アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.6.0 ~揺らぎと蕩けと混ざる世界~

ver.6.0-4 強固すぎるのも考えもので

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…事故というものは、いかに想定していたとしても防ぐのは完全に難しいものがある。
 たとえ確率が1%以下になったとしても、0になるわけではない。


 ありとあらゆる要因を排除したとしても、それはあくまでもその周辺からであり、より外部からやってくるものに対しての予測は難しいもので…


ドゴォォォォォォン!!



「久しぶりに、宇宙海賊の船と衝突するとは…荒稼ぎできる機会だけど、乗り込む前に相手の船が大破しているな…」
【防壁を張っていない素の状態でしたが、装甲が強すぎたのでしょウ】

 ミーちゃんは現実での用事のために本日はおらず、一人ふらっとなんとなくオンライン内でのグレイ号に乗っての航行中、久しぶりに宇宙海賊に遭遇した。
 どうやら先方のワープによる強襲イベントの類だったはずだが…グレイ号自身が固すぎて、自爆特攻をしてしまった形になったようである。

 グレイ号、下手な防御を張らずとも素の装甲が強固すぎるからね…やりようによってはこちらから突撃戦法もできるようにしているのもあって、正面のほうがより強化されており、そこに突っ込む形だったので相手は既に瀕死状態である。
 というか、あれはもう中の人も逝ってないだろうか…





 相手の動きが無いので、残骸と化した船に乗り込んでみれば案の定、海賊たちは全滅して藻屑となっていた。
 こちらの船に大損害を与える目的での突撃で、船のサイズなどからみて今まではうまくいっていたのだろう。
 だがしかし、相手が流石に悪すぎたようで、ぶつけられた側とはいえこの悲惨な末路には同情したくもなる。


「とはいえ、相手が賊だから仕方が無しか…お宝だけ、奪っておくとしようか」

 蓄えていた財宝なども衝突の衝撃で木っ端みじんになっているところもあるが、それでもそこそこ蓄えていた船だったせいなのか、少しばかりの宝箱は無事な様子。

 相手が自爆しただけでこちらの損害もなく、儲けが減ったとはいえこれはこれでおいしい話ではなかろうか。


 そう思いながら回収を終え、船に戻って開封作業を行う。


【ふむふむ…肉系が多いシャゲ♪】
【武器もあるが、この槍やハンマーは良いぞバルルゥ!】
【氷系のものがないのは残念ユッキ…】

 マリーたちと一緒に、運び入れた宝箱を開封し中身を確認していく。
 今回の海賊のお宝は宝飾品の類は少ないようだが、その代わりに資源系のものが多い様子。

 ここ最近は現実世界との交わりが注目を浴びるアルケディア・オンラインだが、こういう地道に稼げる要素も逃してはいけないところ。

 むしろ、将来的にこれらのお宝も現実世界に本当に出していける可能性がある以上、積極的に狩っておくのもありだろう。

 まぁ、お金に執着しているわけでもないし、実際にやるとなると関税やら何やら色々とかかる可能性があるが…多少はロマンを求めてみるのもありかも入れない。


 そう考えていた、その時だった。

キラッ
「ん?…これは、でっかい宝石だな」

 宝箱の一つで何か光ったように思えたが、出てきたのは大きな宝石。
 指輪やネックレスに付けられるようなサイズではなく、かなり大きく…サッカーボールやバスケットボールと言って良いようなサイズの球体の宝石だった。

 色合いは薄いピンク色を纏った透明感があるが…

【ふむ、ピンクダイヤモンドのような宝石ですネ】
「ピンクダイヤモンド?ダイヤモンドとは違うの?」

 どうやら似たような宝石が存在しているらしい。
 ロロに見せたところ、恐らくはピンクダイヤモンドと呼ばれるダイヤよりもさらに希少な宝石に似た色合いのようで、実際に現実世界にあった場合、その希少性からとんでもない値段が付くような代物のようだ。


「そんなのが出るとは…これは相当大当たりのお宝になるのか」
【このサイズは見たことが無いですからネ。現実にあれば相当ヤバかったでしょうが…流石にオンラインの世界なので、そこまでではないでしょう。けれども、現実に出せる技術が徐々に解放されている以上、将来的にこれを現実の世界に出せるかもしれないですネ】
「出せたとしても、何かしらの争いの種になりそうだよなぁ…」


 場合によっては、宝石惑星等で少し多めのALに換金して手放すのもありだが…せっかくだし、ミーちゃんに見せてからにしたほうが良いかな?
 こんな宝石、滅多にお目にかかれないなら、手放すことを考えつつも彼女の意見も聞いたほうが良いかもしれない。

 それにしても、こんなお宝が出るとは…名も知らぬ散った自爆海賊よ、感謝しよう。
 でも、どこで手に入れたのか…出所をちょっとは聞ける状態にできれば、良かったかもしれない…




「…それにしても、本当に大きいなこの宝石。ここまで大きいと、本当に価値があるのかちょっと疑いたくなりそう」

…人工宝石だとか、そんなオチはないよね?
 少しだけ不安になったので、確認のためにグレイ号艦内の分析室に回すことにしたのであった…
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