アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-110 ゆったり水面の中

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…ゆらゆらと深層海流にゆったりと流されながら、グレイ号は漂う。

 仮想現実から現実へのワープに負担がかかっていたのは言うまでもないが、その前の重力場への抵抗でもかなりの負担がかかっていた。

 それゆえに、今はここでの潜伏の時を過ごしつつ、見つかってもすぐに動けるようにしながらも全力でメンテナンスや改造も施しているらしい。


「加工用の製造工場も、艦内工房にあるからこそできる現場で改造だけど…実際のところ、この改造を施したところで、再度あの重力場に引き込まれたら、抗うすべはあるの?」
【んー、正直言って五分五分ですネ。メインシステム及び出力調整、その他を修正するのですが…エンジンの最大出力自体は変わらないのデ】

 海の底でもグレイ号の強化はできないことはない。
 しかし、中身そのものを改造しきれるわけではない上に、ここは現実世界。

 下手な改造でやらかせば、星の上で最悪のことをやらかしかねないリスクも考えて、そこまで深くはできない。

…気にするようなことが無ければ、もっとやらかせるということも同義だが…そこは気にしないでおこう。

 
 それでも一応、何もしないよりはマシである。
 一番良いのは、確実にあれと遭遇することが永遠に無くなることだが…あいにくながらそうはいかないようだ。


【レーダーより、同一のエネルギーを感知。距離、現在惑星表面を高速移動中、進路不明、こちらを探している様子デス】

 グレイ号のレーダーが捕らえた、重力場の元凶。
 どうやら現実世界でも同種のエネルギーパターンが捕らえられたようで、いよいよ相手のほうが動いてきた様子。

 ただし、幸いなことにオンラインの世界で行っていた重力場は行われていないようで、星そのものが飲み込まれる被害は今のところ生じていない。

 もしも行われるのであれば、すぐにでも発たなければいけないが…さて、そこまでの間に相手が動かないかと言えばわからない。

 なので場合によっては素早く星の外へ向かって出ることも考えつつ…今は見つからないことを願うだけだ。

「相手の動きは?」
【…何かしらの依り代を元に、動いている計測結果。人間を媒体にしている様子デス】
【えーっと、生命反応超低レベル、これ生きているか不明な領域…らしいシャゲ】
【ユキッ、改造の痕跡あり、引き剥がせたとしても人として生きていなそうだと結果が出ている模様】

 グレイ号の様々な観測機器を用いて確認したところ、相手は誰かを媒体にして顕現しているようなものだということ。
 その媒体さえ失わせればたちどころに消え失せそうだが、肝心のそのもとにされた人物は既に人としての生を終わっているような状態のため、人では絶対に入れないような領域…火山のマグマの中や、超低温の山頂、そしてこの深海であったとしても容易く失われるようなことはない結果も出ている。


「それを失えば確実にこの世界からいなくありそうだけど、失わせるには相当のパワーが必要か…」
【そうなりマス。それに…おそらくですが、女神の力もNGですネ。ばっちり吸収するタイプのようで、今までならばどうにかなる無茶苦茶なパワーで下が、今回に限っては悪手になる可能性が非常に高いかと思われマス】*
「黒き女神のフルパワーでうやむやに…と言う手も使えないか」

 いつもならばどうにかできていた、女神の力。
 ただし、この相手ばかりはそのようなごまかしはできず、最悪の結果を招きかけないとのこと。

 妖精の力は別だが、それはそれでこのような相手には使えないので意味はない。

 そうなってくると、後は…


「純粋に地力で勝負…よりも、退散を願うか。あるいはこのまま身を潜めて、諦めて帰ってくれることを願うか…後者の方が良いなぁ…神様仏様ミーちゃん様、何卒…」
【女神が神と仏と真祖に願うのですカ】
自分黒き女神自分人間の春で願っても…ねぇ…」

 それでどうにかなっていたら、毎回願いのたびに言う…ナルシストっぽくなるような感じがするので嫌かもしれない。

【とりあえず後は、妨害用の誘導波及び…万が一、地球内であの重力場を展開されないように、太陽系外まで一気に牽引だけならば可能な超強力牽引機も備え付けておきますカ。海中から飛び出して素早く、ほんのわずかな間ですが、素早く空間転移に巻き込む形デス】
「そんなのがあるのか…あ、いや、待てよ。いっそそれで、相手を本物の、現実世界のブラックホールにまで無理やり引っ張って、そこに投機とか…」
【そこまでは無理ですネ。あくまでも、太陽系外脱出までであり、近場に都合の良いのが無いので…ブラックホールに投機しても消滅させられるかどうか不明ですネ】


 それでも、万が一に備えてのやれる手段ができるのであればあったほうが良い。
 そう考えつつ、深層海流に流されながらもグレイ号に少しづつ強化を施すのであった…



「…そういえば、相手が直ぐに僕らを見つけられないのはなんでだ?オンラインだと、結構早く見つけたような気がするけど…」
【オンラインと現実では、色々と違いがありますからネ。それに、現在進行形で各界隈より、妨害工策がされているようデス】
「各界隈?」

…良くは知らないが、アレがここで蠢かれたら何かと困るところは多いらしい。
良くゲームとかで魔王を退治するために勇者を筆頭に人類が一致団結する話が多いけど、似たようなもの‥かな?
 
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