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Ver.F ~終わりと始まり、そして次へ~

ver.F-6 世界は少しづつ分けて

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ーーー現実世界と、オンラインの世界の行き来ができるようになってからしばらく経過し、様々な恩恵が受けられるようになった反面、いくつかの問題も出てきた。

 もはや仮想現実ではなく異世界のような、アルケディア・オンラインの世界。

 だが、それでもまだゲームの世界であるという体を崩す気はなさそうだが…だからこそ、現実ではない部分に目を付け、やらかそうとする輩も出てくるのだ。


「その中の一つが、移住の訴えか…アバターがあるのに、生身の肉体でオンラインの世界に引っ越せないかって集団訴訟が起きているらしいね」
「一応、生体移動はできるけれども…完全な移住に関しては、許可されていないらしいからね」

 オンラインの様々な星々の気候があるからこそ、現在現実世界での絶滅に瀕した動物たちを一時的にそこへ輸送し、繁殖して保護活動につなげられないかという取り組みなどは行われている。

 だがしかし、完全フリーに見える生体移動だが…人間に関して言えば、実は滞在に時間制限が設けられていたりするのだ。


 オンラインのアバターではないからこそ、死が付きまとったりするのが理由にもあるが…

「現実に縛られない、法律自体がそもそもこことは違う場所だからこそ、好き勝手しようと企む輩のほうが多そうだね」
「純粋に、大気汚染や静かな田舎町と言えるような場所が多いから、そこでゆっくり過ごしたい人もいるとは思うけれども…それでも、ちょっときな臭かったり怪しい噂があったりするような団体が圧力をかけようとしているなど、面倒なところもあるっぽいんだよなぁ…」
「あー…明らかに資源豊富な惑星を占拠しようとして、人を大量に送り込もうとする工作活動をする国とかもあるのか…」

 オンラインの世界は、現実の世界ではない。

 だからこそ、現実世界にある法律もまたその世界内にはなく…色々と法律違反やグレーゾーンになりかねないことを堂々とやろうとする者たちも出てきているらしい。

 今のところは生体移動自体が、特殊な列車でしか行き来できないために制限を賭けること自体は容易いが、それでも抜け穴を探っている人も多いらしい。


「まったく、人間全体ではないけど、こういう欲深すぎる者たちが動くから、他も大変なんだよね」
「そういえば、ミーちゃん言っていたっけ。今、人外系の移住が進んでいるって」
「そうそう。表立って動けない人も、オンラインの世界なら紛れ込みやすいし、ある意味人と離れやすい場所だからこそ、ゆったりと過ごすには最適らしくて…その手伝いをやらされているんだよね」

 人間の生体移動は問題があるが、その人間と縁を切ってオンラインの世界に移り住もうとする人外たちはいるようで、その類に関しては実は制限はさほどない様子。

 モンスターに間違われるリスクなどもあるらしいが…人と交じり合って生活することが難しいようなものたちにとっては、オンラインの世界へ移住するのはかなり良いようだ。


「ついでに私も移住しないかって誘われてもいる。ほら、真祖だし」
「そういえばそうか…人外ならば、移住できる状況かぁ…」
「それ言ったら多分、春も可能だと思うよ?」
「さらっと人外に混ぜないでほしい…せっかく、女神が抜けている状態だ。死後に第2の人生、いや、第二の神生の可能性が無くなったのを、安心しているというのに…」
「妖精に慣れたり、何やらちょっと交じっているらしいというけどね」
「…」

 ぐぅのねも出ないとは、このことか。

 でもまぁ、確かに人とのかかわりで疲れ切ったら、移住するのも悪くは無いのかもしれない。
 その場合、アバターとかどうするのだろうかと言う部分が気になるが、そうなる可能性も見据えていく必要があるだろう。

 少しばかりその訴訟も気になりつつ、人外移住中の状況も興味をわずかに持つのであった…


「…あ、でも移住したらここを引き払う必要があるのか…ロロがかなり魔改造を施しているらしい、この家を…それ、色々と厄介なことになるのでは?」
「確実に、面倒な手続きが増えそうだよね…元に戻すようにしても、残すのが目に見えているかも」
「場合によっては、オンラインの世界にも持っていけるように、グレイ号に組み込むような仕掛けが施されていてもおかしくはないな…」

…あれ、オンラインも現実も、厄介事の感じは変わらないような…気にしたら負けか…はは…
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