アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.3-155 科学は時として

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「新型監視カメラの性能ねぇ…うーん、雑誌に載せるにはいまいち…」

…とある警備会社、その社内。
 そこでは今、ある記者が記事を書くための取材を行っていた。

「あなたのご家庭もこれ一つで、全角度全方向一発撮影…企業だったら強盗、盗賊、怪盗何のその。いかなる変装も見抜けるって、今時そういうのもないよなぁ」

 今回、取材で見せてもらったのは、超特殊な監視システムというもの。
 操作性を向上させて素人でも扱いやすくしており、企業向けだけではなく一般向けにも発売を検討しているという新商品らしい。

 こういう商品を開発するのはその手の会社のほうで、警備会社自身が作るのは何か違うような気がしなくもないが、やってしまったのであれば仕方がないことだろう。

 少し取材相手が席を離れているが、その間にちょっと操作して良いということなので弄らせてもらっているが、性能や操作性に文句を言うようなものはない。

 ただ、このご時世、防犯意識を高めて対応するようなものを用意するのは良いのだが、いかんせん過剰ではなかろうか。
 ただカメラで撮るだけではなく、宇宙人の侵入やどこかの怪しい諜報部隊が来ても大丈夫なように、サーモグラフィーや光学迷彩感知装置など、どこかのヤバい企業秘密を抱えるようなところならば需要がありそうだが、そうでないところでは出番が無さすぎる代物。

 この警備会社での新商品…スーパーウルトラ監視カメラという、ネーミングセンスも微妙というかださしものに関して、記事にする価値すらもあるのかと思うほどである。

 一応、幅広いニーズに答えてネットでの遠距離監視対応や操作性の良さなどは評価するべきなのかもしれないが微妙なところだろう。

 むしろ賊などが出てくれた方がスクープになってくれるので、積極的に出てくれないかとさえ思ってしまうところもある。


「けれども中々めぐり合わないというか、見かけないのが悲しいねぇ…」

 めぐり合わないほうが良いのだろうが、スクープを求める身としてはあったほうが良い。
 大衆の安全も大事だが、刺激のない世の中というのも微妙であり、天秤にかけると揺らいでしまうのは不味いことだろうか。

「それにしてもこの切り替え機能、本当にいるのかなぁ。記事に書いても軍事的なところにしか需要がない機能じゃないかと言われるのが目に見えるかも…」

 そうつぶやきながらポチポチと、録画されていた映像を様々な状態で切り替えたものにして試していた…その時だった。

「…ん?」

 この監視カメラの性能テストのために、あちこちで試供品が配られており、別の場所が移されている映像がある。
 だが、その中の一つに記者魂を持つ者として何故か気になったものがあった。


「これは…ただの緑化屋上か?いや、それでもなぜ気になったのか…」

 そこに映し出されていたのは、ある会社の屋上風景。
 都市の緑化などで作られている花壇があるようだが、何かがひっかかる。

 何もないように見えて、何かあるのか…そう思い、映像を別機能気にり替えて確認すると…

「…何だ、これ?虫にしては大きいような…」

 サーモグラフィーの機能で映し出されているのは、周辺の温度によって色合いが変わった画像。
 その中で、花壇の一つ…大きな花の中に、何か別の熱源があることを見つけた。

 こういう花の中に虫が入り込むことがあるのは良くある話。
 だが、サイズ的に虫に思えたが、映っている形が確実に違うと思う。

「あ、動いた。花から出て…む?通常映像の方には映っていない…?」

 映像内では、温度の形では映っているだろう。
 だが、通常のカメラの方では何も映っておらず、見た感じ何もいないように見える。

 いないけれども何かがいる、確実に間違いない。
 まさか、役に立たないだろうと思っていたこのカメラの機能が、こんな形で発揮されるとは思いもしなかった。


「ふ、ふふふ、ふはははははははは!!これは、確実に大スクープの予感しかしないなぁ!!」

 見つけてしまった、見えないけれども確実に何かいる存在。
 正体不明なものに関しては、触れることに関して色々とヤバいものがあることは知っている。

 だがしかし、それでも人は未知のものに対して恐怖を抱くこともあるが、同時に関心を集めてしまうものであり、確実に人の目を引くようなスクープになることは間違いないだろう。

「でも、今の時点で動くのは早計か。これだけでは、単純な映像加工による嘘として言われる可能性があるからこそ…慎重に情報を集めなければな」

 早めに動き過ぎて、捏造資料を世に解き放った記者と評価を受けてしまったら、この人生は終わるだろう。
 先輩記者の中にはそれでやらかし、業界から消え失せた者も多い。


 ゆえに、功を焦って得ないようにしつつ、確実につかみ取れるように動き始めるのであった…


「すみません責任者の方ぁぁぁ!!今すぐ、この機材一式を個人的な目的で買いたいですが、おいくらでしょうかぁぁぁ!!」
「オー、気ニイッテクレタノハヨカッタノーネ。大体、イマナラコノオネダンダーヨ」
「…金額、えっぐぅ!?」

…この値段で売りに出そうとしている時点で、このカメラの記事は無理だと判断する。
 うう、スクープか借金か…
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