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4章 中等部後期~高等部~
4-13 素直なのは良いのだけれども
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(…‥‥ねぇ、なんか見えるよね)
(うん、言われなくとも、無いはずなのになんかこう、ぶぉんぶぉんって)
(犬とかではないし、蜘蛛なんだけど‥‥‥分かりやすい)
本日の授業は貴族の開く茶会に関しての作法で、より厳格化されたものを実習していたのだが、生徒たちはひそひそと彼女を見て話し合う。
そこにいるのは、穏やかに紅茶を飲み、上品そうな雰囲気を漂わせるハクロではあるのだが‥‥‥何と言うか、気品あふれる振る舞いにも見えるはずなのに、滅茶苦茶懐っこい大型犬が尻尾を嬉しそうに振っているようにも見えるのである。
目を閉じて優雅な雰囲気を出しているはずなのに、嬉しさがにじみ出るどころか思いっきりあふれ出ている現状。
何があったのかと疑問に思うも、直ぐにその理由を生徒たちは察した。
というのも、彼女の首元には先日まで無かったものが飾られていた。
綺麗な首飾りであり、それを大事そうに装着している姿からアルスからもらったプレゼントであるという事を皆は理解したのである。
(というか、あれ結構高価な贈り物だと思うけど…‥‥思いきった買い物をしたのかな?)
(聞いた話だと、彼は男爵家の当主になるはずだけど…‥‥お金の出所が気になるわね)
(あ、それは多分問題ない所だと思う。確か皇帝陛下たちと色々とつながりがあるらしいし、そこでもらったものとかがあるなら、資金源としては納得できるよね)
高価な贈り物に対して驚きつつも、嬉しそうなハクロの様子を見ているとそっちの方が気になってくる。
今は本当に上品な夫人というような雰囲気を出しているつもりなのだろうが、それを思いっきり霞ませるほどの幸せオーラがドバドバと出過ぎているせいだ。
その様子を見ると、何となくこちらも嬉しいような、彼女が幸せならばそれで良いかと思うようになってくる生徒たち。
ただ、出来ればもうちょっと控えてもらわないと、自然とほおが緩んでしまって授業がし辛いのだが‥‥‥そのことを指摘したくとも、そのオーラの前には邪魔をしてはいけないと思ってしまい、誰も何も言えないのであった。
【キュルル、アルスからの贈り物、嬉しい、嬉しい♪】
「幸せそうねぇ、ハクロちゃん…‥‥」
「わたくしのほうにも婚約者はいますけれども…‥‥プレゼントであそこまで喜んだことはあったかしら?」
「政略的な方々もいますけれども、あそこまで幸せなそぶりを行ったことは無いですし…ちょっと立ち振る舞いを考えようかしら?」
そしてついでのようにハクロのその幸せぶりに影響され、女子生徒たちは自身の立ち振る舞いを少し顧みて、婚約を結んでいた男子生徒たちとの関係が向上するなどの効果もでたのであった‥‥‥
‥‥‥とは言え、世の中そう都合よく事が進むわけではない。
あくまでも今回良い影響があったのは婚約者がいる者たちであり、いない者たちにとって‥‥‥
「‥‥‥なぁ、お前のところにも来たか?」
「ああ、こっちのも来たんだが。というか、これどうしろと」
「誘われるのは良いのだが‥‥‥何故だろう、肉食獣に狙われているような」
ハクロの幸せオーラが溢れて数日、あんなに喜んでくれたことに対して僕も嬉しくなっていたが、今日の授業内で同級生たちがひそひそと何か話し合っていた。
「ん?どうしたの皆、深刻そうな顔をして」
「深刻そうなというか、何と言うか…‥‥こんなのが来てな」
同級生の男子の中で一人に声をかけると、その理由を見せてくれた。
その手にあったのは、何やら一通の手紙ではあったが…‥‥
「‥‥‥招待状?しかも、集団での」
「ああ、貴族たるものお茶会の開催に呼び寄せるのは男女問わずなこともあるのだが‥‥‥」
「俺たちの方にも、何人かまとめてきてな」
「しかも、この貰っているのが婚約者のいない奴らで‥‥‥何かこう、嫌な予感がするんだ」
言われてみれば、この手紙をもらっているのは婚約者を得ていない貴族の男子生徒たちばかり。
他の婚約者がいる生徒たちの手元にはないようで、何やらこちらはこちらで良い事があったのか鼻歌を歌っている人なども見かけるけど、ソレと何か関係があるのだろうか?
「そう言えば、僕の方にはそんな手紙はないけど…‥‥婚約者がいない組だけを狙って、お茶会の誘いが来るというのは珍しい気がするね」
「ああ、こういうのは大抵、相手の方もいない組なのだろうが…こうやって一気に来ると不穏な気配しかしないんだよ」
お茶会の場に誘うのは男女を問わず、されどもその人数はさほど多くない方が好ましい。
大勢いると楽しくもあるが、できるだけ交流を深めたいならば人数を減らしたほうが効率が良かったり、仲の悪い者同士がいることもあって考慮しても避けられない事態何てモノが起きる可能性もある。
なので、大人数を集めてというのは、そこまで行くと晩餐会とか舞踏会なのだが…‥‥一体何が目的で婚約者がいない男子生徒たちに招待状が配られたのかが気になる。
「案外、集団でのお見合いだったりして」
「「「‥‥‥それが一番考えられるよな」」」
僕の言葉に対して、同級生たちは同意する。
こうやって大勢をわざわざ集めているのを考えると、その可能性が高いからね‥‥‥まぁ、婚約者ができる可能性が高まるのであれば、誘われるのはむしろいない組にとっては良い機会なはずである。
それなのに、何かと不穏な気配を感じ取ってしまうのはどうなのか…‥‥うーん、そのあたりはよくわからないけど、深く関わらないほうが良いような気もするんだよなぁ。
とにもかくにも、不穏な気配を漂わせるお茶会のようだが、僕が出る必要もないし、関わらなくて済むならそうしたほうが良いのかもしれない。
適当に相槌を打ちつつも、巻き込まれないようにして置くのであった‥‥‥‥
「そう言えば他にも、最近校内で不気味な噂もあったなぁ」
「何があった?」
「例えば、突然物音がしたり、水道から赤い血が出たり…‥‥何かと怖いことばかり起きているんだよ」
「怪奇現象じゃん…‥‥」
‥‥‥ついでに何やら色々と起きてるようだけど、そっちの方にも警戒しておくか。
(うん、言われなくとも、無いはずなのになんかこう、ぶぉんぶぉんって)
(犬とかではないし、蜘蛛なんだけど‥‥‥分かりやすい)
本日の授業は貴族の開く茶会に関しての作法で、より厳格化されたものを実習していたのだが、生徒たちはひそひそと彼女を見て話し合う。
そこにいるのは、穏やかに紅茶を飲み、上品そうな雰囲気を漂わせるハクロではあるのだが‥‥‥何と言うか、気品あふれる振る舞いにも見えるはずなのに、滅茶苦茶懐っこい大型犬が尻尾を嬉しそうに振っているようにも見えるのである。
目を閉じて優雅な雰囲気を出しているはずなのに、嬉しさがにじみ出るどころか思いっきりあふれ出ている現状。
何があったのかと疑問に思うも、直ぐにその理由を生徒たちは察した。
というのも、彼女の首元には先日まで無かったものが飾られていた。
綺麗な首飾りであり、それを大事そうに装着している姿からアルスからもらったプレゼントであるという事を皆は理解したのである。
(というか、あれ結構高価な贈り物だと思うけど…‥‥思いきった買い物をしたのかな?)
(聞いた話だと、彼は男爵家の当主になるはずだけど…‥‥お金の出所が気になるわね)
(あ、それは多分問題ない所だと思う。確か皇帝陛下たちと色々とつながりがあるらしいし、そこでもらったものとかがあるなら、資金源としては納得できるよね)
高価な贈り物に対して驚きつつも、嬉しそうなハクロの様子を見ているとそっちの方が気になってくる。
今は本当に上品な夫人というような雰囲気を出しているつもりなのだろうが、それを思いっきり霞ませるほどの幸せオーラがドバドバと出過ぎているせいだ。
その様子を見ると、何となくこちらも嬉しいような、彼女が幸せならばそれで良いかと思うようになってくる生徒たち。
ただ、出来ればもうちょっと控えてもらわないと、自然とほおが緩んでしまって授業がし辛いのだが‥‥‥そのことを指摘したくとも、そのオーラの前には邪魔をしてはいけないと思ってしまい、誰も何も言えないのであった。
【キュルル、アルスからの贈り物、嬉しい、嬉しい♪】
「幸せそうねぇ、ハクロちゃん…‥‥」
「わたくしのほうにも婚約者はいますけれども…‥‥プレゼントであそこまで喜んだことはあったかしら?」
「政略的な方々もいますけれども、あそこまで幸せなそぶりを行ったことは無いですし…ちょっと立ち振る舞いを考えようかしら?」
そしてついでのようにハクロのその幸せぶりに影響され、女子生徒たちは自身の立ち振る舞いを少し顧みて、婚約を結んでいた男子生徒たちとの関係が向上するなどの効果もでたのであった‥‥‥
‥‥‥とは言え、世の中そう都合よく事が進むわけではない。
あくまでも今回良い影響があったのは婚約者がいる者たちであり、いない者たちにとって‥‥‥
「‥‥‥なぁ、お前のところにも来たか?」
「ああ、こっちのも来たんだが。というか、これどうしろと」
「誘われるのは良いのだが‥‥‥何故だろう、肉食獣に狙われているような」
ハクロの幸せオーラが溢れて数日、あんなに喜んでくれたことに対して僕も嬉しくなっていたが、今日の授業内で同級生たちがひそひそと何か話し合っていた。
「ん?どうしたの皆、深刻そうな顔をして」
「深刻そうなというか、何と言うか…‥‥こんなのが来てな」
同級生の男子の中で一人に声をかけると、その理由を見せてくれた。
その手にあったのは、何やら一通の手紙ではあったが…‥‥
「‥‥‥招待状?しかも、集団での」
「ああ、貴族たるものお茶会の開催に呼び寄せるのは男女問わずなこともあるのだが‥‥‥」
「俺たちの方にも、何人かまとめてきてな」
「しかも、この貰っているのが婚約者のいない奴らで‥‥‥何かこう、嫌な予感がするんだ」
言われてみれば、この手紙をもらっているのは婚約者を得ていない貴族の男子生徒たちばかり。
他の婚約者がいる生徒たちの手元にはないようで、何やらこちらはこちらで良い事があったのか鼻歌を歌っている人なども見かけるけど、ソレと何か関係があるのだろうか?
「そう言えば、僕の方にはそんな手紙はないけど…‥‥婚約者がいない組だけを狙って、お茶会の誘いが来るというのは珍しい気がするね」
「ああ、こういうのは大抵、相手の方もいない組なのだろうが…こうやって一気に来ると不穏な気配しかしないんだよ」
お茶会の場に誘うのは男女を問わず、されどもその人数はさほど多くない方が好ましい。
大勢いると楽しくもあるが、できるだけ交流を深めたいならば人数を減らしたほうが効率が良かったり、仲の悪い者同士がいることもあって考慮しても避けられない事態何てモノが起きる可能性もある。
なので、大人数を集めてというのは、そこまで行くと晩餐会とか舞踏会なのだが…‥‥一体何が目的で婚約者がいない男子生徒たちに招待状が配られたのかが気になる。
「案外、集団でのお見合いだったりして」
「「「‥‥‥それが一番考えられるよな」」」
僕の言葉に対して、同級生たちは同意する。
こうやって大勢をわざわざ集めているのを考えると、その可能性が高いからね‥‥‥まぁ、婚約者ができる可能性が高まるのであれば、誘われるのはむしろいない組にとっては良い機会なはずである。
それなのに、何かと不穏な気配を感じ取ってしまうのはどうなのか…‥‥うーん、そのあたりはよくわからないけど、深く関わらないほうが良いような気もするんだよなぁ。
とにもかくにも、不穏な気配を漂わせるお茶会のようだが、僕が出る必要もないし、関わらなくて済むならそうしたほうが良いのかもしれない。
適当に相槌を打ちつつも、巻き込まれないようにして置くのであった‥‥‥‥
「そう言えば他にも、最近校内で不気味な噂もあったなぁ」
「何があった?」
「例えば、突然物音がしたり、水道から赤い血が出たり…‥‥何かと怖いことばかり起きているんだよ」
「怪奇現象じゃん…‥‥」
‥‥‥ついでに何やら色々と起きてるようだけど、そっちの方にも警戒しておくか。
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