを持っているようで大変そうだ。
というか、ああいうのを小物臭がすると言うのだろうか…‥‥これ、我が子たちを連れて来ても大丈夫な奴で、勉強になったかもしれない。
でも、ここの結界を突破して騎士たちを引き連れてきたってことは、あの団長とかいうやつは案外強いのかもしれない…‥‥多分。
何にせよ、この森で調査されるのは別にいいが、面倒なことになる前に対応した方が良さそうだ。
やれやれと溜息を吐き、この際あの人間たちの前に姿を現すことにした。
……あの馬鹿夫とは違って、冷静にしないとね。
【‥‥‥人間たちよ、一体何用でここに来たのだ】
「そりゃ、山を吹き飛ばした奴がいるらしいからだ!!その事を調べて何もいないことをあの馬鹿共に知らしめるために…‥‥ん?待て、今のは誰の声だ?」
「だ、団長……後ろ後ろ」
「へ?」
「‥‥‥のっぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!でたぁぁぁぁぁ!!」
バターン!!
「だ、だんちょぉぉぉぉぉぉう!!」
……気絶しおった。
こんな奴が、この森の結界を抜けてきたのか?あ、違うな。これ結界にちょっとほころびがあって、そこから入り込んだのか。
ん?このほころびの個所は…‥‥あの馬鹿夫が見ていた場所じゃないか!!思いっきり管理をサボっていたな!!
とにもかくにも、あたしは敵意がないことを伝え、倒れた団長とやらは粗雑において、その部下であるという騎士たちに話を聞いた。
いわく、先日ある山が吹き飛び、魔王の復活じゃないかと世間が騒いでいるという。
で、その山を吹き飛ばした原因が、誰かが放った魔法らしいという事が判明し、この騎士たちが所属している国の魔法師団とやらの魔導士長が、この森にその犯人がいるという事を国王に告げ、命じられてここに来たそうなのである。
「結界がある森ゆえに、入ることができないと思っていたのですが、団長が『ならば強行突破で調べ、何もいないことを確実にしてやろうではないかぁ!!』と叫んで、剣で宙を斬って、結界を破ったのです」
【なるほどねぇ……あたしたちの結界が一部綻んでいたようで、偶然にもそこをやったのかしらねぇ?‥‥‥あら?でもおかしくないかしら?】
「え?」
【いや、そんなにその魔導士長とやらを嫌がるのなら、嘘の報告でもすればよかったんじゃないか?そしたらわざわざここに来る意味も……】
「…‥‥そうなんですが、この団長は変なところでくそ真面目と言うか、正直言って魔導士長と大して変わらない阿保さというか、馬鹿正直でもあるがゆえに虚偽を許さないんですよ。そのため、ここに強行突破しちゃって…‥‥」
はぁっと溜息を吐く騎士一同。
相当苦労しているようで、人望が薄いのが良く分かる。案外、この団長とやらは夫と良い友達に慣れたりしてね。
「あ、そうです神獣フェンリル様。今回我々が来た件でもある魔法を撃ったらしい人について、心当たりはありませんでしょうか?」
【う~ん、そうだねぇ‥‥‥‥あ】
その質問を聞き、ふとある人物たちがあたしの頭に思い浮かんだ。
…‥‥これは正直に話すべきか、それとも黙っておくべきか。
話したところで、あたしには何も関係ないし、どうすることもない。
ただ、面倒ごとを持ち込んできたということで、夫と同じ運命にされるのは…‥‥勘弁願いたいね。
【あ、あ~、いやまぁ知らないねぇ。この森で何かがあればすぐに分かるのだし、わからないねぇ】
「そうですか、失礼いたしました」
隠したけれども、まだあたしには可愛い子供たちがいるし、天秤にかければどっちが良いのか良く分かる。
ゆえに、何も知らないふりをしたし…‥‥彼らにとっても、特に気絶しているその団長にとっても良いことだろう。
「では、この失礼な力づく脳筋馬鹿団長が結界を破ってしまったことをお詫びして、我々はさっさとここを去ります。本当に要らない手間をかけてすいませんでした」
そう言いながら、騎士たちは団長とやらを縄で縛って、引きずって去ったのであった。
…‥‥うん、人望ないなぁ、あの団長さんとやら。絶対にうちの馬鹿夫と気が合うに違いないよ。
そう思いながらも、あたしは馬鹿夫以上に愛している可愛い我が子たちの元へ急いで帰るのであった。
そう言えば、結界のほころびがあったし、後でその箇所の担当をしていた夫をふっ飛ばさないとね。祖父のところから帰ってきたら、我が子に『フェンリルトルネードアッパー』と『口からびぃむ』というやつを教えるためにも、練習台げふんげふん、お仕置き代わりの被験者になってもらいましょう。
―――――――――――――――――
SIDEフェンリル(夫)
【ひぐわぁ!?今何かすごい悪寒が!?】
【馬鹿もぉぉぉん!!まだ動いてはならーん!!】
びっしぃぃぃぃぃん!!
【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!】
……丁度その頃、フェンリル(夫)はしごかれまくり、辛い目に遭っていたのであった。
身を守るための毛もないので、通常よりも相当辛いのである‥‥‥‥‥
……昨日、森に住み始めた二人……シアンとワゼと名乗る者たちに謝罪をした後、あたしは夫を祖父の元へすぐさま送り届けた。
理由としては、ちょっと阿呆な夫をまず精神的な面から鍛え直すためである。後先考えずに攻撃し、つるつるにされるなんて馬鹿の極みとしか思えなかったからね。
朝になった頃、夫はそのまま置いていき、森の中の可愛くてまだ幼い我が子たちがいる巣に戻ったのだが、どうもなにやら騒がしい。
【どうしたんだ?この騒がしさは?】
あの二人が何かしたのか?…‥‥いや、片方は人ではなく、あの馬鹿夫よりもはるかに強い何かであったが…‥関係ないだろう。というか、何かあったらまず間違いなくこちらの首が物理的に飛ぶ可能性がある。
この森は、神獣であるあたしたちフェンリルの縄張りであり、自分達よりも弱い者が簡単に入って争いごとにならないように結界をはっているのだが…‥‥どうやら力ずくで突破した馬鹿がでたようだ。
待てよ?そう考えると、結界を完全に無視しているあの二人はあたしたちよりも確実に強いってことなのでは‥‥‥いや、それは考えないでおこう。
とにもかくにも、巣の中にいる我が子たちはまだ幼いので離れるわけにもいかないのだが‥‥‥少しだけなら大丈夫かもしれない。
我が子たちに念を押して巣に居残らせた後、あたしはその騒がしい現場に向かってみた、
木陰から姿をひっそり隠して見てみれば…‥‥あれは人間たちか?
「先日、我がボラーン王国の山の一つが消し飛んだ事件があった。あれがどこの誰の仕業なのかははっきりとわかっていないが、我が国のひねくれくそったれ金食い虫共によって、ごほん、自称優秀だとぬかすごほん、とりあずアレな魔導士長が魔法による仕業といって、この森から放たれたと言いやがった!!国王陛下の命令で調べに来たが、あの屑研究馬鹿な奴の化けの皮を剥がすためにも全力で調査し、何もなかったと報告するのだぁ!!あ、この森には神獣という神聖なる存在が住まわれているので、そのものにあったら何もしないように注意しておけ!!」
「団長!!本音が滅茶苦茶漏れています!!」
「真実だから仕方があるまい!!」
「それもそうですね!団長が馬鹿(過ぎて同類の)正直なのも分かってますから、仕方がないですよね!」
…‥‥なんだろう、あの立派な鎧とか言う物をつけた騎士の中でも偉そうなやつが哀れに見えるのだが。
人間って、色々と面倒なつながりがあるらしいが、あの人物は特に面倒なつながりを持っているようで大変そうだ。
というか、ああいうのを小物臭がすると言うのだろうか…‥‥これ、我が子たちを連れて来ても大丈夫な奴で、勉強になったかもしれない。
でも、ここの結界を突破して騎士たちを引き連れてきたってことは、あの団長とかいうやつは案外強いのかもしれない…‥‥多分。
何にせよ、この森で調査されるのは別にいいが、面倒なことになる前に対応した方が良さそうだ。
やれやれと溜息を吐き、この際あの人間たちの前に姿を現すことにした。
……あの馬鹿夫とは違って、冷静にしないとね。
【‥‥‥人間たちよ、一体何用でここに来たのだ】
「そりゃ、山を吹き飛ばした奴がいるらしいからだ!!その事を調べて何もいないことをあの馬鹿共に知らしめるために…‥‥ん?待て、今のは誰の声だ?」
「だ、団長……後ろ後ろ」
「へ?」
「‥‥‥のっぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!でたぁぁぁぁぁ!!」
バターン!!
「だ、だんちょぉぉぉぉぉぉう!!」
……気絶しおった。
こんな奴が、この森の結界を抜けてきたのか?あ、違うな。これ結界にちょっとほころびがあって、そこから入り込んだのか。
ん?このほころびの個所は…‥‥あの馬鹿夫が見ていた場所じゃないか!!思いっきり管理をサボっていたな!!
とにもかくにも、あたしは敵意がないことを伝え、倒れた団長とやらは粗雑において、その部下であるという騎士たちに話を聞いた。
いわく、先日ある山が吹き飛び、魔王の復活じゃないかと世間が騒いでいるという。
で、その山を吹き飛ばした原因が、誰かが放った魔法らしいという事が判明し、この騎士たちが所属している国の魔法師団とやらの魔導士長が、この森にその犯人がいるという事を国王に告げ、命じられてここに来たそうなのである。
「結界がある森ゆえに、入ることができないと思っていたのですが、団長が『ならば強行突破で調べ、何もいないことを確実にしてやろうではないかぁ!!』と叫んで、剣で宙を斬って、結界を破ったのです」
【なるほどねぇ……あたしたちの結界が一部綻んでいたようで、偶然にもそこをやったのかしらねぇ?‥‥‥あら?でもおかしくないかしら?】
「え?」
【いや、そんなにその魔導士長とやらを嫌がるのなら、嘘の報告でもすればよかったんじゃないか?そしたらわざわざここに来る意味も……】
「…‥‥そうなんですが、この団長は変なところでくそ真面目と言うか、正直言って魔導士長と大して変わらない阿保さというか、馬鹿正直でもあるがゆえに虚偽を許さないんですよ。そのため、ここに強行突破しちゃって…‥‥」
はぁっと溜息を吐く騎士一同。
相当苦労しているようで、人望が薄いのが良く分かる。案外、この団長とやらは夫と良い友達に慣れたりしてね。
「あ、そうです神獣フェンリル様。今回我々が来た件でもある魔法を撃ったらしい人について、心当たりはありませんでしょうか?」
【う~ん、そうだねぇ‥‥‥‥あ】
その質問を聞き、ふとある人物たちがあたしの頭に思い浮かんだ。
…‥‥これは正直に話すべきか、それとも黙っておくべきか。
話したところで、あたしには何も関係ないし、どうすることもない。
ただ、面倒ごとを持ち込んできたということで、夫と同じ運命にされるのは…‥‥勘弁願いたいね。
【あ、あ~、いやまぁ知らないねぇ。この森で何かがあればすぐに分かるのだし、わからないねぇ】
「そうですか、失礼いたしました」
隠したけれども、まだあたしには可愛い子供たちがいるし、天秤にかければどっちが良いのか良く分かる。
ゆえに、何も知らないふりをしたし…‥‥彼らにとっても、特に気絶しているその団長にとっても良いことだろう。
「では、この失礼な力づく脳筋馬鹿団長が結界を破ってしまったことをお詫びして、我々はさっさとここを去ります。本当に要らない手間をかけてすいませんでした」
そう言いながら、騎士たちは団長とやらを縄で縛って、引きずって去ったのであった。
…‥‥うん、人望ないなぁ、あの団長さんとやら。絶対にうちの馬鹿夫と気が合うに違いないよ。
そう思いながらも、あたしは馬鹿夫以上に愛している可愛い我が子たちの元へ急いで帰るのであった。
そう言えば、結界のほころびがあったし、後でその箇所の担当をしていた夫をふっ飛ばさないとね。祖父のところから帰ってきたら、我が子に『フェンリルトルネードアッパー』と『口からびぃむ』というやつを教えるためにも、練習台げふんげふん、お仕置き代わりの被験者になってもらいましょう。
―――――――――――――――――
SIDEフェンリル(夫)
【ひぐわぁ!?今何かすごい悪寒が!?】
【馬鹿もぉぉぉん!!まだ動いてはならーん!!】
びっしぃぃぃぃぃん!!
【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!】
……丁度その頃、フェンリル(夫)はしごかれまくり、辛い目に遭っていたのであった。
身を守るための毛もないので、通常よりも相当辛いのである‥‥‥‥‥
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