上 下
633 / 718
Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-45 響きだけ聞くと悪役である

しおりを挟む
…惑星破壊ミサイル。
 それは名前の通り、何のひねりも何もなく、単純なミサイルである。

 ただし、その名が示すだけの力を持っており、そのまますぎる名称でも油断してはいけないものなのだろう。

「なお、本来はダイナミック資源発掘手段として用いられているもので、魔鉱石銀河で常時生まれ続けている特殊な鉱石惑星を破壊し続けるための特殊弾頭タイプなどがあると…」
「ダイナミック資源採掘…どう考えても、近辺が危なそうな香りがするね」

 基本的に兵器運用されそうな代物だったが、どうやら平和目的(?)で使われている模様。
 そんなものが現実に存在していたらほぼ間違いなくとんでもなくやばい代物だが、幸いなことにここはオンラインの世界なので、悪用される危険性はない。
 いや、侵略性宇宙人NPCなどは存在するため、そういった輩に利用されかねい可能性は否定できないが…まぁ、このレイドがあるまでは名前を聞くことはなかったので、滅多に出回ることもないのだろう。


「というか、惑星破壊が目的のミサイルか…こんなものが持ち出されるとは、相当ヤバいのかな」
「あ、これ特殊弾頭タイプだって。岩石ではなく高温の燃え盛る恒星対応型…ザ・サンフラワーの周囲を回る恒星破壊用だね」

 これで相手の強化手段を失わせ、弱体化させる目的で用意されているらしい。
 ただし、そうやすやすと手に入る代物でなく、どこかの惑星で隠されている状態のようだ。

 これを見つけること自体がミッションになっているようで、簡単に見つけられない細工もしっかりと施されているようだ。


『連絡、本艦のレーダー系全体、索敵結果皆無。対象はステルス性を有しているモノと推測』
「グレイ号のレーダーもダメか…うーん、ロロの無茶苦茶な改造によって、そうとう捉えることができるようになっていると思ったけど、そう甘くはないか」

 ミサイルを対象に索敵してみたが、影も形も得られない状態。
 流石に何の痕跡もない状態で見つけろというのは難易度が高いのか、ある程度の方向が示されていたので、それをもとにして楽できないかと考えたが、残念ながら努力しなければ手に入らないようである。

「方向は北北西のゴリランドロノメダか。ゴリラマンさんが開拓を行い、学術開拓星系として形成されつつある場所…メタルキング〇ングとかでないよね?名前からして、明らかに機械の何かが出そうな気がしてならないんだけど」
「雰囲気的に、私の列車のほうで向かおうか?せっかくなら、この喪服とハルにはこのウェスタンな衣装装備を…」
「色々とヤバいと思うんだけど!!」

 というか、言いにくい名前である。アンドロメダの言いやすさを実感できるだろう。


 そんなことはさておき、最近はゴリラ顔の人工惑星もできつつあるという場所のようだが、そちらに惑星破壊ミサイルとやらが隠されているのだろうか。
 確かに、こういう発展途上の場所ならば、何か隠していても建設中とかの表記でごまかせるだろうが…見つけられるかな?


「レーダー系が駄目なら、基本目視での索敵か…宇宙全体じゃなくて、ある程度の範囲を狭めての設置とはいえ、これはこれで厳しいなぁ」

 一応、他のプレイヤーたちも惑星破壊ミサイルを目的にしているものもいるため、人海戦術で情報を共有しあえば、割と早く見つけられそうな気がしなくもない。

 だが、道中平穏無事というわけではなく、いつザ・サンフラワーの攻撃をが来てもおかしくはないのだ。

 攻撃に備えて警戒しつつ、周囲の索敵も全力で行わなければいけない。

 なかなか大変なものになったなと、思うのであった…

「いっそハルの女神の姿が大量に分裂して、いっきに探せればいいのにね」
「流石にできないからね!?できたとしても統一された影響でほぼAI任せのスタンドアローンのものが2、3体ほどしか出せないって!!」
「…それでも、一応できるんだね」

…不可能というわけではない。
 しかしながら、どうやら一度に出せても1分だけの活動制限に加えて、女神そのもののステータスのままというわけではなく、本体もまとめて大幅にステータスダウンするようになっているため、最適な方法ではないのだ。

 数が増えたのは強化と言いたいが、性能全体で見ればかなり弱体化もしているんだよなぁ…そもそも自分が増えている光景自体、見たくはない。

 使えるとすれば、いざという時の身代わり手段か…変態遭遇時に…いや、自分と同じ姿形をしたものが餌食になっている光景は、それはそれで嫌だな…



「…グレイ号、特殊砲弾直撃砲を、欲望戦隊の位置に向けてぶちかませないかな?」
『いきなり何を、血迷ったような…迷っては無いような…?そんなことを、言うのでしょうか』

 今、絶対に間違っては無い選択じゃないかなと思ったよね。見ればマリーたちも、それはそれで正しい選択ではないかと思うような表情しているじゃん。


しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾
ファンタジー
 子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。  女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。 「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」 「その願い叶えて差し上げましょう!」 「えっ、いいの?」  転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。 「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」  思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...