636 / 718
Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~
ver.6.0-48 マッドなマッド
しおりを挟む
…マッドサイエンティストの環境にいた、NPC。
それだけで、どのような育ち方をしたのか想像できそうだが、それに染まってしまった姿というのは、考えたくはないだろう。
こう、マッドサイエンティストなイメージの姿とすれば…
「白衣に、ぐるぐる眼鏡、なにかとくーくっくなどのレパートリーがある不気味な笑い声に黄色の…」
「それどこか別の何かと混ざっていないかな?」
様々なイメージを浮かべつつも、やってきてしまったそのNPCの部屋の前。
このゴリランドロノメダに設けられた寮室の中にいるというが、明けてすぐに中の状態が、物凄く理解しやすかった。
「ここまでイメージ通り過ぎる、悪の研究室的な室内はどうなのか…」
ごぼごぼと怪しい液体が沸騰しているフラスコや、ホルマリン漬けのような何かの便に浮かぶ不気味な物体。
怪しい機器や謎の残骸など、マッドサイエンティストの部屋というよりも、どこかの悪の科学者の拠点的な室内と化している。
なお、普通はこのような部屋は用意されておらず、どうやらそのNPCが自力で作り上げたもののようだ。
環境に染まっているからこそ、似たような場所が落ち着いたのだろうが、まともな部屋だったものをここまで改装するだけの努力があるのならば、もうちょっとまともな方に生かしてほしくもあttだろう。
そんなこんなもありつつ、部屋の奥の方に、その目的の人物はいた。
「やぁ、ドクターリリエル、お元気かな」
「ん‥?んぉ、ゴリラマン先生か」
一瞬、巨大な毛の塊のように見えたが、ゴリラマンさんが声をかけたとたん、ごそごそと動き声を上げた。
手足がどこにあるのか、いや、そもそも中身があるのかどうかもわからない。
毛玉の塊と言ってもフワフワしたようなものではなく、かなりの剛毛なのか…色合いが違えばどこかのマスコットになっていたかもしれないが、それでも不気味さを感じさせるだろう。
「んぅ?先生、何やら見慣れぬ人たちを連れてきておるようだが…」
「ああ、紹介するよ。わたしの友人たちだ。こちらが、ハルで、彼女がミントだ」
「ほうほう」
僕らの存在に気が付き、軽くゴリラマンさんが紹介する。
巨大な毛玉が蠢き、こちらの方に改めて向き直る。
大量の毛によって顔が見えないが、どうやらその剛毛の奥深くには見えないような目があり、こちらに対する視線を感じ取る。
少し探るような感覚がしたあと、口が見えないけれども、その口を開いた。
「なるほど、先生の友人か…どうやら、プレイヤーと呼ばれるもののようだな。ならば、改めて自己紹介をさせてもらおう。この小生こそ、この宇宙でもっとも偉大なる天才にして天災のサイエンティスト、ドクターリリエルであーる!!」
堂々とそう名乗ったNPC…ドクターリリエルは、もふんと巨大な毛の塊の姿なはずなのに、どこかっこう、腰に手を当ててエッヘンと胸を張っているように見えるのであった。
「ドクターリリエル…ゴリラマンさん、彼、いや、彼女なのかな?種族は一体?」
「ドワーフの中の、スペースドワーフ、その中のさらに細かく分類された一族で…『グランドドワーフ』と呼ばれる、ある意味生きた化石とも称されるほど、彼らの中の先祖に近い姿をしているというものらしい」
「何をどうしたら、一応人型だったあの姿に…いえ、単純に、毛が抜けただけ…なのかも?」
何かこう、アルケディア・オンライン内の進化の不思議を垣間見たような気がするのであった…
「ふむ?何をそんなに驚くか。生き物が大幅に姿を変えるのは、そこまで珍しくもあるまい。人型じゃないからこそ驚くのだろうが、これでもれっきとした人であり…お主らも、どうやら人ならざる者のカテゴリーに入っているのであれば、特に大した問題でもなかろう」
「「!?」」
…NPCなのに、僕らに対してそんなことを…いや、ミーちゃんの方はいいとして、僕の方はまだ人だからね!?
それだけで、どのような育ち方をしたのか想像できそうだが、それに染まってしまった姿というのは、考えたくはないだろう。
こう、マッドサイエンティストなイメージの姿とすれば…
「白衣に、ぐるぐる眼鏡、なにかとくーくっくなどのレパートリーがある不気味な笑い声に黄色の…」
「それどこか別の何かと混ざっていないかな?」
様々なイメージを浮かべつつも、やってきてしまったそのNPCの部屋の前。
このゴリランドロノメダに設けられた寮室の中にいるというが、明けてすぐに中の状態が、物凄く理解しやすかった。
「ここまでイメージ通り過ぎる、悪の研究室的な室内はどうなのか…」
ごぼごぼと怪しい液体が沸騰しているフラスコや、ホルマリン漬けのような何かの便に浮かぶ不気味な物体。
怪しい機器や謎の残骸など、マッドサイエンティストの部屋というよりも、どこかの悪の科学者の拠点的な室内と化している。
なお、普通はこのような部屋は用意されておらず、どうやらそのNPCが自力で作り上げたもののようだ。
環境に染まっているからこそ、似たような場所が落ち着いたのだろうが、まともな部屋だったものをここまで改装するだけの努力があるのならば、もうちょっとまともな方に生かしてほしくもあttだろう。
そんなこんなもありつつ、部屋の奥の方に、その目的の人物はいた。
「やぁ、ドクターリリエル、お元気かな」
「ん‥?んぉ、ゴリラマン先生か」
一瞬、巨大な毛の塊のように見えたが、ゴリラマンさんが声をかけたとたん、ごそごそと動き声を上げた。
手足がどこにあるのか、いや、そもそも中身があるのかどうかもわからない。
毛玉の塊と言ってもフワフワしたようなものではなく、かなりの剛毛なのか…色合いが違えばどこかのマスコットになっていたかもしれないが、それでも不気味さを感じさせるだろう。
「んぅ?先生、何やら見慣れぬ人たちを連れてきておるようだが…」
「ああ、紹介するよ。わたしの友人たちだ。こちらが、ハルで、彼女がミントだ」
「ほうほう」
僕らの存在に気が付き、軽くゴリラマンさんが紹介する。
巨大な毛玉が蠢き、こちらの方に改めて向き直る。
大量の毛によって顔が見えないが、どうやらその剛毛の奥深くには見えないような目があり、こちらに対する視線を感じ取る。
少し探るような感覚がしたあと、口が見えないけれども、その口を開いた。
「なるほど、先生の友人か…どうやら、プレイヤーと呼ばれるもののようだな。ならば、改めて自己紹介をさせてもらおう。この小生こそ、この宇宙でもっとも偉大なる天才にして天災のサイエンティスト、ドクターリリエルであーる!!」
堂々とそう名乗ったNPC…ドクターリリエルは、もふんと巨大な毛の塊の姿なはずなのに、どこかっこう、腰に手を当ててエッヘンと胸を張っているように見えるのであった。
「ドクターリリエル…ゴリラマンさん、彼、いや、彼女なのかな?種族は一体?」
「ドワーフの中の、スペースドワーフ、その中のさらに細かく分類された一族で…『グランドドワーフ』と呼ばれる、ある意味生きた化石とも称されるほど、彼らの中の先祖に近い姿をしているというものらしい」
「何をどうしたら、一応人型だったあの姿に…いえ、単純に、毛が抜けただけ…なのかも?」
何かこう、アルケディア・オンライン内の進化の不思議を垣間見たような気がするのであった…
「ふむ?何をそんなに驚くか。生き物が大幅に姿を変えるのは、そこまで珍しくもあるまい。人型じゃないからこそ驚くのだろうが、これでもれっきとした人であり…お主らも、どうやら人ならざる者のカテゴリーに入っているのであれば、特に大した問題でもなかろう」
「「!?」」
…NPCなのに、僕らに対してそんなことを…いや、ミーちゃんの方はいいとして、僕の方はまだ人だからね!?
10
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

大賢者の弟子ステファニー
楠ノ木雫
ファンタジー
この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。
その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。
そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。
※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる