566 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.3-147 そこはある意味平等な場所で
しおりを挟む
『次の停車駅は~「冥府駅」~「冥府駅」でございま~す。停車時間はーー』
「…そして気が付けば、明らかにヤバそうな場所に到着していた」
「口に出してみても、どう考えても常人が来てはダメな場所でしょ、ここ…」
フロンお姉ちゃんからの手紙にあった指示通り、長い長い乗り換えの果てに僕らは今、どこの魔境だと言いたくなるような場所に到着していた。
周囲を見れば岩肌がむき出しなのは百歩譲ってまだ良いとして、赤い月が昇っており、周辺の木々は枯れているように見えつつほのかに青白く発光しており、気温が低くなさそうなはずなのになぜか背筋がぞっとするような寒さを感じさせる場所だ。
「列車内のアナウンスも不気味な感じだったけど…冥府って‥まさかね」
「生きながらにして、冥界に来ちゃったとかないよね?」
冥界…いわゆる、あの世という場所。
アルケディア・オンラインでも実装されているエリアのはずだが、そこのほうがはるかに優しいと言えるような雰囲気であり、ここは魂の底から凍えそうなほどの寒気を感じ取れるだろう。
とりあえず、列車から降りた後は手紙の指示に従い、先生とやらがいる目的へ向かって歩み始める。
雪も降っていないはずなのに芯から冷えるような寒さが辛く、中々の苦行と言えるだろう。
「うう、こんなことならカイロをいっぱい買ってくるんだった…」
「それでも足りるというか、聞くのかな…物理的な寒さもあるけどそれだけじゃないっぽいし…」
吐く息も白くないが、冷えている感覚がある。
少しでも動かなければ、そのまま凍えて逝ってしまってもおかしくないように思える。
いや、もしも本当にあの世ならば誤字にあらずというか、直通で逝っているようなものか。
そんなことを考えても寒いものは寒く、流石にこの状態は生身の体ではきついので…ここは少々、耐えられそうな方に…
ボシュン!!
「女神の状態なら、ちょっとは耐久性が生身よりも…ってあれぇ!?余計に寒い!?」
「あー、肌の面積が広がった分、より冷えるのかぁ…」
「なら表面積が小さい妖精のほうで!!」
ポンッ!!
「---ひぃん!?余計に寒いぃぃぃぃぃ!?」
「何だっけ、体積の関係で大きい方が寒冷地で多いとか…ベルクマンの法則だっけ」
余計なことをしたほうが、よりきついことになった。
仕方がないので元の人間の状態に戻りつつ、ミーちゃんと手を握ってた所の寒さをしのぎながら歩くこと数十分ほど。
ようやくちょっとは体温が上がったのかマシになってきたところで、目的地が見えてきた。
「えっと…あそこが、手紙の住所にある目的地だと思うけど…何、あれ?」
「どう見ても、ホラー映画に出てきそうな邸が見えるね」
こんな場所に人がいるのかと思っていたが、どうやらきちんと住まう場所はあったらしい。
だがしかし、見えてきたその住まいらしい場所が、見た目的にそのままホラー映画に使えそうなボロボロの邸なのはどういうわけなのか。
近づいてみると、大きな門の前には雇われた門番がいるのか、明かりを持った人影が…
「…違うね。どう見ても、人間じゃない」
「こういう場所ならお約束と言って良いような、骸骨が立っているよ」
人里離れすぎた魔境名だけあってか、どうやらまともな人間もいない場所らしい。
そもそも人が存在して良い場所ではないと示すかのように、立派な鎧を着こなした、頭がおモッキリ骸骨むき出しの者がいる時点でやばい場所は確定である。
このまま近づいて良いのかと思ったが、躊躇する意味もなかったので近寄ってみれば、門番たちが僕らの存在に気が付いたらしい。
【ゴボウ…オヤァ、ナゼココニ、ヒトガ…】
【迷イコンダ、旅人カ】
「いや…あの、すみません。こちらに、先生と呼ばれている方はいないでしょうか」
声をかけられ、思い切って問いかけた。
人外の存在というのは、常人あらば驚愕するところだろうが、あいにくこちらは色々な人外を見てきたので、今更臆するようなこともない。
悲しいことに僕らも人外《真祖と女神》なので、気にしないほうが得策なのだ。
【先生?】
「えっと、こちらが付いたら一緒に出してほしい紹介状で…」
【ドレドレ…ホウ、ナルホドナルホド】
【アノ性悪婆、ゴホン、ババ、ゴホンゴホン、引キコモリノカ…】
さらっと本音が漏れかけているところを見ると、フンフお姉ちゃんのこと知っている様子。
よく考えたら、紹介状を出せる時点でここに来たことがあると言うことなのかもしれない。
【ワカッタ、通ッテイイゾ】
「あ、ありがとうございます」
特に問い詰められる様子もなく、開門し、僕らは中に入った。
邸の中に入ってみれば、外見はかなりのホラー要素たっぷりだったが…中身は、思いのほか…
「「メッチャ綺麗!?」」
…まさかの、きらびやかに輝いていると言って良いほど、豪華絢爛な装飾品が飾られていたり、綺麗なじゅうたんが敷かれているなど、滅茶苦茶人の手が入って丁寧に整えられている光景が広がっていたのであった。
何故、外側がホラー風味のぼろぼろな外見なのに、ここは綺麗なのか…本当に、大丈夫なのだろうか、ここ…
「…そして気が付けば、明らかにヤバそうな場所に到着していた」
「口に出してみても、どう考えても常人が来てはダメな場所でしょ、ここ…」
フロンお姉ちゃんからの手紙にあった指示通り、長い長い乗り換えの果てに僕らは今、どこの魔境だと言いたくなるような場所に到着していた。
周囲を見れば岩肌がむき出しなのは百歩譲ってまだ良いとして、赤い月が昇っており、周辺の木々は枯れているように見えつつほのかに青白く発光しており、気温が低くなさそうなはずなのになぜか背筋がぞっとするような寒さを感じさせる場所だ。
「列車内のアナウンスも不気味な感じだったけど…冥府って‥まさかね」
「生きながらにして、冥界に来ちゃったとかないよね?」
冥界…いわゆる、あの世という場所。
アルケディア・オンラインでも実装されているエリアのはずだが、そこのほうがはるかに優しいと言えるような雰囲気であり、ここは魂の底から凍えそうなほどの寒気を感じ取れるだろう。
とりあえず、列車から降りた後は手紙の指示に従い、先生とやらがいる目的へ向かって歩み始める。
雪も降っていないはずなのに芯から冷えるような寒さが辛く、中々の苦行と言えるだろう。
「うう、こんなことならカイロをいっぱい買ってくるんだった…」
「それでも足りるというか、聞くのかな…物理的な寒さもあるけどそれだけじゃないっぽいし…」
吐く息も白くないが、冷えている感覚がある。
少しでも動かなければ、そのまま凍えて逝ってしまってもおかしくないように思える。
いや、もしも本当にあの世ならば誤字にあらずというか、直通で逝っているようなものか。
そんなことを考えても寒いものは寒く、流石にこの状態は生身の体ではきついので…ここは少々、耐えられそうな方に…
ボシュン!!
「女神の状態なら、ちょっとは耐久性が生身よりも…ってあれぇ!?余計に寒い!?」
「あー、肌の面積が広がった分、より冷えるのかぁ…」
「なら表面積が小さい妖精のほうで!!」
ポンッ!!
「---ひぃん!?余計に寒いぃぃぃぃぃ!?」
「何だっけ、体積の関係で大きい方が寒冷地で多いとか…ベルクマンの法則だっけ」
余計なことをしたほうが、よりきついことになった。
仕方がないので元の人間の状態に戻りつつ、ミーちゃんと手を握ってた所の寒さをしのぎながら歩くこと数十分ほど。
ようやくちょっとは体温が上がったのかマシになってきたところで、目的地が見えてきた。
「えっと…あそこが、手紙の住所にある目的地だと思うけど…何、あれ?」
「どう見ても、ホラー映画に出てきそうな邸が見えるね」
こんな場所に人がいるのかと思っていたが、どうやらきちんと住まう場所はあったらしい。
だがしかし、見えてきたその住まいらしい場所が、見た目的にそのままホラー映画に使えそうなボロボロの邸なのはどういうわけなのか。
近づいてみると、大きな門の前には雇われた門番がいるのか、明かりを持った人影が…
「…違うね。どう見ても、人間じゃない」
「こういう場所ならお約束と言って良いような、骸骨が立っているよ」
人里離れすぎた魔境名だけあってか、どうやらまともな人間もいない場所らしい。
そもそも人が存在して良い場所ではないと示すかのように、立派な鎧を着こなした、頭がおモッキリ骸骨むき出しの者がいる時点でやばい場所は確定である。
このまま近づいて良いのかと思ったが、躊躇する意味もなかったので近寄ってみれば、門番たちが僕らの存在に気が付いたらしい。
【ゴボウ…オヤァ、ナゼココニ、ヒトガ…】
【迷イコンダ、旅人カ】
「いや…あの、すみません。こちらに、先生と呼ばれている方はいないでしょうか」
声をかけられ、思い切って問いかけた。
人外の存在というのは、常人あらば驚愕するところだろうが、あいにくこちらは色々な人外を見てきたので、今更臆するようなこともない。
悲しいことに僕らも人外《真祖と女神》なので、気にしないほうが得策なのだ。
【先生?】
「えっと、こちらが付いたら一緒に出してほしい紹介状で…」
【ドレドレ…ホウ、ナルホドナルホド】
【アノ性悪婆、ゴホン、ババ、ゴホンゴホン、引キコモリノカ…】
さらっと本音が漏れかけているところを見ると、フンフお姉ちゃんのこと知っている様子。
よく考えたら、紹介状を出せる時点でここに来たことがあると言うことなのかもしれない。
【ワカッタ、通ッテイイゾ】
「あ、ありがとうございます」
特に問い詰められる様子もなく、開門し、僕らは中に入った。
邸の中に入ってみれば、外見はかなりのホラー要素たっぷりだったが…中身は、思いのほか…
「「メッチャ綺麗!?」」
…まさかの、きらびやかに輝いていると言って良いほど、豪華絢爛な装飾品が飾られていたり、綺麗なじゅうたんが敷かれているなど、滅茶苦茶人の手が入って丁寧に整えられている光景が広がっていたのであった。
何故、外側がホラー風味のぼろぼろな外見なのに、ここは綺麗なのか…本当に、大丈夫なのだろうか、ここ…
10
お気に入りに追加
2,031
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる