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2章 学園初等部~
2-40 斜め上にいってほしくなかった
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‥‥‥穏やかな日というのは、ずっと穏やかに過ごしていたいものである。
授業が終わった後の放課後も、ゆったり‥‥
「していたかったのに、何で急に王城から呼び出しが来るんだろうか?」
【キュル、何かしたっけ?】
ハクロと首をかしげて見ても、急に城へ呼ばれる理由が分からない。
変な事とかはしていないはずだし、正妃様経由での薬の販売もしっかりと行っており、領地の方は王城からの代官派遣が行われている。
考えられるのはその後者の方での話か、はたまたは何かわからない内にしでかしたのか…‥‥何にしても、召喚されるのであれば向かわないわけにもいかないだろう。
そう言うわけで色々な可能性を考えつつも、僕らは王城に到着して謁見室に入った。
「おお、かなり早くこれたな、アルス・フォン・ヘルズにハクロよ」
「はっ。皇帝陛下からの呼び出しという事で、迅速に参りました」
【キュル、キュルル】
臣下としての礼を取りつつ、呼び出された内容に関して手短に説明を受けると…‥‥どうやら、聖国の方での話だった。
ただし、悪い意味のものである。
「‥‥聖国が、消えた?」
「そうだ。正確には、聖国の教徒全員だがな」
‥‥‥その報告をもたらしてきたのは、帝国の間諜たち。
聖国内へ潜り込み、工作などを行って自滅させていき、そろそろ一気に潰せそうになったというところで…‥‥聖国の上層部が暴挙に出たことが原因らしい。
「聖国内の教会全部に信徒たちを集め、放火。調べによれば全部で確認され、死傷者は大勢いるようだ」
【キュル、何で、そんな事を?信徒、消しても、意味ない】
「ああ、普通はどう考えても意味は無いだろう。集団心中などであればまだわからなくもないが、誰もが放火されるとは思っておらずに逃げようとしたそうだ」
一応、教会内にいた全員が焼死してはおらず、酷いやけどを負いながらもなんとか生還した人たちがいたらしい。
間諜たちの中にも、本来であれば関わらないように動くのだが、流石にこの人命を一気に奪うような暴挙に対しては倫理的に考えて動き、救助活動をしたそうだが…‥‥それでも、多くの犠牲者が出たそうだ。
「何故、このような大勢の命を奪うような真似に出たのか…‥‥それは何やら、強力な呪術を行うためだったらしい」
呪術‥‥‥‥魔法がある世界だけに、呪いなどもあるようだが、聖国はその呪術に関しての分野も秀でていたらしい。
まぁ、いわゆるマッチポンプ的な行動をするのにも必要であり、呪われているから解呪したきゃ教徒になるか金を払えと言うようなヤクザまがいのような行為をしていたこともすでに判明しているだけに、呪いに関してはかなりの知識を有していたらしい。
なお、僕らにもその手段が行われそうな可能性もあったのだが…‥‥そちらは間諜たちが工作して妨害したそうだ。
それはともかくとして、話を戻すとその呪術とやらには、生贄を捧ぐことで実行するものもあるらしく‥‥‥‥大勢の命を奪ったのは、その生贄にする目的があったらしい。
「結果として、多少の人数を救えたが数としては十分であり、聖国の中央部、大神殿とやらの奥深くにて、呪術が完成してしまったようだ」
「完成‥‥‥それはどのようなものなのでしょうか?」
「報告によれば、どうやら異世界と呼ばれるような場所から人を呼ぶ…‥‥ああ、我が妻からアルス、お前のその転生者などの話に関しては理解しているのだが、どうやらそれに似たような手法としての異世界召還を行ったそうだ」
‥‥‥‥正妃様経由で転生者云々は理解しているようだが、どうやら今回はその転生者ではなく転移者を召喚されたらしい。
ただしそれは、まともな代物では無かったようで‥‥‥‥
「一つ聞きたいのだが、アルス。お前のいた世界の人間は、この世界の者と容姿が大きく異なるか?」
「えっと…‥‥特にないです。精々、髪色などがこの世界の方が多いなと思う程度ですが」
「そうか。ならば聖国のやらかした異世界召還は、お前の世界の者ではないものを呼び寄せたようだな。いや、流石に報告にあったようなものが闊歩する世界があるとも思いたくは無いのだが…‥‥」
どうやら今回僕を呼んだのは、その異世界召還された者の容姿に何か問題があり、その確認をしたかっただけらしい。
何か強すぎるチートな人でも召喚されたので、そのためにどうにかしろとか言われるかと思ったが、そうでも無い様だ。
念のために正妃様にも既に問いかけ済みらしいが‥‥‥何やら嫌な予感しかしない。
「あの、皇帝陛下。聖国の行った異世界召還は、人間を呼んだのでしょうか?」
「ああ、神殿にいた者はそのつもりだったようだが…‥‥人間とは到底呼べないような物を呼んだそうだ。そうだな、誰か報告で渡された姿絵を持ってこい」
皇帝陛下がパンっと手を叩けば、すっと間諜の者と見られる人がどこからともなく表れ、記録された姿絵を渡してくれた。
そしてハクロと一緒に見れば‥‥‥‥その姿は到底、人間とは言えない代物であった。
「というか陛下、これがうろついている世界があるってのも怖いのですが」
【キュル‥悪夢に出そう】
眼球に直接人のような足が生え、その足の節々に口や目が存在している異形の怪物。
なんというか、目を主体に人間を適当に混ぜたかのような姿になっているのだが…‥‥シンプルな異形の姿だからこそ、恐怖を感じさせるだろう。
目玉おやじの魔改造とも例えられそうだが、それはそれで怖さが半減…‥‥しないな。リアルすぎるし、余計なものが付属され過ぎている。
「もっと言えば、召喚されたのは一人、いや、化け物ならば一匹か?それだけではない」
「‥‥‥と言いますと、まだいるということでしょうか」
「そうだ。その数、およそ三千匹…‥‥その眼球から怪光線を放ち、蹴りで周囲を砕き、口から毒ガスを吐きまわって聖国中を暴れているそうだ」
何て地獄絵図なのかと言いたいが、どうやら聖国は異世界召還でとんでもない化け物を引き当ててしまったらしい。
異世界召還だと、大抵一人~三十人ほどの一クラス分が予想できるのだが、それをはるかに上回る人数が出るとは…‥‥いや、これ異世界召還と言えば召喚だけど、何か間違っている気がする。
うん、使い魔とか悪魔、邪神召喚とかが当てはまりそうな類なのではないか。
とにもかくにも、とりあえず同郷の世界からではなく、もっと違う世界から呼び出された化け物であることは確認できた。
ついでにその化け物たちが大暴れをしていることによって、聖国そのものにも終焉を告げるのだが…‥‥問題はその後のことである。
「化け物が闊歩している国って、放置したら不味い奴ですね」
「その通りだ。…‥‥はぁ、非常に頭が痛くなる」
一応、幸いな事と言うべきか、化け物の強さそのものに関してはそこまで非常に強いわけでもないらしい。
事前に騎士たちが戦争に備えて出ており、既に一体討伐して見たところで…‥‥そこまで苦戦はしなかったそうだ。
まぁ、一国が滅亡したが、その前に生贄の件でほとんど人がいなくなっていたのもある。
ゆえに、討伐隊を組むことになるのだが、全滅させたところで聖国自体が扱いようがない。
まだ生き残りは多少いるだろうが‥‥‥‥それでも、聖国のこれまでの事を考えるとその人たちだけで立て直しができるわけもない。
なので、各国と慎重に協議しつつ…‥‥全滅させた後は領土を分け合うことにしたらしいが、それでもその管理に関して誰を出すのかなどが悩みのためになるらしい。
「一つ聞きたいがアルス・フォン・ヘルズ。ヘルズ家は男爵家から侯爵家まで戻す予定はあるが、ついでに土地を与えるからさらに上の位を目指す気はあるかね?」
「‥‥無いですね」
「そうか、それは残念だ」
無理に強要することは無いようだが、それでも治める人員を捜さなければいけない帝国の上層部。
大きな国を治めるからこその苦労が物凄く垣間見え、何かと難しい問題なんだなと感じ取る。
「領地を増やす気はありませんが、正妃様経由で卸している薬の種類を増やしましょうか?抜け毛などの予防になる薬なども作れますが‥‥‥」
「ぜひとも頼む」
大人って、本当に大変なんだなぁ…‥‥でも、他人ごとでは済まない気がする。
今はまだないだろうけれど、その内こっそりと押し付けられていきそうな気がするし、そのあたりもしっかりしないとね。
何にしても、面倒事の塊であった国がつぶれたのは良かったのだが…‥‥さらに厄介な後始末を残してほしくなかったなぁと思えるのであった‥‥‥
授業が終わった後の放課後も、ゆったり‥‥
「していたかったのに、何で急に王城から呼び出しが来るんだろうか?」
【キュル、何かしたっけ?】
ハクロと首をかしげて見ても、急に城へ呼ばれる理由が分からない。
変な事とかはしていないはずだし、正妃様経由での薬の販売もしっかりと行っており、領地の方は王城からの代官派遣が行われている。
考えられるのはその後者の方での話か、はたまたは何かわからない内にしでかしたのか…‥‥何にしても、召喚されるのであれば向かわないわけにもいかないだろう。
そう言うわけで色々な可能性を考えつつも、僕らは王城に到着して謁見室に入った。
「おお、かなり早くこれたな、アルス・フォン・ヘルズにハクロよ」
「はっ。皇帝陛下からの呼び出しという事で、迅速に参りました」
【キュル、キュルル】
臣下としての礼を取りつつ、呼び出された内容に関して手短に説明を受けると…‥‥どうやら、聖国の方での話だった。
ただし、悪い意味のものである。
「‥‥聖国が、消えた?」
「そうだ。正確には、聖国の教徒全員だがな」
‥‥‥その報告をもたらしてきたのは、帝国の間諜たち。
聖国内へ潜り込み、工作などを行って自滅させていき、そろそろ一気に潰せそうになったというところで…‥‥聖国の上層部が暴挙に出たことが原因らしい。
「聖国内の教会全部に信徒たちを集め、放火。調べによれば全部で確認され、死傷者は大勢いるようだ」
【キュル、何で、そんな事を?信徒、消しても、意味ない】
「ああ、普通はどう考えても意味は無いだろう。集団心中などであればまだわからなくもないが、誰もが放火されるとは思っておらずに逃げようとしたそうだ」
一応、教会内にいた全員が焼死してはおらず、酷いやけどを負いながらもなんとか生還した人たちがいたらしい。
間諜たちの中にも、本来であれば関わらないように動くのだが、流石にこの人命を一気に奪うような暴挙に対しては倫理的に考えて動き、救助活動をしたそうだが…‥‥それでも、多くの犠牲者が出たそうだ。
「何故、このような大勢の命を奪うような真似に出たのか…‥‥それは何やら、強力な呪術を行うためだったらしい」
呪術‥‥‥‥魔法がある世界だけに、呪いなどもあるようだが、聖国はその呪術に関しての分野も秀でていたらしい。
まぁ、いわゆるマッチポンプ的な行動をするのにも必要であり、呪われているから解呪したきゃ教徒になるか金を払えと言うようなヤクザまがいのような行為をしていたこともすでに判明しているだけに、呪いに関してはかなりの知識を有していたらしい。
なお、僕らにもその手段が行われそうな可能性もあったのだが…‥‥そちらは間諜たちが工作して妨害したそうだ。
それはともかくとして、話を戻すとその呪術とやらには、生贄を捧ぐことで実行するものもあるらしく‥‥‥‥大勢の命を奪ったのは、その生贄にする目的があったらしい。
「結果として、多少の人数を救えたが数としては十分であり、聖国の中央部、大神殿とやらの奥深くにて、呪術が完成してしまったようだ」
「完成‥‥‥それはどのようなものなのでしょうか?」
「報告によれば、どうやら異世界と呼ばれるような場所から人を呼ぶ…‥‥ああ、我が妻からアルス、お前のその転生者などの話に関しては理解しているのだが、どうやらそれに似たような手法としての異世界召還を行ったそうだ」
‥‥‥‥正妃様経由で転生者云々は理解しているようだが、どうやら今回はその転生者ではなく転移者を召喚されたらしい。
ただしそれは、まともな代物では無かったようで‥‥‥‥
「一つ聞きたいのだが、アルス。お前のいた世界の人間は、この世界の者と容姿が大きく異なるか?」
「えっと…‥‥特にないです。精々、髪色などがこの世界の方が多いなと思う程度ですが」
「そうか。ならば聖国のやらかした異世界召還は、お前の世界の者ではないものを呼び寄せたようだな。いや、流石に報告にあったようなものが闊歩する世界があるとも思いたくは無いのだが…‥‥」
どうやら今回僕を呼んだのは、その異世界召還された者の容姿に何か問題があり、その確認をしたかっただけらしい。
何か強すぎるチートな人でも召喚されたので、そのためにどうにかしろとか言われるかと思ったが、そうでも無い様だ。
念のために正妃様にも既に問いかけ済みらしいが‥‥‥何やら嫌な予感しかしない。
「あの、皇帝陛下。聖国の行った異世界召還は、人間を呼んだのでしょうか?」
「ああ、神殿にいた者はそのつもりだったようだが…‥‥人間とは到底呼べないような物を呼んだそうだ。そうだな、誰か報告で渡された姿絵を持ってこい」
皇帝陛下がパンっと手を叩けば、すっと間諜の者と見られる人がどこからともなく表れ、記録された姿絵を渡してくれた。
そしてハクロと一緒に見れば‥‥‥‥その姿は到底、人間とは言えない代物であった。
「というか陛下、これがうろついている世界があるってのも怖いのですが」
【キュル‥悪夢に出そう】
眼球に直接人のような足が生え、その足の節々に口や目が存在している異形の怪物。
なんというか、目を主体に人間を適当に混ぜたかのような姿になっているのだが…‥‥シンプルな異形の姿だからこそ、恐怖を感じさせるだろう。
目玉おやじの魔改造とも例えられそうだが、それはそれで怖さが半減…‥‥しないな。リアルすぎるし、余計なものが付属され過ぎている。
「もっと言えば、召喚されたのは一人、いや、化け物ならば一匹か?それだけではない」
「‥‥‥と言いますと、まだいるということでしょうか」
「そうだ。その数、およそ三千匹…‥‥その眼球から怪光線を放ち、蹴りで周囲を砕き、口から毒ガスを吐きまわって聖国中を暴れているそうだ」
何て地獄絵図なのかと言いたいが、どうやら聖国は異世界召還でとんでもない化け物を引き当ててしまったらしい。
異世界召還だと、大抵一人~三十人ほどの一クラス分が予想できるのだが、それをはるかに上回る人数が出るとは…‥‥いや、これ異世界召還と言えば召喚だけど、何か間違っている気がする。
うん、使い魔とか悪魔、邪神召喚とかが当てはまりそうな類なのではないか。
とにもかくにも、とりあえず同郷の世界からではなく、もっと違う世界から呼び出された化け物であることは確認できた。
ついでにその化け物たちが大暴れをしていることによって、聖国そのものにも終焉を告げるのだが…‥‥問題はその後のことである。
「化け物が闊歩している国って、放置したら不味い奴ですね」
「その通りだ。…‥‥はぁ、非常に頭が痛くなる」
一応、幸いな事と言うべきか、化け物の強さそのものに関してはそこまで非常に強いわけでもないらしい。
事前に騎士たちが戦争に備えて出ており、既に一体討伐して見たところで…‥‥そこまで苦戦はしなかったそうだ。
まぁ、一国が滅亡したが、その前に生贄の件でほとんど人がいなくなっていたのもある。
ゆえに、討伐隊を組むことになるのだが、全滅させたところで聖国自体が扱いようがない。
まだ生き残りは多少いるだろうが‥‥‥‥それでも、聖国のこれまでの事を考えるとその人たちだけで立て直しができるわけもない。
なので、各国と慎重に協議しつつ…‥‥全滅させた後は領土を分け合うことにしたらしいが、それでもその管理に関して誰を出すのかなどが悩みのためになるらしい。
「一つ聞きたいがアルス・フォン・ヘルズ。ヘルズ家は男爵家から侯爵家まで戻す予定はあるが、ついでに土地を与えるからさらに上の位を目指す気はあるかね?」
「‥‥無いですね」
「そうか、それは残念だ」
無理に強要することは無いようだが、それでも治める人員を捜さなければいけない帝国の上層部。
大きな国を治めるからこその苦労が物凄く垣間見え、何かと難しい問題なんだなと感じ取る。
「領地を増やす気はありませんが、正妃様経由で卸している薬の種類を増やしましょうか?抜け毛などの予防になる薬なども作れますが‥‥‥」
「ぜひとも頼む」
大人って、本当に大変なんだなぁ…‥‥でも、他人ごとでは済まない気がする。
今はまだないだろうけれど、その内こっそりと押し付けられていきそうな気がするし、そのあたりもしっかりしないとね。
何にしても、面倒事の塊であった国がつぶれたのは良かったのだが…‥‥さらに厄介な後始末を残してほしくなかったなぁと思えるのであった‥‥‥
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