アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
578 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.3-158 怪しさがないのは逆に怪しくなる

しおりを挟む
「…うーむ、情報量が多すぎる」

 ハルが写真の選択肢の多さで悩んでいたその頃。
 とある記者もまた、別の内容で悩んでいた。

「カメラに映らない、謎の生命体…スクープになるかと思って情報を色々と探ったが…どこから手を付けろというのだろうか」

 偶然見つけてしまった、カメラに映らない謎の存在。
 不思議モノのネタは確実に人を引き寄せるだろうが、迂闊に出せばガセネタとして捉えられて、せっかくの記事が霧散する可能性がある。

 そう考え、情報をしっかりと集めて精査して、そこから手繰り寄せようと考えたわけなのだが…いかんせん、この地で得られた情報量が多すぎた。


「蠢く地下道の悪魔、大空を駆け抜ける黒き閃光、深紅の影、電子の姫…いや、色々集まりすぎでしょ!!」

 謎の生命体という分野で、情報を収集してみたがここには様々な目撃情報があり過ぎた。
 むしろ何故、今までココが注目されていないんだと思ったが、情報量の多さから信憑性が薄くなってしまい、自然に消えて耳に届かなくなっていったのだろう。

 だが、それでもわずかな痕跡が残るせいで情報収集に支障が出る。


 そのため、別方向での情報収集を…謎の生命体が出た緑化されたビル周辺の情報のほうを集めてみることにした。

 案外、何かしらの原因を宿している企業があるのかもしれない。

 そう考えて動いてみると、こちらはまだスムーズに情報が集まって…


「呪術リンボー召喚儀式大会って何なの!?最近ちょっと増えつつあるヤバい儀式を行う系部活がある企業の話は聞いたことがあるけど、その大本っぽいのがあるのかよ!!」

 インパクトとしては、別の意味で強いものが集まってしまった。
 企業の闇が垣間見えそうだが、深入りすると飲み込まれそうだ。

 こういうヤバいものがあるからこそ、あの生命体が呼び寄せられたのかもしれない。

「…いや、流石にこんな邪悪すぎるような部だと、呼び寄せるのも相当邪悪なものになりそうだから違うか…出たら出たでスクープだが、あの記録を見る限り、多分違う…か?」

 謎の儀式による生命体の召喚の可能性は否定できないが、やっているものがものなので関連性が低いように思える。
 関連性のなさゆえにつながりにくいが、つながったらそれはそれで何かの事故を疑いたくなるだろう。

「まぁ、それでも可能性は0ではない…いや、0であってほしいかも、この場合。邪悪な儀式で呼び寄せられるものって、より邪悪なヤバいモノって相場が決まっているし、人畜無害であることを希望したいな」

 記事にはなるだろうが、災厄をまき散らすようなことにはなってほしくない。
 そう思いつつ、より情報がないか確認を行い…その中でふと、ある記録を見つけた。

「む?この会社、アルケディア・オンラインの運営会社と提携して動いている記録もあるのか…もしかすると、その関連技術が出てきた可能性もあるのか?」

 アルケディア・オンライン。それは、この記者も知っている有名なVRMMOを利用したオンラインゲーム。
 当然、記者自身もアカウントを所持しており、スクープを得られなかったときに怒鳴る上司からのストレスのうっぷん晴らしとして、モンスター相手に大暴れをすることがある。

 そんなオンラインゲームだが、現実にも中身が出てきているような商品も出されている。

 箱庭、使用人、モンスタードール…その他まだまだあるらしい。

 そう考えると、もしかすると謎の生命体もこれに関連したものなのかもしれない。


「ブラックボックス部分が多くて、技術の模倣が難しすぎるとも噂になっている企業の隠された商品の可能性か…公表前に発見できれば、これもまたスクープになるか」

 商品の可能性が大きくなってきたが、これまで公表されているなkで該当するようなものは見当たらなかったはず。
 モンスタードールによる透明モンスターの出現という線もあるだろうが、これでもオンラインゲームをやりこんでいる記者の知識上、サイズが大きいものが多いため、小さいものがあったとは記憶にない。

「できれば、中に入り込みたいが…取材と称して、探れないだろうか」

 潜入して探る方が、情報を集めやすいだろう。
 自身の職業を活かし、効率的に確認を行っていきたい。

 色々な手を考えつつ、一歩、また一歩と、記者自身も知らないうちに真実に近づき始めるのであった…



「それにしても、確かイベントもあったな…写真、良いのもあるか…」
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...