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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-65 歌を入れたくなるのは何故なのか

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―――デボスミサイラーVS巨大父親ことマッスルバーン。

 かたや、植物と機械の融合生命体のようなもの。
 かたや、筋肉一筋でごり押しまくった結果、そうなってしまった者。

 両方ともかなり無茶苦茶な存在ではあるが、共通しているのはどちらもこの場において、圧巻の巨体を持つことであろうか。

「大怪獣同士の戦いのようだけど、巻き込まれる当事者からしたらたまったものじゃないな…」

 両者ともに雄たけびをあげ、全力で激突しあう。
 その余波がもろに来ており、吹き飛ばされそうになるだろう。

 だがしかし、吹き飛ばされた場合、落ちた先は周辺の煮えたぎる砂漠ゆえに、吹き飛ばされるわけにもいかない。
 よくある怪獣映画の巻き込まれ住人というのは、この状況下に置かれているのかと考えると、アレで耐えて生き延びている人たちに畏怖すら覚えそうだ。


「とはいえ、このまま隠れているだけでも厳しいか」
「物凄くむさくるしい戦いだけど、苦戦しているっぽい」

「うぉぉぉぉぉ!!マッスルパワァァァァ!!」

 全力でマッスルバーンが殴りかかるが、いまいち決め手にはなっていない模様。
 デボスミサイラーのビーム攻撃が謎の理屈で筋肉によって弾き返せている様子だが、それでも完全にダメージまでは打ち消せていないようで、常時他の目からのビーム攻撃を受け続けているのが響いているのだろう。

 巨大な体というのは強そうだが、その反面大きいからこそ攻撃がよけにくく、受け続けてしまうのが弱点になってしまう。

「ぬぅん!!まだまだぁ!!マッスルビルドアァァァップ!!」

 ぼごんっと大きく膨らんだかと思えば、すぐに戻る。
 だが、先ほどまで追っていたダメージが回復しているのか、薄汚れていた表面が少し綺麗になっていた。

「筋肉系の回復スキルか…いや、言ってみたけど、本当に何?」
「ある意味、ハルさんと似たようなものを感じるね。謎の理不尽さの力を持つ部分で」

 そんな部分で、似たようなところがあってほしくはない。

 とりあえずその部分は考えないようにして、このまま隠れて見ているだけではダメだ。
 マッスルバーンがやられてしまった場合、ほぼ確実にこちらに目を向けられるのは間違いないだろうし、そうなってしまえば僕らはデスペナルティになって、ドクターリリエルが天に召される。


「何かしらの後方支援をすべきだろうけれども…こういう時に限って、他の面子がダウンしているからなぁ」

 マリーの毒や、ルトの電撃、アリスの火炎放射やコユキの雪兵たちなどの支援手段が通常ならば使えていたけれども、現在は使えない状態。
 テイムモンスターの力を使えるスキルも、MPが枯渇している現状使えないことに変わりはない。

 だが、現在の状況は先ほどの地下通路内ではなく、屋外である。
 周辺が煮えたぎる砂漠で、特殊なもので魔導船が航行するには厳しいものがあるが…

「…範囲外からなら、いけるか?グレイ号のロロへ、通信。現在、僕らがいる場所に存在する怪物を、遠距離砲撃で狙えないだろうか?」
『こちらロロ、グレイ号の射程圏内なため、砲撃による支援は可能デス』

 グレイ号にいるロロへ連絡したところ、どうやら砂漠の外からの攻撃は可能らしい。
 ただし、流石にグレイ号の砲撃が届くとしても、目標に到達するまでに動かれることを考慮しなければいけない。
 なので、可能な限り命中しやすいように…


「マッスルバーン!!相手の戦う位置をできるだけ、狙った場所に移動させられないかー!!」
「むぅ?何を考えているのかはわからないが、やろうと思えばできるぞ!!筋肉に、不可能は無い!!」
「なら、移動させてくれ!!」

 相手が動いて狙いにくいのであれば、狙いやすい場所にどうにかして誘導すればいいだけの話。
 マッスルバーンがどうにか相手の攻撃を受ける位置を調整して、当てやすい場所へデボスミサイラーを誘導する。

「ロロ、やってくれ!!」
『了解。グレイ号、主砲及び副砲装填完了、目標、デボスミサイラー!!誤差修正、実弾装填した砲は仰角調整…撃ちます!!』

 どぉぉぉんと音が伝わり、待つこと数秒。
 流石に距離があるために瞬時にとまでいかずとも、光学兵器な方はかなり早く到達し、デボスミサイラーに着弾する。

ドドォォォン!!
【デボォォォォ!】

 続けて空から、物理的な砲弾も落下してくる。
 ただしこれは、ただの砲弾ではなく…

バァァァァン!!

 着弾前に爆発したが、失敗したわけではない。
 中身は大量の灼熱化した鉄球が入っている特殊砲弾で、至近距離で戦っているマッスルバーンにも降り注ぎそうだったがうまく調整されていたようで、全弾デボスミサイラーだけに降りかかった。

【ォォォォォ!?】

「よし、良い感じに攻められそうか?ロロ、次弾をすぐに装填してほしい」
『了解デス。やろうと思えば、艦首の切り札で吹っ飛ばせますが、いかがいたしましょうカ?』
「いや、それはまだいい。特殊な状況のこの砂漠に、変な影響を与えないとは限らないからね」

 ある程度は抑えて、支援に徹したほうが良い。
 そう考え、指示を出しながら僕らも地道にデボスミサイラーの討伐作業を行うのであった…


「…というか、ハルさんの船も相当ヤバいよね。結構距離があるはずなのに、命中させるなんて」
「ロロが魔改造を施しているからね。こういうのが、ある意味正しい使いかたなのかもね」

…真正面から火力で全力で殲滅することも多かったが、今回のような支援砲撃もありだろう。
 姉妹艦が出来上がっている今、グレイ号が正面を切って動かずとも、やれる状況ができるだろうし、この機会にどういう風にやれるのかも試す価値があるか。
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