アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
676 / 718
Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-86 避けられぬ約束

しおりを挟む
―――約束は一度した以上、守るものである。
 たとえ、それがどのようなものだとしても、あれだけのことをしでかしまくった以上、後に引けなくなっているからこそ、その重要性は増すだろう。


 だがしかし、それでも多少の抵抗をしなければ、色々な意味で危ない可能性もある。

「まぁ、それでもやってきてくれるのは良いことなのデース。その行動に敬意を表して、本日はこの星間国家ファッション最先端のビキニアーマー専門店通りを貸し切りにしているので、人目を気にしなくて済むように配慮させてもらったのデース」
「百歩譲って、貸し切りにしてくれたのは良いけど…ビキニアーマー専門店通りって何?何を治める星々の一つに開業しているの?」
「しっくりするのが欲しかったので、こりまくったらこうなっていたのデース。今ではこのアルケディア・オンラインの特殊装備販売ランキングにて、先月ついに第3位として紹介されたのデース!」

 どんなランキングだ、それは。

 かくかくしかじかと話を聞けば、現実ではどう考えても切ることができない装備品があっても、このオンライン上ならば堂々と着こなせるからこそ、特殊装備に特化した専門職になる者たちが出てくるらしく、その手の輩によっていつの間にか出来上がっていたものなのだとか。


…そう、そしてハルは今、先日のティラリアとのPvPの勝者への約束を果たすために…このビキニアーマー専門店通りに来ているのであった。

 なお、ミントは逃亡…したわけではなく、本日は吸血界隈での仕事と叔母さんの手伝いに狩りだされているため、ログインしていない。

 見られていたらそれはそれで最悪だったので、都合が良かったというべきか…また何か疲れて帰ってきそうだから、いたわれるようなものを考えたほうが良いだろう。



 とにもかくにも、やってきてしまった、星間国家随一の専門店特化通り。
 その中の一つ、ビキニアーマー専門店通りだが、貸し切りによって人怪我無いとはいえ、それでも堂々と店頭に様々な種類のものが並んでいる様子は現実ではどう考えても見ることができない、珍しい光景。

 大きかったり小さかったり、金属製や革製、布地、葉っぱ、スライム等々、専門通りというだけあってか、かなり種類が多いようだ。

「ついでに、実はバフもかかるように、それなりに強力なエンチャント装備にもなっているのデース!!この店の、レッドジェルビキニアーマーは、同じ値段の鎧装備品よりも防御力が高くなったりするのデース」

 表面積が大きく減っているはずなのに、どうして軽々超える防御の数値を出すのだろうか。
 それは創作ものでは永遠の課題になりそうな案件のため、ツッコミを入れるのは避けておきたいが…それでも心の中では言いたくなる。

「さて、一緒に好きなものを探すのデース!ハルさん…いえ、黒き女神!貸し切りとはいえ、宇宙ソラから不法侵入者変態が迷い込んでもおかしくはないのデース。万全の警備として、通りの周囲には精鋭たちを取り揃えているので、容易く進入できないデースが、何事もイレギュラーな事態があってもおかしくないのデース」
「具体的にはどういうのを配置したの?」
「上空に、ステルスラドン軍団が飛び交っているのデース。目には見えないステルス能力を持った、プテラノドンのような見た目の者たちで、しっかり武装済みなのデース」

 今は目に見えないが、ステルス機能を解除すればものすごい数の翼竜の群れがいると思えばいいのだろうか。

 雲一つない晴れやかな青空のはずだが、いないように見えている…ちょっと怖いかもしれない。

『ついでにグレイ号から通信なのですガ、蟻の子一匹通さないほどの密度の生命反応があることを確認済みなのデス』

 さらっと星の港に停泊中のグレイ号にいるロロからの通信が入ったが、よっぽど固いガードを固めているようだ。

 このビキニアーマー装備を一緒に買うためだけに、どれほど動員させたのか…想像したら、恐ろしくもあるだろう。

 それでも、約束をした以上は、この厳重過ぎる警備体制までしかれているのであれば、清濁を併せて吞み、対応しなければならない。

 気を取り直して黒き女神の姿…ひとまずは第一形態のほうから切り替え、装備品ビキニアーマーの買い物を始めるのであった…

「…ところで、あの黒と白の二人に分かれるのはやらないのデースか?やれるなら白ロリ黒大人か白大人黒ロリなあの可愛らしい姿に囲まれて、買い物したかったのデース」
「流石に精神的な方の負担が大きいので…」

…二人になると戦術の幅も増えるが、この状況でやらかせば二倍の苦労を背負うことがよくわかっているからこそ、絶対になる気はないのであった。
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

処理中です...