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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.3-149 つける意味合いが変わるような
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さて、たまに思うのだが常識とは何なのだろうか。
当たり前に過ごせるためのモノであり、意識せずともいつの間にか身についているモノ。
社会生活の中で溶けこみ、何気ない日々を送るために周囲にありふれているがゆえに、目には見えずともそこにあると思えるモノ。
だからこそ、それらとは異なる異質な存在…非常識と言えるようなものが出た時には物凄く目立つわけであり、常識外のものに対して反応できるものである。
ただ、常識は多種多様であり、非常識なものであっても別の場所では常識だったり、あるいはいつの間にか常識へと切り替わっていて、気にもならなくなって非常識ではなくなっている…何かと、不思議なモノでもあるのだ。
まぁ、その理屈でいうと色々な非常識もいつかは常識になったり、あるいは今ある常識が別のところでは非常識になるなど、きりがない話になるのだが…
「だが、この冥界であればどれもこれも平等であり…たとえ概念的存在であっても死を迎えることがあるものであれば、ここでは扱えるのだ」
「なるほど…」
…常識やその他諸々に関して、学びなおすための先生として、何故冥界の女帝が選ばれたのか。
その理由に関してハルたちは説明を受け、納得していた。
例外があるとはいえ、それでも大抵のものが平等になっているこの冥界。
ならば、常識というものも平等になっている状態であり、それをしっかり学ぶためであれば結構いい環境となっているらしい。
だからこそ、行き先がこの冥界になり…事情をすでに聴いているようで、冥界の女帝ことシュキルナさんが先生としての役目を持つことになったようだ。
なお、死語とかそういうものもこの冥界に流れ着くことがあるそうだが、あくまでも今の常識としての平等にある範囲内のものだけを教えてくれるらしい。
「教育方法は、単純明快。裏手に、常識が湧き出る泉があり…壺に汲んで、身を漬けこませるだけだ」
「…え、色々と熱弁してもらって、聞いたり書いたりする学びじゃないのでしょうか」
「それも可能だが…話を聞く限り、ちょっとやそっとの方法では、厳しいと判断した」
「そこまで?」
「そこの真祖はまだ自覚しているところがあるようだが…黒き女神のそなたのほうはまだ薄い。人ならざる者の中に入ったのが早かったゆえか、思考がしばし常人から乖離しかけておるから、荒療治だがしっかりとやるには、ここまでやらぬとな」
あ、断れないやつだ、コレ。
糠漬けみそ漬け樽漬けのごとく、どうやら漬けられる運命にあるらしい。
もうちょっとこう、学校やセミナーのような学びの展開を想像していたのだが…悲しいことに、それでは不足しているとのこと。
ゆえに、がっつりここで漬け込み、浸透させることでどうにかさせるそうだ。
「ん?でも、それ大丈夫な方法なの?冥界の水を思いっきり飲む羽目になりそうだけど、あの世の話と言えばよもつへぐいやらその類があるような」
「ああ、あの世のものを食べれば帰れなくなるという話か。アレは万国共通、どこでも似たような話はあるが、大抵は本当のことだ。だが、完全に帰れなくなるわけではない。そもそもここは死した者しか訪れられぬ場所だが…ほら、外に列車が通っているだろ?ここでうっかり飲み食いをした間抜けが、帰るために使う手段の一つとしてあるから、気にしなくてもよい」
そんな抜け道があるのか、この冥界に。
というか、聞いた感じだと僕ら以外にもここに生きたものが入り込んでいることがそれなりにあるような気がする。
こんな冥界に訪れるのは誰なのか気になりはするが、それはまた後で聞けば良いだろう。
ひとまず今は、漬物ルートをたどることになりそうであった…
「さて、それではさっさと女神の姿になってもらって寸法を測って、最適な入れ物を用意してからやるぞ」
「サイズを測るのか…単純に、大きな容器とかは駄目なの?」
「塩は入っておらぬが、普通の水と違って浮力が大きく得られてな…」
…過去に一度、別の漬物送りになった人でやってみたことがあったらしいが、思いっきり押し込んだ後にロケットのように吹っ飛んだらしい。
ゆえに、被害をさえるためにギリギリの水量を使うため、体にフィットするものを作る必要があるそうだ。
「ちなみにそこの天井の穴が、吹っ飛んだ教訓用に残したものだ」
「うわぁ、漫画とかで地面に陥没した時に表現される穴の天井バージョンかぁ…」
当たり前に過ごせるためのモノであり、意識せずともいつの間にか身についているモノ。
社会生活の中で溶けこみ、何気ない日々を送るために周囲にありふれているがゆえに、目には見えずともそこにあると思えるモノ。
だからこそ、それらとは異なる異質な存在…非常識と言えるようなものが出た時には物凄く目立つわけであり、常識外のものに対して反応できるものである。
ただ、常識は多種多様であり、非常識なものであっても別の場所では常識だったり、あるいはいつの間にか常識へと切り替わっていて、気にもならなくなって非常識ではなくなっている…何かと、不思議なモノでもあるのだ。
まぁ、その理屈でいうと色々な非常識もいつかは常識になったり、あるいは今ある常識が別のところでは非常識になるなど、きりがない話になるのだが…
「だが、この冥界であればどれもこれも平等であり…たとえ概念的存在であっても死を迎えることがあるものであれば、ここでは扱えるのだ」
「なるほど…」
…常識やその他諸々に関して、学びなおすための先生として、何故冥界の女帝が選ばれたのか。
その理由に関してハルたちは説明を受け、納得していた。
例外があるとはいえ、それでも大抵のものが平等になっているこの冥界。
ならば、常識というものも平等になっている状態であり、それをしっかり学ぶためであれば結構いい環境となっているらしい。
だからこそ、行き先がこの冥界になり…事情をすでに聴いているようで、冥界の女帝ことシュキルナさんが先生としての役目を持つことになったようだ。
なお、死語とかそういうものもこの冥界に流れ着くことがあるそうだが、あくまでも今の常識としての平等にある範囲内のものだけを教えてくれるらしい。
「教育方法は、単純明快。裏手に、常識が湧き出る泉があり…壺に汲んで、身を漬けこませるだけだ」
「…え、色々と熱弁してもらって、聞いたり書いたりする学びじゃないのでしょうか」
「それも可能だが…話を聞く限り、ちょっとやそっとの方法では、厳しいと判断した」
「そこまで?」
「そこの真祖はまだ自覚しているところがあるようだが…黒き女神のそなたのほうはまだ薄い。人ならざる者の中に入ったのが早かったゆえか、思考がしばし常人から乖離しかけておるから、荒療治だがしっかりとやるには、ここまでやらぬとな」
あ、断れないやつだ、コレ。
糠漬けみそ漬け樽漬けのごとく、どうやら漬けられる運命にあるらしい。
もうちょっとこう、学校やセミナーのような学びの展開を想像していたのだが…悲しいことに、それでは不足しているとのこと。
ゆえに、がっつりここで漬け込み、浸透させることでどうにかさせるそうだ。
「ん?でも、それ大丈夫な方法なの?冥界の水を思いっきり飲む羽目になりそうだけど、あの世の話と言えばよもつへぐいやらその類があるような」
「ああ、あの世のものを食べれば帰れなくなるという話か。アレは万国共通、どこでも似たような話はあるが、大抵は本当のことだ。だが、完全に帰れなくなるわけではない。そもそもここは死した者しか訪れられぬ場所だが…ほら、外に列車が通っているだろ?ここでうっかり飲み食いをした間抜けが、帰るために使う手段の一つとしてあるから、気にしなくてもよい」
そんな抜け道があるのか、この冥界に。
というか、聞いた感じだと僕ら以外にもここに生きたものが入り込んでいることがそれなりにあるような気がする。
こんな冥界に訪れるのは誰なのか気になりはするが、それはまた後で聞けば良いだろう。
ひとまず今は、漬物ルートをたどることになりそうであった…
「さて、それではさっさと女神の姿になってもらって寸法を測って、最適な入れ物を用意してからやるぞ」
「サイズを測るのか…単純に、大きな容器とかは駄目なの?」
「塩は入っておらぬが、普通の水と違って浮力が大きく得られてな…」
…過去に一度、別の漬物送りになった人でやってみたことがあったらしいが、思いっきり押し込んだ後にロケットのように吹っ飛んだらしい。
ゆえに、被害をさえるためにギリギリの水量を使うため、体にフィットするものを作る必要があるそうだ。
「ちなみにそこの天井の穴が、吹っ飛んだ教訓用に残したものだ」
「うわぁ、漫画とかで地面に陥没した時に表現される穴の天井バージョンかぁ…」
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