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Ver.F ~終わりと始まり、そして次へ~
ver.F-10 自身の容姿は無頓着なこともあるが
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―――時間とは思った以上に早く、いつの間にか過ぎ去っているものである、
だからこそ、気が付いた時には色々な変化があってもおかしくはなく…
「…だからこそ、他の人と比べて最近気が付いたんだよね、ミーちゃん」
「いったい何に気が付いたの?」
「いつの間にか、自分がほとんど年を取っていない事実に」
「え?今更?」
…アルケディア・オンラインが最終アップデートを行ってから早10年以上が経過した。
移住や税金、生物保護に繁殖、その他様々なものが少しずつ解決していき、世の中にあふれていた問題が失われて行った。
それは良いことなのだが…ここ最近の会社勤めの中で、気が付いてしまったのだ。
「見た目、ずっと変わってないことに。正確に言えば、大体5~6年位前のままで…」
「いや、もうずっと変わっていないよ」
ハルの言葉に対して、ミントは呆れたようにそう答える。
「女神じゃなくなったのに、老化が遅くなっているようで…つい先日、取引先に向かった時に、その指摘を受けてようやく気が付いたんだよ。周りに聞いたら、『あれ?言われてみれば確かに』『ずっと自然な感じで過ごしていたからそれが普通だと』『何かしらのアンチエイジング的なものがあるならばむしろこっちが教えてほしい』などの声が…特に女性陣からの目が怖かった…」
「まぁ、確かに老化していないっていうのは、人によっては喉から手が出るほど羨ましい案件だよね」
ハルの心からの言葉にミントは同情しつつ、答えていく。
「女神出なくなったとしてもね、多分他の要因が色々と絡み合っているんだよ。妖精になれたりする時点で、人外の枠組みに入っているのかもね」
「マジか…」
【と言うか、主様が自身の容姿に無頓着過ぎただけデス。よく見ている人ならば、すぐに気が付くとは思いますヨ】
「うぐっ」
ロロによる追い打ちを受け、ぐぅのねも出なくなる。
「とにもかくにも、老化しない状態なのはちょっと不味いかなと…今更ながら危機感を、覚えたんだよ。もっとこう、年を撮ったら老成して貫禄溢れるおっちゃん風な、そんなのになるイメージもあったけど…」
「それが人外の悩みの種でもあるよ。いかにして、自身の老化に関してごまかせるのか…表に出ない界隈内では一昔前までそれで悩んでいる人も多かったね」
「あれ?一昔前ってことは、今は…」
「大体解決した。多少の化粧でごまかすこともできたけど…アルケディア・オンラインの生体移動、アレが良い解決方法になっているんだよ」
かくかくしかじかと話を聞くと、どうやらその問題はオンラインの世界に引っ越すことで解決しているらしい。
今もなお、特例を除けば人自身がそこに永住することはできないらしいが…人外の存在たちであれば許可が下り、より適した環境の地に…いや、オンラインの世界で言えば星に居を構えて、人の世から離れた位置で過ごせるようだ。
「今のご時世、科学技術の発達で隠れ住める場所が減ったらからこそ、新天地へ移動するのが進められているよ。吸血界隈の人たちも、既に大半移住済みだし‥」
「そうなのか。でも下手したら、モンスターに間違えられらない?」
「そのあたりも色々と対策しているらしいけれども、そもそも真正面からぶつかろうものならば最初から人外の力をフルに発揮できる環境にいたほうが楽だってのもあるって」
人外ゆえに、人の世では過ごしにくい。
そこで思い切って、別の世界で永住をすることで、過ごしやすさを得るようだ。
「それもありか…それって、僕も可能なのかな?」
【大丈夫ですよ、主様。こんなこともあろうかと、女神の力が残っていた時からすでに、申請済みでしたからネ。今もすぐに許可が下りますヨ】
「とっくの昔から用意されていたか…」
女神が無くなったとはいえ、それでもこうなることはわかっていたらしく、用意は万端。
あとはいつでも、この現実世界から引っ越す準備も可能なようだ。
「それに、生体移動は可能だし…ほとぼりが冷めたころ合いにまた戻ってきて、過ごしては離れてのサイクルも計画で切ればやれるようだよ」
「それなら、もう受け入れてしまおうかな…」
女神の力があった頃は、死後は第2の人生もとい神生があると思っていた。
しかし今は女神の力はなく、代わりに別のモノで新しい生活をそこで送るのも悪くは無いのかもしれない。
そう思い、色々と調べてから動こうかとハルは思うのであった…
「…ついでに私も既に申請して、受諾受けているから…ねぇ、ハル、良かったら私と一緒に行かない?」
「ん?…それも良いかもね。でも、ミーちゃんは真祖だし、僕とはまた違うとは思うけど…変な不都合とかないかな」
「大丈夫だよ、ハル。そのあたりは問題ないって。あるとしたら…理性、かな?」
「え、何か今変なものがあったような」
「それとも…ハルのひいひいひい…」
ガァァンンッツ!!
「ぐべぇっ!?」
「ミーちゃん!?何、急に金盥が直撃したんだけど!?あ、まさかフロンおば‥‥あ」
…ついうっかり、口を滑って出かけた失言。
まだギリギリ大丈夫だと思っていても、それは聞き逃されなかったのだろう。
上を向けば迫りくる…
だからこそ、気が付いた時には色々な変化があってもおかしくはなく…
「…だからこそ、他の人と比べて最近気が付いたんだよね、ミーちゃん」
「いったい何に気が付いたの?」
「いつの間にか、自分がほとんど年を取っていない事実に」
「え?今更?」
…アルケディア・オンラインが最終アップデートを行ってから早10年以上が経過した。
移住や税金、生物保護に繁殖、その他様々なものが少しずつ解決していき、世の中にあふれていた問題が失われて行った。
それは良いことなのだが…ここ最近の会社勤めの中で、気が付いてしまったのだ。
「見た目、ずっと変わってないことに。正確に言えば、大体5~6年位前のままで…」
「いや、もうずっと変わっていないよ」
ハルの言葉に対して、ミントは呆れたようにそう答える。
「女神じゃなくなったのに、老化が遅くなっているようで…つい先日、取引先に向かった時に、その指摘を受けてようやく気が付いたんだよ。周りに聞いたら、『あれ?言われてみれば確かに』『ずっと自然な感じで過ごしていたからそれが普通だと』『何かしらのアンチエイジング的なものがあるならばむしろこっちが教えてほしい』などの声が…特に女性陣からの目が怖かった…」
「まぁ、確かに老化していないっていうのは、人によっては喉から手が出るほど羨ましい案件だよね」
ハルの心からの言葉にミントは同情しつつ、答えていく。
「女神出なくなったとしてもね、多分他の要因が色々と絡み合っているんだよ。妖精になれたりする時点で、人外の枠組みに入っているのかもね」
「マジか…」
【と言うか、主様が自身の容姿に無頓着過ぎただけデス。よく見ている人ならば、すぐに気が付くとは思いますヨ】
「うぐっ」
ロロによる追い打ちを受け、ぐぅのねも出なくなる。
「とにもかくにも、老化しない状態なのはちょっと不味いかなと…今更ながら危機感を、覚えたんだよ。もっとこう、年を撮ったら老成して貫禄溢れるおっちゃん風な、そんなのになるイメージもあったけど…」
「それが人外の悩みの種でもあるよ。いかにして、自身の老化に関してごまかせるのか…表に出ない界隈内では一昔前までそれで悩んでいる人も多かったね」
「あれ?一昔前ってことは、今は…」
「大体解決した。多少の化粧でごまかすこともできたけど…アルケディア・オンラインの生体移動、アレが良い解決方法になっているんだよ」
かくかくしかじかと話を聞くと、どうやらその問題はオンラインの世界に引っ越すことで解決しているらしい。
今もなお、特例を除けば人自身がそこに永住することはできないらしいが…人外の存在たちであれば許可が下り、より適した環境の地に…いや、オンラインの世界で言えば星に居を構えて、人の世から離れた位置で過ごせるようだ。
「今のご時世、科学技術の発達で隠れ住める場所が減ったらからこそ、新天地へ移動するのが進められているよ。吸血界隈の人たちも、既に大半移住済みだし‥」
「そうなのか。でも下手したら、モンスターに間違えられらない?」
「そのあたりも色々と対策しているらしいけれども、そもそも真正面からぶつかろうものならば最初から人外の力をフルに発揮できる環境にいたほうが楽だってのもあるって」
人外ゆえに、人の世では過ごしにくい。
そこで思い切って、別の世界で永住をすることで、過ごしやすさを得るようだ。
「それもありか…それって、僕も可能なのかな?」
【大丈夫ですよ、主様。こんなこともあろうかと、女神の力が残っていた時からすでに、申請済みでしたからネ。今もすぐに許可が下りますヨ】
「とっくの昔から用意されていたか…」
女神が無くなったとはいえ、それでもこうなることはわかっていたらしく、用意は万端。
あとはいつでも、この現実世界から引っ越す準備も可能なようだ。
「それに、生体移動は可能だし…ほとぼりが冷めたころ合いにまた戻ってきて、過ごしては離れてのサイクルも計画で切ればやれるようだよ」
「それなら、もう受け入れてしまおうかな…」
女神の力があった頃は、死後は第2の人生もとい神生があると思っていた。
しかし今は女神の力はなく、代わりに別のモノで新しい生活をそこで送るのも悪くは無いのかもしれない。
そう思い、色々と調べてから動こうかとハルは思うのであった…
「…ついでに私も既に申請して、受諾受けているから…ねぇ、ハル、良かったら私と一緒に行かない?」
「ん?…それも良いかもね。でも、ミーちゃんは真祖だし、僕とはまた違うとは思うけど…変な不都合とかないかな」
「大丈夫だよ、ハル。そのあたりは問題ないって。あるとしたら…理性、かな?」
「え、何か今変なものがあったような」
「それとも…ハルのひいひいひい…」
ガァァンンッツ!!
「ぐべぇっ!?」
「ミーちゃん!?何、急に金盥が直撃したんだけど!?あ、まさかフロンおば‥‥あ」
…ついうっかり、口を滑って出かけた失言。
まだギリギリ大丈夫だと思っていても、それは聞き逃されなかったのだろう。
上を向けば迫りくる…
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