アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-72 漁夫の利・漁夫の損

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…中三病の最後の一撃によって、レイドボスは討伐された。
 色々とトラブルがありつつつも、無事になんとか成し遂げることができたのはかなり喜ばしいことだっただろう。

 だがしかし、その代償としては支払うものもそれなりに存在しており、手放しで喜べるようなものではない。


「それでいて、あのシードたちの挙動が色々とヤバかったようで、運営からの詫びが全プレイヤーへ配信か…やっぱり、何かしらの不具合の類だったのかな」
「自己進化するとはいえ、ミサイルや砂漠など取り込んでいたりと、かなり変だったからね。そうかもしれないと思っていたけど、まさか本当だとは…」

 運営からのお知らせを確認し、そうつぶやくハルとミント。
 見れば、ALやアイテムなどの配布があったようで、かなりの量になっている。

【ですが、それでも全体的に見れば今回は赤字だったのデス。全艦、修理するはめになりましたからネ】

 完全な陣形で組まなかったがゆえに、アルテマカノンの放出によって、艦隊は現在修理のために使用ができない状態になっていた。
 いかんせん、砲撃の性質や莫大過ぎるエネルギーを扱った反動ゆえか、あちこち壊れてしまったのである。

【エンジンコアの修復、防壁の再合金、精密部分の外部委託修理…その他諸々差し引いて、今回得られたものと比べるとやはり、痛いですネ…】
「まぁ、それでもレイドボスたちを撃破するのに一役買えたと思えば、ましな方か。何もできず、意味を成すことが出来なかったら、それこそ真の損失になっただろうしね」

 あの状況下において、使用する以外の選択もなく、選んだからこそ得られた勝利ともいえるだろう。

 最後の一番おいしいところは中三病さんに取られてしまったが…僕らが目立つよりも、ログ内に思いっきり表記されて、今一番オンライン界隈の話題に挙げられているので、良い代わり身になりもした。


 あとは、このまますべて丸く収まれば平和だっただろうが…それでも、完全にとはいかないだろう。

「筋肉ギルド発表のレイドボス祝勝会…これ、出る?」
「あー…いや、出たくはないけど、これ親だしな…どうしよう」

 メールで届いていたのは、マッスルバーン…ハルの父親からの連絡。
 その内容を見れば、どうも今回のレイドボスへの勝利を祝い、ギルド面子で祝勝会を開くらしく、今回の件で巡り合えたのもあって招待されたのである。

 断りたくもあるが、こういうゲーム内の付き合いとしては…どうしたものだろうか。


【なお、中三病さんもしっかり招待されているようで、特等席が作られているようですネ。予定特等席のイメージ図付きデス】
「筋肉に両脇からがっちりホールドされている席って、特等席になるの?」

 図があるせいでわかりやすいが、その分出たくなさもあるだろう。

 中三病さんがこれに出るのかは疑問だが…うん、まぁ多分出るだろうな。
 筋肉ギルドに取り込まれそうだが、今回の一件でどれほどの力を持っているのか分かっただろうし、中三病のティラリアさんからのガードを固めるという手段としては、筋肉の防壁があっても良いのかもしれない。

 とにもかくにも、出欠に関してしばし悩まされるのであった…



「うーん、筋肉のゲシュタルト崩壊を起こすようなことになりそうなのが怖いな」
「どういうものなの、それ…と言いたいけど、何も癒えない」
【お二人とも、昔からどういう方か知っているのであれば、ある程度大丈夫デハ?】
「「いや、あの人のことだから、確実に筋肉まみれなことをやらかしそうなのが、目に見えている」」

…参加しないほうが平和か?でもなぁ、一応助けられてもいたしなぁ…うーむ…
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