アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-134 影響ないと思ったら

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「へーい、お久しぶりに来ちゃったわ☆」
「…軽い挨拶というべきか…いや、それよりも何故…前妖精女王が来たのですか」

…休日早々、珍しく朝早くからチャイムが鳴った。
 来客の予定とかはなく、本日は一日中ミーちゃんとオンラインで遊ぶ予定だったので迷惑だなと思っていたのだが…その予定が吹っ飛びそうな相手が訪れていた。

 誰であろう。奴である。
 かつて、妖精郷で婚活の沼にはまりまくり、やばい結界を張ったり悪魔と天使を狙っていたりと様々なことをやらかしつつ、最終的にはどこかの星の宇宙人と結婚し、ネアを新妖精女王として一任して、郷から出ていった…前妖精女王。

 今は次代に切り替わり、郷自体も神域となってかなり変わってから見ることもなかったはずなのだが、何故かその女王本人が物凄く久しぶりに、この現実の世界の我が家に来たのだ。

 以前来訪されたときは、夫となっていた宇宙人のゲシュタリアタコン星人がいたはずだが…どうやら本日は都合がつかなかったようで、一人での来訪になったとのこと。
 オンライン上の存在がどうして現実世界に来ているのかはツッコミどころがあるが、ソレに関しては何やら現実世界とつなぐ不思議な列車が存在しているとかいう話を聞いているので、何もコメントする気はない。

 まぁ、現実世界へ出ることに関しては、僕らの方も前にやらかしたからなぁ…気にしたらきりがないのでやめておこう。




 そんなことは地平線の彼方まで全力投球するとして、気になるのはこの来訪の目的である。
 わざわざ、一般人の家に、すでに引退したとはいえ仮にも女王だった人が来るような用事があるのだろうか。

「一般…人?」
「ミーちゃん、気にしたら駄目だよ」

 一般の、一介の、何の変哲もないはずのただの人間であるはず。
 
【【【【一般…人?】】】】

 そこ、ロロも箱庭のマリーたちも同じような声を出さない。
 そろって何を同じ目で見るのだろうか。


「ああ、そうそう、ここに来た理由ね。女王をすでに引退した身とはいえ、郷のことに関しては色々と情報が入ってくるんだけど…特に妖精に関しての情報で、最近あなたが妖精になったって報告を受けて、気になって来ちゃったのよね」
「情報早いな!?」
「妖精ネットワーク、舐めないほうが良いわよ。見える姿になっているときもあるけど、実は普段見えない姿で漂っていることもあって、思いもがけない場所で目撃することもあるからね」

 何ソレ、妖精怖い。


「それにしても、あの世界の中でなのね…うーん、ここでも妖精になっている姿をみたいんだけどな~」
「流石に、妖精化のスキルを得ましたけど現実で妖精になるわけないですって」
「でも、女神の姿にはなれるのよね?」
「その情報も妖精から?」
「そうよ」

 本当に、どこまで把握されているのか。
 過去の記憶としては、暴走婚活モンスターとしての印象のほうが強かったが、だてに女王をしていなかったというべきなのだろうか。


「残念、ここでも妖精になれたらどういう姿なのかすぐに見たいのに…どうしてもなれないの?」
「無理無理、女神はどうしようもなかったけど、妖精化に関しては完全にスキルの方だし、現実世界でなれるわけがないって」

 女神になれること自体がおかしな話だが、不可抗力の末に生まれた特例の様なものなので、問題外の話になる。
 妖精化に関しては、アイテムを使用した完全に後天的な付け加えの様なものになっており、いくらなんでも現実世界で妖精になれるわけがない。

 もしもなることが出来たら、その姿で町内一周をしても良いぐらいだろう。


「うーん、そう思っているのね…なら、こうすれば良いのかしら」

 ふと、そう思っている中で前妖精女王は僕の方に手をかざし…

ぴんっ
「いたっ」

 ぐっと指を曲げ、デコピンをあててきた。

「んーあっちとは違う感覚だけど、うまくいったわね」
「うまくいったって、何が?デコピンで人をどうにかして、」
「前妖精女王だけど、ちょっとした強制はできるはずね。えっと、『妖精にな~れ』」
「いや、話を聞、」

ぼうんっ


「「…は?」」


…勝手に話を進めて、把握しきれない。
 そのため、ツッコミを入れようとしたが言い切る前に煙が発生し…すぐに晴れて出てきたその姿に、僕とミーちゃんは間抜けな声を漏らした。


 無理もないだろう。だってその姿は、現実世界では無理だと思っていたもの。
 しかしながら、相手は引退したとはいえ相当な実力を持っていた妖精女王だったというべきなのか…何をどうしてなのか、身を転じさせられてしまった。


 何に?…むろん、オンラインの世界の妖精の姿である。

「やったわ、成功ね。へぇ、無性のようだけど結構可愛らしいじゃない」

 ニコニコとほほ笑みながらそう口にする前女王に対して、僕らはあっけにとられてしばしの間、何も発することが出来なかったのであった…


…しまった。もしやこれ、先ほどの発言がフラグにでもなった?
 え、でもそうすると、まさか。

「町内一周も、これで出来るわよね」
「何、心を読んでいたうえにやらせようとしているのかなぁぁぁぁぁぁ!?」
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