アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-閑話 言われてみれば、その可能性もあった

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「んー…いや、流石に無いか」
「あれ、春、何を探しているの?」

 休日のある日、ネット検索を行っている中で、ふとミーちゃんが問いかけてきた。

「ああ、ちょっとコミュニティというか、その手の…神関連のSNSとかないかなーって思ってね。ミーちゃんの吸血界隈のものがあるならば、同じようなものがあってもおかしくないでしょ?」
「んー、探せばありそうだけど…なんで急に、そんなのを探すの?」
「女神の力に関して、色々想うところがあったから、その手のことに詳しそうな人の集まりがあったら、どういうものか話を聞いてみたいなと思ったんだよ」

 
 今までは女神の力を扱うことを抑えていたが、先日の神龍帝の一件を経て、女神の力に関する知識を積極的に得たほうが良いと思ったのが理由である。
 路上での衣服爆散事件を引き起こさないようにしているとはいえ、それでもまだまだ分かっていないのが、この女神の力。

 自分自身のことなのに、あまり深く知らないと他にヤバい可能性が出てきたときに対応し辛いかもという危機感を抱き、その不安を解消したいと考えたのだ。


 ただ、神の力なんてものは、まともに人に話したとて信じられるようなものではない。
 そもそも、この科学文明が溢れる世の中で非科学的なことに対しての情報というのは微妙なものがあり、まともに探しても眉唾物レベルだったりガセネタだったりと、価値ある情報を得られる可能性は限りなく低いだろう。

 そのため、どうしたものかと考え…ならば、その手の情報を持っていそうなつながりをどうにかして探せばいいと結論付けたのである。

「もちろん、ただやみくもに探しても、まともな人間の目には映らないように細工されている可能性は十分ある。ミーちゃんのその吸血界隈のSNSも、教えてもらうまではわからないほど秘匿されていたようだし、人間にわかっては不味いものがそうたやすく見つからないのは理解しているよ」
「まぁ、まともな人が見つけることが出来ないだろうし、表には出なくても裏の方でむしろう討伐のために利用しようと企む人たちもいるから、そうそう見えないようにするのは当たり前のことなんだよね…でも、それならどうやって探すの?」
「ちょっと力の扱い方に関して調整しやすくなったから、目だけ女神の力を集中させて、探してみているんだよ。まともな人に見つからないなら、人じゃないほうの目で見れば良いかなぁと思った…んだけどね…」
「ん?どうしたの?」

 この方法ならば、容易く見つけられるだろうと思っていた。
 いざとなれば女神の特殊形態で電子の海に直接潜って探す方法もあるだけだし、そんなに苦戦しないだろうと考えていた。

 だがしかし、この情報溢れるネット社会を、僕は甘く見ていたようである。

「…女神の力で探した結果、人外コミュニティが想定以上にあふれてました。そのせいで、多すぎて見つけられないです」
「想定以上って…どれだけあったの」
「ものすごくたくさん…しかも、俗世に染まったというべきなのか、それとも悪い情報に流されたのか、やばいウイルスをまき散らすサイトや、ちょっとしたハッキングをされるものまで、幅広く見つけちゃって…」

 たちが悪いことに、まともな人間ならば見つけられない代物ゆえに、通報したとしてもまともに取り合ってもらえない可能性もあるだろう。
 見つけられない場所にこそ、見つけられては不味いものを隠す人が多いというべきなのだろうか。

 世の中、人が見つけることが出来ない不思議も結構あったようで…むしろ見つけて消して回ったほうが良いんじゃないかと思うようなものもあり過ぎる。

「とりあえず、どうしようかなコレ…流石に通報しても、まともな人に見つけられないものだし、対処法が分からないなぁ。ミーちゃん、吸血界隈で対策方法とか無いかな?」
「いやいや、流石にそんなことを知っている吸血仲間いないとは思うけどねぇ。念のため、ちょっと投げかけて…あ、回答来たよ」
「来たの!?」
「コミュニティ上の名前『ヌラヌラヌランギルスヒル』さんからの回答だね。えっと…ああ、どうもその手のものがあるのは、他の人外界隈でも問題になっているようで、しっかり通報して対応してくれる場所があるみたい」
「それ、大丈夫なものだよね?」
「他の『チュパチャップスカブラ』さんや『ドンキューラ』さん、『真祖②』さんなど…他の人たちの回答もあるけど、同じところだよ」

 見せてもらうと、どうやら多くの人外たちが、ネット上の人では対処できない案件に関して、頼るところが存在しているらしい。
 その場所へ通報すれば、たちどころに解決してくれるのだとか。

【ああ、その通報サイトですカ。大丈夫デス、信頼性があるところなので、問題ないですネ】

 ふと、どうやらいつの間にか傍にいたロロがのぞき込み、通報先に関してそう告げた。

「え?知っているの?」
【ハイ。メーゼ・イワド社も利用することがあるところデス。事前に念入りな調査を行い、問題ないことからセキュリティ部門の特別外部顧問として、人を招くこともあるところデス】
「へぇ、運営会社も御用達のか…人外相手になりそうなサイトを利用するの?」
【ネットの海は、人も人外も関係なく入り混じって活動していますからネ。誰でも使えるところは非常にありがたいのデス】

 どうやら僕らが考えている以上に、やばいものもそれなりに多いらしいネットの海。
 現実の世界の不思議もかなりありそうだが、ネットの世界もまた、ヤバいものが数多く潜んでいそうだなと思うのであった…


【それと主様、神界隈のコミュニティを探すなら、こちらのほうがおすすめデス】
「あ、探してくれたのか。ありがとう」
【いえいえ、こういうのも使用人の役割なのデス(ろくでもない神がいるコミュニティもありますので…健全なところをしっかり厳選したのデス)】
(…何か今、絶対に春のことを思って厳選したような目の色したよね。そういえば、神って部分だけで相当すごい様なものもありそうだけど、神話の中には…)
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