アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-120 突き進むは黒き軍勢

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「マリー、毒液を放出後ルトの電撃で着火!!爆裂後にセレア、突撃!!」
【了解シャゲシャゲ!!】
【ギャゲスパァァク!!】
【新しい槍の餌食になれバルルルゥ!!】

「コユキ、雪兵たち召喚及びシア、ネア、アリス、糸や爆弾、炎の球を持たせろ!!リンで一体ずつ蹴り上げて敵へ!!」
【氷雪召喚ユキッ!!】
【えっと糸に爆弾括り付けて…】
【ミサイルも少々、トッピングピキッ】
【オォォン、不燃性の糸も出して―】
【はいはい、一体ずつ並んでガルウルゥ!!】



「…わーお、以前に白黒の塔攻略時にも見たけど、あの時以上に数が増えているわねぇ」
「命令にすぐに従い、効果的に攻撃するから楽だぜ」

…グレイ号の周囲に爆薬を仕掛けている今、僕らはこの惑星ダンジョンの攻略に乗り出していた。
 以前にもグランプさんたちと一緒にダンジョン攻略をしたことがあったが、あの時よりも手段も経験も増えており、対応しやすい。

 しかもここは、さほど強くないザコが大勢出現するため、まともに相手をすればそこそこ手間取りそうなものなのだが、広範囲攻撃手段が多くなっていたことで徹底的に吹き飛ばすことが出来、ちょっと別ゲームだが無双ゲームのように敵を吹っ飛ばしまくることが出来るそう快感を味わっていた。

「まぁ、女神の力が現在使えない影響で、黒き女神の使い魔の力も使えないようだけど…それでも、支障なく動けているから良いか。アリス、そっちに炎を!!燃え盛り始めたらミーちゃん、その手渡したオイル瓶を敵にぶん投げて!!」
「攻撃が楽だけど、ちょっと相手に同情したくなるかなぁ…」

 ぼそっとミーちゃんがつぶやいたが、無理は無いだろう。
 かなり蹂躙をしながら進んでいる現状、止められる相手はいない。

 コスプレイベントでの騒動でうっぷんが溜まっていた分、ここで晴らせればと思っていたのだが…いかんせん、味方の強さを加味していなかった。

 うん、黒き女神のぶっ飛び具合で忘れがちだったけど、マリーたちもとんでもなく強化されていたよ。
 女神の力が使用不可な影響で使い魔部分の力が使えなくても、元々のスペックが十分高いものばかりだった。

【ここ最近は出番少なかったけど、修練は怠っていなかったのバルゥ】
【ついでに召喚できる雪兵たちや、マリーンズたちとも模擬戦をして練度を高めているユッキ】

 見ていないときでも、鍛えていた模様。
 そしてどことなく全員の目が、本当に呼ばれなかったなぁと少しだけハイライトが消えて訴えているように見えるのは気のせいだろうか。


「…ハルさん、一部ではハーレムプレイヤーだのモン娘天国野郎だの言われているって聞くけど、この様子だとそのうち後ろから刺されたりしそうだべ…」
「その言いようは絶対に否定したいけど…怖いフラグを立てないでください」

 久しぶりに聞いた自分の言われようだが、全力で否定したい。
 そしてそのやばそうなフラグも、絶対にへし折りたい。

 そのためにも、今日はせめて彼女たちを全力で出して指示しまくって触れ合おうかと心に決めるのであった…

「ん-、ハルのだと後ろから刺されても平気そうだけどね」
「いや、普通の人間ならアウトだって…VRMMOのここならデスペナルティからの場合によっては冥界フィールド経由になりそうだし、現実でも生身だったら無理でしょ…」

…現実で女神の状態になったら大丈夫そうだけど、流石にまともな人間の時なら無理だって。
 そもそも、そう簡単に刺すような人に近づくわけもないしなぁ…いたらいたで、僕が気が付く前にロロが手際よく排除していそうだしなぁ。













【くちゅん!!…何か今、誰か私を噂しましたかネ?】
『使用人はあちこちにいるから、どこかで噂されたら全体に伝わるんジャ?』

 ハルたちがダンジョン内を突き進んでいたその頃。
 ダンジョンの外…現在、半分地面に埋もれた状態のグレイ号では、ロロとグレイ号が脱出するための復旧作業を行っていた。

【それもあり得ますね…最近、現実の方では使用人シリーズパックで新しいのが発売され始めたようですからネ。ふふふ、アップデートパック、購入が楽しみデス】
『そこは運営とつながっている部分の権力でタタで買うとかできないノ?』
【ある程度、自重しているというか、割り切っているのデス。何でもかんでも頼り切っては不味いですからネ。それに、資金は問題ないのデス。しっかりと、主様方が不在中も稼ぐ手段は色々とありますからネ。そうでなければ、家の大改造とか予算不足になってできないデス】
『…現実のマスターの家、見たことはないけど、何故だろウ。確信をもって、物凄くろくでもないことになっていると思える…家に心があれば、酒を飲みかわせそうかナ』

 そう都合よく自分と同じような存在がいないだろうが、似たような状態であれば魔改造されまくったことで意気投合できる友達になれたかもしれない。
 そんな思いがポツリと出るが、もしも同じようなものであれば、生きたまま…というのも物に対しているのもなんだが、その最中の記憶とかも出来上がって、精神的な部分でゴリゴリ削れるものがあるかもしれないと考えると、同じような状態でないほうが楽なのかもしれない。

『一応、ワープアウトの座標軸を変えれば現実世界とやらに出られるのは前に体験済みですが…直接訪れるには、この身体が大きいのが難点デス』

 そもそも、現実世界に某宇宙戦艦のような魔導戦艦が出現する時点でアウトな気がしなくもないが、バレなければ問題でないだろう。

 そう思いつつ、気に留めずに復旧作業を進めていた…そんな時だった。


ピコーン!!
『ン?レーダーに何か、反応ガ?』
【敵性か、それともエネルギー波の様なものでしょうカ?】
『詳細確認…違いますネ。強大なエネルギーを有した生命体が接近しているようデス。しかし…該当生命体が無いですネ?ある程度のオンライン内のモンスターやNPCが有する生体波長コードは登録しているはずですが、一致しないのデス』
【ふむ…なら、知識カートリッジ2Bを入れて探ってみてくだサイ。正体不明生命体の類に備えて、ちょっとした伝手で世界外の生命体の…とりあえず、主様と万が一敵対した際にヤバそうなものをリスト化したコードを入れてますからネ】

 一介の使用人が何をどうして、世界の外にあるようなものを手に入れるのか。
 そう思ったグレイ号だったが、魔改造されまくった自身の経験を考えると不思議なことではないのかもしれないと考える。
 いや、ここでうかつに口に出してみよう。不興を買えば、今回の失態でどうにかして逃れている解体を執行される可能性がある。

 可能性を潰すべく、質問をせず…おとなしく、確認してみることにした。

『えっと、2Bをセットして…波長検索…該当生命体、ありまシタ』
【分類はどれに該当しましたカ】
『「無理♪」デス…え、何ですカ、コレ』
【確実に勝ち目がない、次元が違い過ぎる類用にセットしまシタ。挑んだら、このグレイ号でも一瞬で蒸発レベルの…ん、ちょっとマジで、その分類が出たのですカ】

 グレイ号の言葉に、答えつつ少し遅れた反応を見せたロロ。
 その姿は、じわりじわりと何かヤバいものに気が付いたかのように、普段見せないほどの滝のような冷や汗をかき始めていた。

『は、ハイ。識別ネームコードはだと「R-GDK」で、敵対意志などは反応に無いのですが、現在ここに接近中デス。到達まで、あと数分ほどかと…』
【---Extraコード作動!!主様たちなら大丈夫ですが、影響が強すぎて私たちのほうがヤバいデス!!レーダーによる解除セットを行いつつ、大至急で全思考回路系安全弁閉鎖!!少々眠るためにシャットダウンを大至急!!】
『りょ、了解!!』

 ここまで滅茶苦茶に焦るロロの姿は初めて見たが、従わなければ不味いのだろう。
 海賊船としての勘が本能的にすぐに理解し、指示に従って思考を放棄し始める。

【ああもぅ、何でそんなのがここへ来るのですカ!!はっ、まさかこれは主様がどこかでやばいフラグを立てたとか…色々とありえそうで恐ろしいデス―――――――!!…シャットダウン完了。使用人システム、一時停止イタシマス】
『ここまで焦らすとは、一体何が…グレイ号、思考回路等シャットダウン完了。プログラムニヨリ周囲岩盤除去炸裂弾設置作業ノミ進行シツヅケマス』

…数秒もしないうちに、艦内は作業以外の音が消え失せたのであった。
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