アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-139 全力拒否

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…見つけた怪しい集団。
 魔界のとある店内に集まり、何の目的があるのか探ってみたが…ただの何の変哲もない適当な集まりならばよかったのに、どうやら放置できない類のようだった。

「「「「うぉぉぉお!!バニービーム!!」」」」
「あまぁい!!まだまだ、念が足りんぞ!!」

(…うわぁ)

 ビームを撃つようなそぶりを見せつつ、何も出せない者たちへ向かって声を荒げるのは、この集会に呼ばれていた、欲望戦隊のタローンさん。
 何故、彼がここにいるのかといえば…どうやら、彼らが習得したいものに関係しているらしい。

「神にも通用する、強制変身光線!!それを会得したくば、思いを込めろ!!想いを詰めろ!!心を練り上げ、その欲望を一点集中、放出せよ!!」
「「「「おす!!」」」」

(…目的が、装備強制変身スキル獲得なのか)
(そうっぽいね…どうやらこの集団、黒き女神を崇める信者の一部っぽいけど…ある意味、狂信者というべき集団みたい)

「絶対に、着せるぞぉ!!」
「いつもいつもお美しい姿でも、他の姿も見てみたぁぁい!!」
「遭遇することがほぼ無くとも、我らが願いを捧げ!!」
「「「「変えてみせるぞその衣服をぉぉぉぉぉぉ!!」」」」


(なるほど、どういう集団なのか分かったけど、まさか黒き女神の衣服を変えるためだけに、集った集団とは…)
(しかも無駄に、現実の方でもその手の職業についているのか、まじめすぎるコスチューム会議とかやっているし…崇めつつも衣服を変えたい集団って、何やねん)
(語尾、変になってない?)

 普通の狂信者の類であればもっとこう、世界のためにとか言って悪さを行ったり、やばいことに手を染めたりするようなイメージがあるだろう。

 だがしかし、彼らの場合はその狂った方向性がおかしな方へ突っ走ったようで…どうも、黒き女神の衣服を自分たちの思い描く様々な衣装に変えたいだけの者たちが集ったようである。


 人の衣装に対して文句を言わないでほしい。各形態、それぞれの姿に合わせたものになっているので、無理に変える必要はない。
 戦況に合わせて姿を変えることで成り立っているところがあるし、外部からの干渉は非常に困るのだ。

 かつて、バニー化光線を喰らって強制的にバニーの姿にされたことはあったが…アレはアレで非常に戦いにくかったし、二度となりたくはない。
 それなのにどうやら彼らは女神のそんな思いも考えずに、衣装を変えたいという欲望を暴走させているようで、全力で突っ走っている状態のようである。

 この状態では、例え黒き女神の姿になって話しかけたとしても…問答無用で、何かしらの衣服に強制的に転じられる可能性が高いだろう。


 

 こういうものたちに対して、不敬な輩というべきなのだろうか。

 何にしても、このまま放置することはできないだろう。
 放置した場合、下手をすればここにいる者たちが何かしらの衣装変化ビームを獲得し、バニーどころか水着やメイド服やその他よりやばいものに変えられる可能性がある。

(…いっそ、今ここで女神になって全力で潰すべきなのだろうか)

 いや、それでは根本的な解決にならないだろう。
 むしろ、女神に遭遇できたとログで判別されて、追いかけまわされる可能性もある。

 どうしたものかと悩みつつ、妨害として粒子ニガ団子をこっそり天井から散布するしかできないのであった…


 
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