193 / 229
5章 高等部~そして卒業まで
5-14 告げられているのであれば、対策はしておきやすくもあるのだが
しおりを挟む
「キュル?アルス、今日はいつもより私に近寄っている?」
「ああ、いつもハクロの方から来ているし、たまには僕の方から寄ってもいいよね?」
「キュルル、寄っても良いよ。むしろ、何時も来て欲しい‥‥‥うん、アルスが私に寄ってくるの、これはこれで良いかも♪」
ふふふっと機嫌良さそうにハクロが口ずさみ始めたのを見て、ちょっとだけ僕は罪悪感を覚えていた。
というのも、こうやって彼女に寄っているのは純粋な気持ちではなく、今朝見た夢のせいで少々不安を抱いたからであり、少しでも気を紛らわせるために彼女にちょっとあやかろうと思っているからだ。
純粋な気持ちも確かにあると言えばあるのだが、利用しているような気分になると凄い心苦しい。
けれども、あの夢の中に出て来た変な植物の化け物のような奴が言っていたことが気になっているからなぁ‥‥‥信者たちがいるとかいろいろ言っていたけど、そういう単語が出てくるものに限って、面倒な存在なのが目に見えている。
いやまぁ、どこの誰が何を信仰しようが僕は気にしないよ。
神であろうとなかろうと、信じることで心の拠り所になるものがあるのは大切な事だろうし、あのばけものであっても誰かに信仰されているのは不思議ではないだろう。
でも、中には狂信者というか、行き過ぎた輩がいたりするからね…‥‥なにを言っても自分の都合のいいように曲解したりして行動をする輩がでるのが面倒なのだ。
そしてわざわざ夢の中に出てきてまで、あの植物の化け物が言っていたのは、もしかするとその行動が僕の周囲で起きる可能性が考えられるだろう。というか、もう起きているのかもしれないんだよなぁ、あの化け物大量発生事件も、関係がないとは言い切れないからね。
そう言う訳で本日は、何かやらかされたくもなく、不安もあるのでハクロに僕から積極的に近寄っていた。いつもならばハクロの方から僕の方に来るので珍しい光景かもしれないのだが、どちらかと言えばバカップルのように見られている視線を感じないわけでもない。
「ふふふ、アルス、私にくっ付いている。嬉しい、私アルス好き、アルスも私が好きで、すごい幸せ♪」
ついでに滅茶苦茶罪悪感も増える…‥‥いや本当にごめん、ハクロ。自己保身の思いもあるのにそれを告げなくて。
でもこうやってくっつくのも、これはこれで悪くはないどころか、むしろいいかもしれない。
ちょっとばかり柔らかさや優しさ、温かさにほんのりと気分が和らいでいた…‥‥その時である。
「キュルル♪アルス、アルス‥ちょっと待って」
「ん?どうしたのハクロ」
ふと、歩みを止め、ハクロが止まるように告げて来た。
何事かと思って足を止めると、ハクロが糸を出して人形を作り上げ、僕らぐらいのサイズの人形を歩かせ始める。
そしてそのまま進んでいたところで…‥‥
ズボッ!!
「あ」
「…‥‥キュル、やっぱり、変だと思った。ちょっと地面の色が違っていた」
歩んでいた糸の人形が、あっと言う間に地面に吸い込まれて、いや、いつの間にか作られていた大きな落とし穴に落ちていった。
どうやら気が付かないほどの違いを彼女は見抜き、警戒していたらしい。
しかし、こんな罠が仕掛けられているとは…‥‥ここ、帝都内なのにどうやって仕掛けたんだ?
「‥‥‥うわぁ、どう考えても面倒事の予感しかしないな」
あの夢の中の化け物が、これを示していたのかもしれないと考えると、助かったのはいいけれどもさらに厄介事が待ち受けている未来しか目に見えない。
しかもこういうのに限って、絶対にまだまだ後が控えているのも読めてしまうのが非常に嫌である。
‥‥‥一晩の夢での遭遇によって、予兆を知ったのはいいけれども知りたくはなかった。
というか、だったらあの植物の化け物が現実に直接干渉して、未然に防いでほしかった。
色々と愚痴を言いたくもなるのが、今の時点ではどうしようもないのであった…‥‥
「ああ、いつもハクロの方から来ているし、たまには僕の方から寄ってもいいよね?」
「キュルル、寄っても良いよ。むしろ、何時も来て欲しい‥‥‥うん、アルスが私に寄ってくるの、これはこれで良いかも♪」
ふふふっと機嫌良さそうにハクロが口ずさみ始めたのを見て、ちょっとだけ僕は罪悪感を覚えていた。
というのも、こうやって彼女に寄っているのは純粋な気持ちではなく、今朝見た夢のせいで少々不安を抱いたからであり、少しでも気を紛らわせるために彼女にちょっとあやかろうと思っているからだ。
純粋な気持ちも確かにあると言えばあるのだが、利用しているような気分になると凄い心苦しい。
けれども、あの夢の中に出て来た変な植物の化け物のような奴が言っていたことが気になっているからなぁ‥‥‥信者たちがいるとかいろいろ言っていたけど、そういう単語が出てくるものに限って、面倒な存在なのが目に見えている。
いやまぁ、どこの誰が何を信仰しようが僕は気にしないよ。
神であろうとなかろうと、信じることで心の拠り所になるものがあるのは大切な事だろうし、あのばけものであっても誰かに信仰されているのは不思議ではないだろう。
でも、中には狂信者というか、行き過ぎた輩がいたりするからね…‥‥なにを言っても自分の都合のいいように曲解したりして行動をする輩がでるのが面倒なのだ。
そしてわざわざ夢の中に出てきてまで、あの植物の化け物が言っていたのは、もしかするとその行動が僕の周囲で起きる可能性が考えられるだろう。というか、もう起きているのかもしれないんだよなぁ、あの化け物大量発生事件も、関係がないとは言い切れないからね。
そう言う訳で本日は、何かやらかされたくもなく、不安もあるのでハクロに僕から積極的に近寄っていた。いつもならばハクロの方から僕の方に来るので珍しい光景かもしれないのだが、どちらかと言えばバカップルのように見られている視線を感じないわけでもない。
「ふふふ、アルス、私にくっ付いている。嬉しい、私アルス好き、アルスも私が好きで、すごい幸せ♪」
ついでに滅茶苦茶罪悪感も増える…‥‥いや本当にごめん、ハクロ。自己保身の思いもあるのにそれを告げなくて。
でもこうやってくっつくのも、これはこれで悪くはないどころか、むしろいいかもしれない。
ちょっとばかり柔らかさや優しさ、温かさにほんのりと気分が和らいでいた…‥‥その時である。
「キュルル♪アルス、アルス‥ちょっと待って」
「ん?どうしたのハクロ」
ふと、歩みを止め、ハクロが止まるように告げて来た。
何事かと思って足を止めると、ハクロが糸を出して人形を作り上げ、僕らぐらいのサイズの人形を歩かせ始める。
そしてそのまま進んでいたところで…‥‥
ズボッ!!
「あ」
「…‥‥キュル、やっぱり、変だと思った。ちょっと地面の色が違っていた」
歩んでいた糸の人形が、あっと言う間に地面に吸い込まれて、いや、いつの間にか作られていた大きな落とし穴に落ちていった。
どうやら気が付かないほどの違いを彼女は見抜き、警戒していたらしい。
しかし、こんな罠が仕掛けられているとは…‥‥ここ、帝都内なのにどうやって仕掛けたんだ?
「‥‥‥うわぁ、どう考えても面倒事の予感しかしないな」
あの夢の中の化け物が、これを示していたのかもしれないと考えると、助かったのはいいけれどもさらに厄介事が待ち受けている未来しか目に見えない。
しかもこういうのに限って、絶対にまだまだ後が控えているのも読めてしまうのが非常に嫌である。
‥‥‥一晩の夢での遭遇によって、予兆を知ったのはいいけれども知りたくはなかった。
というか、だったらあの植物の化け物が現実に直接干渉して、未然に防いでほしかった。
色々と愚痴を言いたくもなるのが、今の時点ではどうしようもないのであった…‥‥
4
お気に入りに追加
3,791
あなたにおすすめの小説

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる