アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
563 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-144 神に落ちたる雷よ

しおりを挟む
「やりすぎ」
「…はい」

―――雷が、落ちました。
 
 情報集め、徹底的に潰すための行動を計画し、実行前に念入りにシミュレーションを行って万が一の変身光線の回避方法を練り上げ、いざゆかんとしたわけなのだが…結果を出す前に、ハルは今、フロンの目の前に呼び出されて正座をさせられていた。

 何故だろう。
 そう思いつつも、理由は明白過ぎた。


「…妖精、女神、力をガンガン使って不幸な未来を防ぐために行動を計画していたのでしょうけれども…相手は、並の人間。それに、全力をぶつけすぎるのは神の力を持つ者としては禁則事項に触れかねないわ」
「…あの、今まで少々やり過ぎたことがあったんですけれども、それらも含めてでしょうか」
「他はまだ、どうにでもできることが多いから別に良いわ。でも、今回は貴女の都合を全力でぶつけすぎているというのが不味いのよねぇ」
「はい…」

 フロンお婆『ドンガラガッシャァァァン!!』…フロンお姉ちゃん曰く、今回はちょっと力の乱用が目立っていたとのこと。
 今までの使用例を見れば、神の力を使ってもまぁギリギリ問題ないと判断される類が多かったようだが…今回の場合、少々私利私欲気味なものが多かったらしい。

 神々の力の大きさは並大抵のものではないからこそ、ある程度の自制を求められるものがあるらしいが、一応は神々の世界のほうで使用されることが多く、並の人間にぶつけられる機会はさほどないからこそ、問題にはなりにくい。

 だがしかし、僕の場合はまだ生きている人間であることから人相手に力を行使しやすくもあり…その分より自制が求められる中で、今回のことがあった。


「事が起きる前に、気が付いてよかったわね…やらかし具合によっては、神々倫理管理制御委員会が出てきて、厳重な処罰が与えられた可能性があるわよ」
「げ、厳重な処罰って…」
「物理的なものよりも精神的な方で与えることが多いから…下手したら、女神の姿(全裸もしくは恥辱的な格好)で公衆の場に晒し…」
「『()』内のものが恐ろしいを通り越しておぞましいレベルでやばいんだけど!?というか普通のの全裸よりやばいのって何!?」
「実際、知り合いで処罰を受けた子がいて…時間の流れの違う場所だから、大体800年ほどガチの人里離れた仙境に引きこもったわね」

 どれだけの精神的な処罰を与えてくる気なのだろうか。
 というか、このまま真っすぐ突き進んでいたら、そうなりかねなかったというべきなのだろうか。

 冷静になって考えれば確かにやり過ぎたかもしれないが…やらかした後でなくれよかったと思う。

「本当は出る前に、ミントちゃんが止めてくれれば良かったけど…あの子のもあの子で人外の枠組みでちょっと抜けているところがあるのよねぇ…んー、こっちはこっちで、後で必要かしら」

 そしてさらっとミーちゃんにも何か課せられそうである。
 何もしていないけど…巻き添えにしたようで本当にごめん。



 とにもかくにも、変態共を潰す計画そのものが潰されたようである。
 けれども、今回の事態を引き起こしかけた理由もあり、フロンお、お姉ちゃんが運営のほうに干渉に、どうにかしてくれることだけは約束してくれた。

 実行に移せなかったのは口惜しいが…悲惨な末路を辿る可能性を考えると、中止させられて良かったのかもしれない。


「けれども、将来的に女神になるのは確定として…まだちょっと、人外のほうに踏み込むのは早いのに、思考が少しずれているのが気になるわね」
「あ、ずれてたの?」
「自覚がないのが、後々厄介なことになるし…ええ、なら今回の件、後始末としてあなたが何もしないのはダメだから、あとで先生呼ぶわね」
「…先生?」


 欲望の渦に巻き込まれる悲劇は免れそうだが、何か別のものをやられそうな、嫌な予感を感じ取るのであった…
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...