アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.1-83 女神の一撃、恐竜の砲撃

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―――金棒でどっかんばっごんと周囲が粉砕され、灰燼と化す。
 カイニスの怪力を電撃との組み合わせてよる凶悪化させたもので、その実績は既に証明済み。

 破壊しても大丈夫な星が減っていくが、それまでの勝負を決めたいところ。

 だがしかし、これだけのものを使ったとしても、一つ厄介な点がある。

【…やっぱり、経験というか得意分野の差があるか】
【無理やり理不尽な力で叩き潰すのは、むしろ抵抗できてしまうと】
「HAHAHA、その通りデース!!このぐらい、まだ余裕はあるのデース!!」

 ダメージは与えているはずだが、ティラリアさんはまだ焦っていない。
 それどころかすでに、こちらとの戦闘である弱点を見つけられたようだ。


「二人合わせてのスキル行使は確かに強力なようデースが…まだまだ精度が甘いのデース!!その形態でガチ対人戦は初めてで、戦い方は手探りな部分があるようデースね!!」

 戦闘経験は色々とあるが、今回のこの形態での対人戦使用は初めてのもの。
 ある程度の扱い方は把握しているが、それでもティラリアさん相手には少々無謀だったかもしれない。


 いや、他の形態でもうまくはいかないだろう。
 中三病さんの例をこれまでいくらか見てきているので、どれほどの強さを持つのかはわかっている。

 だからこそ、その強さに対して対応しやすいこのツインゴッデスを使ったわけだが…読みが少々、あまかったというべきか。

「それに、どうやら取り込んだ子は何体もいるのに、全部まとめてとかはできないようデースね!!二人で一つずつ抽出して組み合わせているから、組み合わせる前にこうして…」

 いうがはやいが急加速し、黒と白の女神の間に割り込むように、どこからともなく出してきたハルバードを振りかぶってきた。

「分断したほうが楽デース!!」
【結構強引だけど、確かに的確な手段だ!!】
【というか、怖っ!!腕ごとざっくり切断する気だったよ!!】
「大丈夫デース!!これは分断策の一つで、他にもあるのデース!!良ければ抱きしめて、片方から引き剥がすという手段もあるのデース!!」
【樽を抱き潰した前科がある時点で、絶対にやられたくないんだけど!!】
【黒も白も関係なく、トマトを握りつぶしたような光景になりそうなんだけど!!】

 強敵、狂敵ともいうべきか。
 過去の例があるからこそ、未来に起こりえる悲惨な状況が想像できてしまい、なんとしても避けたい。

 しかし、このまま防戦一方では、敗北する可能性もある。
 勝利できれば、あの情報が手に入るが…敗北すれば…アレかぁ…なんとしても避けなければいけない。


「強力なスキルにされる前に、分断しまくってやるのデース!!」

 組み合わせようにも、こちらのネタが割れた以上、やすやすとさせてくれない様子。
 まぁ、無理もないだろう。どう考えても相手が有利になるものであれば、徹底的に邪魔をするのは間違っていない。



…だけど、何も黒と白の女神二人で、手を合わせて強力なスキルを生み出すことしかできないわけではない。

【このぐらい、一応想定の範囲内】
【二人で一つの、スキル合成は確かに強力だけど…こうやって妨害される予想はついていた】
【【だからこそ、ここで妨害してくるのであれば、もう一つの策を使うまで】】

 金棒を消失させ、二人の女神は大きく距離を取る。

「む?二人手を合わせてスキルを創るには、距離があるデースね。何か、仕掛けようとしているようデース」

 女神たちの動きに何か感じ取ったのか、すぐに距離を取るティラリア。
 警戒しての行動で、ここからすぐにまた近寄って新しいスキルによる猛攻をかけることはできるが、せっかくなのでこの策を使用する。

【【『反転活性』!!】】

 ブォンッと音が鳴り、女神の輝きが増し、それぞれの形状が変化した。

 黒き女神のほうは、全体的に成長し、逆に白き女神のほうは小さい方へ。
 黒い体に合わせて白い装甲が、白い体に合わせて黒いドレスを身に纏う。

「OH?成長程合いが逆になった姿になったのデース?」
【ああ、その通り。ついでに言えばステータスも…】
は攻撃へ、は防御へ振り切った!!】
【【繋いでスキルを合成できなくなる代わりに、使い魔たちの能力を最大限生かした連携が可能になる『反転活性状態』へ切り替えた!!】】

―――
『反転活性状態』
本来は自身のステータスの数値が全て真逆にされてしまう効果を持つ『反転状態』という名の、状態異常の一種であり、スキルや道具によって引き起こされるものであり、大抵の場合は普段と扱い方が真逆になるため、戦闘時において切り替えが苦手な人の場合はデバフになりうるもの。
しかし、今回の女神の場合は少し異なっており、元が一柱の存在のため、反転状態の判定がずれ込み、一部ステータスが最低値になる代わりに、反転したステータスがその時点での最高値に切り替わる。
迂闊に使えば諸刃の剣になる可能性も秘めた状態異常でもあるが…
―――

「…なるほど、連携で補う気デースか。しかも、他人同士ではなく元は自分同士であるからこそ、補う…どちらかが倒されればあっという間にやられそうデースけれども…」
【そう簡単にはできないよ。私は私、どこにどうなるのか把握していて、共有もしている】
【片方を倒せば簡単に倒れるような、そんなお決まりが…通用するとでも?】

 その問いかけに対し、ティラリアは警戒を強める。
 こういう対になっているような相手であれば、片方が倒れればもう片方が弱体化するのはお約束のような物。
 
 けれども、目の前の女神たちの場合…その話は違ってくることを理解した。


「倒されても一人に戻るだけ…もしかすると、むしろこの2人の状態の時のほうが、まだマシと言えるようなレベルに一時的に戻ったりするのデース?」
【さぁ?流石にそこまでは、公開できないね】
【知りたいのならば、全力で私たちを相手してもらう必要があるよ】
【【さて、それでは…続きを始めようか】】

 にこやかに微笑む女神たち。
 しかしながら、その笑顔の裏にある力までは読み切れず、微笑みに微笑みを返す余裕はない。

「ふふふ…どうやらこれは、久しぶりに結構面白くなってきたのデース!!」


 余裕は失われた。
 その代わりに、ティラリアに湧き上がってきたのは…未知の敵に挑むという、高揚感。
 ここ最近は自身の覇道を邪魔する者も何もない状態で、少しばかり持て余していたところがあったが、ここにきて出てきた女神という名の大きな壁。

 気持ちを改めて、堂々と正面から挑みにかかるのであった…



「あ、でも勝負に使える星が、あと5個ほどなのデースが…そこは、どうするデース?」
【【え”っ…うん、まぁ、3個以内に勝負を決めよう】】


…今更ながら、破壊しまくった星の多さを自覚したようだが…犠牲は、避けられないのかもしれない。
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