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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.3-閑話 廃棄手段はきちんと

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 古今東西、現実、仮想、その他異世界まとめても、ごみ問題が生じることがある。
 廃棄方法、処分方法等々、細かく分ければきりがない。

 うかつにやれば何十…いや、何千、何万倍と酷い結果となって帰ってくるし、やらかした人だけではなく大多数の関係ない人にまで被害が及ぶことがある。

 だからこそ、どのような廃棄物であっても対応できる方法が模索され、手段を持つ業者が発生するのはどこの世界でも同じであり…それが例え、神の力が混ざっているようなものであっても、同様のことが言えるのである。


「そのための業者がしっかりいるのは良いけど…それでも、これはえぐいわね」

 引き取りを待ちながら、そうつぶやく冥界の女帝シュキルナ。
 その目の前にあるのは、冥府の空気中にも溶け込んだものを抽出し、ろ過して出し切った物体…黒い女神から抜け出した業やその他色々とヤバいものが濃縮されて、しっかりと封印のお札が張られまくった壺の数々。

 古い縁によって話が来て、承諾したのは良い。
 個人的な興味もあり、新しい女神がどのようなものなのか気になる点もあったからこそ、やる価値があったと言えるだろう。


 しかしながら、今回の作業の副産物として生じた産廃…いや、神廃というべき物体に関しては、正直言って予想外の量だったというしかない。

 


 普通は、生まれて間もない女神からこれほどの不純物が出てくるはずがない。

「どれほどの業を、背負っているのやら…何かとあるか」

 神々が過ごす世界外で過ごしているというのもあるだろう。
 だが、それでも普段溜まる分は微量であり、影響はそうないはず。

 つまり、他の要因が考えられるわけだが…色々とあるようだ。


 純粋な信仰ならば、まだ良いだろう。
 でも、そうではないものというか、歪みまくったものであればそこから業が生じ、蓄積される。
 あるいは、その女神そのものではなくとも、近いもの…春自身が何かしらの原因で周囲からねたまれたり嫉妬されたりなどすれば、それはそれで影響を受けるのだ。

 様々な要因があり、そのどれもが当てはまるもの。
 原因の特定が難しくは無いだろうが、有り過ぎるというのも困りものだ。



 今回の冥界での修行によって、しばらくの間は大丈夫なはずである。
 体の内側から徹底的に改善を行い、これほどの業が溜まるようなことはそこまでなくなるだろう。

 むしろもっと早く来たほうが、ここに出てきた廃棄物が減ったかもしれないのだが、考えていても仕方がない話だ。


「とりあえず、業者が早く到着しないかな。これを置いておくだけでも、冥界が騒がしくなるからな…」

 女神の体から抜け出した不純物は、そのままにしておくのは危険すぎる。
 適切な処分をしなければ、いらぬトラブルのもとになるのは、実は過去に例があるのである。


 例えば、すでに魂無き死体に入りこめば、生者を永遠に襲う化け物に変化する。
 例えば、真っ黒に染まった魂が浸かれば、悪しき神モドキへと変化する。
 例えば、世界を破壊するような武器に混ぜ込めば、狂気や破滅を取り多くへ拡散させる。

 悲しいことにそう言った前例があるのは、適切な処理を行おうとしても、それらを狙ってやろうとする馬鹿どもがどこにでもいることが原因だろうか。
 排除してもしてもしてもしてもしても…いくら繰り返しても、きりがない。


 そして今も、これを狙う輩が陰に身を潜めているのは気が付いており、処分を終える最後まで気を抜けないのだ。

「あの悪神や魔神の類も流石に触れたくはないと言っているものであっても、手を出そうとするのがいるのはどうしてなのか…そればかりは、本当に理解に苦しむな」

 ヤバい存在も手を引くようなものであっても、それらを凌駕するような…いや、そもそも理解すること自体が不可能なものが出てくるのは、どうしようもないこと。

 とにもかくにも今は、気を張り詰めておこうとするのであった…




…そこまでの代物なのに、発生源となったものに対して責任を負わせようとしないのは、まだ若い女神だから気を使ったか、あるいは…


「…業者が遅ければ、いっそあの星の錬金術師にでも流すか…あいつならば、アレらを作るぐらいだから、嬉々として…うん、やめておこう。悪い方向に使わないのは知っているが、確実に別の世界での厄介なものを作るのが目に見えているか…」
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