アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-12 幽霊やお化けや寄生虫の専売特許ではない

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【ジョボグマァァァァァ!!】

 宝石獣が寄生し、爆誕してしまったレイドボス…ジュエライツベアー。
 元が熊のモンスターだったはずが、巨大化し、熊だった顔は顔の面積を大きく占めるような宝石の単眼と変り果て、ドクンドクンと不気味な脈動を討つように赤黒い色合いとなった宝石が輝く。

 まさか、未知の敵が元からいたモンスターと合体し、よりやばいものになるとはだれが予想できたのだろうか。
 いや、未知の相手だからこそ、中々えぐいような能力を持っていてもおかしくは無いので、そこまで驚愕するかと言えばそうではないのだが…



「それでも、レイドボスになるとは…多少、このオンラインの生物とは異なるような異形の化け物だったが、混ざったことでちょっとはオンラインの要素が混ざったのか?」

 ドロップアイテムが落ちなかったりと不可解な点が多いが、明らかに異常な者たちだったというのは間違いないだろう。
 だが、モンスターを取り込んで一体化したことで、この世界の理に対して少しは組み込まれたのかもしれない。


 こうなってくると、普通の方法で倒せる可能性は出てくるが、それでも変化したことに対して油断をしないほうが良いだろう。

 何しろ、寄生してくる相手だ。
 追い詰めればその分、こちらにとりつくなどの手段をしてこないわけがない。


 他のプレイヤーたちが全力で応戦しているようだが…彼らに憑かれても面倒そうである。


「そもそも、アレは一体何なのか…ロロ、グレイ号のほうで分析はできるか?」
【データ、照合中…んー、宝石獣たちの、レイドボスになる前の反応データを見ましたが、このオンラインのものじゃないことだけは確実ですネ。構成要素がかなり複雑ですが、別物の何かが使われていマス】

 グレイ号のほうに通信を入れると、分析結果をロロが伝えてくれる。

 思っていた通り、どうやら宝石獣たちはここには存在しえないはずの、まったく別の何かと言えるようなものらしい。
 ベアーと混ざってレイドボスになった今は、オンライン内の構成要素が混ざったことで多少の情報が読みやすくなったようだが…それでも、謎の存在なのは間違いないようだ。


【というか、宝石獣と仮称しましたが、細かく調べると宝石というよりも…あれですね、粘菌に近い結果が出てきまシタ】
「粘菌?」
【物凄くわかりやすく言えば、アメーバデス】

 見た目がガッチガチの宝石っぽいのに、まさかの正反対のイメージのどろどろなアメーバで例えられる宝石獣。

 かなりの硬さや耐性の高さがあったのでイメージが付きにくかったが、腐食させるニガ団子でどろどろにしたら、確かにちょっと似ているかもしれない。

「でも、何でそんなものがこのアルケディア・オンラインの中に…しかも、寄生するなんて言うおまけ付きで」
【どうやら、おまけというよりも本来の能力に近いようですネ。合体前の多種多様百鬼夜行な宝石獣たちの分析データも出てきましたが…他から、姿を借りたというか、取り込んだあとにものにしたというべきようなものになっていマス】

 見た目こそバラバラだったが、元を正せば何か一つの大きな生物でもあるらしい。
 それが色々と別れていたのは、何かでちぎれたのか、それともここに来る前に他の生物でも取り込んで個性的になっていたのか…そのあたりは不明だが、集合体生物と言ってもいいらしい。


【ただ、妙ですネ。現在、レイドボスと合体して一つになりましたが、それでも欠けている情報があるようデス。本当に大事な部分が失われて、本来の力を発揮できない状態になってますネ】


 本来の姿がどういうものなのかは不明だが、その大事なものが抜けているおかげで、この程度で済んでいるらしい。
 この程度と言っても、団子を使うまでは頑丈で耐性が高すぎる化け物軍団だったので…完全な姿というのは想像したくないものだ。

 とにもかくにも、大事な何かが無いのであれば、今のうちに倒してしまうほうが良いだろう。

 そう気持ちを切り替え、僕らもレイドボスになった相手へ向かうのであった…






【…しかし、この大事なものになるようなデータ反応…何かに、似てますネ?データ内に近いものが…ん?なんです、こんな時に使用人緊急通信…?】


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