695 / 718
Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~
ver.6.1-104 重力の底
しおりを挟む
―――謎の超重力場。
それはすぐに、アルケディア・オンラインの監視部門に発見され、該当エリアの緊急封鎖が行われた。
先日の緊急メンテナンスが明けてまだ間もないが、それでも何かしらの非常事態にあたるのだろう。
ログに緊急速報の形でプレイヤーたちに通達され、影響が出るであろうエリアにいるプレイヤーたちはすぐさま運営の手によって安全な場所にまで誘導され、後日の保証を確約されつつ、すぐさま重力場の周辺からプレイヤーたちは全て離脱する。
「エリア封鎖どころか、完全隔離か…ワープもできなくなっているよね?」
『そのようデス。該当範囲からさらに数十光年分余裕をもって、空間そのものを一時的にオンライン上から切り離している措置が取られていマス』
【アルケディア・オンラインでは珍しい超緊急切断措置デス。システムへの影響も避けるために、害となる箇所を徹底的に切断することで、被害が増えるのを防ぐものになりマス】
それほどまでに危険視されているのか、興味本位で近づこうとする輩も徹底的に来れないようにしているらしい。
グレイ号のワープでも向かえないようになっているらしいが…誰が向かうだろうか。
「そもそも、その重力場の発生源が何なのかもわからないけど、ほぼ確実にろくでもない予感しかしないのがなぁ」
【おや、運営からの通信で…グレイ号の観測データの一部の要請ですネ。感知しただけでさほど取れていないのですが、確認のために必要なようデス。主様、いかがいたしましょうカ?】
「んー、運営からの要請となると…ああ、もう確実に絶対に一般人が触れたら駄目なヤバい案件なのが目に見えてくるじゃん。運営側のほうで解決できそうなら、手助けとしてデータを送信して良いよ」
【承知いたしまシタ】
噂をすればなんとやら、運営が出てくる時点でほぼ間違いないだろう。
こっちが巻き添えになるのを防ぐために、よりもっと大きな運営という存在に任せるのが吉である。
何事も適材適所であり、一般プレイヤーはそそくさと退散するだけだ。
「それにしても、運営がわざわざ出てくるほどか…」
グレイ号の出力を上げても、中々振り切れなかった重力場。
どうにか脱出できたとは言え、あのまま引きずり込まれていたら一体どうなったのだろうか。
普通のブラックホールであれば、重力による圧壊なども考えられたが…この様子だと多分そうじゃない。
「そこまでデータはとれていないって言うけど、どのぐらいまでしかわからない?」
【えっとですね…重力場の強さや範囲、ソレに…中心部に、妙な反応があるぐらいでしょうカ】
「妙な反応?」
【あまりにも強力な重力場ゆえに、センサーでの感知もゆがめられて、正確なものが出せないのですが…生体反応に近いものを感知していますネ。あの強力な重力場で、オンライン上でもこれに耐えきれる生物は登録されていな…っ!?】
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
「な、なにこれ、でっかい警笛!?」
『き、緊急レーダー感知!!グレイ号付近に、強力な重力場ワープアウト反応を確認!!あと数秒で、出現しマス!!』
突然うなり後をを上げた、グレイ号の緊急警笛。
何かヤバいものを感知したようで、焦った声が出る。
【グレイ号、緊急回避ワープヲ!!】
『了解…って、出来ないデス!!重力場の発生で、空間極大歪曲!!重力に、引きずり込まれマス!!』
突然の出来事にグレイ号のエンジンを緊急稼働させる間もなく、次の瞬間にはものすごいいきおいで船が引っ張られ始めた。
『エマージェンシー!!エマージェンシー!!エンジン最大稼働限界を大幅に超える重力場のため、脱出不可能!!このまま、引きずり込まれマス!!』
なすすべもなく、突然現れた重力場へと船は勢いよく引き込まれていくのであった…
それはすぐに、アルケディア・オンラインの監視部門に発見され、該当エリアの緊急封鎖が行われた。
先日の緊急メンテナンスが明けてまだ間もないが、それでも何かしらの非常事態にあたるのだろう。
ログに緊急速報の形でプレイヤーたちに通達され、影響が出るであろうエリアにいるプレイヤーたちはすぐさま運営の手によって安全な場所にまで誘導され、後日の保証を確約されつつ、すぐさま重力場の周辺からプレイヤーたちは全て離脱する。
「エリア封鎖どころか、完全隔離か…ワープもできなくなっているよね?」
『そのようデス。該当範囲からさらに数十光年分余裕をもって、空間そのものを一時的にオンライン上から切り離している措置が取られていマス』
【アルケディア・オンラインでは珍しい超緊急切断措置デス。システムへの影響も避けるために、害となる箇所を徹底的に切断することで、被害が増えるのを防ぐものになりマス】
それほどまでに危険視されているのか、興味本位で近づこうとする輩も徹底的に来れないようにしているらしい。
グレイ号のワープでも向かえないようになっているらしいが…誰が向かうだろうか。
「そもそも、その重力場の発生源が何なのかもわからないけど、ほぼ確実にろくでもない予感しかしないのがなぁ」
【おや、運営からの通信で…グレイ号の観測データの一部の要請ですネ。感知しただけでさほど取れていないのですが、確認のために必要なようデス。主様、いかがいたしましょうカ?】
「んー、運営からの要請となると…ああ、もう確実に絶対に一般人が触れたら駄目なヤバい案件なのが目に見えてくるじゃん。運営側のほうで解決できそうなら、手助けとしてデータを送信して良いよ」
【承知いたしまシタ】
噂をすればなんとやら、運営が出てくる時点でほぼ間違いないだろう。
こっちが巻き添えになるのを防ぐために、よりもっと大きな運営という存在に任せるのが吉である。
何事も適材適所であり、一般プレイヤーはそそくさと退散するだけだ。
「それにしても、運営がわざわざ出てくるほどか…」
グレイ号の出力を上げても、中々振り切れなかった重力場。
どうにか脱出できたとは言え、あのまま引きずり込まれていたら一体どうなったのだろうか。
普通のブラックホールであれば、重力による圧壊なども考えられたが…この様子だと多分そうじゃない。
「そこまでデータはとれていないって言うけど、どのぐらいまでしかわからない?」
【えっとですね…重力場の強さや範囲、ソレに…中心部に、妙な反応があるぐらいでしょうカ】
「妙な反応?」
【あまりにも強力な重力場ゆえに、センサーでの感知もゆがめられて、正確なものが出せないのですが…生体反応に近いものを感知していますネ。あの強力な重力場で、オンライン上でもこれに耐えきれる生物は登録されていな…っ!?】
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
「な、なにこれ、でっかい警笛!?」
『き、緊急レーダー感知!!グレイ号付近に、強力な重力場ワープアウト反応を確認!!あと数秒で、出現しマス!!』
突然うなり後をを上げた、グレイ号の緊急警笛。
何かヤバいものを感知したようで、焦った声が出る。
【グレイ号、緊急回避ワープヲ!!】
『了解…って、出来ないデス!!重力場の発生で、空間極大歪曲!!重力に、引きずり込まれマス!!』
突然の出来事にグレイ号のエンジンを緊急稼働させる間もなく、次の瞬間にはものすごいいきおいで船が引っ張られ始めた。
『エマージェンシー!!エマージェンシー!!エンジン最大稼働限界を大幅に超える重力場のため、脱出不可能!!このまま、引きずり込まれマス!!』
なすすべもなく、突然現れた重力場へと船は勢いよく引き込まれていくのであった…
75
お気に入りに追加
2,031
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる