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2章 学園初等部~
2-6 連れて来まして見せまして
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…‥‥ある程度の内容は把握していた。
教員として働く身とは言え、間諜たちからも話を聞いており、どの様な相手なのかということぐらいを。
きちんと手続きを踏まえて、質問に来る生徒なのは良いのだが‥‥‥‥
「‥‥‥実際に目にさせられると、信じがたいな…‥‥」
【キュルルゥ?】
「えっと、ハクロを連れてきても大丈夫だったのでしょうか‥‥?直接聞きたいので、思い切って元のサイズにして連れてきたんですが…‥‥」
「あ、ああ、大丈夫だ。これでもモンスターの研究もしているために、この程度ならばまだ許容範囲だ。いつだったか、とあるやつを見た時よりも、十分心に余裕があるだろう」
過去に色々あって、トラウマになった経験が色々とあるからこそ、この状況はガルバンゾー講師にとってはまだマシな方であった。
そう、たとえ目の前にいるのが、報告にあった生徒とそのモンスターだとしても‥‥‥人の体を持つモンスターだとしても、問題はない。
そう頭の中できちんと整理しつつ、ガルバンゾーはわざわざ明かしてくれた生徒のためにも、真剣になるのであった…‥‥
「…‥‥ふむ、信じがたいが、ありえないわけでもない。過去に人の姿をとるようなモンスターの例ならばあるからな」
放課後、きちんと手続きを経て、ガルバンゾー講師の元へ僕は来ていた。
そして、思い切って直接見てもらう方が早いと思い、元のサイズにハクロを戻して部屋に通してもらったのだが‥‥‥思いのほか、ガルバンゾー講師は驚愕しまくるわけでもなく、冷静に対応してくれた。
「しかし、話を聞くと元は大きな白い蜘蛛か‥‥‥」
うーむと唸るように、そう口にするガルバンゾー講師。
なんでも蜘蛛のモンスターも、実は割と種類が多いらしい。
「『ホワイトタラテクト』、『スノータラテクト』、『ゴーストタランチュラ』、『マッシュスパイダー』…‥‥体が大きく、白い蜘蛛のモンスターで言えば、まだまだいるな」
「意外にも種類が多いんですね」
「ああ、かなりの数がいる。とは言え、大人しい気性に、モフモフしていた体の毛、黒い毛での模様の形成を考えるならば…‥‥元の種族は、おそらく『ホーリータラテクト』が該当するだろう」
――――――――――――――
『ホーリータラテクト』
聖なる蜘蛛のモンスターと呼ばれるような種族。
凶暴な蜘蛛のモンスターが数多くいるのだが、その中でも気性が極めて穏やかでありつつ、周囲を自然と癒す性質を持つ。
凶暴な類がいても数時間ほど一緒にいるだけで敵意を失くすという話もある。
とは言え、ただ癒すのではなく、その癒しを失わせないように周囲をたぶらかしているという話もあり、互に利益のある関係を成り立たせつつも自身の身をより安全にする魔性の蜘蛛とも呼ばれている。
――――――――――――――
…‥‥要は守ってもらう代わりに傷を癒してもらうようにしているモンスターだという事だ。
ただ、その癒しの効果は自身にはなく、だからこそ大怪我を負ったのであれば自分で癒せないそうだ。
「とはいえ、死んだとしてもその遺体は周囲を癒し続けるだけの素材にはなるらしく、その癒しの力を持った毛や糸を狙っての討伐がある。ゆえに、大怪我の話を聞くとその討伐目的で狙われたのだろう」
それにしても、怪我を負わせるだけ負わせて、それ以降は何もしていなかったというのも妙な話になるようだ。
「生かすのではなく、討伐であれば即絶命させるだろうからな。素材さえ取れればいいのだが‥‥‥むぅ、状況と言い、なぜそこにいたのかという疑問があるが、それは分からん」
とりあえず今は、姿もだいぶ変わっているのもあって、直ぐにその元の種族であると当てられる可能性はなさそうだ。
「それに、人の容姿も取ってはいるが、まだ蜘蛛部分もある。危険視される前に、手続きを取って安全なモンスターであると周知してもらう方が、今後のためになるだろう」
モンスターであっても、直ぐに人を襲うような類でもなければ、申請して許可をもらい、共に過ごすことは認められるらしい。
今のハクロの状態を見る限り、人を襲う事はないだろうし、その手続きも案外楽に終わりそうなのだとか。
「幸い、わたしにはその手続きに関して伝手があるからな。頼って相談してくれたのもあるし、できる限り力になろう」
「ありがとうございます、ガルバンゾー講師」
【キュルルゥ】
僕がお礼を述べると、ハクロも内容が大体伝わったのか、同じようにぺこりとお辞儀する。
「ふむ、やはり頭は良いというか、ここまで理解しているとなると、頑張れば人の言葉も教えることができそうだな‥‥‥なら、より早く人前に出せるようにした方が良いだろう。言葉を覚えるうえで、大事なのはその言葉を使えるような環境を整えるのが良いからな」
まぁ、何にしてもそのホーリータラテクトから姿が変わった彼女のより正確な種族名称は不明だが、現状はそのままの種族名で良いらしい。
種族名称の正式な決定などは、決める機関があるそうで、そちらの方で審議して正式な種族名が付くようだ。
「とりあえず、今日のところはこれでいいだろうが‥‥‥特に礼を求めるわけでもないが、何か変わったことなど、相談したいことがあれば彼女を伴って来てくれ。出来れば、言葉も話せるようにしてもらう方が色々と聞き取れるだろうし、ホーリータラテクト自体がまだまだ研究の余地がある存在なので、それそのものから話を聞ける機会は、こちらとしてもかなり役に立つからな」
「わかりました」
ひとまずはこれで相談事は終わりにしつつ、早く手続きが出来れば数日以内にはもう隠す必要もなく、一緒にいることはできるらしい。
安心感を抱きつつ、なんとか平穏無事に終わったなあっと思っていたところで…‥‥ふと、ガルバンゾー講師が尋ねてきた。
「そう言えば、君はヘルズ男爵家出身の生徒だとは聞くが、家族にはこの事を話しているのかね?」
「いえ、話せていません。というのも、ちょっと相談しづらくて‥‥‥」
「ふむ?何か問題があるならば、それも話してもらっても構わない。悩みごとをため込むのは、人にとっては良くないからな」
どうしようかなと少し考え、それとなく僕は実家の事情について少し話すのであった…‥‥
‥‥‥話を終え、アルスとハクロが寮の自室へ戻った後、ガルバンゾーは部屋の椅子に腰を掛け、聞いた話について整理していた。
「…‥‥蜘蛛のモンスターの懐き具合なども驚いたが‥‥‥ふむ、やはり男爵家の当主は何かをやらかしているな」
話を聞く限り、アルス本人は男爵家を継ぐ意思はなく、兄たちの当主争いを傍観し、籍を抜くことも視野に入れている状態。
だが、話によれば現当主は賭博に通っており、その夫人もどこかの家の愛人になっているなどというドロドロとした内容まではちょっと聞きたくはなかった。
まっくろくろすけな話などは貴族界隈に溢れていたりするが、実際に聞くと当事者でもないのに嫌な気分になるのだ。
「そのような家庭環境で、よく真っ直ぐに育ったな‥‥‥いや、それよりもどさくさに紛れてごまかしているだろうが、何か特殊な能力も隠したままのようだな」
あの大きな蜘蛛のモンスターとバレずに一緒にいるために、小さくなる薬などを使っていたというが、どこから入手したかなどという話はしていなかった。
まぁ、間諜によれば何やら薬を精製できるような能力を持っているようなので、そのあたりについての調査も必要となるのだろうが…‥‥
「とはいえ、こうなってくると男爵家の当主も十分怪しかったが‥‥‥その夫人も妙だな。愛人としてどこかに行っているというが、そこまでの魅力があるようにも思えぬし‥‥‥これは、当主だけがやらかしたことではないな?」
異母兄弟、元は侯爵家だったはずの男爵家、当主の賭博、夫人の愛人業…‥‥何かとドロドロとしており、何か企みが見えてきそうな感じではある。
「‥‥‥話は聞いていたな?」
「はっ」
ぱんっとガルバンゾー講師が手を叩くと、部屋の隅に人影が現れる。
「彼が連れていたモンスターを人前に出せる手続きと、同時により深い部分で探るようにしろ。事は男爵家以外にも及ぶ可能性がある」
爵位簒奪を当主が目論んでいるだけならばまだ良かったのかもしれない。
けれども、話を聞く限りその当主以外の‥‥‥今の妻の座に収まっている夫人の背後にも、黒い物を感じた。
「さらに、前夫人‥‥‥あの少年の亡き母の死因についても、より詳しい調査が必要だ。場合によっては強制捜査も視野に入れておけ」
「了解」
そう返答して、その人影はさっと姿を消した。
「やれやれ…‥‥今の教師という立場であるからこそ、国の厄介事にそうそう関わる気もなかったが‥‥‥いや、教師だからこそ、生徒のためにできる限りのことをしなければな」
ガルバンゾー講師はそうつぶやきつつ、書類をいくつか取り出して、先ほどアルスと話していたモンスターとの寮での堂々とした生活許可や、人前に出しても大丈夫な手続きに関して手を付け始める。
さらに、念には念を入れて彼の周囲に関して警戒を入れるようにしつつ、彼の兄たちに関しても詳しい調査を行い始めるのだった‥‥‥
「…‥‥そもそも、あの様子から見ておかしいとは誰もが思うような気がするがな。母は違えども同じ父であれば、血の繋がった兄弟。だが、あの様子を見る限り…‥‥本当に、兄弟なのか?」
もしも、そのつぶやきが彼らを知る教員が聞けば、全員同意したであろう。
アルスとその兄たちは、色々と違いすぎるし‥‥‥本当に同じ父親なのかという点に関しては疑いの目を持つ。
もしもの可能性を考えるのであれば‥‥‥当主云々前に、先ず貴族なのかどうなのかという話にも及ぶだろう‥‥‥‥
教員として働く身とは言え、間諜たちからも話を聞いており、どの様な相手なのかということぐらいを。
きちんと手続きを踏まえて、質問に来る生徒なのは良いのだが‥‥‥‥
「‥‥‥実際に目にさせられると、信じがたいな…‥‥」
【キュルルゥ?】
「えっと、ハクロを連れてきても大丈夫だったのでしょうか‥‥?直接聞きたいので、思い切って元のサイズにして連れてきたんですが…‥‥」
「あ、ああ、大丈夫だ。これでもモンスターの研究もしているために、この程度ならばまだ許容範囲だ。いつだったか、とあるやつを見た時よりも、十分心に余裕があるだろう」
過去に色々あって、トラウマになった経験が色々とあるからこそ、この状況はガルバンゾー講師にとってはまだマシな方であった。
そう、たとえ目の前にいるのが、報告にあった生徒とそのモンスターだとしても‥‥‥人の体を持つモンスターだとしても、問題はない。
そう頭の中できちんと整理しつつ、ガルバンゾーはわざわざ明かしてくれた生徒のためにも、真剣になるのであった…‥‥
「…‥‥ふむ、信じがたいが、ありえないわけでもない。過去に人の姿をとるようなモンスターの例ならばあるからな」
放課後、きちんと手続きを経て、ガルバンゾー講師の元へ僕は来ていた。
そして、思い切って直接見てもらう方が早いと思い、元のサイズにハクロを戻して部屋に通してもらったのだが‥‥‥思いのほか、ガルバンゾー講師は驚愕しまくるわけでもなく、冷静に対応してくれた。
「しかし、話を聞くと元は大きな白い蜘蛛か‥‥‥」
うーむと唸るように、そう口にするガルバンゾー講師。
なんでも蜘蛛のモンスターも、実は割と種類が多いらしい。
「『ホワイトタラテクト』、『スノータラテクト』、『ゴーストタランチュラ』、『マッシュスパイダー』…‥‥体が大きく、白い蜘蛛のモンスターで言えば、まだまだいるな」
「意外にも種類が多いんですね」
「ああ、かなりの数がいる。とは言え、大人しい気性に、モフモフしていた体の毛、黒い毛での模様の形成を考えるならば…‥‥元の種族は、おそらく『ホーリータラテクト』が該当するだろう」
――――――――――――――
『ホーリータラテクト』
聖なる蜘蛛のモンスターと呼ばれるような種族。
凶暴な蜘蛛のモンスターが数多くいるのだが、その中でも気性が極めて穏やかでありつつ、周囲を自然と癒す性質を持つ。
凶暴な類がいても数時間ほど一緒にいるだけで敵意を失くすという話もある。
とは言え、ただ癒すのではなく、その癒しを失わせないように周囲をたぶらかしているという話もあり、互に利益のある関係を成り立たせつつも自身の身をより安全にする魔性の蜘蛛とも呼ばれている。
――――――――――――――
…‥‥要は守ってもらう代わりに傷を癒してもらうようにしているモンスターだという事だ。
ただ、その癒しの効果は自身にはなく、だからこそ大怪我を負ったのであれば自分で癒せないそうだ。
「とはいえ、死んだとしてもその遺体は周囲を癒し続けるだけの素材にはなるらしく、その癒しの力を持った毛や糸を狙っての討伐がある。ゆえに、大怪我の話を聞くとその討伐目的で狙われたのだろう」
それにしても、怪我を負わせるだけ負わせて、それ以降は何もしていなかったというのも妙な話になるようだ。
「生かすのではなく、討伐であれば即絶命させるだろうからな。素材さえ取れればいいのだが‥‥‥むぅ、状況と言い、なぜそこにいたのかという疑問があるが、それは分からん」
とりあえず今は、姿もだいぶ変わっているのもあって、直ぐにその元の種族であると当てられる可能性はなさそうだ。
「それに、人の容姿も取ってはいるが、まだ蜘蛛部分もある。危険視される前に、手続きを取って安全なモンスターであると周知してもらう方が、今後のためになるだろう」
モンスターであっても、直ぐに人を襲うような類でもなければ、申請して許可をもらい、共に過ごすことは認められるらしい。
今のハクロの状態を見る限り、人を襲う事はないだろうし、その手続きも案外楽に終わりそうなのだとか。
「幸い、わたしにはその手続きに関して伝手があるからな。頼って相談してくれたのもあるし、できる限り力になろう」
「ありがとうございます、ガルバンゾー講師」
【キュルルゥ】
僕がお礼を述べると、ハクロも内容が大体伝わったのか、同じようにぺこりとお辞儀する。
「ふむ、やはり頭は良いというか、ここまで理解しているとなると、頑張れば人の言葉も教えることができそうだな‥‥‥なら、より早く人前に出せるようにした方が良いだろう。言葉を覚えるうえで、大事なのはその言葉を使えるような環境を整えるのが良いからな」
まぁ、何にしてもそのホーリータラテクトから姿が変わった彼女のより正確な種族名称は不明だが、現状はそのままの種族名で良いらしい。
種族名称の正式な決定などは、決める機関があるそうで、そちらの方で審議して正式な種族名が付くようだ。
「とりあえず、今日のところはこれでいいだろうが‥‥‥特に礼を求めるわけでもないが、何か変わったことなど、相談したいことがあれば彼女を伴って来てくれ。出来れば、言葉も話せるようにしてもらう方が色々と聞き取れるだろうし、ホーリータラテクト自体がまだまだ研究の余地がある存在なので、それそのものから話を聞ける機会は、こちらとしてもかなり役に立つからな」
「わかりました」
ひとまずはこれで相談事は終わりにしつつ、早く手続きが出来れば数日以内にはもう隠す必要もなく、一緒にいることはできるらしい。
安心感を抱きつつ、なんとか平穏無事に終わったなあっと思っていたところで…‥‥ふと、ガルバンゾー講師が尋ねてきた。
「そう言えば、君はヘルズ男爵家出身の生徒だとは聞くが、家族にはこの事を話しているのかね?」
「いえ、話せていません。というのも、ちょっと相談しづらくて‥‥‥」
「ふむ?何か問題があるならば、それも話してもらっても構わない。悩みごとをため込むのは、人にとっては良くないからな」
どうしようかなと少し考え、それとなく僕は実家の事情について少し話すのであった…‥‥
‥‥‥話を終え、アルスとハクロが寮の自室へ戻った後、ガルバンゾーは部屋の椅子に腰を掛け、聞いた話について整理していた。
「…‥‥蜘蛛のモンスターの懐き具合なども驚いたが‥‥‥ふむ、やはり男爵家の当主は何かをやらかしているな」
話を聞く限り、アルス本人は男爵家を継ぐ意思はなく、兄たちの当主争いを傍観し、籍を抜くことも視野に入れている状態。
だが、話によれば現当主は賭博に通っており、その夫人もどこかの家の愛人になっているなどというドロドロとした内容まではちょっと聞きたくはなかった。
まっくろくろすけな話などは貴族界隈に溢れていたりするが、実際に聞くと当事者でもないのに嫌な気分になるのだ。
「そのような家庭環境で、よく真っ直ぐに育ったな‥‥‥いや、それよりもどさくさに紛れてごまかしているだろうが、何か特殊な能力も隠したままのようだな」
あの大きな蜘蛛のモンスターとバレずに一緒にいるために、小さくなる薬などを使っていたというが、どこから入手したかなどという話はしていなかった。
まぁ、間諜によれば何やら薬を精製できるような能力を持っているようなので、そのあたりについての調査も必要となるのだろうが…‥‥
「とはいえ、こうなってくると男爵家の当主も十分怪しかったが‥‥‥その夫人も妙だな。愛人としてどこかに行っているというが、そこまでの魅力があるようにも思えぬし‥‥‥これは、当主だけがやらかしたことではないな?」
異母兄弟、元は侯爵家だったはずの男爵家、当主の賭博、夫人の愛人業…‥‥何かとドロドロとしており、何か企みが見えてきそうな感じではある。
「‥‥‥話は聞いていたな?」
「はっ」
ぱんっとガルバンゾー講師が手を叩くと、部屋の隅に人影が現れる。
「彼が連れていたモンスターを人前に出せる手続きと、同時により深い部分で探るようにしろ。事は男爵家以外にも及ぶ可能性がある」
爵位簒奪を当主が目論んでいるだけならばまだ良かったのかもしれない。
けれども、話を聞く限りその当主以外の‥‥‥今の妻の座に収まっている夫人の背後にも、黒い物を感じた。
「さらに、前夫人‥‥‥あの少年の亡き母の死因についても、より詳しい調査が必要だ。場合によっては強制捜査も視野に入れておけ」
「了解」
そう返答して、その人影はさっと姿を消した。
「やれやれ…‥‥今の教師という立場であるからこそ、国の厄介事にそうそう関わる気もなかったが‥‥‥いや、教師だからこそ、生徒のためにできる限りのことをしなければな」
ガルバンゾー講師はそうつぶやきつつ、書類をいくつか取り出して、先ほどアルスと話していたモンスターとの寮での堂々とした生活許可や、人前に出しても大丈夫な手続きに関して手を付け始める。
さらに、念には念を入れて彼の周囲に関して警戒を入れるようにしつつ、彼の兄たちに関しても詳しい調査を行い始めるのだった‥‥‥
「…‥‥そもそも、あの様子から見ておかしいとは誰もが思うような気がするがな。母は違えども同じ父であれば、血の繋がった兄弟。だが、あの様子を見る限り…‥‥本当に、兄弟なのか?」
もしも、そのつぶやきが彼らを知る教員が聞けば、全員同意したであろう。
アルスとその兄たちは、色々と違いすぎるし‥‥‥本当に同じ父親なのかという点に関しては疑いの目を持つ。
もしもの可能性を考えるのであれば‥‥‥当主云々前に、先ず貴族なのかどうなのかという話にも及ぶだろう‥‥‥‥
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