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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-138 活かしはすれども場所悪く

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…制限のある変身というものは、使い時が難しい。
 何かと強力なものだとしても、もったいなかったり、足りなくなる時があったらいやだなということで、俗に言うラ〇トエリクサー症候群のように、結局使用しないこともあるだろう。

 けれども、使わないほうがよりもったいないということで、結局はどうでも良い目的でやらかす人もいたりするが…この例も、人によってはもったいないような使い方かもしれない。


(…なるほど、ハルさんが妖精になるとは思わなかったけど、確かにこのサイズなら潜り込んでもバレにくいかもしれない)
(こっちとしては、中三病さんがカタツムリの姿になったのが驚きなんですけれどね)
(『メタルマイマイ化』と言うスキルだ)

 ごそごそと動き回る、妖精の姿になったハルとマイマイの姿になった中三病。
 彼らがいるのは、魔界のとある怪しい酒場の天井裏である。



 中三病のとの話に出てきた、怪しい集団。
 どのような合言葉を用いているのか、多少掴めてもその全てを把握するのは難しい。
 ならば、正攻法で攻めるよりも多少変わった手段で入ってみれば良いということで、今回この両方ともサイズが小さくなるスキルをそれぞれ用いて、集団が出入りしている姿が目撃される場所へもぐ混んでいた。

 まだ人が集まっていないようだが、それでも多少はその様子が聞こえて見えてくる。
 話に聞いた通り、彼らの合言葉は…


(…今回は、黒き女神に着せたい衣服という問いに対しての答えが…海洋惑星マーメップに生息する人魚の姿をしたモンスター『メラルップ』の衣装って…あれ、ほぼ貝殻ビキニとかいうやつじゃん)
(下部分は貝殻じゃなくて、ナマコンブと呼ばれる海藻を付けているらしいけれども…どういう回答だよ)

 そんなもの、女神になっても絶対に着ない。
 何をどうしてそんな回答を合言葉にしているんだとツッコミを入れたいが、下手に声を出すとバレそうである。

(それにしても天井の隙間から見るのはちょっときついな…妖精になっても、流石に厳しいか)
(このぐらいなら、マイマイの目で結構余裕だな)
ぐにょーん
(何それ、きもっ!?)



 それはさておき、少し時間が経ってきたところで徐々に人が集まってきたようだ。
 全員同じような合言葉を出しつつ、時たま何やら間違った回答をしている人が捕まっている様子。

 怪しい集会だけど、興味本位で潜り込もうとするのはどこにでもいるのだろうが…それでも、もう少しどうにかならなかったのだろうか。

「なぜだー!!そんな合言葉なら、ウサギ惑星ガルバニドンのマックスレッグからドロップする毛皮の衣服でいいはずだろー!!」
「その意見には大いに賛成するが、今回の合言葉ではない!!」
「幽霊森林惑星ゴスプラモッドに出てくる『ゼッドマッドゾンビ』のワンピースもありだろぉぉぉ!!」
「アレは完全にスケスケの危ない衣装で良いと思うが、それも違うだろぉぉぉぉ!!」

 スローブラックシャイン、放ってあげようか?


 とりあえずある程度の人数が集ったところで、既定の数になったらしい。
 合言葉を確認していた人達が扉に鍵をかけ、出入りを封鎖する。


「それでは、黒き集会をここで開催することにしよう」
「我らの集いは闇に紛れ」
「黒き世界の中で、愛を叫ぼう」
「捧げるこの想いは」
「「「「我らが黒き女神のために!!」」」」

 どうやら、ある程度考えていた予想の中で、一つあたりを引いたようだ。
 女神の信者の類の可能性…出来れば引き当てたくはなかったものを。


(信者の類なら、もうちょっと良いのがなかったのか…)

 どうしてこういうのばかりに遭遇するのだろうか。
 まともな者たちとの遭遇率の低さと引き換えに、やばい人たちに遭遇しやすくなっているのだろうか。

 嘆きたくなりつつも、どういう集団なのかその方向性を確認することにしたのであった・・
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