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3章 学園中等部~
3-4 学園だからこそこういう時もあるのだが
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‥‥‥大抵の場合、人というのは物事が決められていた場合、それに従うものではある。
とはいえ皆が全てそうであるという訳でもなく、何かと反抗してしまう人もいるのだ。
入るなと言えば入り、やるなといえばやり、禁止されたことをやってしまう。
好奇心が強かったり、根拠のない自信によって引き起こされることではあるが…‥‥それは、この学園内でも起きてしまうものなのだ。
ドォォォォォォォォン!!
「‥‥夜中に爆音が聞こえたかと思えば、新入生がやらかしたのか」
【キュルゥ、びっくりした。でも、先生たち、直ぐに動いていた】
ふわぁぁっと夜中に一旦起きて二度寝しても残る眠気で欠伸をしながらも、その情報が寮の掲示板に事細かく掲載されていた。
昨晩、突然起きた謎の爆発音。
寮全体が揺れたというか、その衝撃と音にビックリして起きてしまったのだが…‥どうやら新入生たちが原因らしい。
新入生の中で問題児がいたらしく、真夜中であればバレないだろうと考えてやらかされたそうで…‥‥帝都内とつながる学園の正門が、見事にふっ飛ばされたようだ。
なお、幸いにして死者は出ずともやらかした生徒には厳重な処罰が下されたそうだが、そのせいで学園の門の修理をする羽目になり、現在作業中。
本日は休日でもあり、本当ならば帝都内で買い物でもしたかったが…‥‥正門が無理なら裏門とかその他出る手段を利用することも可能ではあるが…‥‥流石に眠気もある状態だと、わざわざ外に出る気も起きないだろう。
「まぁ、ガルバンゾー先生からは、何か警戒するようにとか言う話もあったから、これもいい機会だと思って、今日は寮の中で遊ぼうか」
【キュル♪アルスと一緒に、遊ぶ♪】
外に出る必要が無いのであれば、寮に籠ればいい。
魔道具による空調設備などで過ごしやすい気温でもあり、お腹が減れば食堂へ出向けばいいし、困ることは無いだろう。
そんなわけで、今日はハクロとのんびり、自室内で遊ぶことにした。
「といっても、どれで遊ぶ?トランプにオセロにチェスにすごろくに‥‥‥‥」
‥‥‥転生者が過去に残したのか、はたまたはこの世界の人が娯楽に飢えて作り出したのか、ボードゲームの類は案外多い。
異世界転生お決まりの前世の知識を使ったゲームなんぞ、有名どころが多く流通されており、利用して儲けようとする人がいたとしてもおそらくは無理だろう。
まぁ、正妃様と前に話してみたところ、記録によれば過去の転生者の人は無欲な人が多かったそうで、そうそう大儲けをする目的で作る事もなく、だからこそ広まりやすくてメジャーになったらしいっていうのもあったけどね。
安く遊べるのであれば便利だし、それはそれでよかったのかもしれない。自分で作る手間も省けるし、大勢で楽しむようなものがあれば、それはそれで楽しめるからだ。
【んー、じゃあ、ジェーンガァにしたい!】
「なら、それで遊ぼうか」
何かと名前も変わっているようだけど、内容的には大体同じようなものとみていいだろう。
ただしこのジェーンガァ、ジェンガとは違ってピースが四角形の塊じゃなくてアヒルのような鳥の形をしたブロックが、これまた絶妙なバランスで積み上げられているものなんだけどね。「ガァ」の部分ってもしやアヒルの鳴き声を連想して付けたのではあるまいか…‥‥でも、イメージ的には「グワァ」だし、なんか違うな。何をモデルにしてそんな名称にしたのだろうか?
当時作った人じゃないと、そのあたりの判断は難しいだろうが‥‥‥‥とにもかくにも、ハクロの選んだジェーンガァで遊ぶことにした。
「‥‥‥っと、これで一つ抜けた」
【むむむ、キュル、キュ‥キュ、ル!抜けた】
慎重に一つ一つのブロックを取りにぞきながら、ジェーンガァに熱中していく。
ジェンガと変わらず、積み重なったブロックを一つ一つ崩さないように抜き取っていくのだが、繊細なバランス調整なども必要となり、しかも真四角ではなく形が鳥のようなものだからこそ、難易度が上がっている。
一つ、また一つと互いに抜いていき、だんだんジェーンガァ全体のバランスが崩れてきたのが、グラグラと揺れ始める。
「ここまでくると、もうちょっとだし…‥‥どっちで崩れるかハラハラするね」
【キュル、この勝負、負けない】
互いに緊張し合いつつ、ぐらつくブロックを抜いていく。
一呼吸を置いて見定めたり、糸で微妙な位置を確認しながら力を調節し…‥‥もう間もなく、終わりを迎えるだろう。
【キュルル‥ル、これ、最後!】
ようやくあと一つ、これで全部が崩れる限界まで来たところで、ハクロが最後の一手で攻めようとした…‥‥その時であった。
ドッガァァァン!!
ガシャァァァン!!
【「ああああああああああああああ!?」】
昨晩に続いて聞えてきた爆発音によって、寮が少し揺れたのか、トドメを刺してしまったらしい。
あともうちょっとでというところで、見るも無残にジェーンガァは崩れ去ってしまった。
「‥‥‥今の爆発は何だ?なにかあったのかな?」
【なんか悔しい!!今の無ければ、私勝ってた!!ちょっと許せない!!】
ぷくぅぅっと頬を膨らませて、ぷんすこと怒るハクロ。
気持ちは分かるが、今の揺れは何なのかわからないと、ぶつけようがないだろう。
「んー、外を見ると修理作業中の正門のような‥‥‥‥走るのもなんだし、上から確認して見ようか」
廊下を駆け抜けて向かうのも良いが、他の生徒たちも今の音に気が付いたようで、野次馬となって向かう様子が見える。
巻き込まれるのもなんだし、特等席というか、良く見えそうな真上ならば問題あるまい。
そう思い、変身薬と小さくなる薬を素早く作成し、鳥になりつつハクロには小さくなってもらい、窓から飛び立って現場の上空へ向かうことにしたのであった‥‥‥‥
とはいえ皆が全てそうであるという訳でもなく、何かと反抗してしまう人もいるのだ。
入るなと言えば入り、やるなといえばやり、禁止されたことをやってしまう。
好奇心が強かったり、根拠のない自信によって引き起こされることではあるが…‥‥それは、この学園内でも起きてしまうものなのだ。
ドォォォォォォォォン!!
「‥‥夜中に爆音が聞こえたかと思えば、新入生がやらかしたのか」
【キュルゥ、びっくりした。でも、先生たち、直ぐに動いていた】
ふわぁぁっと夜中に一旦起きて二度寝しても残る眠気で欠伸をしながらも、その情報が寮の掲示板に事細かく掲載されていた。
昨晩、突然起きた謎の爆発音。
寮全体が揺れたというか、その衝撃と音にビックリして起きてしまったのだが…‥どうやら新入生たちが原因らしい。
新入生の中で問題児がいたらしく、真夜中であればバレないだろうと考えてやらかされたそうで…‥‥帝都内とつながる学園の正門が、見事にふっ飛ばされたようだ。
なお、幸いにして死者は出ずともやらかした生徒には厳重な処罰が下されたそうだが、そのせいで学園の門の修理をする羽目になり、現在作業中。
本日は休日でもあり、本当ならば帝都内で買い物でもしたかったが…‥‥正門が無理なら裏門とかその他出る手段を利用することも可能ではあるが…‥‥流石に眠気もある状態だと、わざわざ外に出る気も起きないだろう。
「まぁ、ガルバンゾー先生からは、何か警戒するようにとか言う話もあったから、これもいい機会だと思って、今日は寮の中で遊ぼうか」
【キュル♪アルスと一緒に、遊ぶ♪】
外に出る必要が無いのであれば、寮に籠ればいい。
魔道具による空調設備などで過ごしやすい気温でもあり、お腹が減れば食堂へ出向けばいいし、困ることは無いだろう。
そんなわけで、今日はハクロとのんびり、自室内で遊ぶことにした。
「といっても、どれで遊ぶ?トランプにオセロにチェスにすごろくに‥‥‥‥」
‥‥‥転生者が過去に残したのか、はたまたはこの世界の人が娯楽に飢えて作り出したのか、ボードゲームの類は案外多い。
異世界転生お決まりの前世の知識を使ったゲームなんぞ、有名どころが多く流通されており、利用して儲けようとする人がいたとしてもおそらくは無理だろう。
まぁ、正妃様と前に話してみたところ、記録によれば過去の転生者の人は無欲な人が多かったそうで、そうそう大儲けをする目的で作る事もなく、だからこそ広まりやすくてメジャーになったらしいっていうのもあったけどね。
安く遊べるのであれば便利だし、それはそれでよかったのかもしれない。自分で作る手間も省けるし、大勢で楽しむようなものがあれば、それはそれで楽しめるからだ。
【んー、じゃあ、ジェーンガァにしたい!】
「なら、それで遊ぼうか」
何かと名前も変わっているようだけど、内容的には大体同じようなものとみていいだろう。
ただしこのジェーンガァ、ジェンガとは違ってピースが四角形の塊じゃなくてアヒルのような鳥の形をしたブロックが、これまた絶妙なバランスで積み上げられているものなんだけどね。「ガァ」の部分ってもしやアヒルの鳴き声を連想して付けたのではあるまいか…‥‥でも、イメージ的には「グワァ」だし、なんか違うな。何をモデルにしてそんな名称にしたのだろうか?
当時作った人じゃないと、そのあたりの判断は難しいだろうが‥‥‥‥とにもかくにも、ハクロの選んだジェーンガァで遊ぶことにした。
「‥‥‥っと、これで一つ抜けた」
【むむむ、キュル、キュ‥キュ、ル!抜けた】
慎重に一つ一つのブロックを取りにぞきながら、ジェーンガァに熱中していく。
ジェンガと変わらず、積み重なったブロックを一つ一つ崩さないように抜き取っていくのだが、繊細なバランス調整なども必要となり、しかも真四角ではなく形が鳥のようなものだからこそ、難易度が上がっている。
一つ、また一つと互いに抜いていき、だんだんジェーンガァ全体のバランスが崩れてきたのが、グラグラと揺れ始める。
「ここまでくると、もうちょっとだし…‥‥どっちで崩れるかハラハラするね」
【キュル、この勝負、負けない】
互いに緊張し合いつつ、ぐらつくブロックを抜いていく。
一呼吸を置いて見定めたり、糸で微妙な位置を確認しながら力を調節し…‥‥もう間もなく、終わりを迎えるだろう。
【キュルル‥ル、これ、最後!】
ようやくあと一つ、これで全部が崩れる限界まで来たところで、ハクロが最後の一手で攻めようとした…‥‥その時であった。
ドッガァァァン!!
ガシャァァァン!!
【「ああああああああああああああ!?」】
昨晩に続いて聞えてきた爆発音によって、寮が少し揺れたのか、トドメを刺してしまったらしい。
あともうちょっとでというところで、見るも無残にジェーンガァは崩れ去ってしまった。
「‥‥‥今の爆発は何だ?なにかあったのかな?」
【なんか悔しい!!今の無ければ、私勝ってた!!ちょっと許せない!!】
ぷくぅぅっと頬を膨らませて、ぷんすこと怒るハクロ。
気持ちは分かるが、今の揺れは何なのかわからないと、ぶつけようがないだろう。
「んー、外を見ると修理作業中の正門のような‥‥‥‥走るのもなんだし、上から確認して見ようか」
廊下を駆け抜けて向かうのも良いが、他の生徒たちも今の音に気が付いたようで、野次馬となって向かう様子が見える。
巻き込まれるのもなんだし、特等席というか、良く見えそうな真上ならば問題あるまい。
そう思い、変身薬と小さくなる薬を素早く作成し、鳥になりつつハクロには小さくなってもらい、窓から飛び立って現場の上空へ向かうことにしたのであった‥‥‥‥
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