アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
上 下
549 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.2-131 効果はあった、偽りはない…多分?

しおりを挟む
 煙を出しいてからの、爆発変身。
 ちょっと古いが、ある意味お約束のような身の変わり方であり、その方法がネタアイテムにもしっかりと備えられていたようで、予想できたことだともいえる。

 そのため、ここまで手順通りことが進んだことによって、薬が成功したことを確信していた。

 流石にネタアイテムとはいえ、うっかり間違って女体化薬とかが出来たら…それはそれで、女神の状態で飲んだら意味が無いので、特に影響はないだろう。
 


 もくもくとまだ煙が晴れぬ中、自分の状態を目視する前にステータスを確認し、自分の性別が切り替わっているか、しっかりと確認を行う。
 女神になることで男性表記から女性表記になっていたが、ここでさらに薬によって元の性別へと正されて入れば大成功と…

『表記確認、性別…良し!!女性表記が消えて、なっているのは…んぅ?あれ?』





…確かに、女性表記が消えている。
 このままうまく男性表記へ切り替わっていれば、男体化薬が成功したことになり、女神の力を持ちながらも男の神としての状態で動けたはずである。
 そんなに効果時間が長くはないらしいので、いざという時の切り替え用程度にしかならないが、万が一の変態共の惨劇に巻き込まれるようなことが無いように利用できたはずだが…その思惑が何故かここで、外れていた。


 うん、間違いなく女性表記は消えている。
 でもなぜか、男性表記もない。懸念される可能性としての両性とかそういうのもなく…

『…性別表記、「無性」?』

 何、この表記。
 いや、そもそもこの声は何だ。

 男になっているはずなのに、女の子のような高い声に近い。
 そして煙が晴れていく中、自身の目線の高さもかなり下がっていることに気が付き…容姿の確認のために用意しておいた鏡に映る姿を見て確認する。



 黒き女神の特徴としての、黒目黒髪黒い衣装は変わりないだろう。
 だがしかし、等身がかなり下がっており、子供と言って良いほどのもの。
 違う、そもそものサイズが大幅に小さくなって…

『…って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁ!?がっつりミニサイズの妖精と言って良いサイズになっているぅぅぅ!?』
「あ、ようやく煙が無くなって見え…ハル、小っさ!?」

 思わず叫び、続けて状況を見ることが出来たミーちゃんも叫ぶ。
 よく見たら羽も生えており、小人サイズの妖精のような姿になっていたのであった…








『…なるほど、男体薬のはずが、アップデートによって一部投入したアイテムの成分が変化…作成方法がほぼ同じになりつつ、別物の新アイテムを偶然にも生みだしちゃったようだ』
「その名も『妖精薬X』…妖精自体はそもそも、このオンラインでも実装されているけど、ソレに姿が切り替わるような代物になっていたのか」
『そのうえ、どうやらデバフや女神の耐性が重なって…一応、性別が切り替える効果には変わりがなかったけど、切り替え先が妖精だとまた違うものがあって、無性になっちゃったのか…』

 驚きまくり、男神の姿になれなかったことを悲しみつつも、状況を僕らは確認した。
 どうやら様々なことが重なりまくった既に、生まれてしまった偶然の産物のようである。

 性別を変える効果はあったが、妖精はどうも人とは違う生別のデータが用意されていたようで、適応されたようだ。

 というか、妖精女王のネアがいるのに妖精化って…結構シャレにならない気がする。
 黒き女神の使い魔としてなっている彼女だし、その治めるべき妖精郷も神域になっているし、それなのに女神が妖精になってどうするんだとツッコミを入れたい。

 幸いなのは無性という性別に適応されたおかげなのか、着ている衣服までもが女物の状態ではないことだろうか。
 無性というか中性的な容姿になっているし、着ている衣服も中性的なものに合わせておとなしいものになっている。

『そのうえ、ステータスを見れば、女神とは違った方向に尖っているなぁ…MPや素早さ方面が桁違いになっている代わりに、防御力とかが神から紙になっているか』

 女神のステータスはバランスが取れたものだったはずだが、妖精化の影響かステータスの数値が極端に変化しており、超高速紙装甲アタッカーとでもいうべきものになっている。
 元々あった分を別の方へ注ぎ込み、不必要かもしれない部分を根こそぎ利用したようなもので、総合は変わらなくとも通常プレイヤーとは違った戦い方もできるだろう。

 でも、こんな形で性別が切りかわりたくはなかったなぁ…一応、女神の枠から外れて女の子から変わったという部分は成功したけど、この結果は何とも言えない。
 失敗しているようで、当初の目的とはそこまでずれてもおらず…斜め上の結果に終わったと言えるだろう。


 とにもかくにも、まさかの妖精化という結果を受け入れるしかないのであった…


『それにしても、女神とはまた違った不思議な感覚だな』
「そうなの?」
『うん。女神の時はなんとなくこう、神の力的なものは感じられたけど、こっちはこっちでまた別者の感覚がするな。この想定外の姿は女神じゃないけど…イレギュラーな形態として名前を付けておこうかな?妖精となると…オベロン、とか?』
「何かこう、作品によって扱いが滅茶苦茶変わりそうなものだね、ソレ…」
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫
ファンタジー
 この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。 その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。  そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

処理中です...