130 / 229
4章 中等部後期~高等部~
4-4 ちょっと発展のためにも必要だったので
しおりを挟む
‥‥‥元々、この男爵家の領地内は貧乏であった。
けれども、ちょっとずつ改善をしていき、領地内の状態は向上していく。
領民の生活や畑の状態、その他諸々良質化しており、交通網も整備をして定期的な馬車を通るようにしたら、人の往来も増えており、不満点なども出すようにしている。
出てきたところをどうしたら改善できるかも考え、できる限り実行に移すだけでもいいのだが‥‥‥
「でも、何でここ最近の要望として『挙式はいつなのか』というのが多いんだろう…‥‥」
【キュル、それだけ、慕われているのかも?】
「そうでございますな。あちこちから次期当主様が次期奥様‥‥‥いえ、婚約者様と言うべきハクロ様との仲の睦まじさが見られており、早く夫婦になってほしいという声が多くなっているのです」
今日もしんしんと穏やかに雪が降る中、邸の執務室内で領内の状態や要望書を確認している中、思ったことに対して出て来た僕のつぶやきに対して、茶を入れにきた執事が笑いながらそう口にする。
彼は母がいた時からの老年の執事であるようで一時期はあの罪人たちの手によって出ていたのだが僕がここへ戻ることになると喜んで帰還してきた人でもある。
何かこうセバスチャンとか言う名前が合いそうな人ではあるが、名前としてはゼバスリアンと言うようで、もっと細かく言えば全国メイド・執事協会という組織にも所属しているらしい。
その組織はあちこちの貴族家が利用している組織でもあるそうで、非常に優れた執事やメイドが熟練の技巧を身に着け、各家で腕を振るうのだとか。
あの前世の妹でもあったリリの側にいたハクロの弟たちであるベイドゥも所属しているようであり、腕前としてはかなり優れているだろう。
噂では、更に質の高いメイドを派遣する出張異界…‥‥いや、まぁどうでもいいか。今のところ検討していたりするけれども、雇う余裕をもう少し持ててから考えよう。
とにもかくにも、ゼバスリアンに話を聞けば、どうも僕らの仲の良さを領民たちはよく見ているようで、早くくっ付いて欲しいようだ。
「そうしたいけど、まだ色々とね…‥‥うん、でも祝われているのかな?」
「そうでございますねぇ、最初は奥様がモンスターなのはどうなのかという意見も出たようでございますが、ハクロ様の姿とその仲睦まじさに認識を改め、応援に回られる方もいるようでございます。また、次期当主様が早くここを継ぎ、より一層発展するためにもきちんと子宝に恵まれていたほうが良いという意見もあるようなのです」
帝都でも受け入れられていたが、どうやらこの領内でもハクロは受け入れられているようで、いても問題ないと思う人が結構いるらしい。
さらには、出来れば子供も見たいという人も多いようだが‥‥‥それは流石に気が早すぎないかな?
「そこまで結婚話を早く進めたいものなのかなぁ‥‥‥」
【キュル、アルスとの結婚、早くても良い。私、アルスのお嫁さんになるもの♪】
「ほっほっほっほ、その意気込みでございます。まぁ、挙式と言うか、祝い事はある方が楽しいとも言えますからなぁ。次期当主様がさらに後継ぎを得られれば、それだけで今後も安泰でもありましょう」
ハクロが嬉しそうに言うけれども、もうちょっと先にはなりそうである。
と言うかそもそも、彼女との子供も期待されるって…‥‥どれだけこの領内で見たい人がいるのだろうか。
まぁ、領民に思いっきり嫌われるようなことが無くてよかったが、それでも要望書に挙式はいつなのかという意見が多すぎるのも困りもの。
本当に欲しい意見が埋もれるのもあるからね。僕らの事よりも、まずは改善してほしいところなどを出してほしい。
「中には『子供100人を!』『よりいっそう仲睦まじい様子を!!』とか、色々ツッコミたい意見も多いなぁ‥‥‥」
「まぁ、応援してくださっている様子は良い事でございます。次期当主様の御父上‥‥‥いえ、今はもう剥奪されて縁も無くした者には、このような声が届くこともなかったのでございますからな」
仮にも僕の父親だった人に対して、何やら苦々しそうに言うゼバスリアン。
彼は彼なりに不満が色々と多くあったようだが‥‥‥‥もう過ぎた事である。
あの罪人や、元父もいなくなっているし、これ以上気にすることもあるまい。
しいて言うのであれば、兄モドキたちが存命中でもあるのだが…‥‥そちらに顔を合わせる事も無いだろう。
「そう言えば、リリが前に別のところでどっちかを見かけたって言ってたことがあったっけ…‥‥」
会うことは無いだろうけれども、それでも存命の知らせ程度ならちょっとは出るらしい。
出来れば、まともな人になっていて欲しいなぁ…‥‥と思っていた、その時だった。
コンコン
「失礼いたします、次期当主様、緊急の案件です」
「ん?」
ノックされ、部屋に入って来たのはドンデルさん。
代官としての作業も徐々に終えつつ、僕に引継ぎするための資料なども別室の方で作成している最中だったはずだけど‥‥‥何やら厳しい顔をしていた。
「どうしたのでしょうか、ドンデルさん?」
「次期当主様、あなた様の元兄であった方々を覚えてますか?」
「…‥‥覚えているというか、今ちょっとどうしているのかなと考えていたところだったよ」
元長男のラダー・フォン・ヘルズに、次男のグエス・フォン・ヘルズ、いや、すでに貴族性も没収された、平民と化したただのラダーとグエス。
今ちょっと考えていたが…‥‥確か兄モドキであった彼らは、他国の更生施設に入っているという話もあったはずだが、何かあったのだろうか?
「その件に関してなのですが、長男であったラダーと名乗っていた男に関しての連絡が入ってきました。‥‥‥帝国の友好国の一つ、ココから遠く離れたベンドラァ国の更生施設から脱獄を確認したようです。しかも、脱獄の際に内部にいた他の更生を必要とされていた方々を犠牲にして、現在行方不明と言う内容でした」
「‥‥‥は?」
その報告内容に対して、一瞬僕は何を言っているのだと思いたくなった。
けれども詳しく話を聞いたところ‥‥‥‥ろくでもないことになっていたらしい。
「ラダーが脱獄、皆殺し。そして現在行方不明って…‥‥何をどうしてそうなったの?」
「詳しい詳細は不明です。けれども、現場の形跡やラダー自身を考えますと、協力者の手を借りた可能性があります」
話を聞けば、更生施設に入っていたはずの兄モドキが、犠牲者を多く出して脱獄したそうだ。
しかも、身体能力などを考えると、現場の惨状はあり得ない状態となっているらしく‥‥‥何者かが手引きをして出した可能性あがるのだとか。
「いや、でも誰か協力者がいたとしても、ラダーに手を貸すメリットはないよね?兄モドキだったけど、ここの正当な次期当主って訳でもないし、立場的には平民以下にもなり得るし、ろくに権力もないはずだけど‥‥‥」
「それが不明なのです」
兄モドキに手を貸すメリットは不明だが、誰かが手を貸して脱獄させたらしいというのは明白らしい。
そして今は行方をくらませており、捜査を行っているらしいが…‥‥ここから更生施設まではとんでもなく離れており、普通の移動手段では年内に到達する可能性もない。
「それでも、状況を考えると次期当主様を狙う可能性が大きいようで、至急警戒を行うようにと言うことになりました」
「んー、今さら僕を狙っても、当主になれるわけではないんだけど‥‥‥‥」
とは言え、あの兄モドキの事だから、変な風に、それでいて都合のいい自己解釈をしていたり、もしくはとんでもなく筋違いな逆恨みをしている可能性もある。
距離がかなり離れているとはいえ、協力者などの存在をほのめかされる以上、直ぐにここに来てもおかしくはないと思った方が良さそうだ。
「わかった。領内の警備を増やしてくれ。ついでに領民たちにも素早く通達して、手を出す前に即座に発見したら連絡をするようにもして欲しい」
「わかりました」
素早く指示を出し、僕は警戒を強めることにした。
あの兄モドキ単体であれば、あっさり片付くだろうが…‥‥それでも、協力者だとか物騒な話しもあるし、油断しないほうがいいだろう。
「ハクロ、念のために護身薬を出来るだけ使用者に害のない安全なものを一般家庭向けの配布物としてまとめられるようにできるように、収納袋も作ってほしい。襲われる可能性もあるからこそ、万が一に備えた対策が必要だ」
【わかった、アルスの領民たち、良い人ばかり。傷ついて欲しくないし、作っておく】
普通のカバンでもいいが、それでも頑丈さを考えるとハクロの糸製の方が良いからね…‥‥ここに来るとは限らないけれども、領内全体でのしっかりとした対応策をとっておくに越したことは無い。
「それにしても、兄モドキに手を貸すメリットもないとは思うけど…‥‥どこの誰が脱獄を手助けしたのかな?いや、あるいは兄が自力で…‥‥いや、それはないかも」
罪人の教育の影響もあるだろうが、持って生まれた本人の資質もあるだろうし、あの兄モドキの面倒くささは理解している。
ついでに話を聞けば、もう一人の兄であるグエスの方は、今ではすっかり改心して特にいう事も無いようだが…‥‥同じような兄だった人達なのに、なぜこうも違ったのか。
色々と疑問は多いけれども、面倒事の解決に向けて動くしかないのであった…‥‥
「そう言えば、グエスの方に動きは?ラダーにあったなら、そっちにあってもいいかもしれないんだけど‥‥‥」
「そちらに関しては異常はなく、慈善活動などをやっているそうです。しかも自ら進んで孤児院を訪問したり、村や町中の清掃をおこなったりと生まれ変わったかのようにやっているそうです」
「そうか」
ラダーの方がどう動くかは不明だが、兄の一人が改心できているのならそれはそれでいいかも‥‥‥
「ただ、どうやら変な性癖に目覚めたようでして、鞭や縄でシバかれることに喜びを覚えるなど、こちらの奇行に関しての報告書が‥‥‥」
「ソレはソレで、どうなんだろう?」
‥‥‥前言撤回。改心しているようだけど、いらない扉も開いてないか?
そもそもどうやって更生されていくのかが気になるのだが‥‥‥今は深く、考えないでおこう。
けれども、ちょっとずつ改善をしていき、領地内の状態は向上していく。
領民の生活や畑の状態、その他諸々良質化しており、交通網も整備をして定期的な馬車を通るようにしたら、人の往来も増えており、不満点なども出すようにしている。
出てきたところをどうしたら改善できるかも考え、できる限り実行に移すだけでもいいのだが‥‥‥
「でも、何でここ最近の要望として『挙式はいつなのか』というのが多いんだろう…‥‥」
【キュル、それだけ、慕われているのかも?】
「そうでございますな。あちこちから次期当主様が次期奥様‥‥‥いえ、婚約者様と言うべきハクロ様との仲の睦まじさが見られており、早く夫婦になってほしいという声が多くなっているのです」
今日もしんしんと穏やかに雪が降る中、邸の執務室内で領内の状態や要望書を確認している中、思ったことに対して出て来た僕のつぶやきに対して、茶を入れにきた執事が笑いながらそう口にする。
彼は母がいた時からの老年の執事であるようで一時期はあの罪人たちの手によって出ていたのだが僕がここへ戻ることになると喜んで帰還してきた人でもある。
何かこうセバスチャンとか言う名前が合いそうな人ではあるが、名前としてはゼバスリアンと言うようで、もっと細かく言えば全国メイド・執事協会という組織にも所属しているらしい。
その組織はあちこちの貴族家が利用している組織でもあるそうで、非常に優れた執事やメイドが熟練の技巧を身に着け、各家で腕を振るうのだとか。
あの前世の妹でもあったリリの側にいたハクロの弟たちであるベイドゥも所属しているようであり、腕前としてはかなり優れているだろう。
噂では、更に質の高いメイドを派遣する出張異界…‥‥いや、まぁどうでもいいか。今のところ検討していたりするけれども、雇う余裕をもう少し持ててから考えよう。
とにもかくにも、ゼバスリアンに話を聞けば、どうも僕らの仲の良さを領民たちはよく見ているようで、早くくっ付いて欲しいようだ。
「そうしたいけど、まだ色々とね…‥‥うん、でも祝われているのかな?」
「そうでございますねぇ、最初は奥様がモンスターなのはどうなのかという意見も出たようでございますが、ハクロ様の姿とその仲睦まじさに認識を改め、応援に回られる方もいるようでございます。また、次期当主様が早くここを継ぎ、より一層発展するためにもきちんと子宝に恵まれていたほうが良いという意見もあるようなのです」
帝都でも受け入れられていたが、どうやらこの領内でもハクロは受け入れられているようで、いても問題ないと思う人が結構いるらしい。
さらには、出来れば子供も見たいという人も多いようだが‥‥‥それは流石に気が早すぎないかな?
「そこまで結婚話を早く進めたいものなのかなぁ‥‥‥」
【キュル、アルスとの結婚、早くても良い。私、アルスのお嫁さんになるもの♪】
「ほっほっほっほ、その意気込みでございます。まぁ、挙式と言うか、祝い事はある方が楽しいとも言えますからなぁ。次期当主様がさらに後継ぎを得られれば、それだけで今後も安泰でもありましょう」
ハクロが嬉しそうに言うけれども、もうちょっと先にはなりそうである。
と言うかそもそも、彼女との子供も期待されるって…‥‥どれだけこの領内で見たい人がいるのだろうか。
まぁ、領民に思いっきり嫌われるようなことが無くてよかったが、それでも要望書に挙式はいつなのかという意見が多すぎるのも困りもの。
本当に欲しい意見が埋もれるのもあるからね。僕らの事よりも、まずは改善してほしいところなどを出してほしい。
「中には『子供100人を!』『よりいっそう仲睦まじい様子を!!』とか、色々ツッコミたい意見も多いなぁ‥‥‥」
「まぁ、応援してくださっている様子は良い事でございます。次期当主様の御父上‥‥‥いえ、今はもう剥奪されて縁も無くした者には、このような声が届くこともなかったのでございますからな」
仮にも僕の父親だった人に対して、何やら苦々しそうに言うゼバスリアン。
彼は彼なりに不満が色々と多くあったようだが‥‥‥‥もう過ぎた事である。
あの罪人や、元父もいなくなっているし、これ以上気にすることもあるまい。
しいて言うのであれば、兄モドキたちが存命中でもあるのだが…‥‥そちらに顔を合わせる事も無いだろう。
「そう言えば、リリが前に別のところでどっちかを見かけたって言ってたことがあったっけ…‥‥」
会うことは無いだろうけれども、それでも存命の知らせ程度ならちょっとは出るらしい。
出来れば、まともな人になっていて欲しいなぁ…‥‥と思っていた、その時だった。
コンコン
「失礼いたします、次期当主様、緊急の案件です」
「ん?」
ノックされ、部屋に入って来たのはドンデルさん。
代官としての作業も徐々に終えつつ、僕に引継ぎするための資料なども別室の方で作成している最中だったはずだけど‥‥‥何やら厳しい顔をしていた。
「どうしたのでしょうか、ドンデルさん?」
「次期当主様、あなた様の元兄であった方々を覚えてますか?」
「…‥‥覚えているというか、今ちょっとどうしているのかなと考えていたところだったよ」
元長男のラダー・フォン・ヘルズに、次男のグエス・フォン・ヘルズ、いや、すでに貴族性も没収された、平民と化したただのラダーとグエス。
今ちょっと考えていたが…‥‥確か兄モドキであった彼らは、他国の更生施設に入っているという話もあったはずだが、何かあったのだろうか?
「その件に関してなのですが、長男であったラダーと名乗っていた男に関しての連絡が入ってきました。‥‥‥帝国の友好国の一つ、ココから遠く離れたベンドラァ国の更生施設から脱獄を確認したようです。しかも、脱獄の際に内部にいた他の更生を必要とされていた方々を犠牲にして、現在行方不明と言う内容でした」
「‥‥‥は?」
その報告内容に対して、一瞬僕は何を言っているのだと思いたくなった。
けれども詳しく話を聞いたところ‥‥‥‥ろくでもないことになっていたらしい。
「ラダーが脱獄、皆殺し。そして現在行方不明って…‥‥何をどうしてそうなったの?」
「詳しい詳細は不明です。けれども、現場の形跡やラダー自身を考えますと、協力者の手を借りた可能性があります」
話を聞けば、更生施設に入っていたはずの兄モドキが、犠牲者を多く出して脱獄したそうだ。
しかも、身体能力などを考えると、現場の惨状はあり得ない状態となっているらしく‥‥‥何者かが手引きをして出した可能性あがるのだとか。
「いや、でも誰か協力者がいたとしても、ラダーに手を貸すメリットはないよね?兄モドキだったけど、ここの正当な次期当主って訳でもないし、立場的には平民以下にもなり得るし、ろくに権力もないはずだけど‥‥‥」
「それが不明なのです」
兄モドキに手を貸すメリットは不明だが、誰かが手を貸して脱獄させたらしいというのは明白らしい。
そして今は行方をくらませており、捜査を行っているらしいが…‥‥ここから更生施設まではとんでもなく離れており、普通の移動手段では年内に到達する可能性もない。
「それでも、状況を考えると次期当主様を狙う可能性が大きいようで、至急警戒を行うようにと言うことになりました」
「んー、今さら僕を狙っても、当主になれるわけではないんだけど‥‥‥‥」
とは言え、あの兄モドキの事だから、変な風に、それでいて都合のいい自己解釈をしていたり、もしくはとんでもなく筋違いな逆恨みをしている可能性もある。
距離がかなり離れているとはいえ、協力者などの存在をほのめかされる以上、直ぐにここに来てもおかしくはないと思った方が良さそうだ。
「わかった。領内の警備を増やしてくれ。ついでに領民たちにも素早く通達して、手を出す前に即座に発見したら連絡をするようにもして欲しい」
「わかりました」
素早く指示を出し、僕は警戒を強めることにした。
あの兄モドキ単体であれば、あっさり片付くだろうが…‥‥それでも、協力者だとか物騒な話しもあるし、油断しないほうがいいだろう。
「ハクロ、念のために護身薬を出来るだけ使用者に害のない安全なものを一般家庭向けの配布物としてまとめられるようにできるように、収納袋も作ってほしい。襲われる可能性もあるからこそ、万が一に備えた対策が必要だ」
【わかった、アルスの領民たち、良い人ばかり。傷ついて欲しくないし、作っておく】
普通のカバンでもいいが、それでも頑丈さを考えるとハクロの糸製の方が良いからね…‥‥ここに来るとは限らないけれども、領内全体でのしっかりとした対応策をとっておくに越したことは無い。
「それにしても、兄モドキに手を貸すメリットもないとは思うけど…‥‥どこの誰が脱獄を手助けしたのかな?いや、あるいは兄が自力で…‥‥いや、それはないかも」
罪人の教育の影響もあるだろうが、持って生まれた本人の資質もあるだろうし、あの兄モドキの面倒くささは理解している。
ついでに話を聞けば、もう一人の兄であるグエスの方は、今ではすっかり改心して特にいう事も無いようだが…‥‥同じような兄だった人達なのに、なぜこうも違ったのか。
色々と疑問は多いけれども、面倒事の解決に向けて動くしかないのであった…‥‥
「そう言えば、グエスの方に動きは?ラダーにあったなら、そっちにあってもいいかもしれないんだけど‥‥‥」
「そちらに関しては異常はなく、慈善活動などをやっているそうです。しかも自ら進んで孤児院を訪問したり、村や町中の清掃をおこなったりと生まれ変わったかのようにやっているそうです」
「そうか」
ラダーの方がどう動くかは不明だが、兄の一人が改心できているのならそれはそれでいいかも‥‥‥
「ただ、どうやら変な性癖に目覚めたようでして、鞭や縄でシバかれることに喜びを覚えるなど、こちらの奇行に関しての報告書が‥‥‥」
「ソレはソレで、どうなんだろう?」
‥‥‥前言撤回。改心しているようだけど、いらない扉も開いてないか?
そもそもどうやって更生されていくのかが気になるのだが‥‥‥今は深く、考えないでおこう。
13
お気に入りに追加
3,791
あなたにおすすめの小説

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる