アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-55 雪兵たちを超えた先

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…大量の雪兵たちを動員し、根性で砂漠を突き進むこと1時間ほど。
 思ったよりも短く、それでいて長く感じた時間。

 ぐつぐつと煮えたぎった砂漠の熱は容赦なく襲い続け、どれだけ抵抗できただろうか。

 ある程度の予想を立てつつ、持つように効率化をしていったが…



「…それでも熱でどんどん溶けての消費が激しくて、色々削った結果、まさか黒き女神第1形態のこの黒い靄しか操れない状態になるとは…ここまですっからかんになったの、初めてかなぁ」
「それ、何も消費しなくても使えるんだ?」
「そうなんだよね。一応女神の特性的なもので、消費するものはないけど…コユキも出しきったし、いったんハウスに戻すよ」
【ユ、ユッキ…役に立てたのは良かったけど、こちらも残員0…無念…】

 煮えたぎっていた砂漠を踏破したが、消費が激しすぎて、だいぶボロボロである。
 しかも、予想よりもはるかに消費が激しかったため、テイムモンスターたちから少しづつ分けてもらってどうにか持たせたのだが…

【ガウ、そんなに持ってないから影響なかっけけど】
【他の面子は、引っ込んだバルルゥ】

 、失ったMPが多すぎて、色々なスキルが使えなくなった面々はハウスシステムに収納。
 そのため残っているのは、基本的に身体能力だけで自己完結できるリンとセレアぐらいである。

「ふむ、煮えたぎった砂漠越えは流石にプレイヤーでも相当厳しいと…これはこれで貴重なデータだな」

 ドクターリリエルがそうつぶやくが、プレイヤーに限らずほとんどの者にとって厳しいのではなかろうか。
いや、中には砂漠や耐熱特化したプレイヤーがいるかもしれないので不可能ということはないだろうが、それでもこの煮えたぎった砂漠はかなりきつかったと思う。

「本当は女神じゃない通常状態で進みたいが…古代都市となると、こういう場所ってお約束のように罠が張り巡らされていたりするからね…何もできない状態だと普通にやられそうだよ」

 まぁ、罠が多そうな場所へ挑むのであれば、少数編成になりそうなこの状況ならむしろありか。
 いざとなればドクターリリカルが増殖し…いや、こういう都市での罠のお約束の中には密室での水攻めや壁が迫ってくるパターンがあるので、そこでやらかされた場合は確実に剛毛圧死という字面が意味不明なものになるだろう。

 VRMMOだから現実の死にならないとはいえ…そんなおかしな死因でデスペナルティを受ける羽目にはなりたくない。
 過去、他プレイヤー間でネットの掲示板で話題になった変な死因には、爆発岩死、デスキッス死、ス〇ランカー死、変態光線乱れうち死等々あるらしいが、その中に加わりたくないものである。というか、最後の光線云々はあの戦隊が関わっているではなかろうか?いや、そんな光線出せたかな…出せそうかな…



 とにもかくにも、慎重に進む方がいいだろう。
 この古代都市に惑星破壊ミサイルが隠されている可能性は非常に高く、目的地はもう近くまで来ていると言っても過言ではない。

 それだけ距離が近いのに、手に入れられそうな場所で機会を逃すのは非常に悔やまれる。

 そのため、僕らは周囲を警戒しながら、ゆっくりと古代都市へ足を踏み入れるのであった…



「でも、流石に中三病さんが先に来ているなら、いったんフレンドメールでも送ってみようかな?もしかすると途中で、遭遇するかもしれないからね」
「罠に追いかけられて、その最中に出会うかもね」
「あーよくこういう遺跡系にありそうな、落下する岩に追いかけられてとか?いやいや、中三病さんのことだから、対姉用調整版対戦車ミサイルとか放って攻略するって」
「それもそうだねー。でも、それ調整しても結局」
「「あの人には勝てなさそうだよね…」」

「…何か物騒なものが聞こえてくるが、その中三病とやらの姉もそれはそれでどういう人なんだ?」

…詳しく説明すると長くなりますよ、ドクターリリエル。でも、第三者からすれば確かに、どんな人だと思いたくなりますよね。

 
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