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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.3-161 単純作業は何が強く

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(…まさか、張り込みをさせるとは我が主様も困ったものだナ)

 とある離れた高層マンションの一室にて、遠距離から屋上を確認しながら記者の使用人ことゼバズジャンは、心の中でそうつぶやく。

 自身の主がどこかの雑誌の記者であり、常にスクープを求めているのは知っていること。
 使用人たるもの、主のための行動を行うことはするのだが、これは果たしてやって良いことなのだろうかと疑念を抱くところもある。



 そう、あの記者は長時間自分自身で四六時中監視できないことを理解しており、だからこそ、作業が可能そうな…やろうと思えば稼働限界まで単純作業だろうとやり続けられる使用人を利用しようと思いついたのだ。

 しかしながら、世の中そう都合の良い高さの建物がなく、ならば超遠距離からどうにかして見える範囲の部分で確認できそうな場所を探し…この高層マンションの一室に白羽の矢を立てたのである。

 なお、まともに部屋を借りればそこそこいいお値段がして、ずっと居続けたら確実に赤字になることは間違いない。
 スクープをとってもその利益で補填できなければ、借金地獄に陥るのは明白であろう。

 そのため、対策として必死になってマンションの持ち主と交渉し…どうにかして可能な範囲で借りることが出来た。
 まぁ、これはこれで何も入手することが無ければ、赤字になるのだが…まともにやるよりは被害総額を減らすことが出来るだろう。



 とりあえず、これでどうにか張り込むことが出来るとはいえ、残るのは運の要素となる。
 どういうものなのか把握できていない時点で、いつ何時出てくるかなどの情報が見えてこず、もしかすると永遠に出会わない可能性がある。

(…ここまで来たら張り込みせずに、専用の監視装置を設置すればいいとは思うのだけれども、臨機応変に対応するのは厳しいカ。センサーによって感知したらすぐに連絡を行うように設定ぐらいはできるはずだが…固定だと、動きの追跡も難しいところもあるカ)

 普通の監視カメラのように、わざわざ人を配備する意味は無いだろう。
 やろうと思えば感知式にする手段だってある。


 だがしかし、正体不明の謎の生物がどのようなものなのかわかっていない以上、もしかすると複数存在していたり、カメラに映る範囲外で動いたりしたら、その後の追跡撮影が難しい可能性だってある。

 そのため、わざわざ張り込み式にすることで、いざという時の追跡などの対応を臨機応変にできるようにするらしいが…さて、この選択が吉と出るか凶と出るか。

 少なくとも、ゼバズジャンは命令通り動くつもりだが、後者になる予感をしていたりする。
 何故ならば、本件に関して使用人ネットワークで情報を聞いても何も得られなかったことはわかっているのだが…逆に、その情報が得られなさすぎることから、何かしらの力が働きかけられているという可能性もあるからだ。


「…もしもの時は、無かったことになるように動くべきカ」

 ひとまず今は、自分に与えられた命令を素直に実行しておくのであった…
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