1 / 1
計画通りの婚約破棄!!・・・・・のはずだった
しおりを挟む
「ルミアナ・フォーラム公爵令嬢!!君はこのわたしにふさわしい婚約者ではない!!ふさわしいのは、わたしとの真実の愛を見つけたビルチ・ツメイラ男爵令嬢であり、彼女をここで、次期国王予定である私の婚約者として宣言し、そして彼女に対して悪逆非道な行為をしたとして、ルミアナを身分剥奪の上の国外追放と命令を下す!!」
‥‥‥ついにやりやがったか、あの屑王子は。
その場にいた王子とそのビルチ男爵令嬢を除く全員の心が一致したように、私は感じた。
やっぱりというか、分かっていたというべきか、余りにも愚かすぎて、私は思わず吹き出し笑いをしたくなり、こらえるために、手に持っていた扇で口元を隠したのであった。
というか、他の方々も物凄く笑いをこらえていますよね?
この私、ルミアナ・フォーラム公爵令嬢、いえ、今はもうあの屑王子の命令で身分剥奪されて、ただのルミアナとなりましたけど、この大勢の皆が集まる、ゼウストリア王国のターナン学園の卒業式を祝うこの会場で、あの超屑王子ことバースカ・ゼウストリア第1王子に婚約破棄を言い渡されました。
ま、もうわかっていたことですけどね。
なにしろ、前世ですでに見ましたからねぇ。
この婚約破棄が起こるであろうと分かったのは、今から数年前の王城の中庭である。
当時、あの超屑王子の婚約者にされていた私は、次期王妃教育として、その日は国外での外交時の身の振る舞い方について、学んでいました。
いや本当に王妃教育が厳しくて‥‥‥婚約破棄をして、自由になりたかったとすでに私は思っていましたね。
朝早くから次期王妃としてのマナーや外交手段、座学に基本的な護身術など、山ほどあったのです。
というか、護身術を何故王妃がやる必要があるの?え、王をいざという時に守れるようにするため?
ですが、婚約破棄を#私から__・・・__行うことは出来なかったのです。
それは後で話すとして、その当時私はマナーを学ぶために一生懸命努力をして、その場でついうっかり失敗し、教育係であった人のハリセンを頭に受けました。
するとどうでしょうか!?
そのハリセンの衝撃を受けた途端に、何と一気に物凄い見たことが無いような光景が頭の中に流れ込み、そしてその情報量の多さに呑まれ、私はその時気絶いたしました。
そして、その後すぐに目を覚まし‥‥‥‥そして、理解しました。
「ああ、ここってあのゲームの世界なのか」
と、思わずつぶやきましたが…‥‥誰にも聞かれなかったのは幸いですかね?
この世界、前世でただの女子高生であった私が遊んでいた乙女ゲーム「星への願い事」というのにそっくりなんですよ。
で、こういうのは王道というか、攻略対象とヒロイン、そして悪役令嬢とあるのですが‥‥‥私、この悪役令嬢でした。
なんてこった/(^o^)\。
どのエンドをヒロインが迎えても、結局この私は、悪役令嬢は国外追放されて、そしてその先々で魔物とかいうものに襲われたり、盗賊に襲撃され慰め者になったり、修道院へ入っても爆弾魔が現れてまとめて爆破されるなど、ろくでもない最後しか向かえないのです。
というか、これって乙女ゲームなのになんで爆弾魔ってあるんだ!?
どのみち、最終的に国外追放されたうえに悲惨な末路を迎えるわけですが…‥‥仮になんとか逃れてこの国にとどまれたとしても、ろくでもないことに私は気が付きました。
…‥‥なんというか、結局ヒロインにとられる私の婚約者の第1王子がゲームと違って超屑だったことに。
勉強嫌い、魔法なんかもこの世界にあるのに使えるのは超初心者専用初級魔法だけで、剣術や武術なども苦手と言って全て休み、女好きで私が知るだけでもかなりの数を隠れて遊び惚けているんです。
しかも、まだ婚約者という事であり、挙式までは純潔を守るべき私に対しても、身体を求めようとしたりと・・・・・・いや、私はなんというか、本当に悪役令嬢なのになぜかヒロイン以上の美貌とスタイルをもっているので、わからなくはないですけどね。
とにもかくにも、なぜかこの第1王子は本気の屑でして、なんであんなのが次期国王なのだと密かに城内の使用人たちは嘆いていました。
メイドたちは日頃から手を出されそうになるわ、執事の人はひげをむしり取られそうになるわ、女湯を覗こうとしたりするわ、出来ない宿題を押しつけてくるわ‥‥‥他にも言い切れないほどド屑な事をやらかしていたしね。
一応、昔は第2,3王子などもいたそうですけど、皆なぜか過去に病死なさって、現国王の実子があの屑しかいなくて、しかも、この国は長男相続の世襲制という制度なのだからしょうがない。
‥‥‥でも、あんな王子が国王になったらこの国終わるよね?
周辺には、虎視眈々とゼウストリア王国を狙う国々がありますし、あの屑の頭じゃあっという間に終わってしまうでしょう。
となれば、その中にあったギリギリまだ楽そうそうなエンドで、「王子からの婚約破棄による国外追放」でこの国と縁を切ったほうがどう考えても得策である。
私からだと盗賊に襲われてそりゃもうR18禁へ行くそうですが、王子からのだと魔物に襲われる程度ですので、まだましでしょう。
鍛え上げれば敵ではなさそうですし、今のうちにやってしまえばいいのです!!
そういうわけで、王子からの婚約破棄による国外追放を決意した私は、その日から正妃教育の中に、名目上は「妻が夫を守るのは当然」という事を無理やりいれて、魔法や剣術などの訓練もいれました。
ええ、最初の頃は慣れないことゆえに、毎日筋肉痛になったり、魔力切れになったり、挙句の果てには血反吐まで吐きましたからね。
ですが、数年もたつとめきめきと頭角を表せたのか、あっという間にこの国一番の剣士や魔法使いをなぎ倒せるようになり、とはいえ念には念を入れて、幻とも言われる転移魔法を習得したので密かに国外へ出て行き、武者修行も致しました。
終いには、素手で岩を砕き、滝を切り裂き、海を割り、ドラゴンですら中位ぐらいのものであれば対等に戦えるようになったのですが…‥‥やり過ぎましたかね?
でも、世の中は広く、私よりはまだまだ上がいるはずですし、もっとやってもいいでしょう。
まぁ、そうこうしているうちにいつの間にかヒロインが登場し、今こうして見事にあの屑を寝取ってくれたようです。途中、うまいこと行くように少々いじめでもしてあげようかと思ったのですが・・・・・まぁ、自作自演で自らやっていたので手間が省けましたね。
あのヒロイン、絶対転生者だな。私がきちんといじめようとしたのに、何で自ら・・・・・・まぁ、いいか。
しかもビッチだったようで誰コレ構わず連れ込んでいたようですけどそれはそれでどうでもいいです。
むしろよくやってくれたヒロイン!!国外追放は受け入れるから、その超屑王子を引き取ってくれ!!
ありもしない、よくある教科書を破ったり、水を被せたり、階段から突き落としたりなどのいじめを私はしていないし、自作自演でやっていたのを見ていたけど、その冤罪のおかげでついに国外追放へたどり着けたんだ!!
やったぜヒロイン!!手間が省け、貴女は好きな人と一緒で、私は外へ飛び出せるから一石二鳥、いや、屑王子を持って行ってくれるならば一石三鳥だ!!
心の中で拍手喝さいのヒロインに対する賞賛の声を隠しつつ、私は何とかすぐに国外追放されるために動いた。
「そうですか‥‥‥私が何もやっていないと言っても、貴女は信じてくれないのでしょいうか?」
扇でにやける口元を隠しながら一旦尋ねてみる。ふふふふ、こう言えば・・・・・
「あたりまえだ!!このビルチの証言によって貴様の罪が露見したのだぞ!!おとなしく国外追放を受け入れ、今すぐこの場から去ってしまえ!!貴様が謝っても、心がこもっていないそうだしな!!」
どやぁぁぁ!!っと、物凄く殴りたくなるほど清々しい顔で、屑皇子はそう言い切った。
その言いきり方に、思わず吹き出しそうになる周囲の方々。
どうやら皆、あの王子がどれだけ屑であり、私があの令嬢に何もしていないことを知っており、まさに喜劇としか言いようがないこの状況を笑っているようである。
よし、こうなるのは分かっていたし、言質はとったし、邪魔が入る前にさっさと受け入れましょう。
「それでは、そう申されたので今すぐ出ていきましょう。『転移魔法』」
そう意気揚々と魔法をとなえ、ルミアナはその場から姿を消したのであった。
・・・・・・ルミアナの姿が消えてから数十秒後、その場にいた者たちが突然消えたルミアナに驚き、固まっている中で会場の扉が勢いよく開かれた。
「な、何をやらかしているのだこのバカ息子がぁぁぁぁぁ!!」
その扉から、勢いよく飛び出したのは、ゼウストリア王国の国王モーンデ。
続いて顔を蒼白にしているこの国の一番の魔法の使い手であるはずの魔法使い筆頭に、剣の使い手である騎士団長の二名。
そのまま一気に屑王子の下へ行き、その頬に全力の拳を叩き込んだ。
どっごぉぉぉん!!
「ぐべぇぇぇぇぇぇ!?」
勢いよく吹っ飛び、そのまま2,3度ほどバウンドして転がり、気絶した屑王子。
皆が突然すぎることで驚愕から抜け出せない状態のまま固まっていたところで、トドメとばかりに国王は気絶した屑王子めがけて‥‥‥‥
‥‥‥言い表せないほどの悲惨な状態に屑王子がなり、皆が青ざめる中、国王は周囲を見渡した。
「る、ルミアナ令嬢はどこだ!!」
「ルミアナ様なら、先ほどあの、幻とも言われる転移魔法でどこかへ姿を消してしまいましたが・・・・・・」
国王の問いかけに、ようやく驚愕から立ち直った卒業生のうち、魔法を扱えるものがそう答えた。
皆が驚愕していた理由の一つが、その幻とされていた転移魔法をルミアナが使ったというのもあったのだ。
先ほどまでは、あの屑王子のバカっぷりに笑っていたのだが、ルミアナがまさか転移魔法を扱えるとは知らなかったのである。
まぁ、彼女が隠していたというのもあるのだが…‥‥どうやら喜劇で済まない話になったようだ。
転移魔法でどこに飛んだのかはわからない、そう告げられ、国王は顔を青ざめさせる。
「‥‥‥さ、さがせぇぇぇ!!ルミアナ令嬢を他国に取られては非常にまずい!!」
国王はそう慌てて叫び、命令を下した。
屑王子とは違い、この国王はルミアナの価値についてよく理解していた。
彼女に魔法や剣を教授していた魔法使い筆頭や騎士団長の話を聞き、どれだけの実力なのか分かったからである。
また、王妃教育も実はこっそり高レベルなものをやっており、外交の手腕やその他政治能力なども高く成長しており、ルミアナ一人いるだけで一国の繁栄や滅亡が変わってしまうほどだったのだ。
彼女を言い現わすのであれば、まさに「究極人間兵器」。
その重要性をしっかりと見据え、いつか馬鹿をやらかすであろう王子と婚約破棄させて、王家に近い別の貴族家の者を代わりにして、出来るだけこの国に留めようとしたのだが‥‥‥国王が動くよりも早く、屑王子は動いてしまったのであった。
そのうえ、そもそもまだこの屑王子には国外追放などを下す権限を国王は与えていなかったのだ。
その相手がこの国の王家の血筋を引く公爵家の令嬢だという時点でも、すでに醜聞をさらけ出したも同然である。
・・・・・・少なくとも、この屑王子はもはや日の目を見ることはないだろう。
国家の存亡にかかわるほどの人物をありもしない権限で追放し、失わせてしまったのだから。
また、実はこの屑王子についていた令嬢についての調査も王家が密かに行っており、どれだけ電波じみた相手なのかも把握済み。
屑王子とその令嬢はひっとらえられ、その会場を衛兵たちに引きずられて、3日後処分を下され、王籍や貴族籍を抜かれ、身ぐるみはがされて野垂れ死に同然に荒野へ追放されたのであった。
それから数カ月後、必死の捜索が行われるも、ルミアナの姿を誰も発見することはできなかった。
一説では、この国がある大陸とは違うどこか別の大陸にある国へ彼女は転移し、そこでドラゴンを倒したり、国の滅亡に手を貸したりなどして、「究極人間兵器」として生涯を面白おかしく過ごしたのだといわれているそうな・・・・・・
ただ単に、婚約破棄後の生活を考えて鍛えたルミアナであったが、己が「究極人間兵器」と呼ばれるほどの戦闘能力だとは、みじんも考えなかったという。
・・・・・あれ?なんでこうなった?
ーー完ーー
作者です。
マンネリな王道婚約破棄ですけど、ちょっとコメディ模索中。
その為、今回この作品を出したのです。・・・・・・コメディを作れる能力が欲しいよう。
今一つかもしれませんが、ここまで読んでくださったことを感謝いたします。
‥‥‥ついにやりやがったか、あの屑王子は。
その場にいた王子とそのビルチ男爵令嬢を除く全員の心が一致したように、私は感じた。
やっぱりというか、分かっていたというべきか、余りにも愚かすぎて、私は思わず吹き出し笑いをしたくなり、こらえるために、手に持っていた扇で口元を隠したのであった。
というか、他の方々も物凄く笑いをこらえていますよね?
この私、ルミアナ・フォーラム公爵令嬢、いえ、今はもうあの屑王子の命令で身分剥奪されて、ただのルミアナとなりましたけど、この大勢の皆が集まる、ゼウストリア王国のターナン学園の卒業式を祝うこの会場で、あの超屑王子ことバースカ・ゼウストリア第1王子に婚約破棄を言い渡されました。
ま、もうわかっていたことですけどね。
なにしろ、前世ですでに見ましたからねぇ。
この婚約破棄が起こるであろうと分かったのは、今から数年前の王城の中庭である。
当時、あの超屑王子の婚約者にされていた私は、次期王妃教育として、その日は国外での外交時の身の振る舞い方について、学んでいました。
いや本当に王妃教育が厳しくて‥‥‥婚約破棄をして、自由になりたかったとすでに私は思っていましたね。
朝早くから次期王妃としてのマナーや外交手段、座学に基本的な護身術など、山ほどあったのです。
というか、護身術を何故王妃がやる必要があるの?え、王をいざという時に守れるようにするため?
ですが、婚約破棄を#私から__・・・__行うことは出来なかったのです。
それは後で話すとして、その当時私はマナーを学ぶために一生懸命努力をして、その場でついうっかり失敗し、教育係であった人のハリセンを頭に受けました。
するとどうでしょうか!?
そのハリセンの衝撃を受けた途端に、何と一気に物凄い見たことが無いような光景が頭の中に流れ込み、そしてその情報量の多さに呑まれ、私はその時気絶いたしました。
そして、その後すぐに目を覚まし‥‥‥‥そして、理解しました。
「ああ、ここってあのゲームの世界なのか」
と、思わずつぶやきましたが…‥‥誰にも聞かれなかったのは幸いですかね?
この世界、前世でただの女子高生であった私が遊んでいた乙女ゲーム「星への願い事」というのにそっくりなんですよ。
で、こういうのは王道というか、攻略対象とヒロイン、そして悪役令嬢とあるのですが‥‥‥私、この悪役令嬢でした。
なんてこった/(^o^)\。
どのエンドをヒロインが迎えても、結局この私は、悪役令嬢は国外追放されて、そしてその先々で魔物とかいうものに襲われたり、盗賊に襲撃され慰め者になったり、修道院へ入っても爆弾魔が現れてまとめて爆破されるなど、ろくでもない最後しか向かえないのです。
というか、これって乙女ゲームなのになんで爆弾魔ってあるんだ!?
どのみち、最終的に国外追放されたうえに悲惨な末路を迎えるわけですが…‥‥仮になんとか逃れてこの国にとどまれたとしても、ろくでもないことに私は気が付きました。
…‥‥なんというか、結局ヒロインにとられる私の婚約者の第1王子がゲームと違って超屑だったことに。
勉強嫌い、魔法なんかもこの世界にあるのに使えるのは超初心者専用初級魔法だけで、剣術や武術なども苦手と言って全て休み、女好きで私が知るだけでもかなりの数を隠れて遊び惚けているんです。
しかも、まだ婚約者という事であり、挙式までは純潔を守るべき私に対しても、身体を求めようとしたりと・・・・・・いや、私はなんというか、本当に悪役令嬢なのになぜかヒロイン以上の美貌とスタイルをもっているので、わからなくはないですけどね。
とにもかくにも、なぜかこの第1王子は本気の屑でして、なんであんなのが次期国王なのだと密かに城内の使用人たちは嘆いていました。
メイドたちは日頃から手を出されそうになるわ、執事の人はひげをむしり取られそうになるわ、女湯を覗こうとしたりするわ、出来ない宿題を押しつけてくるわ‥‥‥他にも言い切れないほどド屑な事をやらかしていたしね。
一応、昔は第2,3王子などもいたそうですけど、皆なぜか過去に病死なさって、現国王の実子があの屑しかいなくて、しかも、この国は長男相続の世襲制という制度なのだからしょうがない。
‥‥‥でも、あんな王子が国王になったらこの国終わるよね?
周辺には、虎視眈々とゼウストリア王国を狙う国々がありますし、あの屑の頭じゃあっという間に終わってしまうでしょう。
となれば、その中にあったギリギリまだ楽そうそうなエンドで、「王子からの婚約破棄による国外追放」でこの国と縁を切ったほうがどう考えても得策である。
私からだと盗賊に襲われてそりゃもうR18禁へ行くそうですが、王子からのだと魔物に襲われる程度ですので、まだましでしょう。
鍛え上げれば敵ではなさそうですし、今のうちにやってしまえばいいのです!!
そういうわけで、王子からの婚約破棄による国外追放を決意した私は、その日から正妃教育の中に、名目上は「妻が夫を守るのは当然」という事を無理やりいれて、魔法や剣術などの訓練もいれました。
ええ、最初の頃は慣れないことゆえに、毎日筋肉痛になったり、魔力切れになったり、挙句の果てには血反吐まで吐きましたからね。
ですが、数年もたつとめきめきと頭角を表せたのか、あっという間にこの国一番の剣士や魔法使いをなぎ倒せるようになり、とはいえ念には念を入れて、幻とも言われる転移魔法を習得したので密かに国外へ出て行き、武者修行も致しました。
終いには、素手で岩を砕き、滝を切り裂き、海を割り、ドラゴンですら中位ぐらいのものであれば対等に戦えるようになったのですが…‥‥やり過ぎましたかね?
でも、世の中は広く、私よりはまだまだ上がいるはずですし、もっとやってもいいでしょう。
まぁ、そうこうしているうちにいつの間にかヒロインが登場し、今こうして見事にあの屑を寝取ってくれたようです。途中、うまいこと行くように少々いじめでもしてあげようかと思ったのですが・・・・・まぁ、自作自演で自らやっていたので手間が省けましたね。
あのヒロイン、絶対転生者だな。私がきちんといじめようとしたのに、何で自ら・・・・・・まぁ、いいか。
しかもビッチだったようで誰コレ構わず連れ込んでいたようですけどそれはそれでどうでもいいです。
むしろよくやってくれたヒロイン!!国外追放は受け入れるから、その超屑王子を引き取ってくれ!!
ありもしない、よくある教科書を破ったり、水を被せたり、階段から突き落としたりなどのいじめを私はしていないし、自作自演でやっていたのを見ていたけど、その冤罪のおかげでついに国外追放へたどり着けたんだ!!
やったぜヒロイン!!手間が省け、貴女は好きな人と一緒で、私は外へ飛び出せるから一石二鳥、いや、屑王子を持って行ってくれるならば一石三鳥だ!!
心の中で拍手喝さいのヒロインに対する賞賛の声を隠しつつ、私は何とかすぐに国外追放されるために動いた。
「そうですか‥‥‥私が何もやっていないと言っても、貴女は信じてくれないのでしょいうか?」
扇でにやける口元を隠しながら一旦尋ねてみる。ふふふふ、こう言えば・・・・・
「あたりまえだ!!このビルチの証言によって貴様の罪が露見したのだぞ!!おとなしく国外追放を受け入れ、今すぐこの場から去ってしまえ!!貴様が謝っても、心がこもっていないそうだしな!!」
どやぁぁぁ!!っと、物凄く殴りたくなるほど清々しい顔で、屑皇子はそう言い切った。
その言いきり方に、思わず吹き出しそうになる周囲の方々。
どうやら皆、あの王子がどれだけ屑であり、私があの令嬢に何もしていないことを知っており、まさに喜劇としか言いようがないこの状況を笑っているようである。
よし、こうなるのは分かっていたし、言質はとったし、邪魔が入る前にさっさと受け入れましょう。
「それでは、そう申されたので今すぐ出ていきましょう。『転移魔法』」
そう意気揚々と魔法をとなえ、ルミアナはその場から姿を消したのであった。
・・・・・・ルミアナの姿が消えてから数十秒後、その場にいた者たちが突然消えたルミアナに驚き、固まっている中で会場の扉が勢いよく開かれた。
「な、何をやらかしているのだこのバカ息子がぁぁぁぁぁ!!」
その扉から、勢いよく飛び出したのは、ゼウストリア王国の国王モーンデ。
続いて顔を蒼白にしているこの国の一番の魔法の使い手であるはずの魔法使い筆頭に、剣の使い手である騎士団長の二名。
そのまま一気に屑王子の下へ行き、その頬に全力の拳を叩き込んだ。
どっごぉぉぉん!!
「ぐべぇぇぇぇぇぇ!?」
勢いよく吹っ飛び、そのまま2,3度ほどバウンドして転がり、気絶した屑王子。
皆が突然すぎることで驚愕から抜け出せない状態のまま固まっていたところで、トドメとばかりに国王は気絶した屑王子めがけて‥‥‥‥
‥‥‥言い表せないほどの悲惨な状態に屑王子がなり、皆が青ざめる中、国王は周囲を見渡した。
「る、ルミアナ令嬢はどこだ!!」
「ルミアナ様なら、先ほどあの、幻とも言われる転移魔法でどこかへ姿を消してしまいましたが・・・・・・」
国王の問いかけに、ようやく驚愕から立ち直った卒業生のうち、魔法を扱えるものがそう答えた。
皆が驚愕していた理由の一つが、その幻とされていた転移魔法をルミアナが使ったというのもあったのだ。
先ほどまでは、あの屑王子のバカっぷりに笑っていたのだが、ルミアナがまさか転移魔法を扱えるとは知らなかったのである。
まぁ、彼女が隠していたというのもあるのだが…‥‥どうやら喜劇で済まない話になったようだ。
転移魔法でどこに飛んだのかはわからない、そう告げられ、国王は顔を青ざめさせる。
「‥‥‥さ、さがせぇぇぇ!!ルミアナ令嬢を他国に取られては非常にまずい!!」
国王はそう慌てて叫び、命令を下した。
屑王子とは違い、この国王はルミアナの価値についてよく理解していた。
彼女に魔法や剣を教授していた魔法使い筆頭や騎士団長の話を聞き、どれだけの実力なのか分かったからである。
また、王妃教育も実はこっそり高レベルなものをやっており、外交の手腕やその他政治能力なども高く成長しており、ルミアナ一人いるだけで一国の繁栄や滅亡が変わってしまうほどだったのだ。
彼女を言い現わすのであれば、まさに「究極人間兵器」。
その重要性をしっかりと見据え、いつか馬鹿をやらかすであろう王子と婚約破棄させて、王家に近い別の貴族家の者を代わりにして、出来るだけこの国に留めようとしたのだが‥‥‥国王が動くよりも早く、屑王子は動いてしまったのであった。
そのうえ、そもそもまだこの屑王子には国外追放などを下す権限を国王は与えていなかったのだ。
その相手がこの国の王家の血筋を引く公爵家の令嬢だという時点でも、すでに醜聞をさらけ出したも同然である。
・・・・・・少なくとも、この屑王子はもはや日の目を見ることはないだろう。
国家の存亡にかかわるほどの人物をありもしない権限で追放し、失わせてしまったのだから。
また、実はこの屑王子についていた令嬢についての調査も王家が密かに行っており、どれだけ電波じみた相手なのかも把握済み。
屑王子とその令嬢はひっとらえられ、その会場を衛兵たちに引きずられて、3日後処分を下され、王籍や貴族籍を抜かれ、身ぐるみはがされて野垂れ死に同然に荒野へ追放されたのであった。
それから数カ月後、必死の捜索が行われるも、ルミアナの姿を誰も発見することはできなかった。
一説では、この国がある大陸とは違うどこか別の大陸にある国へ彼女は転移し、そこでドラゴンを倒したり、国の滅亡に手を貸したりなどして、「究極人間兵器」として生涯を面白おかしく過ごしたのだといわれているそうな・・・・・・
ただ単に、婚約破棄後の生活を考えて鍛えたルミアナであったが、己が「究極人間兵器」と呼ばれるほどの戦闘能力だとは、みじんも考えなかったという。
・・・・・あれ?なんでこうなった?
ーー完ーー
作者です。
マンネリな王道婚約破棄ですけど、ちょっとコメディ模索中。
その為、今回この作品を出したのです。・・・・・・コメディを作れる能力が欲しいよう。
今一つかもしれませんが、ここまで読んでくださったことを感謝いたします。
158
お気に入りに追加
283
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
追放された錬金術師ですよ
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、僕ことフィンは冒険者パーティから追放された。
けれども、特に困る事もない。なんにせよ自由にやってみるだけの、話である。
現在連載している『拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~』のかなり過去の話だったりもする。まぁ、別の場所の別の時間だから、別の話とも言えるかも。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は所詮悪役令嬢
白雪の雫
ファンタジー
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの平民の女に頭を下げるように言って下さいませ!」
魔力に秀でているという理由で聖女に選ばれてしまったアネットは、平民であるにも関わらず公爵令嬢にして王太子殿下の婚約者である自分を階段から突き落とそうとしただの、冬の池に突き落として凍死させようとしただの、魔物を操って殺そうとしただの──・・・。
リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。
愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、そこに父親である国王と教皇、そして聖女の夫がやって来る──・・・。
悪役令嬢がいい子ちゃん、ヒロインが脳内お花畑のビッチヒドインで『ざまぁ』されるのが多いので、逆にしたらどうなるのか?という思い付きで浮かんだ話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
一家処刑?!まっぴら御免ですわ! ~悪役令嬢(予定)の娘と意地悪(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。
この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。
最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!!
悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
修正致しました。
ご指摘に感謝いたします。
面白かったです。
こちらの令嬢は国を出て行きましたが、
別の場所で物理的にざまぁした令嬢が2名いらっしゃいます。
色々とあるんですよねぇ……ざまぁもの、研究したいなぁ。
いやぁ、やっぱ婚約破棄物はこうでなくっちゃ。大変楽しませてもらいました。
ありがとうございます!!
婚約破棄物の王道に近いものですが、それでも楽しんでくれる方はありがたいです。
できればもっと、これとは違う物でありつつ面白いものも読んでいき、なおかつ書いていければと思っています。