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4章 中等部後期~高等部~
4-31 引き籠るのは案外難しい
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…‥‥夏季休暇が始まるまでの、短い引き籠り生活。
それまでに正妃様及び正常なファンクラブたちが徹底的に清掃を行うので、待つだけで良い。
時間にしてもせいぜい1週間ほどではあったが、3日目の現在、ちょっと個人的に困ることになっていた。
ぎゅううぅぅ
「…‥‥なんか前より密着してない?」
【キュル‥‥‥なんとなく、アルス抱きたい気分、強くなってる】
室内が太陽光コケで外と変わらぬ状態の明るさで照らされている中、本日のハクロは元のサイズのまま、僕をぎゅっと抱きしめたままになっていた。
くっつくのはいつものことかもしれないが、その密度がちょっと増している。
より強くというか、手元に引き寄せられているというか…‥‥なんかいつもよりも、甘えられていないだろうか?
【アルス、ぎゅっとしたい。しっかりと感じ取りたいって、なんか思うの】
「ストレスが変に影響したのかな‥‥?」
この引き籠りになる場所であれば、そうそう変な視線が入ることは無いだろう。
だがしかし、ここに籠るまでの間に受けていた視線に対する影響が、今頃出てきてもおかしくはないだろうし‥‥‥それで本能的に他者を求めている可能性もある。
「でも、ちょっと拘束されるなぁ」
ギュウギュウ抱きしめられることに悪くは思わないのだが、ちょっと動きにくい。
というか、理性的にちょっヤヴァイ。清い交際清い交際清い交際と念仏のごとく心の中で唱えるけれども…‥‥そもそも状況が状況だからなぁ。
取りあえず時間が立てば直るとは思うけれども、こうやってぎゅっとくっ付かれているとこちらの精神的な負担が大きい。
おのれ独占派閥めと責任を追及しつつ、気を紛らわせたいところではある。
「そうなると、思いっきり体を動かすことなんだろうけれども…‥‥ここだとできないからなぁ」
小さくなる薬で小人のようになって動くことで、普段以上に動くことになるのだが、ごまかしたようにしか思えない。
こういう引き籠り生活をしていると、どうしてもこう大空のもとで思いっきり動きたくなる。しかし、そう容易く外に出にくいとなると、何か別の手段を考えなければならない。
部屋の中に引き持ちつつ、それでいて大運動しつつ、思いっきり煩悩退散ストレス解消…‥‥あ、単純な事じゃん。
「何も、外に出ずとも増やせばいいのか」
【キュル?何を?】
「部屋」
簡潔に答えたが、これが多分一番いい方法だろう。
そもそもこのアイアンウッドで作ったログハウス自体、僕の薬でこういう成長をするようにしているのだから、そこにさらに影響を与えればいいだけの話である。
しかも外に出ることなく、内側から直接打ち込めばいいだけの話で、この細工によって部屋数を増やせばいいのだ。
まぁ、念のための基礎部分の補強が必要になるけどね…‥‥計画性のない増築というのはどう考えてもリスクしかないからな。
思い立ったが吉日というのもあって、直ぐに実行することにした。
既にこのログハウスを作っているので、これを元にして新しく内側から増築できるようにすればいいだけだ。
もちろん重量を考えて根っこ部分を強化させつつ、イメージとしてはジムを増築するようなイメージで作成し‥‥‥珍しく注射器型の薬を作ることが出来た。
「あとはこれを刺せばいいだけだ」
【キュルゥ、痛そう】
注射針の鋭さを見てハクロがそうつぶやく。
まぁ、アイアンウッドなのでしっかりと刺せるように極太にしたからね‥‥‥こんなもん、誰が打たれても悶絶する痛みになりうるだろう。
そう思いつつ、ためらわずに床に直接注入して数分後、少々揺れつつも階段が出来上がり、新しい部屋ができたようだ。
太陽光を放つコケを放り込んで明かりを確保してから登って見れば…‥‥そこにはきちんと、イメージ通りのジムのような空間が作られていたのであった‥‥‥‥
「あ、器具も全部木製になっていた…‥‥重さもそんなにないか」
【キュル、なにこれ、動く床の道具があるよ!?】
ルームランナーをハクロがダッシュで走るが‥‥‥‥これ、木の皮で出来ているけど耐久性大丈夫かなぁ?
‥‥‥木製品ばかりのジムが出来上がっていた丁度その頃。
ファンクラブ内では今、掃除が行われていた。
あちこちから派閥同士が協力し合い、しばらく見れないハクロの姿に血涙を流して悔やみつつ、その状況にしてしまった者たちへと怒りをぶつける。
そして元凶となった者たちもただやられるわけにはいかず、全力で逃げつつ反撃の手立てを模索するも、数や想いの差によって見つかることは無い。
「くそぅ!!どうしてだ!!何故、我々の考えが通じないんだ!!あの美しさを見たら誰だっても思うだろう!!」
「そうだそうだ!!あのような芸術作品を、いや、神が創り上げた存在と言って良いものを手元に置くべきだというのに、なぜ誰も賛同しない!!」
路地裏にて、逃げ伸びていた者たちが身をひそめつつも、盛大に文句をつぶやく中…‥‥ふと、その背後に人影が立った。
「…‥‥おやおや、お困りのようですね」
「っ!!何者だ!!」
「追手か!!」
「いえいえ、そうではございません。自分はただの商売人でして…‥‥何か手伝えることがありそうでしてねぇ…‥‥」
追手に追われていた者たちを見て、ニヤリとそう口にする人物。
いかにも怪しすぎる人物ではあったが、今の自分たちの状況をどうにかできるのならばと、甘い話しに彼らは乗ってしまうのであった…‥‥‥
「‥‥‥なるほどなるほど、そういう者たちですか」
「そうだ、我々の思いを理解することのない奴らだがな」
「本当にどうにかできそうか?」
「ええ、そうですねぇ…‥‥でしたら、まずは手に入れるのが早いと思うのですがねぇ‥‥‥‥」
それまでに正妃様及び正常なファンクラブたちが徹底的に清掃を行うので、待つだけで良い。
時間にしてもせいぜい1週間ほどではあったが、3日目の現在、ちょっと個人的に困ることになっていた。
ぎゅううぅぅ
「…‥‥なんか前より密着してない?」
【キュル‥‥‥なんとなく、アルス抱きたい気分、強くなってる】
室内が太陽光コケで外と変わらぬ状態の明るさで照らされている中、本日のハクロは元のサイズのまま、僕をぎゅっと抱きしめたままになっていた。
くっつくのはいつものことかもしれないが、その密度がちょっと増している。
より強くというか、手元に引き寄せられているというか…‥‥なんかいつもよりも、甘えられていないだろうか?
【アルス、ぎゅっとしたい。しっかりと感じ取りたいって、なんか思うの】
「ストレスが変に影響したのかな‥‥?」
この引き籠りになる場所であれば、そうそう変な視線が入ることは無いだろう。
だがしかし、ここに籠るまでの間に受けていた視線に対する影響が、今頃出てきてもおかしくはないだろうし‥‥‥それで本能的に他者を求めている可能性もある。
「でも、ちょっと拘束されるなぁ」
ギュウギュウ抱きしめられることに悪くは思わないのだが、ちょっと動きにくい。
というか、理性的にちょっヤヴァイ。清い交際清い交際清い交際と念仏のごとく心の中で唱えるけれども…‥‥そもそも状況が状況だからなぁ。
取りあえず時間が立てば直るとは思うけれども、こうやってぎゅっとくっ付かれているとこちらの精神的な負担が大きい。
おのれ独占派閥めと責任を追及しつつ、気を紛らわせたいところではある。
「そうなると、思いっきり体を動かすことなんだろうけれども…‥‥ここだとできないからなぁ」
小さくなる薬で小人のようになって動くことで、普段以上に動くことになるのだが、ごまかしたようにしか思えない。
こういう引き籠り生活をしていると、どうしてもこう大空のもとで思いっきり動きたくなる。しかし、そう容易く外に出にくいとなると、何か別の手段を考えなければならない。
部屋の中に引き持ちつつ、それでいて大運動しつつ、思いっきり煩悩退散ストレス解消…‥‥あ、単純な事じゃん。
「何も、外に出ずとも増やせばいいのか」
【キュル?何を?】
「部屋」
簡潔に答えたが、これが多分一番いい方法だろう。
そもそもこのアイアンウッドで作ったログハウス自体、僕の薬でこういう成長をするようにしているのだから、そこにさらに影響を与えればいいだけの話である。
しかも外に出ることなく、内側から直接打ち込めばいいだけの話で、この細工によって部屋数を増やせばいいのだ。
まぁ、念のための基礎部分の補強が必要になるけどね…‥‥計画性のない増築というのはどう考えてもリスクしかないからな。
思い立ったが吉日というのもあって、直ぐに実行することにした。
既にこのログハウスを作っているので、これを元にして新しく内側から増築できるようにすればいいだけだ。
もちろん重量を考えて根っこ部分を強化させつつ、イメージとしてはジムを増築するようなイメージで作成し‥‥‥珍しく注射器型の薬を作ることが出来た。
「あとはこれを刺せばいいだけだ」
【キュルゥ、痛そう】
注射針の鋭さを見てハクロがそうつぶやく。
まぁ、アイアンウッドなのでしっかりと刺せるように極太にしたからね‥‥‥こんなもん、誰が打たれても悶絶する痛みになりうるだろう。
そう思いつつ、ためらわずに床に直接注入して数分後、少々揺れつつも階段が出来上がり、新しい部屋ができたようだ。
太陽光を放つコケを放り込んで明かりを確保してから登って見れば…‥‥そこにはきちんと、イメージ通りのジムのような空間が作られていたのであった‥‥‥‥
「あ、器具も全部木製になっていた…‥‥重さもそんなにないか」
【キュル、なにこれ、動く床の道具があるよ!?】
ルームランナーをハクロがダッシュで走るが‥‥‥‥これ、木の皮で出来ているけど耐久性大丈夫かなぁ?
‥‥‥木製品ばかりのジムが出来上がっていた丁度その頃。
ファンクラブ内では今、掃除が行われていた。
あちこちから派閥同士が協力し合い、しばらく見れないハクロの姿に血涙を流して悔やみつつ、その状況にしてしまった者たちへと怒りをぶつける。
そして元凶となった者たちもただやられるわけにはいかず、全力で逃げつつ反撃の手立てを模索するも、数や想いの差によって見つかることは無い。
「くそぅ!!どうしてだ!!何故、我々の考えが通じないんだ!!あの美しさを見たら誰だっても思うだろう!!」
「そうだそうだ!!あのような芸術作品を、いや、神が創り上げた存在と言って良いものを手元に置くべきだというのに、なぜ誰も賛同しない!!」
路地裏にて、逃げ伸びていた者たちが身をひそめつつも、盛大に文句をつぶやく中…‥‥ふと、その背後に人影が立った。
「…‥‥おやおや、お困りのようですね」
「っ!!何者だ!!」
「追手か!!」
「いえいえ、そうではございません。自分はただの商売人でして…‥‥何か手伝えることがありそうでしてねぇ…‥‥」
追手に追われていた者たちを見て、ニヤリとそう口にする人物。
いかにも怪しすぎる人物ではあったが、今の自分たちの状況をどうにかできるのならばと、甘い話しに彼らは乗ってしまうのであった…‥‥‥
「‥‥‥なるほどなるほど、そういう者たちですか」
「そうだ、我々の思いを理解することのない奴らだがな」
「本当にどうにかできそうか?」
「ええ、そうですねぇ…‥‥でしたら、まずは手に入れるのが早いと思うのですがねぇ‥‥‥‥」
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