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7章 死がふたりを分かつまで
7-3 適切に進め、健やかに
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…‥‥検査で分かった、ハクロの懐妊。
まだまだ油断できず、しっかりと安定するまでモンスター研究所に滞在するのは良い判断だっただろう。
仕事とかはあるが、通信の魔道具である程度こなせて支障はなく、領内の仕事環境の整備もしていたのでむしろこれで新しい方向から見直すことができるなど、利点は結構存在していた。
とはいえ、全部が全部良い事ばかりでもない。
「キュルル‥‥‥お腹、また空いたかも」
くぅぅぅっと音を立てて、ハクロはそうつぶやいた。
「また?さっき満腹になってから1時間も経ってないけど‥‥‥‥やっぱり栄養、全部赤ちゃんへ取られて行っているのかな?」
「その可能性は大きいじゃろうな。今のところ赤子に魔石の反応はなく、モンスターではない様子じゃけれども、成長速度は普通より早いようじゃからな。その分、栄養を必要としているのじゃよ」
滞在して半月が経過したところで、出てきた変化。
それは、ハクロの空腹までの時間がかなり短くなったことである。
どうやらドマドン所長の見立てによると赤子はすくすくとお腹の中で成長しているのは良いのだけれども、その成長速度は常人より早いらしい。
それが人ならざる者としてなのか、人だとしても母体がハクロなせいか原因は不明だけれども、成長を補うかのようにハクロの身体から栄養を吸い取っているようで、直ぐに空腹になってしまうようなのだ。
‥‥‥一応、食べた分はモンスターは全て栄養にするので、人に近い容姿になったとはいえその構造が変わらぬハクロがお腹を壊す危険性は無いそうだが、それでも吸収力を考えるとどんどん食べたほうが良いらしい。
「まぁ、これじゃと料理を作るまでは追いつきにくくもあったが‥‥‥インスタント食品とやらは便利じゃな。こういうときにぱぱっと多く作れるのは非常に良いのじゃ」
「作っておいてよかったというか、未だに溢れる牧場の産物が役に立ったなぁ‥‥‥」
以前に開発した、国家プロジェクトまでになっていた、水をかけるだけで食品に早変わりするインスタント食品。
粉状なので置き場に困らず、そもそも作っている大元なので購入費用も融通が利くし、何よりも領地の牧場でとれた産物なので安全性や栄養価は自信があり、母子共に無事に栄養が取れるのは分かる。
それと、今もなおあの牧場生産量が増えているんだよね‥‥‥年々改善点が見つかって少しづつ変えていくたびに増えるものだから、余ることが非常に多い。
だからこそ、消費量に見合った分を提供しやすくなっており、栄養を補い続けられるが‥‥‥こうやって食べる様を見ていくと、どれだけ子供が彼女の身体に栄養を求めているのかが良く分かる。
「にしても、お腹の大きさもちょっと大きくなったのかなと思う程度で、スタイルに劇的な変化が無いよね」
「まぁ、内臓を押し上げている部分もあるようじゃから今はまだ、すごい変化はないじゃろう。とは言え、計算上は成長速度がどんどん増すじゃろうし‥‥‥2~3カ月ほどで、多分普通の妊婦のような感じになるじゃろうな。そこから出産までも早そうじゃ」
「内臓を押し上げて‥‥‥いや、それ大丈夫なの?」
「大丈夫じゃろ。はらわたをぶちまけても動き続ける輩もいるのじゃし、頑丈さをなめぬ方が良いのじゃ」
いるのか、そんな輩。それはもはやアンデッドとかの類ではないのか。
とにもかくにも、今が物凄く食べることが必要な時期なだけで、後期になれば落ち着いてくる可能性もあるらしい。
他の事よりも、気にするべきなのは食べ続けて歯磨きを怠って、虫歯になりかねないという事なのだが…‥‥
「キュル、それは絶対にならない。私、しっかり歯は大事にしているもの」
「そうなの?」
「うん。昔、8番目のお兄ちゃんが牙を磨き忘れて、虫歯になって皆で治療したあれは…‥‥今でも、すごく虫歯になるのは絶対に嫌だと思える体験だった‥‥‥」
懐かしむような、トラウマになるような光景だったのか、当時を思い出して遠い目になるハクロ。
何があったのかが気になるが、万国異世界どこでも共通して、虫歯は恐るべき存在と言えるのか。
ひとまず今は、健やかに育っていくのを見守ることにするのであった…‥‥
「ちなみに治療した後は?」
「兄弟姉妹揃って、食後に歯磨きする習慣付いたの」
「ほほぅ?モンスターが歯磨きをする光景とは珍しそうじゃな」
「お母さんも、良く言い聞かせてきたもの。聞かなかったものが悪いってことで、皆その惨状で心に刻んだの、キュル」
話を聞く限り、彼女の母も実体験しているように思えるのだが。山のように大きなタラテクト系のモンスターだったそうだけど、なんか威厳とか無くなりそうな…‥‥‥
まだまだ油断できず、しっかりと安定するまでモンスター研究所に滞在するのは良い判断だっただろう。
仕事とかはあるが、通信の魔道具である程度こなせて支障はなく、領内の仕事環境の整備もしていたのでむしろこれで新しい方向から見直すことができるなど、利点は結構存在していた。
とはいえ、全部が全部良い事ばかりでもない。
「キュルル‥‥‥お腹、また空いたかも」
くぅぅぅっと音を立てて、ハクロはそうつぶやいた。
「また?さっき満腹になってから1時間も経ってないけど‥‥‥‥やっぱり栄養、全部赤ちゃんへ取られて行っているのかな?」
「その可能性は大きいじゃろうな。今のところ赤子に魔石の反応はなく、モンスターではない様子じゃけれども、成長速度は普通より早いようじゃからな。その分、栄養を必要としているのじゃよ」
滞在して半月が経過したところで、出てきた変化。
それは、ハクロの空腹までの時間がかなり短くなったことである。
どうやらドマドン所長の見立てによると赤子はすくすくとお腹の中で成長しているのは良いのだけれども、その成長速度は常人より早いらしい。
それが人ならざる者としてなのか、人だとしても母体がハクロなせいか原因は不明だけれども、成長を補うかのようにハクロの身体から栄養を吸い取っているようで、直ぐに空腹になってしまうようなのだ。
‥‥‥一応、食べた分はモンスターは全て栄養にするので、人に近い容姿になったとはいえその構造が変わらぬハクロがお腹を壊す危険性は無いそうだが、それでも吸収力を考えるとどんどん食べたほうが良いらしい。
「まぁ、これじゃと料理を作るまでは追いつきにくくもあったが‥‥‥インスタント食品とやらは便利じゃな。こういうときにぱぱっと多く作れるのは非常に良いのじゃ」
「作っておいてよかったというか、未だに溢れる牧場の産物が役に立ったなぁ‥‥‥」
以前に開発した、国家プロジェクトまでになっていた、水をかけるだけで食品に早変わりするインスタント食品。
粉状なので置き場に困らず、そもそも作っている大元なので購入費用も融通が利くし、何よりも領地の牧場でとれた産物なので安全性や栄養価は自信があり、母子共に無事に栄養が取れるのは分かる。
それと、今もなおあの牧場生産量が増えているんだよね‥‥‥年々改善点が見つかって少しづつ変えていくたびに増えるものだから、余ることが非常に多い。
だからこそ、消費量に見合った分を提供しやすくなっており、栄養を補い続けられるが‥‥‥こうやって食べる様を見ていくと、どれだけ子供が彼女の身体に栄養を求めているのかが良く分かる。
「にしても、お腹の大きさもちょっと大きくなったのかなと思う程度で、スタイルに劇的な変化が無いよね」
「まぁ、内臓を押し上げている部分もあるようじゃから今はまだ、すごい変化はないじゃろう。とは言え、計算上は成長速度がどんどん増すじゃろうし‥‥‥2~3カ月ほどで、多分普通の妊婦のような感じになるじゃろうな。そこから出産までも早そうじゃ」
「内臓を押し上げて‥‥‥いや、それ大丈夫なの?」
「大丈夫じゃろ。はらわたをぶちまけても動き続ける輩もいるのじゃし、頑丈さをなめぬ方が良いのじゃ」
いるのか、そんな輩。それはもはやアンデッドとかの類ではないのか。
とにもかくにも、今が物凄く食べることが必要な時期なだけで、後期になれば落ち着いてくる可能性もあるらしい。
他の事よりも、気にするべきなのは食べ続けて歯磨きを怠って、虫歯になりかねないという事なのだが…‥‥
「キュル、それは絶対にならない。私、しっかり歯は大事にしているもの」
「そうなの?」
「うん。昔、8番目のお兄ちゃんが牙を磨き忘れて、虫歯になって皆で治療したあれは…‥‥今でも、すごく虫歯になるのは絶対に嫌だと思える体験だった‥‥‥」
懐かしむような、トラウマになるような光景だったのか、当時を思い出して遠い目になるハクロ。
何があったのかが気になるが、万国異世界どこでも共通して、虫歯は恐るべき存在と言えるのか。
ひとまず今は、健やかに育っていくのを見守ることにするのであった…‥‥
「ちなみに治療した後は?」
「兄弟姉妹揃って、食後に歯磨きする習慣付いたの」
「ほほぅ?モンスターが歯磨きをする光景とは珍しそうじゃな」
「お母さんも、良く言い聞かせてきたもの。聞かなかったものが悪いってことで、皆その惨状で心に刻んだの、キュル」
話を聞く限り、彼女の母も実体験しているように思えるのだが。山のように大きなタラテクト系のモンスターだったそうだけど、なんか威厳とか無くなりそうな…‥‥‥
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