アルケディア・オンライン ～のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです～

Ver.6.0 ～揺らぎと蕩けと混ざる世界～

ver.6.0-15 現実でも悩み動きぶっ飛ばし

―――人は、思ったよりも見落とすことが多い。
　これこそ大丈夫だろうと思っていても、それでも気が付かないうちにスルーしてしまい、結局意味をなさなかったこともある。

　それが文字だろうと物だろうと何だとしても、見落としてしまう時はあるだろう。

　だがしかし、逆に見落としてほしいと思うものがいたとしても、そういう時に限って見落とすことが無く…



「…なんだ、あれは」

　とある国の、宇宙監視局
　そこでは今、月のとある場所を撮影していた映像があり、あるものが映りこんでいたことを目撃した者たちがいた。

　何故、こんなピンポイントで月を監視している者たちがいるのか。
　それは、結構前に月に関する騒動があり、経験を活かして有事に備えて月を監視する施設が各国に密かに建造され、稼働していたのである。

　この国の監視局も例にもれず、設立時から月に対しての監視の目を所有していたわけだが…そのような事情がある以上、ここで目撃した情報は他国でも既に得ている可能性が高い。


　あちこちで念入りに監視しているからこそ、情報はすぐに出回り、いち早く利益を得るのは容易いことではない。

　そもそも、今回目撃されたモノに関しては利益が出るのかは定かではないが…

「宝石のような何かが、地面に埋まったか…」
「何か人型のようなものが、見えたらしい」
「宇宙人か？眉唾物だと言いたいが…アルケディア・オンラインとかいうものの中味がこちらの世界に流れてきている以上、宇宙人も一緒にやってきてもおかしくはないか」

　ヤバいものが色々とあるのだ。宇宙人の珍しさというのは、少々下がってきている。

　だがしかし、価値としてはまだまだあり、それが何者であろうとも他の国にはない情報を得ることが出来れば良い。

「急ぎ、月へ向かって秘密裏に動け」
「作戦コード、ムーンムーンムーンスタート！！」

　以前の事態の時にはすぐに動くことが出来なかったが、その経験も活かし、秘密裏に動くことが出来る者たちも存在している。

　だからこそ、さっさと手早く動き、以前よりも向上しまくった宇宙技術を利用するのであった…

「ところで、誰だこのダサい作戦コードを考えたやつは」
「うちの国の長官殿。風呂場で月を眺めた時に、思いついたらしい」
「もうちょっと、ましなのが無かったのだろうか…」
「ああ、そういえば長官殿、後ろにいるよ」
「－－－え」







…どこかの国で、誰かが悲鳴を上げていたその頃。

　とある空間…フンフの場所では、すでにその情報が届けられていた。
　自身の血縁者が巻き込まれた騒動でもあり、相手の正体も詳しくわからないとのこと。

　ならばどういうものなのか、より解析できるものとして確認し…出てきた情報に、眉を顰める。

【…うわぁ…厄介ね、コレ】

　本気の解析作業を行い、出来るだけ最悪の状況になってないことを祈っていたが…ギリギリで回避できている様子だが、喜べるような状態でもない。

【黒き女神の、オンライン内での構成データの複写及び自己改造…データとしては、表面上の68％、深度部分で4％…コア部分には触れられなかったようだけれども、だからこそあの姿に…】

　画面をいくつか動かし、出てきた一つに映し出されているのは、月の映像。
　そこには、オンライン内から出てきたダイヤの…いや、既に女神のデータを得て変質しつつある何かが映し出されていた。

　月の内部に潜り込み、取り込んだデータをゆっくりと己のものにしつつあるのだろうか。
　
　オンライン上での神のデータとはいえ、すでにいくらかは現実のものになっているだろう。

【こうなってくると、面倒…既に他の国でも動いているけど、さて、どうしたものか…】


　盗られたものなのであれば、ここは本人女神に対応させるべきか？
　いや、相手の状況を見る限り、すぐにぶつけるのは愚策だろう。

　ならばどうするべきか…相手が今の状態で月にいるのであれば、動かせる手は限られてくる。


【能力的に他のも不味いけど、神の力のまがいものに近い状態になっているとはいえ、そういうものを有している相手なら、もっと厄介ね…こういう時に便利なかの苦労人がいれば良いけど、こういう時に限って全力逃亡の報告が…なら、ここは神の力に対抗するなら神ということで…】

―――女神の力のまがいものに近い相手なら、いっそ粉砕が出来そうな鬼の神を選ぼうかしら。