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2章 学園初等部~

小話 人の口に戸は立てられぬというが

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‥‥‥異世界召喚。それは、アルスの前世のライトノベルなどにあるような、他の世界に呼び出されるようなことなどがあげられるだろう。

 ある日突然、勇者になってほしいだとか、困っていたから召喚を試してみたとか、事故で、手違いで、巻き添えで…‥‥その他諸々、様々な理由によって引き起こされるものである。

 そして、フキマリア聖国でもその異世界召喚は行われたのだが‥‥‥‥


【ゲギャゲギャゲゲギャガェ!!】
【オンドロルガワァァァ!!】

 荒れ果てた市街を駆け抜け、そう叫びまわるのは異形の怪物。

 この世界には無い存在ではあり、聖国の者が呼び寄せてしまったものであり、大暴れをしていた。

 だがしかし、そんな事は好きにさせないというかのように、怪物たちの周囲を防具の異なる兵士たちが囲んでいく。

「そっちに一体、複数人で囲め!」
「相手がいくら弱いとはいえ、一対一で舐めてかからずにやれ!!」

 フキマリア聖国、いや、既に崩壊した名もなき国となった地では今、各国から派遣された兵士たちが協力して怪物討伐に励んでいた。

 周辺諸国に流れでもしたら、被害が増えるのは目に見えている。

 なので、被害を事前に減らすためにもという事で、対応可能な国々が帝国と協力して軍を派遣し、怪物討伐作業を進めているのだ。


「これで大体何体目だ?」
「確か、768匹目だったはずだ。まだ数がいると考えると、疲れるが、油断するなよ」
「言われなくともしないだろう。怪物討伐とはいえ戦場であり、そこで気を抜くような馬鹿はいないからな」

 所属する国は違えども、発生した怪物たちの討伐を行わなければ後々民に被害が出る。

 ゆえに、自身の国の民たちを守るために兵士たちが派遣して共同で作業を行っていたが、それでも怪物討伐は気が滅入る作業であった。

「休憩だー、一旦飯になるぞー!」
「ただし、見張りはきちんと交代でなー!」

 ある程度討伐しまくってきた当たりで、疲労を考えて出された休憩時間。

 兵士たちは各々の陣地に戻りつつ、ほぅっとひと息をついた。


「‥‥‥にしても隊長、この怪物たちってどこから来たんでしょうかね?今回の作戦では、色々あって自滅した聖国で湧き出た怪物討伐という話しか来ていないのですが‥‥‥」
「さぁな?そこは上の人達しか知らないだろうが‥‥‥少なくとも、いてはならない化け物なのは間違いないだろう。まぁ、やった瞬間に風化して消え失せるのは処理が楽でいいがな」

 兵士たちが各々休憩している中で、とある小隊内でそのような会話が出てきた。

「んー、それでも出所が気になるような‥‥‥」
「おおかた、聖国にいた大馬鹿者どもが変な呪いか魔法で出したんだろうなぁ。それしか考えられんよ」
「まぁ、そうなるかもなぁ」
「後片付けをきちんとしてほしいのに、それをせずにやるとかどんな馬鹿ですか‥‥‥」

 ほぼ当たっているような回答が出るが、そうだとしても聖国の人がやらかしたことの後始末をさせられうのは気分的に辛い物ではある。

 それなら聖国の奴らに押し付けたいのだが‥‥‥残念ながらそうはいかない状態のようで、自分達でやるしかないと理解しており、重い溜息を吐いた。

「何にしても、馬鹿共のせいで引き起こされたことで、国の方へ流れてきて迷惑をかけられたらそれはそれで面倒だからな。大事な家族や、親しい友人などに害されぬためにも、しっかりと討伐せねば」
「そうですね。ここで残しておけば、後々変な形に合体でもしてきて襲撃して来たら、それこそ最悪な事態になりかねませんからね」
「合体はするのか‥?いや、しそうな見た目と言えば見た目だが…‥‥想像したくねぇなぁ」

 ツッコミどころはあれども、守るべきもののために働くので悪くはない。

 しいて言うのであれば、見るだけでもゲテモノで精神的なダメージを与えられるので、そのあたりのケアが欲しいところではあると、討伐していた者たちは思っていた。

「あーあ、心が疲れるというか、この間戦争があってすぐに化け物退治とか休まらないからなぁ。これが終わったら、家族サービスしないとな」
「ああ、そうだな。うちはバツイチだが、それでも子供が待っているのを考えると、早く済ませないといけないと思うからな」
「こちらは妻も彼女もいないのですが‥‥‥ああ、でもそう言えば今、帝都の方で癒しの人がいますからね」
「そう言えばそうだな。あっちにはあっちで、それはそれで目と心の保養にはなるかな」

 ふと、一人の隊員がつぶやいた言葉に対してそう答える者に、なんだと興味を示す者。

 噂話などは他国でも広がるが、早々まだ広がり切っていない場所もあるのだろう。

「ハクロちゃんの笑顔とかは癒されるからなぁ。あんな美女がいて欲しかったと思うと同時に、子猫みたいでペットを飼いたくなる欲求が辛い…‥‥」
「分かる。あんな美人が懐っこすぎる様は、色々と思うからな‥‥‥」

「ん?なんだなんだ、帝都の方で何かがあるのか?」
「あ、他国の‥‥あれ?帝国の方の噂はまだ広まっていなかったけ?」
「生憎我が国はまだ遠いからなぁ。途中なら来ているだろうが‥‥‥」

 興味を示した人に対して、隊員の一人が今、帝都の方にいるとあるモンスターについての話をした。

 いわく、帝国のほうで皇帝陛下お墨付きの安全性を公表されたモンスターがおり、ある少年と生活しているらしく‥‥‥‥







「‥‥なるほどなぁ、癒されるような感じかぁ。それは良いな。今度見て見たいものだが…‥‥この討伐を終えた後に、見る機会はあるだろうか?」
「あると言えばあるだろうけれど、そう多く見れるもんでもないな」
「ああ、普段彼女はその少年と一緒に生活しているし、学園の方で過ごす分表に出にくい。休日が狙い目なのだが…‥‥この討伐後の帰投時間を考えると、出くわす確率は低いなぁ」

 話して数十分後、他の場所で休憩を取っていた他国の兵士たちも興味を惹かれ、そのモンスターがどの様なものか自身の目で見たくなった。

 ただ、この討伐進行速度を考慮すると休日を過ぎてしまうのが目に見えており、もう少し早める必要がある。

 まぁ、それでも休日とはいえ自身の目で見る機会があるのかと言われれば確定ではないのだが…‥‥こんな気の滅入る怪物討伐のあとでの自分へのご褒美だと思えば、やる気も自然と沸くものだ。

「なら、さっさと怪物どもを全滅させないとな。残して置いたらそんな面白そうな光景を見れなくなるだろうし、早めに討伐して損はない」
「楽しみができる分、多少気が滅入ろうが気にもならないだろう。さぁ、全員で協力して一気に叩き潰すぞ!!」
「「「「おおおおおお!!」」」」

 やる気を向上させ、兵士たちはさらに討伐速度を速めていく。

 人間、何かと目標があればそれに向かって突き進むことができ、成しとげるためにも努力を惜しまずに生きることができるもの。

 ゆえに、兵士たちの討伐速度は飛躍的に向上し、予定していた日数よりも早く怪物たちは全滅した。

 そして、意気揚々と帰還の時となり、帰国ついでに帝国の帝都へ寄ってその噂のモンスターとやらを目にした後‥‥‥彼らもまた、ハクロファンクラブに加入をすることを決めるのであった。

「ところで気になるのだが、このファンクラブって公式なのか?彼女に対して秘密裏にやっているような‥‥‥」
「堂々とするのは流石にできないからな…‥‥それに、こうやって直接目で見て信用できる奴がいないと、何かと面倒な事にもなる。そちらの国とかには、何かと馬鹿な貴族様もいるだろう?」
「ああ、いると言えばいるな…‥‥そう考えると、堂々とするのではなく影から見守るように活動するのはいいかもしれない。ああ、ついでにこちらの方も何人か引き込めるかもしれない」
「しかし、こうしてみると愛らしくも思えるが…‥‥もどかしくも思えるな。あの少年、もう少し年を取ってくれればいいのだが…‥‥まだ先かぁ」
「理想のカップルとなりそうなのに、そこまでの道のりが長いのも本当にもどかしい‥‥‥ああ、早く見たいと思わせるような欲求があるのが、彼女を見るデメリットかもしれない」

‥‥‥何にしてもこの日、他国の者でもファンクラブが結成されたのは良いのだが、他国の間諜たちの間で秘密裏に既に結成されており、徐々に規模が拡大していくのはまた別のお話である。





【キュルル?んー‥‥‥?】
「どうしたの、ハクロ?」
【何か今、視線感じた。けれど…‥‥敵意は無いし、放置で良いのかなー?キュル?】
「皇帝陛下が間諜とかで見張っているのかもしれないけど…‥‥まぁ、見られて困るようなことは無いし、大方ハクロを始めて見た人が驚愕の目で見たとか、そう言うのじゃないかな?」
【キュルゥ‥‥‥そうかな?でも、それはそれで、何もないなから良いかも。アルス、それじゃ、買い物の続きをしよう!】

 



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