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エピローグ:レーラ
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…‥‥ワゼさんに雇われてから数年後、いつの間にか私の周囲にも他の従業員が増え、一つの独立したものとなり、起業して一つの店を改めて構えました。
付与術士たちで構成された、「強化店」。
そのままの店名だけれども、その名の通りありとあらゆる強化を可能にしているということで、予約がかなり膨れ上がり、少々嬉しい悲鳴が多くなりました。
付与術士ばかりという事もあり、冒険者ギルドなどに所属している者たちであれば、各パーティへ派遣して役に立ってもらったりして、改めて効果がないような職業ではなく、きちんと効果が発揮されていることを目にしてもらい、価値を見直してもらうなどをして、良い待遇へと改善されています。
まぁ、中にはいろいろとやらかすお客様もいるのですが‥‥‥それは、ワゼさんたちが管理を行い、どうやらきちんとブラックリスト入りなどをして仕分けしてもらえているので、大きな問題は特に起きません。
時々ごろつきのような方々が来店される時もありましたが、どういう訳か次の瞬間にはその場から消え失せ、星になってました。
そして今日は、久しぶりに休暇を取って、冒険者時代の友人であった受付嬢のミンさんと共にショッピングを楽しんでいました。
「なんというか、変わったわね‥‥‥レーラさん」
「ええ?そうでしょうか?」
「かなり変わっているわよ。落ち着いたというか、冒険者時代の生き抜くための無理な生き方をしていないわね。物腰もなんか柔らかいわ」
うふふっと話し合うと、確かにそう思えるかもしれないと、心の中でつぶやきました。
自信・居所・安心感の3つが無かった冒険者時代に比べると…‥‥ええ、比べようがないほど、今の生活は充実しているのです。
「そうそう、レーラさん、一つ聞いて良いかしら?」
「何かしら?」
「最近、彼氏が出来たっていう話、本当なの?」
「げふっ・・・ど、どこでその話が……」
ミンの言葉に、思わず私は驚愕しすぎて咳き込みました。
ちょっとまだ清き交際で、それでいて少し気恥しいから黙っていたはずなのに…‥‥どこでバレたのでしょうか。
いやまぁ、お相手は近所の薬師の店に最近出入りした年下の男の子なのですが…‥‥あ、もしかして店によく出入りしているところからバレたのでしょうか?
「違いますよ?今のはただ単に、ちょっとからかってみようと思って、適当に言っただけよ」
「あ、そうなのですか」
「でも、今ので否定しない様子は…‥‥」
「…‥‥さぁ、あの店へ行ってみましょう!!そうしましょう!!」
「ごまかさないでー!!」
ミンの問いかけから逃げるように、私は話題を変更しようと努力しました。
しかし、結局白状させられました…‥‥ぐぅ、逃げられなかったです。これで明日には広まっていそうな……
……現実逃避のために、空を見上げて、ふと私は思いました。
あの転職の転機を見逃せば、このような日々も過ごせず、何処かで囮にでも使われ、野垂れ死にしていた可能性もありましたが、今はもうその可能性もない。
今のこのからかいによって生まれた羞恥は、その最悪の未来だった可能性と引き換えであれば、まだ安いものである。
何にしても、ミンのおしゃべりによる拡散を防ぐために動きつつ、幸せな日常を感謝するのでした…‥‥
「あら、レーラさんに、そちらはミンさんじゃないですか」
「ターグステンさん!!ちょっとビッグニュースですよ!!レーラさんになんと彼氏が!!」
「ミンさん!!何でそうすぐに話してしまうのぉぉぉぉぉぉ!!」
・・・‥‥前言撤回。おしゃべりな友達を本気でどうにかして欲しいですわね。
付与術士たちで構成された、「強化店」。
そのままの店名だけれども、その名の通りありとあらゆる強化を可能にしているということで、予約がかなり膨れ上がり、少々嬉しい悲鳴が多くなりました。
付与術士ばかりという事もあり、冒険者ギルドなどに所属している者たちであれば、各パーティへ派遣して役に立ってもらったりして、改めて効果がないような職業ではなく、きちんと効果が発揮されていることを目にしてもらい、価値を見直してもらうなどをして、良い待遇へと改善されています。
まぁ、中にはいろいろとやらかすお客様もいるのですが‥‥‥それは、ワゼさんたちが管理を行い、どうやらきちんとブラックリスト入りなどをして仕分けしてもらえているので、大きな問題は特に起きません。
時々ごろつきのような方々が来店される時もありましたが、どういう訳か次の瞬間にはその場から消え失せ、星になってました。
そして今日は、久しぶりに休暇を取って、冒険者時代の友人であった受付嬢のミンさんと共にショッピングを楽しんでいました。
「なんというか、変わったわね‥‥‥レーラさん」
「ええ?そうでしょうか?」
「かなり変わっているわよ。落ち着いたというか、冒険者時代の生き抜くための無理な生き方をしていないわね。物腰もなんか柔らかいわ」
うふふっと話し合うと、確かにそう思えるかもしれないと、心の中でつぶやきました。
自信・居所・安心感の3つが無かった冒険者時代に比べると…‥‥ええ、比べようがないほど、今の生活は充実しているのです。
「そうそう、レーラさん、一つ聞いて良いかしら?」
「何かしら?」
「最近、彼氏が出来たっていう話、本当なの?」
「げふっ・・・ど、どこでその話が……」
ミンの言葉に、思わず私は驚愕しすぎて咳き込みました。
ちょっとまだ清き交際で、それでいて少し気恥しいから黙っていたはずなのに…‥‥どこでバレたのでしょうか。
いやまぁ、お相手は近所の薬師の店に最近出入りした年下の男の子なのですが…‥‥あ、もしかして店によく出入りしているところからバレたのでしょうか?
「違いますよ?今のはただ単に、ちょっとからかってみようと思って、適当に言っただけよ」
「あ、そうなのですか」
「でも、今ので否定しない様子は…‥‥」
「…‥‥さぁ、あの店へ行ってみましょう!!そうしましょう!!」
「ごまかさないでー!!」
ミンの問いかけから逃げるように、私は話題を変更しようと努力しました。
しかし、結局白状させられました…‥‥ぐぅ、逃げられなかったです。これで明日には広まっていそうな……
……現実逃避のために、空を見上げて、ふと私は思いました。
あの転職の転機を見逃せば、このような日々も過ごせず、何処かで囮にでも使われ、野垂れ死にしていた可能性もありましたが、今はもうその可能性もない。
今のこのからかいによって生まれた羞恥は、その最悪の未来だった可能性と引き換えであれば、まだ安いものである。
何にしても、ミンのおしゃべりによる拡散を防ぐために動きつつ、幸せな日常を感謝するのでした…‥‥
「あら、レーラさんに、そちらはミンさんじゃないですか」
「ターグステンさん!!ちょっとビッグニュースですよ!!レーラさんになんと彼氏が!!」
「ミンさん!!何でそうすぐに話してしまうのぉぉぉぉぉぉ!!」
・・・‥‥前言撤回。おしゃべりな友達を本気でどうにかして欲しいですわね。
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