アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
557 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-138 活かしはすれども場所悪く

しおりを挟む
…制限のある変身というものは、使い時が難しい。
 何かと強力なものだとしても、もったいなかったり、足りなくなる時があったらいやだなということで、俗に言うラ〇トエリクサー症候群のように、結局使用しないこともあるだろう。

 けれども、使わないほうがよりもったいないということで、結局はどうでも良い目的でやらかす人もいたりするが…この例も、人によってはもったいないような使い方かもしれない。


(…なるほど、ハルさんが妖精になるとは思わなかったけど、確かにこのサイズなら潜り込んでもバレにくいかもしれない)
(こっちとしては、中三病さんがカタツムリの姿になったのが驚きなんですけれどね)
(『メタルマイマイ化』と言うスキルだ)

 ごそごそと動き回る、妖精の姿になったハルとマイマイの姿になった中三病。
 彼らがいるのは、魔界のとある怪しい酒場の天井裏である。



 中三病のとの話に出てきた、怪しい集団。
 どのような合言葉を用いているのか、多少掴めてもその全てを把握するのは難しい。
 ならば、正攻法で攻めるよりも多少変わった手段で入ってみれば良いということで、今回この両方ともサイズが小さくなるスキルをそれぞれ用いて、集団が出入りしている姿が目撃される場所へもぐ混んでいた。

 まだ人が集まっていないようだが、それでも多少はその様子が聞こえて見えてくる。
 話に聞いた通り、彼らの合言葉は…


(…今回は、黒き女神に着せたい衣服という問いに対しての答えが…海洋惑星マーメップに生息する人魚の姿をしたモンスター『メラルップ』の衣装って…あれ、ほぼ貝殻ビキニとかいうやつじゃん)
(下部分は貝殻じゃなくて、ナマコンブと呼ばれる海藻を付けているらしいけれども…どういう回答だよ)

 そんなもの、女神になっても絶対に着ない。
 何をどうしてそんな回答を合言葉にしているんだとツッコミを入れたいが、下手に声を出すとバレそうである。

(それにしても天井の隙間から見るのはちょっときついな…妖精になっても、流石に厳しいか)
(このぐらいなら、マイマイの目で結構余裕だな)
ぐにょーん
(何それ、きもっ!?)



 それはさておき、少し時間が経ってきたところで徐々に人が集まってきたようだ。
 全員同じような合言葉を出しつつ、時たま何やら間違った回答をしている人が捕まっている様子。

 怪しい集会だけど、興味本位で潜り込もうとするのはどこにでもいるのだろうが…それでも、もう少しどうにかならなかったのだろうか。

「なぜだー!!そんな合言葉なら、ウサギ惑星ガルバニドンのマックスレッグからドロップする毛皮の衣服でいいはずだろー!!」
「その意見には大いに賛成するが、今回の合言葉ではない!!」
「幽霊森林惑星ゴスプラモッドに出てくる『ゼッドマッドゾンビ』のワンピースもありだろぉぉぉ!!」
「アレは完全にスケスケの危ない衣装で良いと思うが、それも違うだろぉぉぉぉ!!」

 スローブラックシャイン、放ってあげようか?


 とりあえずある程度の人数が集ったところで、既定の数になったらしい。
 合言葉を確認していた人達が扉に鍵をかけ、出入りを封鎖する。


「それでは、黒き集会をここで開催することにしよう」
「我らの集いは闇に紛れ」
「黒き世界の中で、愛を叫ぼう」
「捧げるこの想いは」
「「「「我らが黒き女神のために!!」」」」

 どうやら、ある程度考えていた予想の中で、一つあたりを引いたようだ。
 女神の信者の類の可能性…出来れば引き当てたくはなかったものを。


(信者の類なら、もうちょっと良いのがなかったのか…)

 どうしてこういうのばかりに遭遇するのだろうか。
 まともな者たちとの遭遇率の低さと引き換えに、やばい人たちに遭遇しやすくなっているのだろうか。

 嘆きたくなりつつも、どういう集団なのかその方向性を確認することにしたのであった・・
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

処理中です...