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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-90 見ている者はいるのデス

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【…まぁ、予想できていたことなのデス】
『レーダーにも、ばっちりとらえているけれども…相当ヤバい状況になっているようですネ』

…港にて、錨を下ろし停船中のグレイ号、その艦橋内部。

上部モニターに映し出された、このはるか上空の宇宙空間での映像を見てつぶやいたロロに対して、グレイ号もそう答える。

彼女たちは、わかっていた。
グレイ号に備え付けられた特殊レーダーによって、捉えた影を。

上空で待機して守りを固めていた恐竜兵たちの動きも見ていたが…いかんせん、相手が悪かったようだ。

【指揮や装備に設備、その他系統も悪くはないのですが…いかんせん、欲望をたぎらせたものへの対処が、まだまだ甘いとしかいようが無いですネ】
『人のことは言えないが…うん、同情するヨ』

 上空には、実は他に先日の騒動からようやく修理を終えた3番艦や4番艦なども待機しており、詳細な情報がそこからより収集できているのだが、戦況は思わしくないようだ。

 欲望をマグマのように煮えたぎらせ、遂に噴出させた活火山のようなものの強さというのは、どれほど厄介なものなのか理解できるだろうが…その強さだけで、何十万の大群を相手にできている事実にも、呆れどころか感嘆すら抱いてしまうほどであろう。



 とはいえ、何もせずに見ているだけでは意味がない。
 下手をすれば、自分たちの主であるハルに対しての危害…例え、彼らが物理的に傷つける気持ちが無くとも、被害を及ぼす可能性だって十分に考えられる。

 そこで密かに、データの収集速度を速めさせたり、それとなく電気信号の活性化による思考能力の外部干渉による向上や、微量のナノマシン散布による性能向上などの手助けを行っていたのだが…それでも、奴らには通用しきらないようだ。

 下に恐ろしきは、人の欲望かな。

 グレイ号もロロも造られた存在であり、一応は感情を持つが…それでも、生者の欲望の底知れぬものには、恐ろしさも感じるだろう。


【…主様へ、ひとまずデータを転送。この状況を聞いて、どのような判断をされるのかは大体予測できますが…主様も絶対に思いますよね】
『こういう執念、本気で怖イ。人であろうとモノであろうと神であろうとも、やろうとするだけの力というのは侮れないシ…』
【それは本当にそうですヨネ】

 だが、それでも命じられれば動くしかないだろう。
 例えどれほどのやばい相手だとしても、こちらとて引き下がれぬのであれば、やるしかない。


【…と、GOサインが出ました。どうやら、動くことにされたようデス】
『それならば、動きましょウ。エンジン始動、発艦準備!!』

 考えている間にハルからの指示が飛び、船は動き出す。

 補助エンジンからの動力を伝達させて、メインエンジンを稼働し…いつでも全力で戦えるように準備を整える。

【主様たちが乗船後、直ぐに戦闘海域へ入れるように小ワープ準備。予定座標軸をセット】
『全力で、果たしてどれほどやれるか…女神の姿で使われていなかった、あの戦いに参戦できていなかった雪辱を、晴らせたら一番良いのですガ』
【身バレ防止のために、使用されなかったのを少し気にしているようですネ…まぁ、先日の戦いのダメージも十分に癒え、なおかつ改良を今もなお施し強化された力を、お見せするいい機会デス】

 グレイ号自身、既にロロの手による魔改造は、あきらめの境地に達しているので何も言わない。
 他姉妹艦も修理ついでにその毒牙にかかってしまったが、諦めろとしか言いようがない。


 そんなことは間違っても口には出すまいと心に刻みつつ、出航の準備を行うのであった…



『…ところで、メインエンジンの具合が修理後から、妙に変なのですガ、何かしましたカ?』
【エ?バイパス周りの強化改造は施しましたが、修理以外でエンジン自体には何もしてないですヨ。何か、具合が悪いのでしょうカ?】
『悪くは無いですが、何かこう、抜けているような…』


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