567 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.3-148 等しく訪れるものである
しおりを挟む
…吸血鬼、神、ゴーレム、人魚の肉を喰らった者、プラナリア等々、外的要因を除けば不死に近い生き物はそれなりに存在しているものである。
だがしかし、それでも死から完全に逃れられるわけでもなく、何かしらの要因で…規模が大きければ、世界そのものにまでも死が訪れることがあるだろう。
数多くの解釈の中では、死も全てのものに等しく訪れるものとも捉えられており…だからこそ、命を失いし者たちが最終的に辿り着くこの冥界は、ある意味一番全てが平等にバレる場所と言って良いのかもしれない。
けれども、そんな中でも流石に仕切る者がどうしても必要になることもあり…平等な死の世界であっても、例外というのは存在するものだ。
「…そして、その例外が…」
冥界の奥底、とある豪華な屋敷。
その中の客室にて、ハルたちはある人物と会っていた。
あのおば、お姉ちゃんに先生と呼ばれ、この冥界を治めるもの。
死の平等に対する例外とされる存在で…
「ええ、そうなの。わっちが、ここの主…冥帝シュキルナなの」
冥界の女帝にして、死の上に立つ者。
それが、目の前の相手。
「あなたたちのことは、彼女に聞いているわ。真祖に女神…どちらもまた、死からは少し遠いところにいる者たちね」
冥府の女帝、シュキルナ。
こんな冥界を治めるものならばもっとこう、おどろおどろしいような容姿をしているかと思えば、出てきたのは思ったよりも若い少女の姿だった。
ただし、この邸の外観が古くとも中身が豪華だったように、外と中が一致しているわけではなく、話しているだけでも、強烈な死を幻視するようなプレッシャーを感じさせられるだろう。
死の上に立つものだからこそ、いま生きる生者に対しても上に立っているかのような…それでいて、下手に動くのも不味い相手だと、本能的に理解させられる。
「まったく、彼女にも困ったものね。自分の孫の孫の…その子孫の先にできた女神の常識をどうにかしてほしいと頼まれるなんてね。でも、まぁ…うん、無理もないわね。彼女の唯一の失敗で、常識人部隊が構想されつつも作れなかったという話があるからね」
何を作ろうとしていたのだろうか、お婆ちゃん。
あ、しまった。
「ああ、大丈夫よ。ここは冥界、本来であれば死者しか立ち寄れない場所で、なおかつここはわっちの領域内で、容易く干渉させられないようになっているからね。邸の外までは無理でも、中ならば、普段言えないこともガンガン言い放題よ」
「よ、よかった…」
ここでまた雷が落ちたりしたらたまったものではなかったが、幸いなことにこの邸の中限定になるが、外からの干渉を受け付けない場所になっており、うっかり心の中で思ったり発言したりしても大丈夫らしい。
問題を言うのであれば、邸の外に出た際にたまった分がやってくるかもしれないということだが…今はまだ、一発ぐらいなので大丈夫はずである。
とにもかくにも、すでに話は済まされているようで、この休みの間に僕らは目の前の冥帝シュキルナさんを先生と仰ぎ、これから常識等に関して学ぶことになるようであった…
だがしかし、それでも死から完全に逃れられるわけでもなく、何かしらの要因で…規模が大きければ、世界そのものにまでも死が訪れることがあるだろう。
数多くの解釈の中では、死も全てのものに等しく訪れるものとも捉えられており…だからこそ、命を失いし者たちが最終的に辿り着くこの冥界は、ある意味一番全てが平等にバレる場所と言って良いのかもしれない。
けれども、そんな中でも流石に仕切る者がどうしても必要になることもあり…平等な死の世界であっても、例外というのは存在するものだ。
「…そして、その例外が…」
冥界の奥底、とある豪華な屋敷。
その中の客室にて、ハルたちはある人物と会っていた。
あのおば、お姉ちゃんに先生と呼ばれ、この冥界を治めるもの。
死の平等に対する例外とされる存在で…
「ええ、そうなの。わっちが、ここの主…冥帝シュキルナなの」
冥界の女帝にして、死の上に立つ者。
それが、目の前の相手。
「あなたたちのことは、彼女に聞いているわ。真祖に女神…どちらもまた、死からは少し遠いところにいる者たちね」
冥府の女帝、シュキルナ。
こんな冥界を治めるものならばもっとこう、おどろおどろしいような容姿をしているかと思えば、出てきたのは思ったよりも若い少女の姿だった。
ただし、この邸の外観が古くとも中身が豪華だったように、外と中が一致しているわけではなく、話しているだけでも、強烈な死を幻視するようなプレッシャーを感じさせられるだろう。
死の上に立つものだからこそ、いま生きる生者に対しても上に立っているかのような…それでいて、下手に動くのも不味い相手だと、本能的に理解させられる。
「まったく、彼女にも困ったものね。自分の孫の孫の…その子孫の先にできた女神の常識をどうにかしてほしいと頼まれるなんてね。でも、まぁ…うん、無理もないわね。彼女の唯一の失敗で、常識人部隊が構想されつつも作れなかったという話があるからね」
何を作ろうとしていたのだろうか、お婆ちゃん。
あ、しまった。
「ああ、大丈夫よ。ここは冥界、本来であれば死者しか立ち寄れない場所で、なおかつここはわっちの領域内で、容易く干渉させられないようになっているからね。邸の外までは無理でも、中ならば、普段言えないこともガンガン言い放題よ」
「よ、よかった…」
ここでまた雷が落ちたりしたらたまったものではなかったが、幸いなことにこの邸の中限定になるが、外からの干渉を受け付けない場所になっており、うっかり心の中で思ったり発言したりしても大丈夫らしい。
問題を言うのであれば、邸の外に出た際にたまった分がやってくるかもしれないということだが…今はまだ、一発ぐらいなので大丈夫はずである。
とにもかくにも、すでに話は済まされているようで、この休みの間に僕らは目の前の冥帝シュキルナさんを先生と仰ぎ、これから常識等に関して学ぶことになるようであった…
0
お気に入りに追加
2,029
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる