535 / 718
Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~
ver.5.1-119 爆薬は十分に
しおりを挟む
―――ある意味これは、この海域に仕掛けられていた罠だったのかもしれない。
困難な海域を突破できた時こそ、一番プレイヤーが油断しているかもしれない瞬間。
それゆえに、油断したその瞬間に運営は何かを仕掛けているのだろう。
「まぁ、突破したすぐ先に目的地があれば、そこに激突して大破するだろうなぁとぐらい思っている運営の石があったのかもしれないけど…」
「グレイ号が、本当に頑丈でよかったよね…」
何とか艦橋から外に出て、周囲の惨状を見てつぶやく。
そう、現在僕らは見事に運営の思惑に踊らされて、出口にあった惑星…星そのものがダンジョンとなっている『ロイメイタル』に到着していた。
すさまじい勢いで突っ込んでしまったが、グレイ号の耐久力はエネルギーリングなどの防御装置に頼らずとも相当高く、突っ込んだ程度で爆発四散するようなことはなかった。
だがしかし、ラムを出しっぱなしにしていたのもあってか、勢いよく大地へ突っ込み、地表にえぐりこんでしまったのである。
【うーん、艦そのものにダメージはほぼ無いのですが…駄目ですね。みごとに突っ込んで半分、地面に沈んでしまっていマス。突撃時に生じた高温で地面が固まったようですし…すぐに飛び立つのは不可能になりまシタ】
周辺を見て回り、ロロがそう告げる。
グレイ号自体のダメージはなかったようだが、星にものすごく深くえぐりこんでしまったせいで、脱出できない状態になってしまったらしい。
半分ほど船が沈み込んだ状態にもなっているせいで、下部の艦橋や他の部分にも干渉しており、バックすることもままならないようだ。
「となると、当分星から飛び立てないってことか」
【そうなりますネ。一応、艦内工場で爆薬が精製できますので、周辺の土壌に埋め込んで爆破すれば、どうにか出られますが…そこそこ時間がかかりマス】
「ううむ、我々の船もグレイ号に収納されているから…下部から入った都合上、そこが地面の中だと出すこともままならぬのかだべぇ」
【グレイ号を解体すれば、出せないこともないですけれどネ】
『ひぃっ!?』
…ロロの言葉に対して、びくっと震えるのは人型状態で出てきているグレイ号の意志。
先ほどから全員に向けて、この失態に対して謝っているのか全力の土下座をしているが、今の言葉は相当怖かったようだ。
「いや、流石に解体は無理かな…ごめんね、グランプさんたち」
「いやいや、あの海域を突破できた分があるから大丈夫だべぇ」
「船がなくとも、すぐに出かける用事もないからねぇ」
「ここから脱出不可能ってわけでもないから良いんだぜー」
グランプさんたちの魔導船が取り出せない状態になったが、気にしていないようだ。
一応、周辺を片付ければどうにかなるという説明もあったし、焦る必要は無いだろう。
「とりあえず、脱出できるようにしてもらうとして…時間つぶしも兼ねて、ここのダンジョンに挑んだほうが良いかな」
【そうしてもらうほうがよろしいかと思われマス。主様たちがダンジョンに挑まれるのであれば、その時間を使い、出航が可能なように整えておきマス】
元々、今回の目的がここになっただろうし、多少の時間つぶしとしては良いだろう。
焦る必要もないし、僕らは外に出てしっかりと成果を上げれば良いだけの話だ。
【では、今から周辺をどかすための、爆薬を精製しに向かいマス。グレイ号、全力で外に搬出、設置予定地点への輸送をお願いしますネ】
『りょ、了解!!』
冗談にも聞こえなかった解体発言がよっぽど答えたのか、すぐさま駆け出すグレイ号の意志。
やらかしたことに責任感を感じているようだが、一応事故の様なものなのでそこまで重く受け止めなくても良いんだけどなぁ…
「というか、ハルさん別件で突っ込みたいけど…え、あの子グレイ号って言っているけど、船あんなの付くっけ」
「…色々とあったんですよね」
「正直、前線・攻略組よりもよっぽどぶっ飛んだところに進んでいるように思えるのだぜー…」
困難な海域を突破できた時こそ、一番プレイヤーが油断しているかもしれない瞬間。
それゆえに、油断したその瞬間に運営は何かを仕掛けているのだろう。
「まぁ、突破したすぐ先に目的地があれば、そこに激突して大破するだろうなぁとぐらい思っている運営の石があったのかもしれないけど…」
「グレイ号が、本当に頑丈でよかったよね…」
何とか艦橋から外に出て、周囲の惨状を見てつぶやく。
そう、現在僕らは見事に運営の思惑に踊らされて、出口にあった惑星…星そのものがダンジョンとなっている『ロイメイタル』に到着していた。
すさまじい勢いで突っ込んでしまったが、グレイ号の耐久力はエネルギーリングなどの防御装置に頼らずとも相当高く、突っ込んだ程度で爆発四散するようなことはなかった。
だがしかし、ラムを出しっぱなしにしていたのもあってか、勢いよく大地へ突っ込み、地表にえぐりこんでしまったのである。
【うーん、艦そのものにダメージはほぼ無いのですが…駄目ですね。みごとに突っ込んで半分、地面に沈んでしまっていマス。突撃時に生じた高温で地面が固まったようですし…すぐに飛び立つのは不可能になりまシタ】
周辺を見て回り、ロロがそう告げる。
グレイ号自体のダメージはなかったようだが、星にものすごく深くえぐりこんでしまったせいで、脱出できない状態になってしまったらしい。
半分ほど船が沈み込んだ状態にもなっているせいで、下部の艦橋や他の部分にも干渉しており、バックすることもままならないようだ。
「となると、当分星から飛び立てないってことか」
【そうなりますネ。一応、艦内工場で爆薬が精製できますので、周辺の土壌に埋め込んで爆破すれば、どうにか出られますが…そこそこ時間がかかりマス】
「ううむ、我々の船もグレイ号に収納されているから…下部から入った都合上、そこが地面の中だと出すこともままならぬのかだべぇ」
【グレイ号を解体すれば、出せないこともないですけれどネ】
『ひぃっ!?』
…ロロの言葉に対して、びくっと震えるのは人型状態で出てきているグレイ号の意志。
先ほどから全員に向けて、この失態に対して謝っているのか全力の土下座をしているが、今の言葉は相当怖かったようだ。
「いや、流石に解体は無理かな…ごめんね、グランプさんたち」
「いやいや、あの海域を突破できた分があるから大丈夫だべぇ」
「船がなくとも、すぐに出かける用事もないからねぇ」
「ここから脱出不可能ってわけでもないから良いんだぜー」
グランプさんたちの魔導船が取り出せない状態になったが、気にしていないようだ。
一応、周辺を片付ければどうにかなるという説明もあったし、焦る必要は無いだろう。
「とりあえず、脱出できるようにしてもらうとして…時間つぶしも兼ねて、ここのダンジョンに挑んだほうが良いかな」
【そうしてもらうほうがよろしいかと思われマス。主様たちがダンジョンに挑まれるのであれば、その時間を使い、出航が可能なように整えておきマス】
元々、今回の目的がここになっただろうし、多少の時間つぶしとしては良いだろう。
焦る必要もないし、僕らは外に出てしっかりと成果を上げれば良いだけの話だ。
【では、今から周辺をどかすための、爆薬を精製しに向かいマス。グレイ号、全力で外に搬出、設置予定地点への輸送をお願いしますネ】
『りょ、了解!!』
冗談にも聞こえなかった解体発言がよっぽど答えたのか、すぐさま駆け出すグレイ号の意志。
やらかしたことに責任感を感じているようだが、一応事故の様なものなのでそこまで重く受け止めなくても良いんだけどなぁ…
「というか、ハルさん別件で突っ込みたいけど…え、あの子グレイ号って言っているけど、船あんなの付くっけ」
「…色々とあったんですよね」
「正直、前線・攻略組よりもよっぽどぶっ飛んだところに進んでいるように思えるのだぜー…」
10
お気に入りに追加
2,048
あなたにおすすめの小説
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

大賢者の弟子ステファニー
楠ノ木雫
ファンタジー
この世界に存在する〝錬金術〟を使いこなすことの出来る〝錬金術師〟の少女ステファニー。
その技を極めた者に与えられる[大賢者]の名を持つ者の弟子であり、それに最も近しい存在である[賢者]である。……彼女は気が付いていないが。
そんな彼女が、今まであまり接してこなかった[人]と関わり、成長していく、そんな話である。
※他の投稿サイトにも掲載しています。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる