541 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.1-124 先は長いが、そこに入れるのか
しおりを挟む
…ボスモンスターが消え去り、プレイヤーたちが眠りについたのもあって、周囲の音がだいぶなくなっているだろう。
静寂となったこの場において、起きているのはダンジョンボスを葬り去った巨大なドラゴンと、寝かされなかったただの一介のプレイヤーだけである。
『---一介のプレイヤーというのは無理がないか?ここに来るまでに、ある程度の情報とここで感じ取れる力を見て抱いた感想だが、どこぞの魔王や悪魔やメイドと変わらぬほど、人外に片足どころか全身突っ込んでいるようだぞ』
「人外に全身突っ込むってどういう状態なの!?」
とっくの昔に人間をやめていないかと、人外の存在にツッコミを入れられるのは心外である。
将来…まだまだ先のことだが、女神の人生があるとはいえ、まだ人間のままだとハルは抗議したかった。
しかしながら、いくつか心当たりがあり過ぎるものがあるゆえに、強く言えないのが悲しいところだろう。
『まぁ、別に良いか。それにしても、この状態で話すのはそちらも首が疲れるだろうから…少し変えよう』
そう言った次の瞬間、目の前のドラゴンは体を光らせ、姿を変えた。
かなりの巨体だった肉体が縮小し、光が収まったときには人型にまで収まっていたのだ。
銀髪黒目の、顔の整った青年というべきか。
それでもなお、未だに持つ力はひしひしと感じられており、圧縮された分濃度が濃くなっているような気がしなくもない。
「さて、これで話しやすくなっただろう。とはいえ、立ったままというのもなんだし、もう少しだけ場を整えるとするか」
ドラゴンの姿だった青年がパチンと指を鳴らすと、ぐにゅりと空間がゆがんだような音が鳴り、誰か別の人物が出てきた。
「ファースト、この場で話し合いを行うから席を設けてほしい」
「了解いたしました」
「…使用人?いや、でも何か違うような」
「ああ、違うよ。ここのシステムの使用人に関しては、こちらも知っているけど、技術体系が異なるからね。こっちはこちら独自のもので、たまに技術交流をしているけど…と、話している間にもう終わったようだし、ゆっくうりと語ろうじゃないか」
使用人システムに似ていたが、似て非なるものらしい。
そんなことを言っている間に、いつの間にか茶の間の様なものが作り上げられていたのであった。
「さて、腰を据えて落ち着いて話せるようになったところで…まだ自己紹介がまだだったから、先に名のろうか。おそらくログとやらで、ある程度見えているとは思うけど、技術的な違いで見えていないだろうしね」
言われてみれば確かに、目の前の相手に関しての情報が、ログでもほぼ見えない状態だ。
「…あー、こういう場所ではアバター名のほうが良いのだろうか?いや、ここでは肉体そのままやってきているから細かいことは抜きとして、コホン。我が名はアル、別の世界では神龍帝ともいわれているが、普通に名前のほうで認識してほしい」
「■■の部分が、神龍…何かこう、突っ込んだらよりやばそうな回答が返ってくるから、名前のほうで認識させてもらうよ」
「それで良いよ」
こういう輩の場合、明らかに深入りしたほうがよりやばいことが分かってしまう。
だからこそ、相手がある程度制限をしてくれたことに合わせるべきだろう。
「僕はハル。一介のプレイヤーに過ぎない人間だけど…そちらはもう、黒き女神という名を知っているんだっけか」
「その通りだ。この世界で偶発的に…いや、ある程度意図的な部分を感じなくもないが、生まれた女神だと聞く。ああ、スキルによってこのオンラインの世界とやらだけで生じたものではなく、現実の世界とやらでも女神になっているともな」
「情報源は?」
「似たような女神界隈から、ちょっとな。確か、闇とか光りとか水とか…」
…なんというか、心当たりがあるようなない様な。
そんなところから個人情報が出て良いのかと思うのだが、どうしようもない場所ならば仕方がない。
「というか、その神々も存在しているのか…称号で確かに出ていたり、女神になる際に色々ログで争っているのを見たけど…」
「いないものだと思っていたものが実は存在しているってことはそこそこあるがな。自分自身を否定できない時点で、そうであろう?」
何も言い返せない。
確かに、女神になっている時点でその手の存在がいてもおかしくはないからなぁ…
色々と世界のやばい秘密を知りつつ、話を進めていく。
どうやら彼は今回、別の目的で別の場所に訪れれていたようだが、その目的がすでに達成されており、少し暇つぶしも兼ねて、噂に聞いた女神を見て見ようかと思い、やってきたらしい。
「実際に目にすると納得するが…まだ発展途上か。無理もないか、生まれてまだ若いだろうし、信者が5桁に入っていても期間が短いからなぁ」
「女神の強さは十分わかっているけど、これでまだ発展途上なのか…あれ?ちょっと待って、今何か、おかしなの聞こえたような」
「何が?」
「期間の短さとかは理解できたけど、何、その信者数。5桁って嘘でしょ、聞いたこともないんだけど」
「ふむ、表立って活動していないか、はたまたは心の中で信仰されている程度か…いずれにしても、着実に増えているらしいことはわかるぞ」
「…何でそんなにいるんだよ!?」
出てきた情報に対して、思わず叫んでツッコミを入れてしまうのであった…
「ちなみにそれ、ここでのプレイヤーとやらだけではないな。NPCとかそういう存在にも、じわりじわりと広がっているようだが…」
「信仰対象、明らかに間違えているって!!というか、何をどう信仰しているの!?」
…大丈夫なのか、そのまだ見ぬ信者たち。あなた方が信仰する相手、ほんとうにぽっとでの一般人女神なんだが…女神な時点で一般人でもないが…
静寂となったこの場において、起きているのはダンジョンボスを葬り去った巨大なドラゴンと、寝かされなかったただの一介のプレイヤーだけである。
『---一介のプレイヤーというのは無理がないか?ここに来るまでに、ある程度の情報とここで感じ取れる力を見て抱いた感想だが、どこぞの魔王や悪魔やメイドと変わらぬほど、人外に片足どころか全身突っ込んでいるようだぞ』
「人外に全身突っ込むってどういう状態なの!?」
とっくの昔に人間をやめていないかと、人外の存在にツッコミを入れられるのは心外である。
将来…まだまだ先のことだが、女神の人生があるとはいえ、まだ人間のままだとハルは抗議したかった。
しかしながら、いくつか心当たりがあり過ぎるものがあるゆえに、強く言えないのが悲しいところだろう。
『まぁ、別に良いか。それにしても、この状態で話すのはそちらも首が疲れるだろうから…少し変えよう』
そう言った次の瞬間、目の前のドラゴンは体を光らせ、姿を変えた。
かなりの巨体だった肉体が縮小し、光が収まったときには人型にまで収まっていたのだ。
銀髪黒目の、顔の整った青年というべきか。
それでもなお、未だに持つ力はひしひしと感じられており、圧縮された分濃度が濃くなっているような気がしなくもない。
「さて、これで話しやすくなっただろう。とはいえ、立ったままというのもなんだし、もう少しだけ場を整えるとするか」
ドラゴンの姿だった青年がパチンと指を鳴らすと、ぐにゅりと空間がゆがんだような音が鳴り、誰か別の人物が出てきた。
「ファースト、この場で話し合いを行うから席を設けてほしい」
「了解いたしました」
「…使用人?いや、でも何か違うような」
「ああ、違うよ。ここのシステムの使用人に関しては、こちらも知っているけど、技術体系が異なるからね。こっちはこちら独自のもので、たまに技術交流をしているけど…と、話している間にもう終わったようだし、ゆっくうりと語ろうじゃないか」
使用人システムに似ていたが、似て非なるものらしい。
そんなことを言っている間に、いつの間にか茶の間の様なものが作り上げられていたのであった。
「さて、腰を据えて落ち着いて話せるようになったところで…まだ自己紹介がまだだったから、先に名のろうか。おそらくログとやらで、ある程度見えているとは思うけど、技術的な違いで見えていないだろうしね」
言われてみれば確かに、目の前の相手に関しての情報が、ログでもほぼ見えない状態だ。
「…あー、こういう場所ではアバター名のほうが良いのだろうか?いや、ここでは肉体そのままやってきているから細かいことは抜きとして、コホン。我が名はアル、別の世界では神龍帝ともいわれているが、普通に名前のほうで認識してほしい」
「■■の部分が、神龍…何かこう、突っ込んだらよりやばそうな回答が返ってくるから、名前のほうで認識させてもらうよ」
「それで良いよ」
こういう輩の場合、明らかに深入りしたほうがよりやばいことが分かってしまう。
だからこそ、相手がある程度制限をしてくれたことに合わせるべきだろう。
「僕はハル。一介のプレイヤーに過ぎない人間だけど…そちらはもう、黒き女神という名を知っているんだっけか」
「その通りだ。この世界で偶発的に…いや、ある程度意図的な部分を感じなくもないが、生まれた女神だと聞く。ああ、スキルによってこのオンラインの世界とやらだけで生じたものではなく、現実の世界とやらでも女神になっているともな」
「情報源は?」
「似たような女神界隈から、ちょっとな。確か、闇とか光りとか水とか…」
…なんというか、心当たりがあるようなない様な。
そんなところから個人情報が出て良いのかと思うのだが、どうしようもない場所ならば仕方がない。
「というか、その神々も存在しているのか…称号で確かに出ていたり、女神になる際に色々ログで争っているのを見たけど…」
「いないものだと思っていたものが実は存在しているってことはそこそこあるがな。自分自身を否定できない時点で、そうであろう?」
何も言い返せない。
確かに、女神になっている時点でその手の存在がいてもおかしくはないからなぁ…
色々と世界のやばい秘密を知りつつ、話を進めていく。
どうやら彼は今回、別の目的で別の場所に訪れれていたようだが、その目的がすでに達成されており、少し暇つぶしも兼ねて、噂に聞いた女神を見て見ようかと思い、やってきたらしい。
「実際に目にすると納得するが…まだ発展途上か。無理もないか、生まれてまだ若いだろうし、信者が5桁に入っていても期間が短いからなぁ」
「女神の強さは十分わかっているけど、これでまだ発展途上なのか…あれ?ちょっと待って、今何か、おかしなの聞こえたような」
「何が?」
「期間の短さとかは理解できたけど、何、その信者数。5桁って嘘でしょ、聞いたこともないんだけど」
「ふむ、表立って活動していないか、はたまたは心の中で信仰されている程度か…いずれにしても、着実に増えているらしいことはわかるぞ」
「…何でそんなにいるんだよ!?」
出てきた情報に対して、思わず叫んでツッコミを入れてしまうのであった…
「ちなみにそれ、ここでのプレイヤーとやらだけではないな。NPCとかそういう存在にも、じわりじわりと広がっているようだが…」
「信仰対象、明らかに間違えているって!!というか、何をどう信仰しているの!?」
…大丈夫なのか、そのまだ見ぬ信者たち。あなた方が信仰する相手、ほんとうにぽっとでの一般人女神なんだが…女神な時点で一般人でもないが…
11
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー
楠ノ木雫
ファンタジー
この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。
その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。
そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。
※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる