アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-104 重力の底

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―――謎の超重力場。

それはすぐに、アルケディア・オンラインの監視部門に発見され、該当エリアの緊急封鎖が行われた。

先日の緊急メンテナンスが明けてまだ間もないが、それでも何かしらの非常事態にあたるのだろう。

ログに緊急速報の形でプレイヤーたちに通達され、影響が出るであろうエリアにいるプレイヤーたちはすぐさま運営の手によって安全な場所にまで誘導され、後日の保証を確約されつつ、すぐさま重力場の周辺からプレイヤーたちは全て離脱する。


「エリア封鎖どころか、完全隔離か…ワープもできなくなっているよね?」
『そのようデス。該当範囲からさらに数十光年分余裕をもって、空間そのものを一時的にオンライン上から切り離している措置が取られていマス』
【アルケディア・オンラインでは珍しい超緊急切断措置デス。システムへの影響も避けるために、害となる箇所を徹底的に切断することで、被害が増えるのを防ぐものになりマス】

 それほどまでに危険視されているのか、興味本位で近づこうとする輩も徹底的に来れないようにしているらしい。
 グレイ号のワープでも向かえないようになっているらしいが…誰が向かうだろうか。


「そもそも、その重力場の発生源が何なのかもわからないけど、ほぼ確実にろくでもない予感しかしないのがなぁ」
【おや、運営からの通信で…グレイ号の観測データの一部の要請ですネ。感知しただけでさほど取れていないのですが、確認のために必要なようデス。主様、いかがいたしましょうカ?】
「んー、運営からの要請となると…ああ、もう確実に絶対に一般人が触れたら駄目なヤバい案件なのが目に見えてくるじゃん。運営側のほうで解決できそうなら、手助けとしてデータを送信して良いよ」
【承知いたしまシタ】


 噂をすればなんとやら、運営が出てくる時点でほぼ間違いないだろう。
 こっちが巻き添えになるのを防ぐために、よりもっと大きな運営という存在に任せるのが吉である。

 何事も適材適所であり、一般プレイヤーはそそくさと退散するだけだ。

「それにしても、運営がわざわざ出てくるほどか…」


 グレイ号の出力を上げても、中々振り切れなかった重力場。
 どうにか脱出できたとは言え、あのまま引きずり込まれていたら一体どうなったのだろうか。

 普通のブラックホールであれば、重力による圧壊なども考えられたが…この様子だと多分そうじゃない。

「そこまでデータはとれていないって言うけど、どのぐらいまでしかわからない?」
【えっとですね…重力場の強さや範囲、ソレに…中心部に、妙な反応があるぐらいでしょうカ】
「妙な反応?」
【あまりにも強力な重力場ゆえに、センサーでの感知もゆがめられて、正確なものが出せないのですが…生体反応に近いものを感知していますネ。あの強力な重力場で、オンライン上でもこれに耐えきれる生物は登録されていな…っ!?】

ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
「な、なにこれ、でっかい警笛!?」
『き、緊急レーダー感知!!グレイ号付近に、強力な重力場ワープアウト反応を確認!!あと数秒で、出現しマス!!』

 突然うなり後をを上げた、グレイ号の緊急警笛。
 何かヤバいものを感知したようで、焦った声が出る。

【グレイ号、緊急回避ワープヲ!!】
『了解…って、出来ないデス!!重力場の発生で、空間極大歪曲!!重力に、引きずり込まれマス!!』


 突然の出来事にグレイ号のエンジンを緊急稼働させる間もなく、次の瞬間にはものすごいいきおいで船が引っ張られ始めた。

『エマージェンシー!!エマージェンシー!!エンジン最大稼働限界を大幅に超える重力場のため、脱出不可能!!このまま、引きずり込まれマス!!』

 なすすべもなく、突然現れた重力場へと船は勢いよく引き込まれていくのであった…
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