アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-112 ものすっごい罪悪感

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…例えそうしなければいけないとわかっていても、限度はある。
だからこそ、その期間内にどうにかなってほしいと願いのは当たり前のことだろう。


「---ずる休みを社会人でやるのはこう、良心に来るものがある」
【仕方長いこと、…駄目だって言うからシャゲェ…】
【でもまぁ、これでどうにかなっているなら良いのだけどガウゥ】

 ごぼごぼと海流に流されながら漂うグレイ号。
 その艦内でハル…いや、アバターから現実の肉体へと戻っていた春はそうつぶやき、彼を慰めるようにぽんぽんっとマリーたちは撫でていた。

 そう、今この肉体はしっかりとした生身の現実ボディ。

 現実世界へ戻ってきた今、現実の肉体の方もあの正体不明の敵…いや、流石に一週間も時間が経過すれば何とか分析が進み、この世界とは異なる何もかもが異なっているような存在が狙いかねないので、わざわざ生身の身体をこの艦内に運び込んだのである。

 なお、流石に勝手に行方不明になっては色々と騒ぎになるのが目に見えているため…両足骨折をした名目で、入院していると会社に報告し、手続きをして休んでいた。

 足だけなので、リモートワークで仕事をやっている状態であり、今のところは何とかごまかせている様子。

 艦内の様子がうっかり映り込まないように合成背景を使ってごまかしているが…それでも、限界はあるだろう。

 入院しているところへのお見舞いには、良くできた人形を身代わりにごまかしつつどうにかこうにか耐えていた。


 
 そして海流に流される生活も一週間も経過して…どうやら事態は一気に動いたようだ。


ドォォオオオオオオオオオオン!!

「…これが、今の海上の様子か」
【ハイ。相手はどうやら、依り代のような物を使っていたようですが、限界を迎えつつあるようデス。ただ、妨害を重ねていてもついにこちらが海の底にいる可能性があることを気が付いたようでして…現在、協力関係にある方々と、戦闘状態にありマス】

 そこに映し出されていたのは、現実世界だというのにまだゲームの中にでもいるのかというような、凄まじい争いの景色。

 深紅に燃え上がるような髪をなびかせているのは、恐らく全力を出しているミーちゃんであろう。
 その他数名は、何やらオンライン内でもちょっと似たような容姿をしたものを見かけた気がするが…そちらも明らかに人外じみた動きや力を使っており、明らかにただ者ではないことをうかがわせた。

「…吸血界隈以外の、表には出てこないような方々ってことかな」
【ええ、その通りデス。裏の界隈では名の知れた…ギリギリ表舞台で見つかっても、何とかごまかせる人員となっておりますが、戦闘力だけでいえばそうとうなものたちデス】
「見つかってもって…いや、あれでごまかせるの?角生えた人とか、おもいっきり全身武器な人なんかが映っているんだけど」
【念のために、衛星の類はハッキングで暴走、天候は晴れているように見せかけていますがとてつもない嵐が周辺で引き起こされており、誰も近づけないようになっておりマス】
「後者はまだいいけど、前者のほうは犯罪じゃないの!?」

 いや、後者も天候をどうにかできる時点で色々とおかしいが、そこはもう気にしないほうが良いだろう。

 見た限りでは、相当な戦闘が行われているようだが、戦況としては悪くはない様子。

【あの異なる世界のモノの、この世界に存在するためのモノは、もはや崩壊寸前デス。アレを消滅させれば、二度と入れなくなるでしょウ。こちら側の敗北条件は、主様がアレに捕らえられることですが…このままうまく行きさえすれば、どうにかなるはずデス】

 もちろん、そんなことは相手も理解しており、この状況から抜け出そうとしている様子。
 しかし、そうはさせないとミーちゃんたちが必死になって戦闘しており、相手の崩壊までの時間稼ぎはできているようだ。

【ですが、最後まで油断できないようデス】

 グレイ号の観測機器は、今も対象のデータを測定し続けているが、崩壊し続けているにも関わらず、相手の存在は強く残り続けている。

 わからない、どこか知らない場所からの来訪者。
 それゆえに未知の部分も多く…油断は、一切できない状況であり、突然変わってもおかしくは無いのである…
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