アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
554 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-閑話 都合が良いもの

しおりを挟む
 女神とは異なる、妖精の姿。
 どっちも人外ではというツッコミが入りそうだが、それは置いておくとしよう。

 人ならざる者の姿ゆえに、常識の枠にあてはめにくく、
 だからこそ、どちらも扱いにくいものになるかと思われるのだが…


【できました、主様。ご要望の、バケツプリンデス】
「…うん、確かにバケツプリンなことはプリンなんだけど…うわぁ、実際にやってみると、こうなるのか。人間サイズでも大きいと感じているものでも、妖精サイズならさらに、超巨大に見える…!!」

 妖精の肉体はどういうものなのか色々と探る中で、ふと、思いついたこと。
 女神とは違って小人サイズに近い妖精の姿ならばできるかと思って、実験したわけだが…実際に体験してみると、規模がかなり違う。

「どう見ても、ハルよりはるかに大きいね」
「山の様なプリンを食べてみたいとは思っていたけど…こういう形で実現するとは」

 サイズや予算等、どうしようもないことで叶わない、そこそこ儚い夢というものが誰しもある。
 オンラインの世界であれば、ある程度の都合ならどうにかなって叶うこともあるだろう。

 だがしかし、それらはあくまでもVRMMOの世界内…現実では成しえないこと。
 様々な感覚が再現されているとはいえ、それでも現実で叶えたわけではない。


 けれども今回、元妖精女王の手によってサイズに関する問題が解決されてしまった。


「妖精化すると、結構小さくなるからこそ、こんな夢の実現ができる」
「サイズが明らかに体より大きいけど、食べきれるの?」
「…しまった、胃の容量まで計算に入れてなかった」

 夢は夢だからこそ儚く、美しいもの。
 かなってしまえば、そこから現実を知る羽目にもなる。




 案外、こういうのは別腹と言って食べられるのではないか。
 そう思っていた時期があったけど、その思いを抱いた過去の自分にツッコミを入れたい。


「うぐっ…さ、流石に、お腹いっぱい…」
「半分もいった時点で相当食べたよね」

 がくりと膝をつき、そうつぶやく。
 最初こそ美味しいなと思いながら食べることが出来たのだが、次第に入らなくなっていき、残さないようにしようと思ったが…残念ながら、妖精サイズでは限度があるようだ。

 そこで、物は試しにもとの姿に切り替えてみれば、すっと胃の負担が軽くなった。

「食べた分はそのままで、サイズが変われば一応食べられるか…うーん、便利なようで不便な部分が見つかったなぁ」

 お菓子の家とか再現できたとしても、妖精サイズでは食べきるのは難しいだろう。
 夢は夢のままで見ていたほうが、美しいというべきなのだろうか。

 また一つ、この世の中の現実の厳しさを知ったようであった…


「ようやく食べきれた…この量、まともに妖精の状態でやったらやばかったか」
「カロリー摂取量とかも、妖精基準だとすさまじいことになりそうだよね」

しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...