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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-62 進化するのは

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…奥へ進めば進むほど、周囲の気温は下がっていく。
 凍てつき、吐く息も白くなり、薄氷が見えてくるだろう。

「この奥の方に、シードたちは向かったようだけど…見た目からして太陽の光がたっぷり必要そうな植物のモンスターなのに、こんな所へ来て大丈夫なのか?」
「この辺りで襲撃を受けたから、耐性があるのかもしれない。そもそも並の植物ではなく、レイドボスの子供のようなものだったからな」

 周囲を警戒しながら進み、中三病さんと話す。


 レイドボスの子供でもあるシードたちだからこそ、植物系のモンスターとはいえここまで進むことができていたのだろう。
 
 しかし、それでも限界があったようで、次第に何か点在しており、確認したところ凍り付いたシードたちの成れの果てだった。

 流石にあれだけ滅茶苦茶なモンスターでも、この寒さは厳しかったのだろう。
 ムキムキの足を生やしているので、一瞬下半身だけ残された死体にも見えるのでドキッとさせられたが…うん、まぁ見た目はもう少しましなほうへ変わってほしいところではある。


「でも、数が少ないな…そこそこいたから、逃げ延びたのはさらに奥か」
「ムキムキの足跡があるからこそ、どれだけの数が残っているかが分かりやすい」
「もっとこう、種系のモンスターなら円状のものをイメージするのに、ここまでくっきりとした足跡なのが違和感強すぎるね」
「足だけならばまだいいぞ?ゴリラマン先生が相手をしたモンスターの中には、目玉で歩く奴もいたからな」

 目玉の足跡ってどういうのものなのか…いや、イメージできそうだけどあまり特徴のないものになっている気がする。



 そんなことはさておき、いよいよ古代都市の最深部に近くなってきたところで、異変が見られ始めた。


――ビキ、ビキキィッ

「…何が割れるような音がしているような」
「それと、ここから先は熱量が上がっているのか、氷が消えつつあるな」

 奥の方に、何かしらの熱源でもあるのだろうか?
 薄氷が見えていた通路が溶かされ始めており、不気味な音が聞こえてくる。

 元々、この奥の方には当初の目的であった惑星破壊ミサイルが隠されていると考えていたが…様子から察するに、あのシードたちは底で何かしでかしたのかもしれない。

「もしかして、ここでミサイルを爆破したとか?」

 親と言えるレイドボスへの決定打になりうるミサイル。
 それをどうにかしてプレイヤーの手に渡らせないようにするのが、彼らの目的だろう。

 だが、ここで僕らに敗走したことで最後の手段として、ここでの破壊を行った可能性もある。


 でも、それにしては少々熱の伝わり方がおかしいが…



シュルルルルルルルル!!
「っと、奥から何か伸びてきたぞ!!」
「触手!?何、エロトラップダンジョン的なやつ!?」
「違う、あれは何かの根っこだ!!凄まじい勢いで通路を埋め尽くしながら、迫ってきているぞ!!」


 前方の通路の奥から何かが伸びてきており、見れば薄い緑色をした触手のようなもの。
 植物系モンスターに詳しい中三病さんが見れば、蔓ではなく根っこの類…見た感じではもやしのような状態のもののようで、それが通路の壁を覆い尽くすように伸ばしながら迫ってきていた。


 奥の方で、何かの手段でシードたちが発芽でもしたのだろうか?
 でも、ヒマワリの種のもやしなんぞ聞いたこともない。

「いや、調べるとあるところにはあるぞ。だから、太陽光の届かないこの奥でもやしになってもおかしくはないが…」
「存在しているのかよ」

 どういうものなのか気になりはするが、今はそれどころではない。

 どう考えても敵対している相手の伸ばしてきたもやしは、近づかれた不味いだろう。

「全員撤退!!全力で逃げるぞ!!セレア、背中に乗せてくれ!!ミーちゃんを手に抱えて!!リンはドクターリリエルと中三病さんをわきに抱えて!!」
【了解バルルゥ!!】
【よっと、少し揺れるけど頑張って、ガウゥ!!】
「わっ!?」
「うおっと、まぁ小生たちが走るよりもモンスターのほうが足が速いか」
「絵面的に他のプレイヤーに掲示板で言われそうな気がするのは気のせいか!?」

 僕らが全力で逃げるよりも、彼女たちに運んでもらうほうが早い。
 普段戦闘で活躍してもらっているが、こういう逃走手段でも優れた面子だろう。

 すぐさま僕の命令を受けて実行し、彼女たちに乗せてもらいながら全力で出口へ向かって、駆け出し始めるのであった…


ドドドドドドド!!
「結構速い!!牧場の新入りメタルゼリーのオーちゃんより速いかも!!」
「普段駆け抜けるのとは違うスピード感は良いなぁ」
「でも相当揺れるのが、うぐぇぶ!!」




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