アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-103 順調そうに見えても、蠢くものが…

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 航路をしっかりと確認し、流石に第一船速は速度を出し過ぎているし、急がずとも確実に目的にあるものだと分かれば、通常の即で船を進めれば十分だろう。

「それにしても、一人舵をもって艦橋に立って、宇宙を進むか…これはこれでロマンあるかなl」

 大人数で和気あいあいと操艦するのも悪くはないが、こういう一人での時間も必要だろう。

 普段、何かと人数が多いので、こうやって極端に減らしても悪くはない。




 グレイ号のエンジンは調子よく動き、航路に支障は無し。
 船自身も空気を読んでか黙っており、ロロも分析室から出てこないので特に会話らしいものもない。

 黙って舵を握り、船を進める…宇宙フィールドとはいえ、こういう船の旅路も絵にはなるはずである。

 可能であればもうちょっと海の男らしい恰好で…と思ったが、流石にそれは高望みか。

「でも、女神の状態から男神の姿になれば、ワンチャンあり得るか…?」

 もう間もなく訪れるであろう、一時的なものとはいえ得られそうな幸せの場所まで、もう間もなくと言ったところで‥‥どうやら、航海というのは順調に進みにくいモノらしい。


ガゴンンッツ!!
「うおっと!?」

 突然、何もない場所のはずなのに何かの衝撃があったかのように、船が大きく揺れ動いた。

「な、なんだなんだ!?何か跳ね飛ばしたか!?ぶつかったか!?」
『いえ、違いマス。外壁に衝突物はありまセン。原因解析…どうやら、重力場に引っ張られているようデス』
「重力場?」

 突然の出来事に驚く中、グレイ号の声が響き、すぐに原因を導き出した。

 どうやら先ほどまで何もなかったはずの空間に、突然強烈な引力を伴う何かが出現し、それが周囲を巻き込む形で引きずり込む大きな重力場が発生したようで、グレイ号はソレに引き込まれたらしい。

「突発性ブラックホールでも出現したのか?」
『本日の、宇宙フィールド内に出現する確率は低いもので、航路予想ではないはずデス。原因は不明ですが、このままではその重力の発生源へ引きずり込まれマス』
「なら、全力で抜き出せ!!こういう時に出るのは、大抵ろくでもないものだと決まっているからね!!」
『了解。操舵、一時的に自動操縦へ切り替え、エンジン出力を上昇。幸い、まだ弱いので10%ほどの口上で十分デス』

 ドウッっとエンジンが音を上げ、グレイ号が加速した。

 ブースターを使うまでもなく、単純に出力を上げるだけで、振り払える様子だ。

 これならば、直ぐに解決するだろうと思っていたが…事態は悪い方向へ傾いた。

ガッゴゴゴゴゴン!!
「っと、揺れが激しいな…抜け出せないのか?」
『これは…おかしいデス!!想定幅を超えてマス!!干渉波を確認、空間全体に働きかけ、通常よりさらに脱出しづらく、発信源へ誘導するように全体が動かされていマス!!』
「干渉波!?」


 すぐに抜け出せるかと思ったが、何かが引きずり込むような影響を与えており、エンジン出力を上げるとすぐに、妨害するようなものを出されたようだ。

『空間干渉により、ワープ阻害を確認!!主砲及び副砲、他全兵装のエネルギー回路を一時閉鎖!!エンジンへのエネルギーを増加させ、最大出力で振り切りマス!!」


ドォォォォォォウウウウウウウウウウ!!

 大きく船がきしむような音を立てながら、エンジン音が唸り声をあげる。

 凄まじい勢いで、いつぞやかの逃走劇のような必死さを感じさせるが、あの時よりもグレイ号は改良されており、比較にならない出力を出しているようだ。



ドォォォウウウウン!!
「っと、抜け出せたか…」

 船が大きく揺れたが、どうやら無事に重力場から抜け出したようだ。

『安全地域まで予定航路を離れマス』
「ああ、頼むよ」

 それでもまだ油断できない状況らしく、いったん目的地へ向かう航路を離れ、安全な場所へ向かう。

『重力場計測…移動しているようデス』

 移動性ブラックホールの類なのか、それとも違うものなのか…それはわからない。

 今はとりあえず、再び重力場に捕らわれないように動くのであった…




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